脳卒中リハビリ

脳卒中片麻痺の転倒予防をどうすればいいか?

脳卒中片麻痺の転倒予防をどうすればいいか?

 

はじめに

前回は脳卒中片麻痺の方の主な転倒原因についてご説明しましたが、少し専門的になり過ぎてしまい、難しくなってしまいました。 申し訳ありません。

今回は前回の反省をふまえて、一般的な脳卒中片麻痺の転倒予防について、なるべく分かりやすくご説明したいと思います。

ですから今回の説明においては小脳性失調パーキンソン症候群(大脳基底核障害)は除いてご説明します。 この二つに関しては、別の機会に詳しくご説明いたします。

 

脳卒中片麻痺の転倒予防!

① まずは脳卒中片麻痺による感覚障害の状態を知っておく

脳卒中においては運動麻痺だけでなく、感覚障害も重要な障害になっています。 特に足底感覚(足の裏の感覚)の低下と四肢の関節覚(自分の手足が今どこにあってどう動いているか)が低下していると、歩行時に足の裏の何処に重心がかかっていて、自分の足が何処でどの様に動いているかがわからなくなってしまいます。

つまり運動神経からの命令がきちんと果たされているのかどうかが分からなくなってしまいます。 ただでさえ運動神経からの指令が心もとないのに、その結果も分からなくては、まともに歩くことは出来なくなってしまいます。

ご自身の足底感覚や関節覚がどの程度なのかを知っておくことは重要なことです。

 

足底感覚の調べ方

⑴ まずは健側の足の裏を誰かに触ってもらい、その感覚を覚えます。
⑵ ついで麻痺側の足の裏を同じように触ってもらい、健側との感覚の違いをみます。
⑶ 全く差がない場合は「正常」、差がわずかの場合は「軽度」、感覚が半分くらいの場合は「中等度」、かなり差がある場合は「重度」、麻痺側の感覚がない場合は「脱失」となります。
※ この場合特に問題なのは「重度」と「脱失」になります。

この場合、感覚障害の強い患者さんは、視覚による情報で運動機能と感覚機能を補おうとします。 つまりは常に下を向いて足元を見て、ご自分の足の動きを観察しながら、さらにはその足元の周囲の景色(地面のブロックや周囲の建物の土台の角度など)から自分の体が真っ直ぐになっているかなどを確認しています。

 

このようなケースでの転倒リスクは以下の様になります

⑴ 急にバランスを崩した場合、視覚も一緒に崩れてしまうので反射的に体制を立て直せず転倒してしまう。
⑵ 視覚の錯覚によりバランスを崩して転倒してしまう。
⑶ 暗闇では視覚の補正が出来なくなってしまう。

などになります。 感覚障害による転倒の場合は、とっさにバランスを崩した場合、まず立て直しは難しいため、日頃からなるべく無理をせず、安全に歩くように注意する必要があります。

 

② ロンベルグ兆候を調べておく

たとえ①の感覚障害が軽度であったり問題でなかった場合でも 、ロンベルグ兆候が陽性の場合は、下肢や背骨の周囲の骨格筋のコンディションが障害されている(筋肉が異常に凝ってしまっている)ため筋肉の感覚センサーがうまく働かなくなっています。

この場合も足の運動や細かい状態が分かりにくくなることで、転倒しやすくなるため、患者さんは視覚による情報で歩行バランスを補っています。 この場合は特に周囲の景色との関係で、自分の身体が真っ直ぐに立っているかなどを見ています。

 

ロンベルグ兆候の調べ方

⑴ まずは安全な場所で、そばに誰かについていてもらいます。
⑵ 両足を揃えて真っ直ぐに立ちます。この段階でふらつく場合は、筋肉のセンサー以前に、立っている能力が低下しています。
⑶ そのまま目を閉じて、フラついて転びそうになったらロンベルグ兆候陽性です。

 

ロンベルグ兆候陽性の場合の注意点

⑴ 歩くときになるべくキョロキョロよそ見をしないで落ち着いて歩きます。
⑵ 周りに気になる物があってよそ見をする場合は、必ず立ち止まります。
⑶ なるべく暗闇を歩かないようにします。 明るいところから急に暗いところに行く場合は、入り口で立ち止まり、目が慣れてから行きます。

 

ロンベルグ兆候陽性の場合のリハビリ

⑴ 背骨の周囲の筋肉のマッサージなどの筋肉のコンディショニングを行います。
⑵ 股関節の周囲の筋肉のマッサージなどの筋肉のコンディショニングを行います。
⑶ 足の筋肉のマッサージなどの筋肉のコンディショニングを行います。

 

③ 運動機能の低下による立位・歩行能力の低下

先ほどのロンベルク兆候のテストの際に、目を開けていてもフラついてしまうのは、これは単純に立っていてバランスをとる機能が低下しています。 その原因は以下のようになります。

 

立位・歩行バランス低下の原因

⑴ 背骨の柔軟性と運動機能が低下して、背骨が硬く動かないためバランスがとれない。
⑵ 麻痺や拘縮によって肩甲骨の動きが悪く、肩が動かせないためバランスがとれない。
⑶ 腹筋や背筋の低下などで骨盤が傾いておりバランスがとれない。
⑷ 股関節を支える筋肉がうまく機能せずバランスがとれない。
⑸ 下肢などの筋肉の筋力だけでなく反射的な反応も低下していてとっさに力が出ない。

これらに挙げた問題は、主に背骨や肩や腰や足をうまくコントロールすることが出来なくて、転倒してしまうことを示しています。 その原因は麻痺や関節拘縮や筋肉のコンディション障害による筋力低下や瞬発力の低下によりバランスが低下してしまっています。

特に筋力低下や姿勢の変化がある場合に、普段から重心線が爪先ではなく踵に移っていたりして、より転倒しやすい状況になっている場合も多く、普段から椅子に座った時の姿勢や立った時の姿勢にも注意する必要があります。 また普段から座ったり立ったりする時に、麻痺側に体重をかけることを避けて、健側に傾いて座ったり立ったりすることも多く認められ、徐々にバランスが悪くなる原因となっています。

 

立位・歩行バランス低下のリハビリ

⑴ 背骨の柔軟性を高めるためのアプローチを行う
⑵ 左右の肩の動きを改善するアプローチを行う
⑶ 正しい座った姿勢や立った姿勢を練習する
⑷ 下肢や背骨の周囲の筋肉のコンディションを整える
⑸ 下肢や背骨の周囲の筋肉の筋力や筋瞬発力を高める

 

以上のようなアプローチを行うことで立位・歩行バランスを高め転倒予防を行います。 運動機能の低下による転倒リスクへの対応方法は、さまざまな側面から運動機能を高めていく必要があります。 ですから転倒予防として限定的にリハビリを行うより、全体的に運動機能を高めるリハビリを行いながら転倒のリスクも減らしていくというアプローチが大切になります。

 

具体的な方法に関してはまた後ほど詳しく解説いたします。

 

次回は

「脊柱管狭窄症のリスクについて」

についてご説明いたします。

 

最後までお読みいただきありがとうございます

 

注意事項

※ このウェブサイトでご紹介する運動内容などは、皆様を個別に評価して処方されたものではありません。 実際のリハビリの取り組みについては皆様の主治医や担当リハビリ専門職とご相談の上行っていただきますようお願い申し上げます。

 

 

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