脳卒中リハビリ

骨盤周囲の筋肉のコンディションを整えて脳卒中の痛みをとる運動方法

 

はじめに

今回は「骨盤の周囲の筋肉のコンディションを整えて痛みをとるマッサージ」に引き続き、骨盤周囲の筋群の運動方法について解説したいと思います。

 

前回のマッサージ編と同様に骨盤周囲の筋群を以下の3つのグループに分けて考えていきたいと思います。

 

  1. 背骨と骨盤を結ぶ筋群

  2. 骨盤と大腿骨を結ぶ股関節周囲(仙腸関節周囲)の筋群

  3. 背骨と肋骨を結ぶ筋群

それでは前回の繰り返しになりますが、それぞれの筋群について、もう少し詳しく見ていきましょう。

 

背骨と骨盤を結ぶ筋群

背骨から骨盤にかけて接続する筋群で骨盤から背骨にかけての運動を制御しています。 また背骨の周囲の筋肉のコンディションを整えて痛みをとるマッサージ」「背骨の周囲の筋肉のコンディションを整えて痛みをとる運動方法」でご紹介した、脊柱起立筋と連携して、骨盤と背骨を支える働きを持っています。

① 腰方形筋

腰方形筋 L1

骨盤の上側から背骨と下位の肋骨に接続している筋肉で、体を左右に捻る、体を後ろに反らす運動をするとともに、骨盤や背骨を支える働きを持っています。

② 外腹斜筋

外腹斜筋 L1

脇腹にある筋肉で、第5肋骨から第12肋骨の側面から斜め前下方に向かって骨盤に接続する筋肉で、胸郭を引き下げて背骨を曲げる、骨盤を引き上げる運動をするとともに、骨盤や背骨を支える働きを持っています。

③ 内腹斜筋

内腹斜筋 L1

外腹斜筋と同じく脇腹にある筋肉で、外腹斜筋の下にあります。 骨盤から斜め前上方に向かって、第10肋骨から第12肋骨や腹直筋などに接続し、外腹斜筋と同じく胸郭を引き下げて背骨を曲げる、骨盤を引き上げる運動をするとともに、骨盤や背骨を支える働きを持っています。

 

骨盤と大腿骨を結ぶ股関節周囲(仙腸関節周囲)の筋群

骨盤と大腿骨を接続する筋群で、股関節の運動を制御して、特に左右の下肢への体重移動や、片足立位などに働いて、立位や歩行の安定に深く関わっています。

① 中殿筋

中殿筋 L1

大殿筋の下にあり、股関節を外側に開き(外転)、大腿骨を内側に捻る(内旋)させます。 片足立位や左右の下肢への体重移動を安定させる働きをします。

② 梨状筋

梨状筋 L1

中殿筋のそばにあって、大腿骨を外側に捻る(外旋)させます。 一般的に坐骨神経痛と呼ばれる症状は、この梨状筋と上双子筋の間を坐骨神経が通過する部分で起こり、梨状筋の障害が原因で起こります。 この臀部の痛みは、梨状筋症候群などとも呼ばれています。

③ 上双子筋

上双子筋 L1

坐骨から大腿骨に接続する筋肉で、大腿骨を外側に捻る(外旋)させます。

④ 下双子筋

下双子筋 L1

上筋双子と同じく、坐骨から大腿骨に接続する筋肉で、大腿骨を外側に捻る(外旋)させます。

⑤ 外閉鎖筋

外閉鎖筋 L1

恥骨と坐骨から大腿骨に接続する筋肉で、大腿骨を外側に捻る(外旋)させます。

⑥ 内閉鎖筋

内閉鎖筋 L1

恥骨と坐骨から大腿骨に接続する筋肉で、大腿骨を外側に捻る(外旋)させます。

 

背骨と肋骨を結ぶ筋群

背骨(腰椎)と下位肋骨を繋ぐ筋群で、骨盤と腰椎の動きに連動して胸郭を動かす働きをすることで、腰椎を中心とした背骨の運動を助ける働きをしています。

① 下後鋸筋

下後鋸筋 L1

棘肋筋の仲間で、胸椎・腰椎と下位肋骨を繋ぐ筋肉です。 肋骨を内下方に引き下げる働きを持っています。

 

 

 

それでは実際の腰の痛みをとって運動機能を改善する運動を行いましょう。

背骨と骨盤を結ぶ筋群・骨盤と大腿骨を結ぶ股関節周囲(仙腸関節周囲)の筋群・背骨と肋骨を結ぶ筋群の運動

リスク

脊柱管狭窄症のある方はこの運動はできません

必要な機材

中型~大型犬用のお散歩用リード(2本)

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L字型のフック(2個)

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畳かベッドの上で横になれるスペース

運動時間

30分 ~ 40分

 

スリングの設置と設定

① 部屋の鴨居などに L字型のフックを 60 cm 間隔で2個並べてつけてください。 そこから中型~大型犬用のお散歩用リードを垂らして、持ち手側の輪を下になるようにします。

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(長さを調節する場合はリードをループ状にします)

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(犬用のお散歩用リードを垂らす)

② リードの輪に両足首を入れて仰向けに寝ます。

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(持ち手の輪に足首を通す)

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(足首の位置と高さに注意しながら仰向けに寝ます)

③ リードを吊るしたフックと足首の位置はなるべく垂直になる様に、また足首は床面から 30cm位持ち上がった状態になる様に高さを調節してください。

 

運動内容

※ 骨盤周囲の筋群の運動をひとまとめにして行っていきます。

※ 今回の運動は右片麻痺の設定で解説を行います!

 

両側のお尻を持ち上げる運動!

  1. 上記の設定状態で運動を開始します。 運動自体は力まずにリラックスしてゆっくり行うことを意識してください。

スリング腰痛000

(開始姿勢)

② まず両膝をしっかり伸ばす様に意識しながら、両側のお尻を均等に持ち上げる様に体を反らします。 その時におヘソやお腹を突き出さない様に注意します。 お腹より、お尻の穴を締めるように意識して両側の股関節の付け根を持ち上げる様なイメージで力を入れてください。

スリング腰痛000

(開始姿勢)

スリング腰痛001

(写真: 両側のお尻を持ち上げた状態)

※ お尻の穴を締めるように意識して力を入れます。

スリング腰痛002

(もとに戻ります)

③ この運動を10分くらい力まずにゆっくり行います。 無理して完全に動かそうとするのではなく、力まずに動く範囲で繰り返し運動を行ってください。

 

片側ずつお尻を持ち上げる運動!

  1. 上記の設定と同様に仰向けから運動を開始します。 運動自体は力まずにリラックスしてゆっくり行うことを意識してください。

スリング腰痛000

(開始姿勢)

② まず健側の膝をしっかり伸ばす様に意識しながら、健側のお尻を持ち上げる様に斜めに体を反らします。 その時におヘソやお腹を突き出さない様に注意します。 お腹より、お尻の穴を締めるように意識して健側の股関節の付け根を持ち上げる様なイメージで力を入れてください。

スリング腰痛011

(健側のお尻を持ち上げた状態)

※ お尻の穴を締めるように意識して力を入れます。

スリング腰痛012

(もとに戻ります)

③ ついで麻痺側の膝をしっかり伸ばす様に意識しながら、麻痺側のお尻を持ち上げる様に斜めに体を反らします。 その時におヘソやお腹を突き出さない様に注意します。 お腹より、お尻の穴を締めるように意識して麻痺側の股関節の付け根を持ち上げる様なイメージで力を入れてください。

スリング腰痛014

(麻痺側のお尻を持ち上げた状態)

※ お尻の穴を締めるように意識して力を入れます。

スリング腰痛016

(もとに戻ります)

④ この運動をそれぞれの運動に対して10分くらいずつ力まずにゆっくり行います。 無理して完全に動かそうとするのではなく、力まずに動く範囲で繰り返し運動を行ってください。

 

両側のお尻を持ち上げてから左右に振る運動!

① 上記の設定と同様に仰向けから運動を開始します。 運動自体は力まずにリラックスしてゆっくり行うことを意識してください。

スリング腰痛000

(開始姿勢)

② まず両膝をしっかり伸ばす様に意識しながら、両側のお尻を均等に持ち上げる様に体を反らします。 その時におヘソやお腹を突き出さない様に注意します。 お腹より、お尻の穴を締めるように意識して両側の股関節の付け根を持ち上げる様なイメージで力を入れてください。

スリング腰痛015

(両側のお尻を持ち上げた状態)

③ 上記の状態からお尻を上げたまま、そのお尻を左右に振っていきます。 振り方は決して力まずに、軽く小さめに行ってください。 この時左右の脇腹にある筋肉の動きを意識しながら行います。

スリング腰痛021

(健側にお尻を振った状態)

スリング腰痛023

(麻痺側にお尻を振った状態)

④ この運動を10分くらい力まずにゆっくり行います。 無理して完全に動かそうとするのではなく、力まずに動く範囲で繰り返し運動を行ってください。

 

  • これらの運動は力まずにリラックスして行ってください。 しっかりと運動することが目的ではなく、適切な筋収縮を繰り返して筋肉のコンディションを整えて、血流やリンパ液の流れも改善することが目的ですので、力んでしっかり運動しようとすると逆効果になってしまいますので注意が必要です。
  • これらの運動は、腰が凝ったり痛みが出たなと感じたら、出来るだけ早めに行って、痛みに対処するようにしてください。

 

腰の痛みをとる運動は以上で完了です。

 

次回は
「脳卒中片麻痺の歩行能力を改善してより良い歩行を獲得するための5つの課題」
についてご説明します。

 

最後までお読みいただきありがとうございます

 

 

注意事項!

この運動は、あなたの身体状態を評価した上で処方されたものではありません。 ご自身の主治医あるいはリハビリ担当者にご相談の上自己責任にて行ってくださるようお願い申し上げます。

 

 

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脳卒中手の機能テキスト02

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