家族が脳卒中で倒れたら

長く寝たきりでいると急に手足の関節が痛み出して動かなくなる現象について!

 

はじめに

脳卒中などを含め、運動麻痺によって長い期間、寝たきり状態が続いていると、ある日を境に、急に膝や肩の関節が痛くなり、人に動かされても、自分で動かしても激しい痛みを感じるようになります。

そして手足の関節を動かされることを、極端に嫌うようになります。

その結果、手足の関節の拘縮が、急激に進むことになります。

どうしてある時を境に、急激に関節の運動痛と、関節拘縮が進行するようになるのでしょう?

それには、単に関節を動かさないことによる、関節のこわばりだけでなく、運動神経系による運動制御の混乱による関与が考えられるのです。

今回は、この長期臥床によって、ある日を境に急激に関節の運動痛と、関節拘縮が進行するケースについて解説していきます。

どうぞよろしくお願いします。

 

長いこと寝たままで動かないでいると急激に関節が痛み出す事があります!

「寝るより楽はなかりけり」と昔から良く申します。

確かに私たちが家のソファでゴロゴロ寝ているときが、一番安らぐ瞬間ですよね。

しかしこれは、あくまでも普段忙しく働いていて、たまにゆっくりくつろぐから良いのであって、ずっと寝たままでいるのは、またいろいろと問題が起こります。

寝たままでいると、いろいろと起きる問題のひとつに、膝や肩の関節がこわばって動かなくなる現象があります。

ある程度の長期間寝たままで生活していると、ある時を境に、急に手足の関節を動かすときに、強い痛みが出てくることがあります。

そしてその痛みは、自分で動かしても、ヒトに動かされても、とても強く激しい痛みを感じます。

ですから本人は、痛くなった手足を動かすことを、極端に嫌うようになります。

そして極端に手足を動かすことを避けるようになった結果、さらに手足の関節が動かせなくなり、関節拘縮と呼ばれる、関節がカチカチに固まった状態になってしまいます。

こうなるとちょっとやそっとでは、この関節を再び動かせるようにすることはできません。

ある意味では、この手足の関節がカチカチに固まった寝たきり状態というのは、寝たきりの上がり状態と言えるかもしれません。

でもこんな風にはなりたくないですよね。

一体どうしてこんな事になってしまうのでしょう?

 

急激な関節の痛みとこわばりは運動制御の混乱によります

一般的には、私達の身体の関節は、動かさないでじっとしていると、固まって動かなくなると言われています。

しかしだからと言って、それまでは普通に動かせていたものが、急に痛みが出始めるのは、ただ動かしていいなかったために、関節が固まったというには、固まり方が急すぎです。

実はこの関節を動かした時の痛みが、急に強くなる現象には、脳の運動神経と感覚神経のネットワークが関与しているのです。

 

運動制御システムの働き

私達の手足を動かすためには、脳の運動神経が指令を出して、手足の筋肉を動かしています。

しかし手足を上手に動かすためには、ただ運動神経が指令を出すだけでは、上手くいきません。

キチンと運動制御を行うためには、運動神経が指令を出して、その結果として手足がどう動いたかを確認して、その運動制御が正しかったのかを判定しなければなりません。

そのためには実際の手足の運動がどうであったかの情報が必要になります。

その情報を「感覚フィードバック」と呼びます。

ようするに手足の筋肉の中にある、感覚センサーから、どのくらい手足が動いたかの、感覚情報が脳に戻されるのを「感覚フィードバック」と言います。

ですから私達の脳では、運動神経からの指令に対して、実際の手足がどう動いたかの感覚フィードバックが行われます。

そして「運動指令」と「感覚フィードバック」を照合することで、動作の正確性を高め、実行された動作の確認をしています。

この「運動指令」と「感覚フィードバック」の照合によって、動作を上手に制御するのを『最適化フィードバック制御』と言います。

 

『最適化フィードバック制御』の混乱

しかし長いこと寝ていると、手足を動かす機会が減っていきます。

そうすると、手足の筋肉の中の感覚センサーも、あまり使われないため、精度が落ちてしまいます。

特に筋肉を動かさないでいると、筋肉の中の血液の流れが滞り、浮腫が起きたりすることも、感覚センサーがうまく働かない原因になります。

筋肉の中の感覚センサーが上手く働かなくなると、運動指令に対する感覚フィードバックが起こらなくなりますので、運動司令と感覚情報の照合もできなくなってしまいます。

そうなると運動神経から、手足の筋肉に対して、運動指令を出しても、実際にどんな風に動いたかの返事がないため、脳が混乱してしまいます。

そうして混乱した脳は、手足の筋肉を極端にこわばらせたり、痛みがあるように感じたりする、幻覚を感じるようになります。

そうなることである日を境に、急に手足の関節がこわばって、ものすごく痛みを感じるようになるのです。

 

急な関節のこわばりと痛みの出現を予防する!

この長いこと寝ていることで、ある日を境に急に手足の関節がこわばって、激しい痛みが出るのを、どうやったら予防することが出来るのでしょう?

まあ簡単に言えば、毎日キチンと手足を運動すればすむ話なのですが。

でもあなたは、もともとベッドの上でグダグダ寝ていた方ですから、基本的にはナマケモノと考えて差し支えないと存じます。

ですから予防方法も、出来るだけ簡単で、手軽な方法が良いですよね。

そこで以下のような予防方法などはいかがでしょうか?

 

⑴ 両足の指先をくっつけた状態で、交互につま先をすり合わせる運動

ベッドに仰向けに寝ていて、左右のつま先を交差させるようにして、それをお互いにすり合わせるように動かします。

この時にベッドの背もたれを、少し起こしておいて、左右の足先をすり合わせる運動を、自分の目でも確認します。

こうすることで、左右の足の運動を、それぞれ反対側の足で確認すると同時に、自分の目でも見て、視覚によっても確認することで、感覚フィードバックを強化してやります。

 

この運動を毎日数分間行うことで、脳による足の運動制御システムを安定化させてやります。

 

⑵ 指先を反対の自分の手でゆっくりと動かします

自分の手で反対側の指先をはさむように掴みます。 そしてその指先をゆっくりと曲げ伸ばししていきます。

この時に曲げ伸ばしされている指も、少しだけ自分で動かすようにして、その指の動きを、しっかり自分の目で見て確認するようにします。

 

この運動を左右それぞれの指に対して、毎日数分間行います。

 

これらのアプローチによって、自分の手足を動かしている感覚を、目や反対側の手足で確認することで、感覚フィードバックを増やして、脳の運動指令と感覚情報の照合をキチンと行えるようにしていきます。

これを毎日行っていくことで、脳の運動制御システムの混乱を予防して、関節のこわばりと痛みの出現を予防します。

 

まとめ

長いこと寝ていて、急に手足の関節がこわばってしまい、それを動かすことで激しい痛みが出るようになる場合があります。

これは筋肉の中の感覚センサーが、上手く働かなくなることで、脳の運動制御の仕組みが混乱し、筋肉をこわばらせたり、痛みを感じさせたりします。

予防方法としては、左右の手足をうまく連携させて、目で確認する視覚情報なども加え、運動制御の時の感覚フィードバックを高めることで、運動制御の混乱を予防していきます。

 

 

最後までお読みいただきありがとうございます。

 

注意事項!

このサイトでご紹介している運動は、あなたの身体状態を評価した上で処方されたものではありません。 ご自身の主治医あるいはリハビリ担当者にご相談の上、自己責任にて行ってくださるようお願い申し上げます。

 

 

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