脳卒中リハビリ

麻痺側の手首の運動機能を高めるリハビリ

麻痺側上肢の手首の運動機能を高めるリハビリ

 

はじめに

今回は麻痺側上肢の運動機能を高めるために行う、麻痺側の手関節にかかわる筋肉のコンディショニングとストレッチを中心に手関節の運動機能改善についてご説明いたします。

手関節というのは医学的な専門用語で、手首のことを指します。

脳卒中片麻痺においては、多くの場合手首の関節は屈曲拘縮といって、手首を内側に捻った状態で固まりやすい傾向があります。

このとき指も一緒に握るように固まってしまうことが多いのですが、これは手首や指を伸ばす筋肉よりも、曲げる筋肉の方が強い筋肉であることが、その原因です。

ですが実際には手首を曲げる筋肉も、手首を伸ばす筋肉も同様に強張ってしまっています。

ですからなるべく手首を動かしやすくするためには、手首を伸ばす筋肉も、曲げる筋肉も同様にマッサージとストレッチを行う必要があります。

手首を動かすための筋肉は前腕部についています、つまり手首と肘の間の腕の膨らんだ部分に、主に手首と指を動かすための筋肉がついています。 まずはこの筋肉を十分にマッサージしてから、ストレッチを行います。

手首を曲げる筋群

手根屈筋群 L001

上の図の赤色で示した筋肉が、手首を曲げる筋群です。
赤色: 橈側手根屈筋、長尺側手根屈筋、短尺側手根屈筋

 

手首を伸ばす筋群

手根伸筋群 L001

上の図の赤色で示されている筋肉が、手首を伸ばす筋群です。
赤色: 尺側手根伸筋、長橈側手根伸筋、短橈側手根伸筋

 

 

手首を動かす筋肉に対するコンディショニング!

 

① 手首を動かす筋肉に対するマッサージ

⑴ テーブルに向かって椅子に座ります。 体の正面のテーブル上に薄めのクッションかタオルを畳んだものを置きます。

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⑵ 麻痺側の手のひらを、なるべく下に向けるようにして、麻痺側の腕をテーブルのタオルの上に載せます。

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⑶ 小型のマッサージ用バイブレーターを使用して、前腕の外側の筋肉をマッサージします。 バイブレーターを当てる位置は、肘から10 cm くらい離れた筋肉が一番盛り上がっている場所を選びます。

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⑷ そのまま3分間、バイブレーターを当てる場所を動かさないようにして、マッサージを行います。

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⑸ 次いで麻痺側の手のひらを、なるべく上に向けるようにして、麻痺側の腕をテーブルのタオルの上に載せます。

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⑹ 小型のマッサージ用バイブレーターを使用して、前腕の内側の筋肉をマッサージします。 バイブレーターを当てる位置は、肘から10 cm くらい離れた筋肉が一番盛り上がっている場所を選びます。

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⑺ そのまま3分間、バイブレーターを当てる場所を動かさないようにして、マッサージを行います。

手首を動かす筋肉へのマッサージは以上です。

 

次いで手首を動かす筋肉のストレッチを行います。

 

② 手首を動かす筋肉に対するストレッチ!

⑴ テーブルに向かって椅子に座ります。 体の正面のテーブル上に薄めのクッションかタオルを畳んだものを置きます。

IMG_2920

⑵ 麻痺側の腕をテーブルのタオルの上に載せます。

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⑶ 健側の指と麻痺側の指を組み合わせるように、お互いに握り合わせます。 そしてお互いの手のひらをなるべく、くっつける様に合わせます。

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⑷ 麻痺側の手首を反らせるように、健側の手のひらで麻痺側の手のひらを押していきます。 この時、健側の肘から全体にテコを動かすようにして、麻痺側の手首を反らせていきます。 麻痺側の手首の痛みが出る直前で止めるようにします。

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(開始姿勢)

脳卒中手首運動001

(麻痺側の手首を手の甲の側に曲げていきます)

脳卒中手首運動002

(健側の肘をテコの様に動かして手首を曲げていきます)

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⑸ 手首をそらした状態で30秒数えます。 そしてゆっくり元にもどします。 この運動を5回繰り返します。

脳卒中手首運動003

⑹ 次いで、健側の手で麻痺側の手首のすぐ上を、麻痺側の手の後ろ側から握るようにします。

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⑺ 健側の手のひらで、麻痺側の手の裏側を押すようにして、手首を曲げていきます。  この時、健側の肘から全体にテコを動かすようにして、麻痺側の手首を曲げていきます。 麻痺側の手首の痛みが出る直前で止めるようにします。

脳卒中手首運動004

(麻痺側の手首をゆっくりと手のひら側に曲げていきます)

脳卒中手首運動005

(麻痺側の手首を可能な限り完全に曲げる様にします)

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⑻ 手首を曲げた状態で30秒数えます。 そしてゆっくり元にもどします。 この運動を5回繰り返します。

脳卒中手首運動006

 

手首を動かす筋肉のストレッチは以上です。

 

筋肉のストレッチは関節に痛みを出さないように、無理をせず毎日少しづつ行うようにしてください。

手首を動かす筋肉のコンディショニングは以上で終了です。 毎日少しづつ行ってください。

 
次回は

「麻痺側の手指の運動機能を高めるためのリハビリ方法」

手指の運動機能を高めるための運動方法についてご説明いたします。

 

最後までお読みいただきありがとうございます

 

注意事項!

この運動は、あなたの身体状態を評価した上で処方されたものではありません。 ご自身の主治医あるいはリハビリ担当者にご相談の上自責任にて行ってくださるようお願い申し上げます。

 

 

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