脳卒中リハビリ

脳卒中麻痺側の肩関節コアマッスルのリハビリ方法

脳卒中麻痺側の肩関節コアマッスルのリハビリ方法

 

 

はじめに

麻痺側の肩関節の痛みを改善して、自律神経機能を整え筋緊張を安定させるための基礎となるアプローチ!

今回から麻痺側上肢の運動機能の改善に対するリハビリ方法についてご説明いたします。

上肢の運動機能を制限する原因としては、脳卒中による痙性麻痺が一番の原因ではありますが、その他の原因としては関節拘縮や筋肉のコンディション障害などが挙げられます。

特に肩関節周囲の筋肉のコンディション障害や手指および手首の関節拘縮などは頻繁に認められる問題となります。

上肢の麻痺に対するリハビリテーションは、関節拘縮や筋肉のコンディション障害に対するアプローチにより上肢機能のコンディションを整えた後に、手の運動機能を促進させるための運動を組み合わせて行います。

今回はまずは麻痺側の肩関節へのマッサージなどによる肩関節周囲のアプローチについてご説明いたします。

 

肩関節へのアプローチ

まず最初に麻痺側の肩関節とその周囲の筋肉へのアプローチを行います。

肩関節はその柔軟で広い運動範囲を保つために、関節運動自体は非常に複雑な運動を行っています。

くわしい関節運動の解説はここでは避けますが、その関節運動を調節する肩関節周囲のコアマッスルは非常に重要かつ複雑に働いており、またその分負担も大きくなっています。

皆さんが良くご存知の「五十肩」もこの肩関節周囲のコアマッスルの障害が原因で起こります。

そして脳卒中においても肩関節周囲のコアマッスルは麻痺の影響により障害を受けやすくなっています。

その障害の状態は「五十肩」による障害と非常に似ています。

ですからたとえ肩関節の麻痺が軽いものであったとしても、「五十肩」的な関節周囲の筋肉のコンディション障害により肩関節自体が動かなくなっているケースは非常に多く見受けられますし、物理的・解剖学的に関節が動かなければ麻痺が改善したとしても、その肩関節は動くようにはなりません。

そして肩の関節拘縮や筋肉のコンディションを整えながら、慎重に肩関節の運動機能を高めるための運動を行う必要があります。

 

肩関節周囲のコアマッスルについて

実際に肩関節を動かしているのは、大胸筋や三角筋や広背筋といった大きな筋肉ですが、肩関節自体は、その関節の中で非常に微細かつ複雑な運動を行っていて、その運動が障害されると肩関節に痛みが出て肩が動かせなくなります。

そしてその運動の微調節をしているのが、肩関節周囲のコアマッスルです。

これらはほとんどが肩甲骨の表面にある棘下筋、大円筋、小円筋などの筋肉です。

脳卒中片麻痺の麻痺側上肢のリハビリテーションは、先ずはこの肩甲骨の表面にある棘下筋や大円筋、小円筋などのコンディショニングから開始していきます。

肩甲帯筋群 L2
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肩関節周囲のコアマッスルのコンディショニング

⑴ 棘下筋へのマッサージ

棘下筋 L1

棘下筋は肩甲骨の表面の下側の2/3を占めるあたりにあります。 具体的には肩甲骨の上から1/3の辺りに肩甲棘という骨の出っ張りがあり、その出っ張りから下2/3の部分にある薄い筋肉が棘下筋になります。

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肩甲棘: 上の写真で指差している横長の骨の出っ張りが肩甲棘という肩甲骨の突起になります。

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棘下筋: 肩甲棘から肩甲骨の下の方にかけて棘下筋があります。

この棘下筋に対してマッサージを行います。 マッサージには下の写真に有るような簡単なマッサージ用バイブレーターを使用すると良いでしょう。

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(写真: マッサージ器)

実際のマッサージは畳やベッドの上で麻痺側を上にした横向きの姿勢で寝て、両膝を直角に揃えて曲げたら良い方の手でバイブレーターを持って、肩甲骨の棘下筋の部分にバイブレーターを当てます。 バイブレーターの振動は早い振動に設定しておいてください。 そしてバイブレーターを棘下筋に当てたままあまり動かさないようにして、3分間そのままマッサージを行います。

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棘下筋へのマッサージ: バイブレーターを棘下筋のこわばりを感じる部分にあてたら動かさないようにして一箇所を集中してマッサージします。

棘下筋へのマッサージは以上です。 ついで大円筋へのマッサージを行います。

 

⑵ 大円筋へのマッサージ

大円筋 L1

大円筋は肩甲骨の外側の側面にあります。 ですからマッサージも肩甲骨の外側のフチにそって横からバイブレーターを当ててやります。

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大円筋: 大円筋は肩甲骨の外側の縁に沿ってついています。

大円筋へのマッサージは棘下筋のときと同様に、畳やベッドの上で麻痺側を上にした横向きの姿勢で寝て、両膝を直角に揃えて曲げたら良い方の手でバイブレーターを持って、肩甲骨の外側の側面にそって大円筋にバイブレーターを当てます。 バイブレーターの振動は早い振動に設定しておいてください。 そしてバイブレーターを大円筋に当てたままあまり動かさないようにして、3分間そのままマッサージを行います。

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大円筋のマッサージ: 肩甲骨の側面にそって横側からバイブレーターを当てます。こわばりを感じる部分にあてたらバイブレーターを動かさないようにして一箇所を集中してマッサージします。

大円筋へのマッサージは以上です。 ついで小円筋へのマッサージを行います。

 

⑶ 小円筋へのマッサージ

小円筋 L1

小円筋は肩甲骨の外側の側面で肩関節の付け根に近いところにあります。 ですからマッサージも肩甲骨の外側で肩関節の付け根に近い所にバイブレーターを当ててやります。

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小円筋: 小円筋は肩甲骨の外側の縁と腕の付け根の交差する辺りにあります。

小円筋へのマッサージは大円筋のときと同様に、畳やベッドの上で麻痺側を上にした横向きの姿勢で寝て、両膝を直角に揃えて曲げたら良い方の手でバイブレーターを持って、肩甲骨の外側の側面にそって肩関節の付け根に近い所に向けて斜めに小円筋にバイブレーターを当てます。 バイブレーターの振動は早い振動に設定しておいてください。 そしてバイブレーターを小円筋に当てたままあまり動かさないようにして、3分間そのままマッサージを行います。

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小円筋へのマッサージ: 肩甲骨の側面で肩関節の付け根に向かって横側から斜めにバイブレーターを当てます。

小円筋へのマッサージは以上です。ついで小胸筋へのマッサージを行います。

 

⑷ 肩甲挙筋へのマッサージ

肩甲挙筋 L1

肩甲挙筋は肩関節自体を動かす筋肉ではありませんが、肩甲骨の運動に関わる非常に重要な筋肉であり、肩関節の運動にも大きな影響を与える筋肉ですので、ここでマッサージを行ってケアしたいと思います。 肩甲挙筋は肩コリのときに肩の峰をマッサージしようとして押すと、肩甲骨と首の中間あたりで骨のように硬くなった筋肉の塊に触ることがあると思いますが、それが肩甲挙筋です。

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肩甲挙筋: 肩甲挙筋は肩甲骨上縁の内側の角から首に向かってついています。

肩甲挙筋へのマッサージは棘下筋のときと同様に、畳やベッドの上で麻痺側を上にした横向きの姿勢で寝て、両膝を直角に揃えて曲げたら良い方の手でバイブレーターを持って、肩甲骨の上側の内側の角から首の付け根の中間の肩甲挙筋の盛り上がったところにバイブレーターを当てます。 バイブレーターの振動は早い振動に設定しておいてください。 そしてバイブレーターを肩甲挙筋に当てたままあまり動かさないようにして、3分間そのままマッサージを行います。

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肩甲挙筋へのマッサージ: 肩甲骨の上側の内側の角から首の付け根の中間にバイブレーターを当てます。

 

肩甲挙筋へのマッサージは以上です。 ついで小胸筋へのマッサージを行います。

 

肩の前面の筋(小胸筋)のコンディショニング

※ 小胸筋は大胸筋の下にある小さな筋肉です、大胸筋に力が入っていると中々触ることができません。 小胸筋へのマッサージを行う場合は、なるべく腕や大胸筋から力を抜いて行うようにしてください。

 

⑸ 小胸筋へのマッサージ

小胸筋 L1

小胸筋は胸部の前面にありますから、小胸筋へのマッサージは仰向けに寝て行います。 小胸筋は乳首から鎖骨に向けて真っ直ぐに上に伸ばした所から 2cmくらい外側で鎖骨から 2cmくらい下の部分を自分の指で押してみて、やや痛みを感じる部分が小胸筋になります。

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鎖骨の位置: 指で示している所が鎖骨になります。

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小胸筋: その鎖骨のすぐ下でやや外側の部分に小胸筋があります。

小胸筋へのマッサージは仰向けに寝て行います。畳やベッドの上で仰向きにねたら、良い方の手でバイブレーターを持って、小胸筋の部分にバイブレーターを当てます。 バイブレーターの振動は早い振動に設定しておいてください。 そしてバイブレーターを小胸筋に当てたままあまり動かさないようにして、3分間そのままマッサージを行います。

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小胸筋へのマッサージ: 乳首と鎖骨を結んだ線のちょうど真ん中辺りで小胸筋のこわばりを感じる部分にバイブレーターを当てます。

肩関節に関連するコアマッスルのマッサージは以上で終了です。

 

 

次回は

脳卒中麻痺側の肩関節の安定性と運動機能を高めるリハビリ

実際の肩関節運動機能を高めるための運動方法についてご説明いたします。

 

最後までお読みいただきありがとうございます

 

 

注意事項!

この運動は、あなたの身体状態を評価した上で処方されたものではありません。 ご自身の主治医あるいはリハビリ担当者にご相談の上自責任にて行っていただくようお願い申し上げます。

 

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