誤嚥性肺炎の予防には飲み込みの練習だけでは不十分です!
はじめに
テレビのワイドショーニュースなどで、非常に高齢の有名人の方の訃報を耳にすることがあります。
彼らの死因の中でとても多いのが肺炎ですね!
そう肺炎!
高齢者の命を縮める恐ろしい病、それは「肺炎」
特に「誤嚥性肺炎」については、世間でも色々言われていて、皆さん「自分も注意しなくちゃなあ」なんて思われているのではないでしょうか?
でもですね、誤嚥性肺炎てどう予防すればいいんでしょう?
食べ物を飲み込むのに失敗して気管支に食べ物が詰まって肺炎になる!
ちょっと待ってください、それは「窒息」ですwww
それにですよ、私だってこれまで何度も食べ物を誤嚥してムセてしまい、苦しい思いをしたことがあります。
あなただってそうでしょう。
でも食べ物を誤嚥して、気管支に入っただけで肺炎になってしまうのなら、私もあなたも、もう何度も入院しているはずですよね。
年寄りは体力がないから?
確かに体力がないと肺炎には罹り易くなりますが、それを言うなら細菌感染に対する抵抗力ですよね。
実は誤嚥性肺炎の原因のほとんどは「食べ物の誤嚥」ではありません。
ではどういった原因で誤嚥性肺炎になるのでしょう?
そしてどうすればそれを予防できるのでしょう?
誤嚥性肺炎の予防方法は「よく噛んでゆっくり食べる?」
いやいやいや!
今回は少しこの誤嚥性肺炎のことを掘り下げてみたいと思います。
どうぞよろしくお願いいたします。
誤嚥性肺炎は唾液の誤嚥でも起こります!
実は誤嚥性肺炎は食べ物だけでなく、唾液の誤嚥でも起こります。
唾液というのは、あなたの口の中に常にあるあのツバですよ、わかってるでしょう!
つまり誤嚥性肺炎は、あなたの身体が誤嚥性肺炎になり易い状態になってしまえば、別に食べ方を注意していても、勝手に起きてしまうのです。
ではその原因とはなんなのでしょうか?
あなたの身体がどんな状態になると誤嚥性肺炎になり易くなってしまうのでしょうか?
誤嚥性肺炎になり易い身体状態とは!
確かに若くて体力のある方は誤嚥性肺炎にはなりません。
実は誤嚥性肺炎になり易い身体状態には次の2点が挙げられます。
誤嚥性肺炎になり易い身体状態
⑴ 咳嗽能力の低下した状態
⑵ 呼吸予備力の低下した状態
なんか咳嗽能力とか呼吸予備力とかの専門用語を言われてもよく分かりませんよね。
申し訳ありません。
もう少しわかり易くご説明しますね。
咳嗽能力の低下とは効果的な咳ができない状態です!
ここでいう咳嗽能力の低下した状態とは、効果的な咳ができない状態を言います。
もう少し簡単に言えば「強くゴホンと咳をして痰を切れるかどうか」が重要になります。
例えば私たちの気管支の中では、気管支内に入ってきたゴミや細菌を捕まえて外に追い出すために、気管支には粘膜があり、常に粘液を分泌しています。
そして気管支の奥から少しずつ粘液を口元の方に向かって押し出してきているのです。
ですから私たちはある一定の期間ごとに「ゴホン」と咳をして、痰を切ってやらなければなりません。
そうしないと気管支が詰まって肺炎になってしまうからです。
ですから別にわざわざ誤嚥して食べ物を気管支に入れなくても、ゴホンと咳ができないだけで、気管支に痰が詰まってそこから肺炎になることが可能です。
これが最も多い誤嚥性肺炎のパターンだと思われます。
ではこのキチンと咳が出来なくなるのはどうしてなのでしょう?
咳がしっかり出来ないのは腹筋・背筋の筋力低下が原因です!
ゴホンとしっかりした咳をするためには、しっかり息を吸い込んでから、お腹に力を入れて肺に圧力をかけてやります。
それから一気にゴホンと咳をして痰を切るのですが、腹筋が弱っていると、十分にお腹に力を入れられなくて、腹圧がかかりません。
するとケホって感じの弱い咳しか出来なくなってしまいますね。
ですから腹筋をしっかり鍛えておかないと、ゴホンと効果的な咳が出来なくなって誤嚥性肺炎になってしまうのです。
ではなぜ腹筋が弱ってしまうのかって?
そんなのゴロゴロ寝てばかりいて、しっかり運動してないからじゃ( *`ω´)
冬の間寒いからとコタツでゴロゴロしていたあなた。
これから暖かくなったらシッカリ運動して腹筋を鍛えておいてくださいね。
今年の夏は例年より暑いそうですが、夏場にアイスを食べながらゴロゴロしていてはいけませんよ。
私の経験上、冬が寒くて夏が暑かった年の冬には、肺炎で入院する方が確実に増えています。
呼吸予備力の低下とは?
次に呼吸予備力の話をしたいと思います。
呼吸には「安静呼吸」と「努力性呼吸」があります。
「安静呼吸」とはそのものズバリで、普通に安静にしていて楽に呼吸している時の状態です。
この「安静呼吸」の時の一回の換気量(息を吸って吐いてした時の量)は約500mlになります。
およそビールのロング缶一本分です。
次に「努力性呼吸」ですが、これも文字通り、頑張って呼吸した時の状態です。
当然のことに努力性呼吸の方が安静呼吸よりも沢山吸って吐いてすることが出来ます。
そしてこの努力性呼吸の一番換気量が大きいやつが「肺活量」になります。
呼吸予備力とはぶっちゃけ安静時の一回換気量と肺活量の差です!
そしてこの安静呼吸時の一回換気量(約500ml)と肺活量の差が呼吸予備力になります。
ここで「肺活量」に注目してみましょう
この「肺活量」はとても個人差が大きいですよね。
男性と女性でも大きく違いますし、若者とお年寄りでもかなり違います。
例えば若くてスポーツマンの男性なんかでは、肺活量が5000mlを超える場合もあります。
この時の呼吸予備力は一回換気量500mlに対して肺活量5000mlでおよそ10倍になります。
しかし若い頃に肺結核にかかったおばあさんなんかでは肺活量が1500mlなんて方もおられます。
この時の呼吸予備力は一回換気量500mlに対して肺活量1500mlでおよそ3倍になります。
(一回換気量は生きるために必要な最低限の呼吸量ですからそんなに変わりません)
どうですか?
呼吸予備力は人によってずいぶん違うでしょ!
なぜ呼吸予備力が大切なのか!
そしてこの呼吸予備力が少ないと肺炎になった時に、すごく大事になります。
つまりは肺炎になってハアハアし始めるとすぐに呼吸するための横隔膜などの筋肉が疲労してしまい、人工呼吸器をつけなければならなくなるのです。
肺炎になった場合、抗生剤を投与されますが、この薬が効いてくるまでは、自力で呼吸を頑張らなければなりません。
ですから若くて肺活量の大きい方は、薬が効くまで自力で呼吸ができますから、点滴して寝ているだけで治ります。
それであれば検温に来た看護師さんのお尻を触るぐらいのことは余裕でできますねwww(絶対にするなよ( *`ω´))
でも肺活量の少ない(呼吸予備力の少ない)方は大変です。
すぐに呼吸筋が根をあげてしまい、人工呼吸器を着けられてしまいます。
こうなるともう大変ですね。
生きるか死ぬかの瀬戸際です!
ではそうならないためにはどうしたら良いのでしょうか?
そうですね普段からキチンと運動して横隔膜や呼吸補助筋をシッカリ鍛えておいてください。
それしか方法はありません!
そこのあなた、夏が暑くて食欲がないからといって、冷麦食べながらため息なんか付いている場合ではありませんよ( *`ω´)
(続・アリとキリギリスのリハビリ物語www)
最後までお読みいただきありがとうございます。
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