家族が脳卒中で倒れたら

介護家族の再生こそが在宅介護の成功の秘訣です

 

最愛の人を失ってもあなたは自力で立ち上がれますか?

脳卒中や神経難病などになると、手足に麻痺などの障害が出て、これまでの生活が難しくなります。

そうすると、これまでは普通に出来ていたことが出来なくなります。

また脳卒中や神経難病になると、運動神経系とは別の神経も障害されますから、性格が大きく変わってしまったりします。

物の考え方も、これまでとは全く違う価値観を持つ場合もありますし、言っていることが理屈に合わなくなる場合もあります。

本人は一生懸命に主張していますが、聞いている家族には、とても納得できない内容だったりする場合もあります。

また体が麻痺することで、これまでとは容姿も違ってきますね。

がっしりと体格が良かったものが、ヒョロヒョロにやせてしまう場合もあります。

つまり何が言いたいのかというと、脳卒中や神経難病になると、その衝撃が大きすぎるために、そのヒトは病気の前と後では、まるで別人のようになってしまうと言うことです。

それは脳卒中や神経難病になると、病前にお付き合いのあった友人は、そのほとんどが付き合いがなくなり、病後に知り合った友人との関係を新たに作る人が、とても多いことでも分かります。

生物学的には同一人物でも、哲学的には(良くわからないけど)別人であるかも知れないのです。

ですから以前の友人とは、あまりソリが合わなくなって、別れてしまったりします。

友人であれば、それは付き合わなければいいだけの話ですが、家族である場合はそうは行きませんね。

 

空気のような存在がどれほどかけがえが無かったかを知る

家族というものは、良く空気のような存在だと言う方がおられます。

確かに普段なにげなく生活している時には、その家族の存在感を、あまり強く感じることはありませんね。

でも一旦家族が脳卒中などになって、体や心に障害を持ってしまうと、それまでの健康であった頃の相手の存在が、どれだけ自分の生活に影響を与えていたのかを強く感じてしまいます。

相手が自分や他の家族に対してしてくれていたことや、毎日の会話の中で、どれほどの支えになていたのかが、改めて気付かされる場合があります。

そして、それは自分が思っているよりも、ずっと大きな欠落になる場合があるのです。

それはまさに物心両面で、最愛の家族を失ったに等しい衝撃になります。

 

愛する人を失ってなお立ち上がる強さが必要なのです

大切な家族の方が元気であった時、その相手が毎日果たしていた家族の役割が、大きな病気をすることで、果たせなくなります。

またあなたが落ち込んでいたり、疲れていたりする時に、なにげなくかけてくれた言葉を、もう言ってもらえなくなる場合があります。

病気によって考え方や性格が変わってしまうと、あなたが嬉しいと感じたり、面白いと感じたりしたことを相手に話しても、前と同じように反応してくれないかも知れません。

それは介護者であるあなたが想像しているよりも、ずっと寂しさを感じさせるものになるでしょう。

「なんで私がこんな目に遭わなければいけないのか」と言う感情は、障害を受けた患者さん本人だけでなく、それを支えている家族の方も自然ともつ感情なのです。

でも病気によって障害を持った家族に対して、介護者である自分が、そんな感情を持つことはいけない事だと考えて、介護者はその感情を押し殺してしまいがちです。

かわいそうな家族に対して、その障害を不満に感じることは、苦しんでいる家族に対して悪いことだと感じてしまうのです。

あるいは「私があれほど注意したのにお酒ばかり呑むから」と、違うタイプの怒りの感情を持っているかも知れません。

ですが、どちらにせよ患者さんの障害が完全には治らないのと同じように、人生で失われたものも完全には元どおりになりません。

ここで必要なのは、過去にこだわって立ち止まってしまわずに、いまある場所から、新たな家族を作り直すと言うチャレンジだと思います。

いまある手持ちのカードを使って、いかに自分たちが幸せに暮らすか、あるいは納得できる道を探すかが大切なのです。

 

在宅介護は患者さん本人だけでなく介護者の再生の物語でもあるのです

リハビリテーションというものは、病気の後遺障害によって失われた人生を取り戻す作業です。

それを「全人的復活」なんて言って見たりします。

教科書的なリハビリテーションでは、障害を受けた患者さんの「全人的復活」を、医療関係者や行政サービスの担当者や家族が協力して支える感じになっています。

でもね本当に必要なのは、患者さんを支える家族の「全人的復活」なのです。

その患者さんが健康であった時の生活を失ってしまった、患者さんを支える家族の『復活』なくして、在宅介護は成り立ちません。

家族の方が脳卒中などの大病をして、障害を持つと、そうのことばかりに気を取られてしまい。

家族みんなが、それに振り回されてしまいがちです。

でも第一に考えなければならないのは、まずは残された家族の自立と生活の安定です。

それなくして、在宅介護は成功しません。

良く「自分が幸せでないと相手も幸せにできない」とか「自分を愛せない人が人を愛せる訳がない」なんて言いますよね。

同じように、自分が『復活』できていないのに、家族の『復活』を支えられる訳がないのです。

在宅介護の成功は、まずは家族の生活を『復活』させるところから始まります。

 

 

最後までお読みいただきありがとうございます。

 

 

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