脳卒中リハビリ

脳卒中片麻痺の歩行 ①麻痺側の腰を後ろに引く形で健側を前に出すように歩くパターン

脳卒中片麻痺の歩行 ①麻痺側の腰を後ろに引く形で健側を前に出すように歩くパターン

 

はじめに

今回は脳卒中片麻痺における歩行パターンの問題の捉え方とリハビリ方法についてご説明いたします。 脳卒中片麻痺の歩行に関しては、いくつかの特徴的な問題が認められることが多く、今回はこの特徴的な問題をどう捉えて対応すればいいのかについて述べたいと思います。

いくつかの特徴的な問題を例に挙げ、その問題の捉え方とリハビリ方法をご紹介していきます。 また今回取り上げられなかった歩行パターンの問題に関しては、また後々取り上げていきたいと思っていますのでよろしくお願いします。

 

代表的な脳卒中片麻痺の歩行パターン 3タイプ

  1. 麻痺側の腰を後ろに引く形で健側を前に出すように歩くパターン

  2. 麻痺側の足を伸ばしたまま外側にぶん回すように振り出す歩行パターン

  3. 麻痺側の足を地面につく時ドスンドスンと強くハンコを押すような歩行パターン

 

麻痺側の腰を後ろに引く形で健側を前に出すように歩くパターン

  1. 麻痺側の腰が後ろに引けている

  2. 健側の手で杖をつくが、かなり前目についている

  3. ひどい時には身体が健側を前に斜めになってしまっている

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(麻痺側骨盤を後方に引いた歩行パターン)

この歩行パターンの特徴は、麻痺側の足が健側の足より前に出ることはほとんどなく、やや上体を前屈みにして麻痺側に体をひらくように斜めにしています。

麻痺側の足を前に振り出す時に、やや上体を起こすようにしながら健側に体重を多めに移動して、麻痺側の足を振り出します。

ついで麻痺側の足に体重をかける時には、麻痺側の足の踵に体重をかけるようにして、あまり爪先には体重をかけません。

麻痺側への体重移動は少なめで、麻痺側の足に体重をかけると同時に、麻痺側の腰を後ろに引きながら、お辞儀をするように上体を前に傾けます。

この時に麻痺側の膝は伸びきっていることが多いです。

 

脳卒中片麻痺でこの歩行パターンになる原因

 

身体運動機能上の原因

この『麻痺側の腰を後ろに引く形で健側を前に出すように歩くパターン』になる身体運動機能上の原因は、麻痺側の股関節周囲の筋肉の緊張が低下しており、麻痺側の下肢で十分に体重を支持出来ないことにあります。

そのために麻痺側の足に体重をかける時に、麻痺側の腰が前に出せずに、後ろに引けてしまい、麻痺側の腰だけが引けた状態になります。

こうなると麻痺側の膝や爪先にも力が入らないため、膝の関節を伸ばしきった状態で、膝関節をロックする形で体重を支えようとします。

また腰が後ろに引けて、重心が後ろに移動して、このままでは尻餅をついてしまうため、重心を前にするために、お辞儀をするように上体を前屈みにします。

正常な歩行の場合は、足に体重をかける時には腰を前に押し出すようにしながら、上体を後ろに引き気味にしてバランスを取っているので、この『麻痺側の腰を後ろに引く形で健側を前に出すように歩くパターン』はバランスの取り方が正常歩行とは真逆になっていると言えます。

 

身体イメージ上の原因

この『麻痺側の腰を後ろに引く形で健側を前に出すように歩くパターン』になる原因として、身体イメージの健側へのズレが大きな原因としてあると思われます。

つまり麻痺側の手足などの感覚がやや鈍くなっている状態で、足腰を支える筋肉の出力も麻痺により低下しています。

ですから感覚がしっかりしていて筋力もある健側が頼りになる感じがするため、健側よりに意識が集中して、健側を中心に体を動かし、歩く習慣がついてしまいます。

 

なぜこのような歩き方になってしまったのか?

なぜこの『麻痺側の腰を後ろに引く形で健側を前に出すように歩くパターン』になってしまったのか?

 

そもそもの原因は脳卒中が発症した急性期にあります

脳卒中の急性期には全身の筋肉の緊張が落ちており、起き上がって座っている時も、腰や肩や背骨が安定しないため、不安が強いのです。

特に麻痺側の下肢が踏ん張れないため、麻痺側の骨盤にしっかり体重を乗せることができないまま、健側の斜め後ろ辺りに重心を置いて健側に上体を傾けてしまいます。

この姿勢だと麻痺側の肩は少し下がり気味で、麻痺側の手足には十分に力を入れることができません。

最初にこの健側の骨盤に重心を乗せる癖をつけてしまったため、その後も麻痺側の背骨を支える筋肉や手足の筋肉にしっかりと力を入れるチャンスを失い続け、脳が新しい運動機能のコントロール回路を作る過程で、本当は一番動かせるようになりたい麻痺側の手足をおろそかにして、健側ばかりを大切に鍛える歩行パターンを完成させてしまったのです。

 

 

麻痺側の腰を後ろに引く形で健側を前に出すように歩くパターンの問題点

  1. 将来的に前屈みが強くなり円背が進行する

  2. 麻痺側の膝をキチンと踏ん張らないため、膝に問題が起きて反張膝になる

  3. 姿勢が悪いため腰痛や膝関節痛が起きやすくなる

この歩行パターンの怖いところは、今はいいのですが、将来的にこの歩き方を続けていくと、「円背」が進行して、膝が「反張膝」と言って鳥の脚の様に正反対に曲がってきます。

このため腰痛や膝関節痛も起こりやすくなります。

転倒などのリスクも徐々に高まってきます。

 

この歩行パターンの修正方法

この歩行パターンを根本的に修正するためには、キチンとした身体イメージを作り直しながら、麻痺側の背骨や腰、肩の周囲の筋肉の使い方を練習しなおすところから徐々にリハビリをすすめていき、座位姿勢をキチンと麻痺側の骨盤に体重を乗せ、麻痺側の足を踏ん張ってそれを支える座り方ができるように練習します。

そして最終的に麻痺側の下肢(爪先)にしっかり体重をかけ、麻痺側の骨盤を前に押し出すようにしながら、肩を少し後ろに引いて、バランスをとる正常な歩行パターンに近づけていかなくてはなりません。

 

リハビリ方法

今回はご自宅で簡単に始められる、麻痺側の下肢に体重をかけて歩くための練習方法をご紹介します。

本来ですと座位姿勢からキチンと練習して治していく必要がありますので、座位姿勢を正しく直すためのリハビリも合わせて行うようにしてください。

 

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※ 今回は左片麻痺の設定です!

麻痺側の腰をまっすぐに伸ばす運動!

⑴ 手すりにつかまって真っ直ぐに立ち、麻痺側の腰を真っ直ぐに伸ばす運動をします

歩行パターン①001
① 両足の爪先に均等に体重をかける様にします
② 腰を前に突き出す様にして背筋を伸ばします
③ 麻痺側の肩が前に突っ込まない様に肩を引いて背筋を伸ばします
④ 顎を引いて背筋を伸ばします
⑤ この姿勢を維持できる様に練習します

 

麻痺側の膝の曲げ伸ばしの練習!

⑵ その状態から麻痺側の爪先に体重を乗せながら麻痺側の膝を軽く曲げ伸ばしします。

歩行パターン①002
( 麻痺側の膝関節の屈伸 曲げ)

歩行パターン①001
(麻痺側の膝関節の屈伸 伸ばし) 麻痺側の膝を伸ばすときには、腰もまっすぐに伸ばすように気をつけて下さい。

 

片足立ちの練習!

⑶ つぎに麻痺側の爪先に体重を乗せなが健側の足を持ち上げて片足立ちをします。

歩行パターン①003
① 麻痺側の爪先に体重を乗せる様に意識しますが踵は浮かせない様に気をつけます
② 麻痺側の腰が後ろに引けない様に前に突き出す様にします
③ 麻痺側の肩が前に突っ込まない様に後ろに引いて背筋を伸ばします
④ 顔は正面をしっかりと見ます
⑤ 健側の足を軽く持ち上げて床から離します

 

麻痺側の足へのステップ練習

⑷ ついで麻痺側の足を一歩前に出し、その足に体重をかけるように腰を前に出します
⑸ このとき肩や頭を前に突き出さないように背筋を伸ばします

歩行パターン①007
(麻痺側へのステップ練習 麻痺側の足を一歩前に出し)

歩行パターン①008

(その麻痺側の足に腰から体重をかけます)
① 麻痺側の爪先に体重を乗せる様に意識しますが踵は浮かせない様に気をつけます
② 麻痺側の腰が後ろに引けない様に前に突き出す様にします
③ 麻痺側の肩が前に突っ込まない様に後ろに引いて背筋を伸ばします
④ 顔は顎を引いて正面をしっかりと見ます

 

 

間違った体重移動の方法!

歩行パターン①006
(麻痺側へのステップ練習 間違い):麻痺側の体重移動を腰ではなく肩で行うのはダメです!
✖️ 全体的に前屈みになっています
✖️ 麻痺側の肩が前に突っ込んでしまっています
✖️ 麻痺側の腰が後ろに引けています
✖️ この場合は体重は爪先ではなく踵にかかっています

※ これらの運動を繰り返し10分程度行ってください。

 

 

次回は

脳卒中片麻痺の歩行 ②麻痺側の足を外側にぶん回すように振り出す歩行パターン
麻痺側の足を伸ばしたまま外側にぶん回すように振り出す歩行パターン について解説いたします

よろしくお願い申し上げます。

 

最後までお読みいただきありがとうございます

 

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「脳卒中片麻痺を治す最新の脳科学に基づく脳卒中ニューロリハビリテーションの在宅での実施方法」

 

 

注意事項

※ このウェブサイトでご紹介する運動内容などは、皆様を個別に評価して処方されたものではありません。 実際のリハビリの取り組みについては皆様の主治医や担当リハビリ専門職とご相談の上行っていただきますようお願い申し上げます。

 

 

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