小児リハビリ

小児リハビリ 脳への運動制御プログラムの書き込みはキイボードの修理から!

小児リハビリ 脳への運動制御プログラムの書き込みはキイボードの修理から!

 

はじめに

小児リハビリテーションを頑張っている我が子を見守るご両親が一番気にされていること。

それは「我が子の麻痺が将来どのくらい良くなるのだろう」ということではないでしょうか?

不幸なことに生まれつき持って生まれてしまった、脳神経の障害がリハビリによってどの位良くなるのか、またどの位の障害が残ってしまうのか?

とても不安に感じておられると思います。

しかし小児のリハビリテーションの特徴として、成人の脳卒中などの麻痺の考え方と、小児の麻痺の考え方には少し違いがあって、成長の過程でなるべく良いアプローチを行うことで、お子さんの将来が変わってくる可能性があるということです。

それならばなるべく良いアプローチを受けさせてやりたいですよね。

今回は親御さんが日頃の我が子とのスキンシップであるアプローチを習慣的に行うことで、現在い受けておられるセラピストによるリハビリテーションの効果を大きく高める方法があるのです。

その方法について今回はなるべく分かりやすく解説して見たいと思います。

どうぞよろしくお願いいたします。

 

小児の麻痺と成人の麻痺はどう違うのか?

脳の運動神経が麻痺して身体が手足が動かせなくなることに、大人と子供の間にそんなに大きな違いがあるのでしょうか?

麻痺は麻痺でそんなに違わないのではと考えてしまいますよね。

でも成人の麻痺と小児の麻痺には大きな違いがあるのです。

それはどんな違いなのでしょうか?

 

子供の麻痺は神経回路の故障ではない可能性が大きい!

まずは大人の麻痺の場合を考えて見ましょう

大人の麻痺の場合、例えば脳卒中の片麻痺の場合はどうでしょう?

脳卒中が急に発症するまでは、その方は健康な生活を送っています。

(もしかすると吞む打つ買うの不健康な生活だったかもしれませんが)

しかし脳卒中になって脳神経が破壊されて麻痺が起こるまでは、彼の運動神経は正常に発達して、正しく機能していたのです。

しかし脳卒中になって、脳血管の血流が障害されることで、脳神経細胞が破壊されてしまい、片麻痺になってしまったのです。

ということは脳卒中によって麻痺になった彼の脳の中で、それまで彼の手足を動かしていた脳神経細胞は確実に破壊されてしまっていることが分かります。

ですから大人の麻痺を回復するためのリハビリテーションは、一旦は破壊されてしまった神経細胞の代わりをしてくれる脳神経細胞をもう一度作り上げなければならないのです。

 

では次に小児の麻痺の場合を考えて見ましょう

小児の麻痺の場合は、お子さんは生まれた時から麻痺があります。

ですからその時点で分かっていることは「お子さんに麻痺がある」ということだけなのです。

その麻痺がどの様な原因によるものかは、CTやMRIなどで調べれば、ある程度の推測はつくと思われますが、それでもあくまでそれは推測の範囲内での話なのです。

CTやMRIで脳のこの部位に萎縮が認められるといっても、それが「完全な神経細胞の消失」なのか「単に神経細胞の発達が未熟」なのかは完全には明確にはなりません。

 

あなたのお子さんの麻痺が、

「神経細胞の障害による麻痺なのか?」

「神経細胞の未発達による麻痺なのか?」

「単に手足を動かす方法が分からないのか?」

どういった原因で麻痺が現れているのかは、最終的にお子さんが成長して見ないと結果が判らないのです。

 

 

お子さんの運命は本当にこれしかなかったのか?

お子さんの麻痺がどういった原因で起きているのかは、お子さんが成長して見ないと分かりません。

しかしお子さんが成長した結果が、本当にこれしかなかったのかといえば、私はそうではないと感じています。

何故ならば、「お子さんが本当にベストの条件で成長してこれたのか?」という問題が常に残ってしまうからです。

確かに完全にベストな成長のチャンスを与えることなど不可能でしょう。

子連れ狼の拝一刀も「親なればと力尽くすとも、親なればの全てを果たし得ず」と言っています。

でもその子の親としては、なるべく我が子にチャンスを与えてあげたいと考えるのが当然ですよね。

そこでお子さんの運動麻痺をできるだけ回復させて、より良い成長を促すために、親子のスキンシップの一環として簡単にできる方法があるのです。

それが『我が子の身体のキイボードを治す』ということなのです。

 

 

小児の麻痺をより効率的に回復させるには我が子のキイボードを治しましょう!

我が子のキイボードを治すって、子供の身体にキイボードなんて付いてないぞ。

それとも「やる気スイッチを押しましょう」なんてオチか?

なんて思っておられますよね。

確かにお子さんの身体にはキイボードは付いていません。

キイボードというのはあくまでも「たとえ話」です。

 

筋肉の線維内のセンサーがお子さんのキイボードです

ここでいうキイボードとは、お子さんの手足の筋肉の中にある感覚センサーのことです。

これはどう言うことかと言いますと、手足の麻痺を回復させるためには、脳の運動神経細胞に手足を動かす方法を教えてやらなければなりません。

つまりは脳神経細胞に身体を動かすための「運動プログラム」を入力して、手足を動かせる様にしなければなりません。

そのためにお子さんの手足を動かして感覚運動を統合させて運動機能をファシリテート(促通)するのです。

しかしここで大切なのは脳が手足を動かそうと手足の運動神経に運動指示を出した時に、その結果として筋肉がどう動いたかの「筋肉からの感覚情報」が脳に戻されなければ、脳の運動神経細胞が成長しないのです。

 

つまり以下の様な手順になります

⑴ セラピストがお子さんに働きかけて腕を動かす様に促しながらサポートして腕を動かします。

⑵ お子さんはセラピストと一緒に自分の腕を動かそうと努力します。

⑶ この時にお子さんの脳の運動野から腕の運動神経に「腕を動かす」指示が出されます。

⑷ お子さんの腕は「脳からの指示」に従って腕の筋肉を収縮させて腕を動かそうとします。

⑸ この時に腕の筋肉の線維内の感覚センサー(筋紡錘+ゴルジ腱器官)から、どのくらい筋肉が動いたかの情報が脳に戻されます。

⑹ 脳の運動野と感覚野ではこの「腕を動かす運動指示」と「腕が動いた結果の感覚情報」のすり合わせを行います。

⑺ この「運動指示」と「結果の感覚情報」のすり合わせが『感覚運動学習』になります。

 

お子さんの手足の筋肉が強張っていると運動学習が起きません!

この時にもしお子さんの手足の筋肉が硬く強張ってしまっていた場合はどうなるでしょう?

筋肉が硬く強張っている場合、ほとんどの場合には筋肉の線維内のセンサーは働かなくなってしまっています。

ですからお子さんの手足の筋肉が硬く強張っている状態で、いくら運動をしても、脳神経細胞に運動学習をさせるための『感覚運動学習』の効果は期待できないと言うことになります。

そればかりではありません。

脳の運動野が手足の筋肉を動かそうと「運動指示」を出したにも関わらず、筋肉からの「感覚情報」が戻ってこなかった場合には、脳神経の運動回路はパニックを起こしてしまいます。

その結果として、動かそうとした手足の筋肉がさらに緊張して強張るといった現象が起こるのです。

 

ここで少し話がそれますが、あなたのお子さんの手足の筋肉は柔らかいですか?

小児麻痺のお子さんのほとんどは、多かれ少なかれ手足の筋肉が強張っていますね。

でも実はこの筋肉の強張りはほとんどのケースでほぐすことが出来るのです。

 

 

効果的な親子のスキンシップマッサージ

 

あなたはお子さんが保育器から出てきたばかりの時に、お子さんを抱いて、手足が強張っているのを感じて「うちの子は麻痺があるから、こんなに手足が固いんだ」と妙に納得してしまっていませんか?

でも本当はね!

お子さんの手足の筋肉の緊張はもっとほぐれるのです。

かなり徹底的に重症な麻痺のお子さんであっても、キチンとマッサージを続けると、かなり筋肉の強張りを落とすことが出来るのです。

そうして筋肉の強張りが取れてくると、運動学習の効果が高まって、お子さんが自分で手足を動かし始めるのです。

これは本当に麻痺が重いお子さんのケースでも経験されていることです。

 

硬く強張った筋肉をほぐしてやると、筋肉の線維内の感覚センサーが正常に働き始めます。

その上で運動を行うと、感覚情報がキチンと脳の運動神経に届くので「感覚運動学習」の効果が高まるのです。

 

つまりは手足の筋肉が硬く強張ったまま運動の練習をすることは、一生懸命に壊れたキイボードを叩いてコンピューターにプログラムを書き込もうとする様なものです。

でも硬く強張った筋肉をほぐしてやることで、あなたのお子さんの運動プログラムを入力するためのキイボードがキチンと働き始めるのです。

 

親子のスキンシップマッサージ方法

 

では実際の筋肉の強張りをほぐすためのマッサージはどの様に行えばいいのでしょうか?

まずはお子さんの腕や足を触ってみてください。

それから優しく筋肉を揉みはじめましょう。

最初はあまり力を入れないで柔らかく揉んでいきます。

すると少しずつですが筋肉が柔らかくほぐれていきます。(ほぐれ方にはかなり個人差があります)

すると筋肉の中に骨かと思うくらいの固い強張りが触れる様になります。

これが「筋硬結」と呼ばれる筋繊維が強張って絡まり合ったものです。

これをゆっくりとほぐしていきます。

 

筋硬結が一度にほぐれなくても焦る必要はありません。

何回にも何日にも分けてゆっくりほぐしていきましょう。

こうして筋肉をほぐしておけば、訪問リハビリや通院のリハビリで専門家のセラピストにケアを受けた時に、お子さんの学習能力が格段に高まっているのです。

本当ですよ是非お試しください。

 

 

まとめ

小児リハビリの感覚運動学習の効果を高めるための親子のスキンシップマッサージについて解説しました。

最後に特に一般の方が気がつきにくいけれどマッサージをしておくと効果が高い筋肉の部位についてご紹介しておきます。

これらの筋肉をなるべく優先的にお願いいたします。

⑴ 肩甲挙筋

 

⑵ 腰腸肋筋

 

⑶ 中殿筋と梨状筋

 

⑷ 棘下筋・大円筋・小円筋

 

 

 

 

注意事項!

このサイトでご紹介している運動は、あなたのお子さんの身体状態を評価した上で処方されたものではありません。 主治医あるいはリハビリ担当者にご相談の上自己責任にて行ってくださるようお願い申し上げます。

 

 

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