リハビリ裏話

腸内フローラと肥満の関係について!

 

はじめに

肥満は現代社会の大きな問題です。

肥満は、メタボリックシンドロームの原因であり、糖尿病や高脂血症、高血圧などの健康リスクを高める、主な要因となっています。

そして近年の研究で、腸内細菌の集団細菌叢である「腸内フローラ」が、肥満やそれに伴う糖尿病などの代謝性疾患の予防に大きく関わっていることが分かってきています。

また私たちの健康を促進するため、腸内フローラを調節するためのプレバイオティクスやプロバイオティクスなどの機能性食品の開発も期待されています。

今回は「腸内フローラ」と肥満、そしてそれに伴う糖尿病などの関係について解説したいと思います。

どうぞよろしくお願いします。

 

腸内フローラとは?

ヒトの消化管には菌数にして数百兆個にものぼる腸内細菌の集団が生息しています。

それらの腸内細菌の集団を「腸内フローラ」と呼びます。

 

腸内フローラの細菌の種類

ヒトの腸内フローラに含まれる細菌は、ほとんどが以下の4種類の門に属しています。

⑴ Firmicutes門

⑵ Batchroidetes門

⑶ Actinobacteria門

⑷ Proteobacteria門

 

腸内細菌の働き

腸内細菌には以下のような働きがあります。

⑴ 難消化性多糖の分解

⑵ 生体内・生体外成分の代謝

⑶ ビタミンなどの必須栄養素の産生

⑷ 免疫系への刺激

 

つまり腸内フローラは、健康維持に必須ではあるが、自分では消化することが難しい食品の消化吸収を助け、さまざまな貴重な栄養素やビタミンを作り出し、免疫機能を高めてくれるのです。

これは是非とも腸内環境を整えなければなりませんね。

しかし腸内フローラは、腸内環境を整えるだけでなく、さまざまな体の中のネットワークに働きかけて、私たちの身体のエネルギー代謝を調整して糖尿病や肥満を予防したり、身体の機能を適切に保つ「恒常性維持」に、とても大切な役割を果たしているのです。

 

腸内フローラの変化と肥満・糖尿病の関係とは!

腸内フローラの変化が、私たちの身体の代謝機能に影響して、肥満や糖尿病などの「エネルギー代謝疾患」の原因となることが分かってきています。

 

マウスによる腸内フローラ変化の実験

正常マウスと肥満マウスの腸内フローラを比べてみると、肥満マウスの腸内フローラで、Batchroidetes門の割合が低く、Firmicutes門の割合が高くなっています。

そして無菌状態のマウスに、肥満マウスの腸内フローラを移植すると、移植されたマウスは肥満することが分かっています。

またBatchroidetes門の割合が増え、Firmicutes門の割合を減らした腸内フローラを、無菌マウスに移植した場合、体重減少と脂肪量の減少が確認されています。

またヒトでの実験では、2型糖尿病患者さんの腸内フローラでは、短鎖脂肪酸の一種である「酪酸」を作り出す腸内細菌種が減っていることが分かっています。

このように腸内フローラの変化が、肥満や糖尿病に影響を与えていることが分かってきたのです。

 

抗生物質と肥満の関係

抗生物質は、病気の原因となる細菌を殺して、病気を治すための大切な薬です。

しかし抗生物質は病原菌を殺すと同時に、腸内フローラを大きく変化させてしまいます。

たとえば抗生物質のバンコマイシン(グリコペプチド系抗生物質)を投与すると、腸内フローラのFirmicutes門が減少して、体内のインスリン感受性が低下します。

しかし抗生物質のアモキシリン(βラクタム系抗生物質)では、Firmicutes門の減少はなく、インスリン感受性にも変化はありません。

どうもヒトの肥満時のインスリンの効き具合には、腸内フローラのFirmicutes門が関係しているらしいのです。

また乳幼児期の抗生物質の投与では、生後6ヶ月未満で抗生物質を投与された乳幼児が、生後38ヶ月で肥満になる可能性が高いことが分かっています。

腸内フローラは、哺乳期から離乳期で大きく変化しますので、哺乳期の腸内細菌が、その赤ちゃんの将来のエネルギー代謝になんらかの影響を与えているらしいのです。

このように抗生物質によって、腸内フローラが変化して、その後の肥満や糖尿病の原因となる可能性があることが分かってきています。

 

短鎖脂肪酸とエネルギー代謝

短鎖脂肪酸とは、腸内フローラが難消化性多糖を発酵して作り出す代謝産物です。

短鎖脂肪酸には、主に「酢酸」「プロピオン酸」「酪酸」があります。

そしてこの短鎖脂肪酸が、シグナルとなって私たちの身体のエネルギー代謝を変化させ、以下のような効果を発揮します。

⑴ 体重増加抑制

⑵ 摂食調整(食べ過ぎの抑制)

⑶ 糖代謝改善

⑷ インスリン感受性亢進

短鎖脂肪酸は、腸の中の神経レセプターを刺激して、食欲抑制ホルモンである「ペプチドYY」を分泌させたり、膵臓の神経レセプターを刺激して、インスリンを分泌させたりする働きがあるのです。

また短鎖脂肪酸が、交感神経系の働きを強くして、エネルギー消費を促進したり、腸脳相関による中枢神経系を介した腸管糖代謝制御による代謝改善効果を促進したりしています。

さらに短鎖脂肪酸は、脂肪細胞に対して、脂肪細胞が糖や脂肪酸の取り込むことを抑制して、脂肪細胞の肥大化を防ぐことが分かっています。

脂肪細胞が肥大化しない = 肥満しない ですね!

短鎖脂肪酸を作り出す腸内フローラおそるべしです!

 

まとめ

腸内フローラによって作り出される短鎖脂肪酸が、肥満や糖尿病のコントロールに深く関わっています。

つまり腸内フローラによって、腸内環境が整えられるだけでなく、肥満や糖尿病に関わるエネルギー代謝機能が制御されているのです。

今後は、さらなる腸内細菌の研究が進んで、効率的な短鎖脂肪酸産生を可能にするような多機能多糖のプロバイオティクス食品や、短鎖脂肪酸産生菌を直接摂取するプレバイオティクス食品などの、機能性食品の開発が期待されます。

また短鎖脂肪酸以外の、腸内フローラによる代謝産物が、私たちの身体にどんな影響を与えているのか、さらなる発見に期待したいですね。

 

 

最後までお読みいただきありがとうございます。

 

 

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