リハビリ裏話

多くの在宅サービスはすでに亡くなった人を対象にサービスしています!

多くの在宅サービスはすでに亡くなった人を対象にサービスしています!

 

いきなり亡くなった人なんて縁起でもないタイトルでごめんなさい

私は2000年の介護保険施行時の以前より、少しづつ在宅医療サービスに関わってきていました。

その経験の中で強く感じていることが一つあります。

それは「お年寄りはドンドン変わってきている」ということです。

今から20 ~ 30年前の高齢者は、なんとなく「お年寄り」という言葉が似合う感じでした。

時代劇が好きで、夕方になると必ず NHK の相撲放送を見ていました。

和室で座布団の生活が大好きで、ベッドに寝るのをとても嫌がり、どんなに麻痺があっても畳の上に布団を敷いて眠りたいと駄々をこねていました。

コーヒーを飲む人はとても少なく、みんなお茶か麦茶を飲んでいました。

たとえコーヒーを飲んでいたとしても、レギュラーコーヒーではなくインスタントを飲まれていました。

あの当時は「ゲートボール」が大流行りで、私も職場の命令でゲートボールの審判の勉強をしたものです。

 

リハビリテーションに関しては「痛いというと手を抜かれるから」と言って、痛くても決して痛いと言わず、痛いですかと尋ねても「痛くない」と意地を張っておられました。

 

実はこのころの世代の方には魔法の歌があったのです。

それは「万朶の桜」と呼ばれる、旧日本軍の歩兵の行進曲でした。

「麻痺があるから疲れて歩けない」と尻込みしているお年寄りの耳元で、「万朶の桜か襟の色 花は吉野に嵐吹く ♪」と歌うと、途端に目つきがしっかりしてシャキシャキ歩き出す方が沢山おられました。

 

現在の高齢者は?

 

それに引き換えて、今の高齢者の方はどうでしょうか?

時代劇はあまりご覧にならないで、ニュースを好まれます。

必ず相撲を見るわけではないようですし、お好きなスポーツもバラバラです。

お若い頃に好きだったのはロカビリーで、ミッキーカーチスの曲に合わせて、水玉のスカートとリボンで踊っていたりします。

注: ミッキーカーチスさんは往年のロカビリースターの一人です。 最近ではテレビドラマの「謎の転校生」で主人公の隣に住んでいて、パラレルワールドからの移住者に部屋を乗っ取られるおじいさんを演じておられました。

コーヒーの味にもうるさいですし、エスプレッソやカフェラテを飲まれたりします。

畳に布団を敷いて寝ている方はあまり多くありません。

ゲートボールも最近ではさっぱり流行りませんね。

万朶の桜なんか歌ったら、そんな戦争を賛美するような歌は聞きたくないと仰います。(若い頃は学生運動をされていたのかな?)

リハビリテーションでは、痛いときは痛いとハッキリ仰いますし、ご自分のご希望を明確に意思表示されます。

 

どうしてこんなに違うのでしょう?

それは20年も経てば、同じお年寄りでも親子ほど世代が変わってしまうからです。

ですから同じお年寄りでも、考え方や趣味嗜好が全く違うのです。

よくさっぱり人気の出ない介護保険サービス(デイケアやデイサービス)を見かけますが、そう言った施設は大体が昔のお年寄りが好んだイメージを引きずっています。

でもいかにも昔のお年寄りが好まれたような、施設の内装や家具、あるいはイベントも、それを好んで喜ばれていた方々は、もういないのです。

数年前にみなさんお亡くなりになっています。

 

現在の高齢者の方が求めるものは?

 

現在の高齢者はサービスに必ず付加価値と理由を求めます。

その体験に意味と感動を求めます。

これまでのお年寄りは、家族に迷惑をかけないために我慢して国が決めたサービスを受けました。

何故ならば、そうやって若い時から国や家族のために辛抱して頑張ってきたからです。

でもこれからのお年寄りは、自分が納得しなければやりません。

何故ならばそうやって育ってきたからです。

 

さらにこれからは団塊の世代の皆さんが高齢者としてサービスを利用され始めます。

受け入れられるサービスは「本物」であることが求められます。

なんとなく器械を置いて、なんとなく体を動かすのは、本物のリハビリテーションではありません。

 

まあ回復期リハビリテーション病院で日常生活動作練習をやるのも、本物のリハビリテーションとは言えなくなってきているのですが。

でも回復期リハビリテーション病院でのサービスは、急性期病院から自宅に帰って生活する方法を学習するためには絶対に必要なサービスです。

ですから皆さん必ずご利用されます。

 

でも自宅に帰ってからのサービスはどうでしょう?

効果があるかどうかわからないような、インチキくさいサービスを、これからの高齢者の方は、わざわざ通って行って受けられるでしょうか?

在宅でのリハビリテーションは「本物のリハビリテーション」でなくてはならないのです。

 

あなたのサービスには意義と感動がありますか?

 

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