筋萎縮性側索硬化症

腸内フローラと筋萎縮性側索硬化症(ALS)の関係について!

 

はじめに

近年、腸内フローラが私たちの健康に与える影響について、さかんに研究されるようになりました。

また以前からニューロリハビリテーションの世界でも、「腸脳相関」について研究されていました。

しかし最近では、腸内フローラが腸内環境を整えて、それが脳に良い影響を与えるだけでなく、腸内フローラの代謝によって生み出される、さまざまな成分が、神経経路やホルモンなどの経路を通じて、直接的かつ間接的に脳に影響を与えることが分かってきました。

その結果、腸内フローラの変化が、パーキンソン病などの神経変性疾患や、うつ病や自閉症などの精神疾患に影響を与えていることが分かってきたのです。

今回は、腸内フローラと「筋萎縮性側索硬化症(ALS)」の関係について、解説したいと思います。

どうぞよろしくお願いします。

 

筋萎縮性側索硬化症(ALS)とは!

筋萎縮性側索硬化症(ALS)とは、脊髄の前角細胞を中心に、進行性の上位および下位の運動ニューロンの変性・脱落による全身の進行性筋力低下と筋萎縮を引き起こす神経変性疾患です。

筋萎縮性側索硬化症(ALS)は、最後には全身の筋肉が動かせなくなって寝たきりになり、呼吸筋の麻痺による呼吸不全で死亡します。

筋萎縮性側索硬化症(ALS)の発症には、酸化ストレス、ミトコンドリア機能異常、RNA編集機能異常などが関連していると考えられています。

日本国内の筋萎縮性側索硬化症(ALS)患者数は、約1万人で、そのうちの5~20%が家族性で、それ以外のほとんどのALSが孤発性です。

しかし家族性のALSと孤発性のALSでは、その病態は一緒です。

なのでALSになる原因としては、遺伝的な原因と、環境による原因の両方が関わっていると考えられています。

 

つまり遺伝的にALSになりやすい人が、ある特定の環境に置かれた時に、ALSになるという考え方です。

 

ALSになる環境の因子としては、農薬、鉛、重金属、BMAA、喫煙、電磁波などが考えられてきました。

その環境要因の中で、最近では腸内フローラとの関係が注目されています。

 

ALSになりやすい食習慣・なりにくい食習慣とは?

ALSを発症する原因として「酸化ストレス」が挙げられます。

そこで抗酸化作用のある食品の中で、ALSの進行を抑制する作用がある食品が見つかっています。

それは以下のような食品です。

 

ALSの進行を抑える食品

⑴ 果物

⑵ 野菜

⑶ オメガ脂肪酸(アラキドン酸、ドコサヘキサエン酸、エイコサペンタエン酸)

⑷ ビタミンE

⑸ カロテン

 

ALSを悪化させる食品

そしてALSを悪化させる食品として以下があげられています。

⑴ 脂質

⑵ グルタミン酸

 

食生活が変わると腸内フローラも変化します

果物や野菜などの繊維質を多く含む食事を摂っている場合と、脂質を多く含む食事を摂っている場合では、腸内フローラの菌の種類などが変わってしまいます。

ですから食事の変化による、腸内フローラの変化が、ALSに影響を与えている可能性があります。

ALS患者さんは、エネルギー代謝異常があることが分かっており、それに伴い体重減少や皮下脂肪の減少が起こると考えられています。

そこでALS患者さんに、高炭水化物・高カロリーの栄養を行うことで、呼吸不全の進行を遅らせることができると言われています。

さらに腸内フローラによって作り出される、短鎖脂肪酸の一種である「酪酸」は、エネルギー代謝を改善する働きがあるため、ALSに効果があると考えられます。

人為的にALSにされたモデルマウス(実験用マウス)に対して、飲み水に酪酸を混ぜて与えると、生存期間の延長を認めています。

 

腸内フローラとミクログリアの関係がALSに与える影響について!

ALSでの運動ニューロンの特異的な細胞死には、炎症性ミクログリアが関与していると考えらえています。

ALSにおいて、炎症性ミクログリアが、さまざまな神経傷害因子を放出することが知られていて、この炎症性ミクログリアの活動を抑えることで、ALSの生存期間が長くなると言われています。

そして腸内フローラの働きが、炎症性ミクログリアが成熟し安定したミクログリアへ変化するのを助ける働きがあることが分かってきています。

またALSの病態に影響を与えると考えられている、免疫細胞であるT細胞やB細胞などを増やす仕組みにも、腸内フローラが関わっています。

腸内フローラの変化が、腸内での短鎖脂肪酸の量などの変化を引き起こし、エネルギー代謝や腸管の機能や免疫に影響し、それがさまざまな有害物質の体内への侵入を許すことで、神経障害を引き起こす可能性があります。

つまり腸内フローラの変化により、免疫細胞を介して神経炎症が引き起こされ、間接的に運動ニューロンに傷害を与えている可能性があるのです。

 

まとめ

腸内フローラを健康に保つことが、単に腸内環境を整えて、栄養状態を改善するだけでなく、私たちの脳の神経機能にまで、大きな影響を与える可能性が出てきています。

今後のニューロリハビリの課題として、食事・栄養と腸内フローラの関係が、神経難病のリハビリテーションの成否に大きく影響を及ぼす可能性が出てきています。

 

最後までお読みいただきありがとうございます。

 

 

注意事項!

このサイトでご紹介している運動は、あなたの身体状態を評価した上で処方されたものではありません。 ご自身の主治医あるいはリハビリ担当者にご相談の上自己責任にて行ってくださるようお願い申し上げます。

 

 

 

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