脳卒中リハビリ

脳卒中片麻痺の足の強張りと内反尖足のリハビリ方法!

脳卒中片麻痺の足の強張りと内反尖足のリハビリ方法!

 

はじめに

脳卒中片麻痺で麻痺側の足がひどく緊張して突っ張ってしまい、まるでバレリーナのようになってしまう場合があります。

それを専門用語では『内反尖足』と呼んでいます。

これは足首が内側に引っ張られ(内反)、さらにつま先が突っ張る(尖足)ために、この様に呼ばれています。

この内反尖足になると、麻痺側の足でしっかりと体重を支えることができなくなるため、立ち上がるのも大変になってしまいます。

ですから内反尖足になった方は、みなさん大変困っています。

でもこれまではなかなか良い解決策が見つかっていませんでした。

じつは内反尖足と同じ様な問題を抱えているのが、麻痺側の手指の強張りです。

この麻痺側の手指が強張り始めると、ドンドンと緊張が

高まっていって、肘や肩の筋肉も強張ってしまい、麻痺側の腕全体が硬くなってしまいます。

この「麻痺側の手指の強張りから腕がドンドン硬くなる」症状の原因は決して脳神経の麻痺が悪化しているわけではありません。

手指の筋肉が強張って動かせなくなることで、脳の一時運動野からの運動指令に対して、運動指示を受けた手の筋肉からの感覚フィードバックが起こらなくなります。

そうすると脳の運動制御システムが混乱して、さらに手の筋肉を緊張させたり、痛みなどの異常な感覚を錯覚してしまうことが、手の強張りの原因だと分かってきています。

つまり筋肉が強張って動かせなくなり、また筋線維の中の筋紡錘などの感覚センサーが上手く働かなくなることで、脳の一次運動野での運動制御が混乱して、さらに筋肉を強張らせたり、異常な感覚を生み出してしまうのです。

そして足の筋肉がドンドン強張ってしまう「内反尖足」も、この手の強張りと同じ運動制御の混乱が原因で起きている様なのです。

今回はこの筋肉の強張りによる感覚フィードバックの障害が原因で起こる、運動制御不全が、内反尖足にどの様に影響するのか、またその解決方法となるリハビリテーションについて解説したいと思います。

どうぞよろしくお願いします。

 

 

まずは手の強張りについて整理しておきましょう!

内反尖足のリハビリテーションについて解説する前に、麻痺側の手指が強張ることで、麻痺側の腕全体が強張ってきて、その強張りがドンドン強くなる運動制御が混乱する症状とその解決策について少しご紹介したいと思います。

これは内反尖足のリハビリテーションにもとても参考になる話です。

 

あなたは「幻肢痛」という言葉を聞いたことがありますか?

この「幻肢痛」というのは、例えば腕を事故などで切断された方が、後になって「切断されて無いはずの手がまるである様に感じ、さらにはその手が強く緊張して痛みを感じる」というものです。

この原因としては、手は切断されて無くなってしまいましたが、脳の運動野にはその手を動かすための運動神経の回路が残っています。

そして運動回路は無くなった手を動かそうとして、運動指示を出すのですが、切断されて無くなっている手からは運動の結果を知らせる感覚フィードバックはありません。

手が無いのですから、その筋肉の線維の中にある感覚センサーや皮膚感覚のフィードバックが起こる訳がありませんよね。

そうなると脳の運動野が混乱して、変な信号を発生し始めます。

その結果として無いはずの手が強張って痛くなる様に感じてしまうのです。

じつはこの「幻肢痛」と同じ現象が、脳卒中片麻痺の麻痺側の手にも起こっていることが分かったのです。

脳卒中片麻痺の手の場合は、手は切断されていませんから、麻痺側の手は残っています。

しかし麻痺側の手の筋肉が硬く強張って動かせなくなってしまっていた場合はどうでしょう?

やはり動かせない手からの感覚フィードバックは起こりません。

そうなると脳の運動野では切断された手の場合と同じ様に「幻肢痛」を作り出してしまうのです。

その結果として脳卒中の麻痺側の手は切断されていないから元の場所に残っていますので、その手はドンドン緊張を高めてしまいます。

そして手指の緊張が高まっていくことで、麻痺側の腕全体の緊張も高まっていってしまうのです。

 

 

足の内反尖足の場合はどうなるの?

では麻痺側の足に起こる「内反尖足」の場合はどうでしょう?

脳卒中の急性期には自律神経系の機能が混乱して、手足の浮腫が起こることが良くあります。

また長い間寝ていることで、麻痺側の足をほとんど動かせずに強張ってしまうこともあるかもしれません。

また回復期の筋緊張の高まりによっても足の筋肉が強張ることがあります。

これらの結果として、麻痺側の足の指や足首を動かすための筋肉が硬く強張ってしまいます。

そして足の指や足首を動かすための筋肉が強張ってコンディションが悪くなると、筋線維内の感覚センサーがうまく働かなくなります。

そうなると麻痺側の手指が「幻肢痛」を起こしたのと同様の現象が、麻痺側の足の指や足首を動かす筋肉にも起こることになります。

つまりは麻痺側の足の指や足首を動かす筋肉のコンディションが悪化して、その筋肉からの感覚フィードバックが行われなくなるために、脳の運動野では、足を動かす運動回路が混乱してしまいます。

そうすると麻痺側の足の指や足首が強張ってドンドン緊張する様になってしまいます。

 

 

麻痺側の内反尖足が起きるとどうなるのか?

麻痺側の足に内反尖足が起きると、つま先が突っ張ってしまい、踵を地面につけることが難しくなります。

そうなると健側の足はしっかり踏ん張ることが出来ますから、自然と立ち上がる動作を健側の足を中心に行う様になります。

本来であれば足の機能は左右が1組になって立ち上がったり、歩いたりする様になっています。

ですから脳の歩行制御をする回路も、左右をセットにして制御しているのです。

ところが麻痺側の足に内反尖足があると、麻痺側の足をしっかり地面について体重を支えることが出来なくなります。

ですから脳の歩行制御などをしている運動回路も、健側の足のみを制御して麻痺側の回路には適切な運動信号のやりとりが行われない状態が継続してしまいます。

そうして運動制御が混乱すると、麻痺側の下肢の筋緊張がドンドン高まってしまう様になってきます。

内反尖足のケアとしては、これらの歩行制御や運動制御の混乱を解消して、麻痺側の足の筋緊張を落ち着かせていくことが必要になります。

 

 

内反尖足を和らげるためのリハビリテーション

内反尖足による麻痺側の足の緊張を和らげるためには、足の運動制御回路の混乱を落ち着かせる必要があることが分かってきました。

それには麻痺側の足の指や足首を動かしている筋肉の強張りをほぐして、それらの筋肉の線維内にある「筋紡錘」などの感覚センサーが働く様にしなければなりません。

そして感覚センサーが働くことで、脳の運動野からの運動指示に対して、キチンとした感覚フィードバックが行われる様にすることで、足の運動制御を正常に近づけることが出来ます。

脳の運動制御が良くなれば、自然と筋肉の強張りもほぐれる様になります。

それまでは何をしていてもドンドン緊張が高くなってしまっていたものが、逆にストレッチなどをやらなくても、ドンドン緊張が和らぐ様になる場合もあります。

とにかく筋肉のコンディションを整えることが大切です。

ではそれを具体的な内反尖足のリハビリテーションとしてはどうすればいいのでしょうか?

 

参考までに手指の強張りのリハビリの場合はどうだったのでしょうか?

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手の強張りのリハビリで効果があったのは「ミラクルグリップ」と呼ばれる高反発素材を使用したグリップを握るケアでした。

この高反発素材でできた「ミラクルグリップ」は名古屋の大学院の先生が開発されたものです。

その効果としては、緊張した手の筋肉が反射的にグリップを握ってしまうのに対して、ミラクルグリップ自体が高反発素材でできていますから、それを押し返します。

押し返された指は、また反射的にミラクルグリップを握ります。

それをまたミラクルグリップが押し返すということを、グリップを握っている間中繰り返します。

本来は脳卒中で指が強張っている場合は、タオルなどを握らせるのはご法度です。

絶対にやってはいけません。

何故ならばドンドン指の緊張を高めて強張りを増してしまうからです。

でもこのミラクルグリップの場合は、握っている間中、ずっと指の屈伸運動を行うことになります。

そうすることで緊張した指の筋肉が動かされ、徐々に感覚フィードバックも回復してきます。

そして指の強張りが解消されていくと、麻痺側の腕全体の緊張も落ちてきます。

私も臨床で試してみて、その効果には驚いています。

硬く強張った指が簡単に開く様になり、全然挙がらなかった肩関節が、腕を頭の上まで上げられる様になったのです。(効果には個人差があります)

おかげでスムースに次の段階の運動ファシリテーションに移ることが出来ました。

 

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では足の内反尖足にはミラクルグリップの様なグッズはないのでしょうか?

 

JPクッションによる坐位と立位の練習

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じつはこのミラクルグリップの材料を使ったクッションが以前からスポーツの世界で使われていました。

そのクッションの名前は『 JP クッション』と言います。

この JP クッションを世界のトップアスリート達が下肢のトレーニングに利用しています。

例えば私が知る範囲では、スケートの浅田真央さんが、この JP クッションの上でジャンプの練習をしていました。

私も臨床で使ってみましたが、確かに下肢の筋肉のコントロールが改善して、筋緊張が適正に落ち着いてくる様です。

今回はこの高反発素材で作られた JP クッションの上で立位練習などを行って、足首や指先の運動制御の練習効率を高めることで、内反尖足の筋緊張を和らげるアプローチをご紹介します。

 

JP クッションを使用した坐位練習

⑴ 椅子にやや浅めに背中をできるだけ伸ばして座ります。

⑵ 足元の正面に JP クッションを置きます。

⑶ 両足を揃える様にして足を JP クッションの上に置きます。

⑷ 両手を体の正面で組んで腕を前に伸ばします。

⑸ まずは健側の足元に組んだ両手を伸ばしていきます。

⑹ 両手を健側の足元に着いたら姿勢を元に戻します。

⑺ ついで麻痺側の足元に組んだ両手を伸ばしていきます。

⑻ 両手を麻痺側の足元に着いたら姿勢を元に戻します。

この動作を繰り返し行います

 

JP クッションを使用した立位練習

⑴ 壁際の手すりなどに捕まって体を安定させて立ちます。

⑵ 足元の正面に JP クッションを置きます。

⑶ 両足を少し開いた状態で前後を揃えて JP クッションの上に立ちます。

⑷ JP クッションの上で腰を左右に動かして重心を左右に移動します。 この時になるべく体重を左右の足のつま先に乗せる様にしてください。

 

この運動を5分程度継続して行います。

 

高反発素材で作られたクッションの上で足に体重をかける運動をすることで、足先の動きに対して、クッションが反発することで、足先の細かい屈伸運動を行うことで、麻痺側のつま先や足首の運動に対する感覚フィードバックを回復させていきます。

 

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まとめ

今回は脳卒中片麻痺の麻痺側の足先が緊張してしまう「内反尖足」の改善方法について解説しました。

内反尖足の問題点は、上肢の手の強張りと同じく、関連する筋肉が硬く緊張することで、筋線維内の感覚センサーが働かなくなり、それが原因で感覚フィードバックが障害されます。

脳の運動野の運動指示に対して、運動結果の感覚フィードバックが行われないと、運動回路が混乱して、強張りや痛みを発生します。

これが原因となり「内反尖足」による足先の筋緊張が増悪していきます。

これを改善するためのリハビリテーションアプローチとして高反発素材で作られた JP クッションの上での体重移動の練習による、下肢の感覚フィードバックの改善を行います。

 

 

最後までお読み頂きありがとうございます。

 

 

注意事項!

このサイトでご紹介している運動は、あなたの身体状態を評価した上で処方されたものではありません。 ご自身の主治医あるいはリハビリ担当者にご相談の上自己責任にて行ってくださるようお願い申し上げます。

 

 

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