リハビリ裏話

あなたは身体機能低下の悪循環スパイラルに陥っていないですか?

あなたは身体機能低下の悪循環スパイラルに陥っていないですか?

 

 

はじめに

脳卒中片麻痺やパーキンソン病によるパーキンソニズムや転倒による大腿骨頸部骨折など、皆さんがリハビリテーションをやらなければならなくなった原因は様々で、起きている麻痺や運動障害も様々です。

しかしここで一つ皆さんにしっかりと認識して理解しておいていただきたいことがあります。

それは皆さんの抱えている運動機能障害は、その原因となった疾患の症状としての運動障害ばかりではないということです。

そしてそれは身体機能低下の悪循環スパイラルと呼ばれるものなのです。

なんか良く分からない言い方になってますよね。

悪循環スパイラルとは、身体機能の不良が身体の別の部分に負担をかけることで、関連する他の身体機能にまた悪い部分を作り出してしまうという負のスパイラルが、あなたの身体で起こっている状態を言います。

わかりやすく例をあげて説明させていただきますね。

 

脳卒中片麻痺の場合の悪循環スパイラル

脳卒中片麻痺の場合は、脳の運動神経系の障害により身体の片側に麻痺が出現すると言うことは皆さんはもう良くお分かりのことだと思います。

しかし脳卒中片麻痺の運動機能の障害が総てこの運動神経麻痺によるものかと言うと、決してそうではないのです。

例えば麻痺側の肩が痛みと緊張が強くて手があげられないと思っていたら、肩関節周囲の筋肉の拘縮だったり、手足の緊張が強くて麻痺がひどいのかと思っていたら、急性期に手足が浮腫んだことで筋肉が異常に凝ってしまっていただけで痙性麻痺による緊張はさほど強くなかったりします。

そしてこれらのコンディションの障害を抱えたまま、退院後の日常生活で無理をすると腰痛や膝関節痛や肩こりがひどくなり、その痛みのせいで寝たり起きたりの状態になって体力低下から転倒して骨折したりします。

これが脳卒中片麻痺の悪循環スパイラルの一つです。

悪循環スパイラルは一つではなく何種類ものパターンがあります。

 

 

パーキンソン病の悪循環スパイラル

パーキンソン病の場合は、大脳基底核と視床の運動コントロールのための閉鎖回路が上手く働かなくなることでパーキンソニズムと言われる運動障害が起こります。

このパーキンソニズムの中で、悪循環スパイラルに特に関係しやすいのは、ジストニアと呼ばれる、筋緊張の高まりが起きる状態と姿勢反射障害です。

ジストニアにより筋肉が緊張している状態が長く続くと、筋肉は血流障害に陥って、異常に凝った状態になります。

それが肩や首や腰の周りの筋肉に起きて、頭痛や肩関節痛や腰痛になります。

パーキンソン病の場合、初期にこの首や肩の痛みが強く起きることで、頸部の脊柱管狭窄症と誤診されて、首の骨を切る手術をされてしまう方もおられるぐらいです。

この筋肉の異常なコリに姿勢反射障害が加わると、背骨や骨盤や肩の周囲の筋肉が左右非対称にあるいは前後非対称に、または屈筋と伸筋が非対称に凝ってしまいます。

そして姿勢が傾いたり円背が進んだりします。 この状態で痛みと姿勢のバランスが悪くなることで、徐々に運動量が少なくなり廃用症候群(体力低下)が進んでいき、ある日を境に寝たり起きたりの状態に突入して、急激に寝たきり生活に近づいていきます。

これがパーキンソン病の代表的な悪循環スパイラルです。

この状態になると、パーキンソン病の進行よりかなり早い段階で、日常生活動作能力が低下して、生活の自立度が下がってしまいます。

 

 

痛みに注意すること!

高齢者の筋力低下を予防することが、寝たきりや要介護状態を予防することに大変重要だと言うことは、みなさん良くお分かりのことと思います。

しかし何故に高齢者の筋力は低下しやすいのでしょうか? 年だから? それは科学的な理由にはなりませんよね。

実は高齢者の体力低下、筋力低下の大きな鍵になるのが「痛み」なのです。

腰や膝が痛くなるから、歩かなくなり、足腰が弱ってくるのです。

首や肩が痛むから起きていられなくなって、寝たり起きたりの生活になり、昼間に寝て夜中に起きてしまい、昼夜転倒となって呆け始めるのです。

高齢者の体力維持と廃用症候群の予防を考えるときに、ただ筋力トレーニングをすることはナンセンスです。

高齢者の体力増強は痛みのケアとセットで考えてあげなくてはなりません。

なぜならその「痛み」がもっとも悪循環スパイラルを生み出しやすい元凶だからです。

 

まとめ

今回は豆知識的に皆さんの身体の中で起きている可能性のある、運動機能の悪循環スパイラルについて、簡単にご紹介しました。

実は痛みのケアは在宅リハビリテーションを成功させるために一番重要なアイテムとなっているのです。

痛みを取らずして健康な生活なしです。

皆さんも腰や肩に痛みはないですか? 運

動機能の悪循環スパイラルを改善してより効果的なリハビリテーションを行っていってくださいね。

この悪循環スパイラルに関連するお話はまた後で詳しく解説できればいいなと思っております。

 

最後までお読みいただきありがとうございます。

 

 

脳卒中片麻痺の自主トレテキストを作りました!

まずは第一弾として皆様からご要望の多かった、麻痺側の手を動かせるようにしたいとの声にお応えするために、手のリハビリテキストを作りました。

手の機能を改善させるための、ご自宅の自主トレで世界の最先端リハビリ手法を、手軽に実践する方法を解説しています。

超音波療法や振動セラピー、EMS療法による神経促通など、一般病院ではまず受けられないような、最新のリハビリアプローチが自宅で実行できます。

現在の日本国内で、このレベルの在宅リハビリは他にはないと思います。

そしてこのプログラムは施設での実施にて、すでに結果が認められています。

あとは皆さんの継続力だけですね。

テキストは電子書籍になっており、インフォトップと言う電子書籍の販売ASPからのダウンロードになります。

全180ページに数百点の写真と3D画像などで分かりやすく解説しています。

コピーが容易な電子書籍の性格上、少し受注の管理やコピーガードなどが厳しくなっていますが、安全にご利用いただくためですの、ご容赦くださいね。

ぜひ一度お試しください。

脳卒中手の機能テキスト02

ヘッダー

 

次回は

「結局は心と気持ちの問題なのです!」

関連記事

  1. 少し未来のリハビリテーションの話をしましょう!
  2. 在宅で使う医療機器の適正価格を考える!
  3. 神経解剖学者によって脳卒中リハビリにかけられた呪い
  4. トランプ大統領のアンチグローバリズムと日本の福祉の関係について考…
  5. 有益な医学情報を手にいれてリハビリテーションに生かす!
  6. 日本の少子化対策と小児リハビリについて併せて考えてみた!
  7. リハビリテーションを効果的に進めるためのスマートカット方法とは!…
  8. リハビリの達人への近道

おすすめ記事

PAGE TOP