発症から期間が経過した脳卒中片麻痺は改善するのか? します( ´ ▽ ` )ノ
発症から何年も経過した脳卒中片麻痺は良くならないのか?
「脳卒中になってから何年も経っているので麻痺がよくなるのは難しいですね」なんてことを、よく言われるのではないでしょうか。
一般的には急性発症から何年も経過した脳卒中片麻痺は良くならないと信じられています。
これはどうしてなのでしょうか?
そして本当に何年も経過した脳卒中片麻痺は改善することはないのでしょうか?
脳卒中片麻痺は初めの数ヶ月間はどんどん回復します!
脳卒中片麻痺は急性発症から数ヶ月間はどんどん回復して、その後の回復は急激に緩やかになっていきます。
これは脳卒中の急性期には、脳出血や脳梗塞によって死滅した脳神経細胞の、その周囲の神経細胞の血流が減少することで休眠状態に陥ってしまい、神経症状が実際よりも悪くなってしまっているのです。
しかし休眠状態に陥っていた神経細胞は、脳内の血流が改善するに従って、活動を再開していきます。
この仕組みによって、最初の数ヶ月間は、休眠細胞の活動再開により、麻痺がドンドン回復していきます。
しかしこの改善は数ヶ月後には終わってしまいます。
しかしこの改善は数ヶ月後には終わってしまいます。
なぜならば総ての休眠細胞の活動再開が完了してしまうからです。
最後に残っているのは、最初に死滅した神経細胞による麻痺になります。
そしてこれまでは死滅した神経細胞が甦ることは決してありません。
そして病院のリハビリテーションセンターに入院してのリハビリはこの段階で打ち切りとなります。
発症から何年も経過した片麻痺はどうしたら良くなるのか?
皆さんもご経験があると思いますが、病院では発症初期の数ヶ月の回復期間が過ぎると、主治医から「もうこれ以上の回復は難しいので退院してください」と告げられてしまいます。
これで多くの方が心が折れてしまい、その後の在宅でのリハビリテーションを疎かにしてしまう傾向があるのです。
確かに発症初期の、休眠細胞がドンドン活動再開していた時期には、点滴を打っているだけでも麻痺がグングン改善していたので、それが終わってしまい、麻痺が残ってしまったら、がっかりしてしまうのも良くわかります。
しかしリハビリテーションはここからが本番なのです。
確かに初期の回復期のように、ただ思うままに身体を動かしているだけでは、ここから先の麻痺や運動障害は改善していきません。
慢性期において、確かな運動機能の改善を得るためには、脳卒中片麻痺の運動障害の成り立ちをキチンと理解した上で、戦略的にリハビリテーションプログラムを進めていかなくてはなりません。
脳卒中片麻痺の慢性期の運動障害はどんなことになっているのか?
慢性期の脳卒中片麻痺の運動障害には、大脳の運動野の神経障害以外にも、以下に示すようないくつかの問題が存在しています。
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急性期の麻痺側の手足の浮腫や運動障害により関節や筋肉が強張ってしまっています。脳卒中の痙性麻痺による慢性的持続的な筋緊張から筋肉が異常に凝って筋硬結ができています。
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脳卒中の回復段階で興奮性神経細胞の活動レベルと抑制性神経細胞の活動レベルに差ができることで、全身の筋肉が緊張していきます。
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自律神経系の特に交感神経の興奮状態が急性期から続いており全身の緊張が出やすくなっています。
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大脳基底核と視床での運動コントロール回路が故障して動作の選択やアクセルとブレーキがうまくできなくなって、動作がギクシャクしています。
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大脳でなんとか麻痺側の手足を動かそうとして極度に力むように指示を出すようになっています。
上記の5つの問題点は、すべて自宅でのリハビリテーションで改善可能なものばかりです
例えば①の関節や筋肉のこわばりは、ていねいにストレッチなどを行うことで改善できます。 ② の筋肉の筋硬結による異常なコリも特別な方法でのマッサージを行うことで改善できます。 ③に自律神経の興奮による全身の緊張亢進も脊柱起立筋群や各関節のコアマッスルのマッサージで改善することができます。 ④ と ⑤ が難問ですが、これもそれぞれの問題に対応した運動練習を毎日行うことで、完全ではありませんが、かなり良くなります。
慢性期の脳卒中片麻痺・運動障害でも改善させるための方法はキチンとあるのです。
そしてこれらの問題点をひとつひとつ解決していったのちに、正しい麻痺側の手足の動かし方や歩き方を練習していく必要があるのです。
これらの問題をキチンと解決してからでないと、上肢の運動では、どんなに力んだところで指ひとつ動かすことはできませんし、下肢の運動では、歩けば歩くほど膝や腰が痛くなって、歩き方がぎこちなくなっていったり、歩き方が悪いせいで(例えば麻痺側の腰を後ろに引いて歩いているせいで)、反張膝(膝が反対側に曲がってしまう状態)などが起こったりします。
しかし多くのケースでは、入院中のひたすら日常生活動作を練習したり、ひたすら歩く練習をしたりといった運動を漫然と継続してしまいがちです。
でもそれではダメなのです。
ご自分の問題点を理解した上で、キチンと戦略的に計画的にリハビリテーションを行って、上記の問題点を解決していく必要があるのです。
正しい運動練習の習慣をつけて身体機能が自然と回復していく流れを作りましょう!
しかしこれらの問題をキチンとひとつひとつ解決していけば、例え急性発症から何年も経過していても、麻痺や運動障害が改善する可能性は非常に高いのです。
改善の度合いには、障害の状態によって個人差がありますが、全く何も変わらなかったと言うようなケースはまずありません。
確かに経過期間が長ければ長いほど、筋肉や関節のコンディションが悪くなっている可能性が高いので、その分苦労します。
でも全く良くならないということは、まずありません。
これらの問題を正しく理解した上で、キチンとした自主トレを戦略的かつ計画的に実行していくことは大変なことだと思います。
でも誰かに頼り切ってなんとかしてもらっていてはダメなのです。
ご自分でしっかりと正しい運動練習の習慣をつけて、身体機能が自然と回復していく流れを、生活の中で作っていかないと、慢性期での回復はなかなか実現できないのです。
ですから「慢性期は徐々に悪くなっていくのを、なるべく抑えましょう」なんていうネガティブな意見が横行してしまうのです。
でも脳卒中片麻痺の慢性期でも格段に身体機能が改善する可能性はあるのです。
ぜひみなさん正しい知識と運動習慣を身につけて、日常生活の中での身体機能の自然な回復を実現してください。
次回は
「超音波治療器を使って脳卒中の肩の痛みと亜脱臼を改善する方法」
の解説を行います。
最後までお読みいただきありがとうございます
注意事項!
この運動は、あなたの身体状態を評価した上で処方されたものではありません。 ご自身の主治医あるいはリハビリ担当者にご相談の上自己責任にて行ってくださるようお願い申し上げます。
最新の脳科学に基づく脳卒中片麻痺を治す方法はこちら!
「脳卒中片麻痺を治す最新の脳科学に基づく脳卒中ニューロリハビリテーションの在宅での実施方法」
こちらもお読みください!
脳卒中片麻痺の自主トレテキストを作りました!
まずは第一弾として皆様からご要望の多かった、麻痺側の手を動かせるようにしたいとの声にお応えするために、手のリハビリテキストを作りました。
手の機能を改善させるための、ご自宅の自主トレで世界の最先端リハビリ手法を、手軽に実践する方法を解説しています。
超音波療法や振動セラピー、EMS療法による神経促通など、一般病院ではまず受けられないような、最新のリハビリアプローチが自宅で実行できます。
現在の日本国内で、このレベルの在宅リハビリは他にはないと思います。
そしてこのプログラムは施設での実施にて、すでに結果が認められています。
あとは皆さんの継続力だけですね。
テキストは電子書籍になっており、インフォトップと言う電子書籍の販売ASPからのダウンロードになります。
全180ページに数百点の写真と3D画像などで分かりやすく解説しています。
コピーが容易な電子書籍の性格上、少し受注の管理やコピーガードなどが厳しくなっていますが、安全にご利用いただくためですの、ご容赦くださいね。
ぜひ一度お試しください。