脳卒中リハビリ

脳卒中 手指領域における情報処理の仕組みとリハビリテーション

 

はじめに

運動制御の基本は、大脳皮質の1次運動野と1次体性感覚野での、運動指令と感覚フィードバックの照合によって行われています。

その運動制御の中でも、指先の運動制御は、非常に細かく複雑な制御になっています。

今回は、大脳皮質の運動野における、手指の運動制御の仕組みについて解説しながら、脳卒中の手指の麻痺を治すためのリハビリテーション方法について考えてみたいと思います。

どうぞよろしくお願いします。

 

大脳皮質の1次運動野での手指の運動制御

手足の意識的な運動の制御は「1次運動野」で行われています。

大脳皮質の1次運動野と1次体性感覚野

 

そして大脳皮質の1次運動野には、それぞれの顔や手足の運動を制御するための、専用の部位が存在することが分かっています。

かつてはそれぞれの顔や手足を動かすための、大脳皮質の部位を示した図として、ペンフィールドが描いた「ホムンクルス」の図が有名です。

大脳皮質上に、顔や手足が描かれていますが、それがそれぞれ手足を制御している、大脳皮質であるというわけです。

特に「顔」と「手」が大きく描かれていますが、これは顔の表情や、手の細かい動きを制御するためには、それだけ大きな領域が必要になるということです。

ペンフィールドの「ホムンクルス」

 

しかし現在では、この図に描かれた通りには、大脳皮質の運動野の、顔や手足それぞれの運動制御の分布は行われていないことが分かっています。

では実際には、どのような運動制御の分布・仕組みになっているのでしょうか?

 

手指領域の運動制御と情報処理

 

手の領域の顔の領域の重なり

まず一つ目の1次運動野の手指の運動制御の特徴としては、「手指の運動制御をする領域」と「顔の運動制御をする領域」が重なっているということです。

1次運動野にある、ある一つの運動ニューロンは、一つでなく複数の筋肉の運動に関与しています。

そしてある筋肉には、1次運動野の広い範囲にある、多数の運動ニューロンからの制御を受けています。

それだけ手足の運動制御は複雑になっており、また顔の表情や言語機能と、手の運動は密接な関係にあります。

これはおそらくは、我々人類が、まだ十分な言語を持たない類人猿だった頃には、言葉ではなく、身振り手振りのジェスチャーと表情でコミュニケーションをとっており。

それから少しずつ言語機能を発達させてきたことと、関係があるのかもしれません。

 

手指の運動制御の機能区分

また1次運動野には、手指の運動を制御する上での、機能区分が明確に存在しています。

これは手指の運動を制御している、大脳皮質1次運動野の中でも、3b野と 1,2 野に、その特徴が認められています。

 

3b野での制御

まずは 3b野ですが、「指先を制御する領域」「指腹を制御する領域」「指背を制御する領域」が、それぞれ別れて存在しています。

そしてそれぞれの領域で、人差し指から小指までの4本の指が、横方向に配列されています。

これは1次運動野では、指先と指腹と指背は、それぞれ機能的に異なる体の部位として、制御されているということです。

そしてこれらの人差し指~小指の4本の指に対して、親指は独立して制御されています。

 

1,2 野での制御

1,2 野での手指の運動制御は、手指で物体をつかみ、持ち、操作する時の、手指の運動のイメージが表現されています。

例えば 1,2 野には、「親指と人差し指の2本指で物をつまむ動作」「親指を除く人差し指~小指の4本の指で物をつかむ動作」「5本の指全体で物をつかむ動作」などの領域が存在しています。

つまりこの 1,2 野 では、具体的な物体を持って、操作する運動制御のための領域が存在していることになります。

そしてこれらの運動制御を正確に行うためには、指の皮膚感覚だけでなく、指のそれぞれの関節の運動感覚(体性感覚)との統合された感覚情報との照合が必要になります。

 

このように、ヒトの手指の運動制御には、単に1本1本の指を動かすのではなく、効率的に物体を持ち、操作するための仕組みが作られています。

 

脳卒中の手指のリハビリテーション

このように大脳皮質の1次運動野には、以下のような手指の運動制御の仕組みが存在します。

  1. 手指を「指先」「指腹」「指背」の機能に区別して、それぞれについて制御する仕組み

  2. 「親指」を他の4本の指をは独立して制御する仕組み

  3. 手の動作を「親指と人差し指で物をつまむ動作」「人差し指~小指の4本で物をつかむ動作」「5本の指全体で物を包むようにつかむ動作」などの操作表現ごとに制御する仕組み

 

そして手指のリハビリテーションを行う場合には、これらの仕組みごとに対応するリハビリテーションメニューを行うことが、合理的であると考えられます。

つまりは、単に1本1本の指を個別に動かす練習ではなく、上記のシチュエーションに沿った、リハビリテーションメニューを組むことで、大脳皮質1次運動野の運動制御機能に適したアプローチが可能になるのです。

 

まとめ

大脳皮質の1次運動野における、手指の運動制御の基本的な仕組みについて解説を行いながら、脳卒中の手のリハビリテーションメニューのあり方についての提案をさせていただきました。

日々のリハビリテーションに参考にしていただければ幸いです。

 

 

最後までお読みいただきありがとうございます。

 

 

注意事項!

このサイトでご紹介している運動は、あなたの身体状態を評価した上で処方されたものではありません。 ご自身の主治医あるいはリハビリ担当者にご相談の上自己責任にて行ってくださるようお願い申し上げます。

 

 

 

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