パーキンソン病リハビリ

パーキンソン病が進行すると幻覚を見る場合があります!

パーキンソン病が進行すると幻覚を見る場合があります!

 

 

はじめに

パーキンソン病は、レビー小体と呼ばれるタンパク質が、脳の大脳基底核に溜まって、大脳基底核の機能が障害されることで、パーキンソン症状と呼ばれる、運動機能障害が起こる病気です。

パーキンソン症状とは、一般的には、リズム障害などのすくみ足や、振戦と呼ばれる手足のふるえ、筋強剛と言う筋肉のこわばりなどの運動症状になります。

しかしパーキンソン病が進行してくると、「妄想幻覚」などの、精神症状が出てくる場合があります。

これはどうしてなのでしょうか?

このパーキンソン病の精神症状が出る原因は、いったいなんなのでしょう?

そしてこれらの精神症状が出たら、どの様な対策をとれば良いのでしょう?

今回は、パーキンソン病に伴う、精神症状について解説したいと思います。

どうぞよろしくお願いいたします。

 

 

パーキンソン病の精神症状について

パーキンソン病で「妄想幻覚」などの、精神症状が起きる原因は、大きくは3つに分けられます。

それは以下の3つになります。

⑴ レビー小体の影響が大脳皮質におよんだ場合

⑵ 大脳基底核の前頭前野ループなどに問題が起きた場合

⑶ パーキンソン病の治療薬の副作用

ごめんなさい。

これだけだと、なんのことやら、さっぱり分かりませんよね。

これから少し分かり易くご説明しますね。

 

⑴ レビー小体の影響が大脳皮質に及んだ場合

パーキンソン病の原因は、「レビー小体」と呼ばれるタンパク質が、脳の中に蓄積して、それが神経細胞を破壊して、起こります。

特にこのレビー小体が「大脳基底核」に影響すると、大脳基底核の神経機能が障害されて、パーキンソン病になります。

しかしこのレビー小体が、大脳皮質に影響すると、レビー小体型認知症が起こります。

つまりパーキンソン病とレビー小体型認知症は、ほとんど兄弟みたいな関係にあるのです。

レビー小体型認知症で、「妄想幻覚」の症状が出る、原因としては、レビー小体が、大脳皮質の後頭葉にある、視覚関連野に影響して、実際には見えていないものが、見えたりする、「妄想幻覚」の症状が出ると考えられています。

パーキンソン病もレビー小体型認知症も、どちらもレビー小体が脳内に蓄積して起こります。

ですからパーキンソン病が進行した場合、一部のケースでは、レビー小体の影響が、大脳基底核から、さらに大脳皮質に拡がる場合があります。

この場合には、パーキンソン病であっても、レビー小体型認知症と同じ様な、「妄想幻覚」の症状が出る様になります。

 

⑵ 大脳基底核の前頭前野ループなどに問題が起きた場合

大脳基底核は、大脳皮質の下、脳の基底部にある神経核のことです。

この大脳基底核には、重要な働きがあります。

大脳基底核は、大脳皮質のとても広い範囲から、神経の入力を受けています。

例えば、大脳皮質の運動野から、神経入力を受け、それらの運動を大脳基底核で調節して、再び大脳皮質の運動野に戻す、ループを形成しています。

この運動野と大脳基底核のループは、私たちが、何かの動作を行う時に、ほとんど細かい動きを意識せずに、自然に動ける様に、動作を制御しています。

この運動野と大脳基底核のループの様に、その他にも、大脳皮質と大脳基底核の間には、たくさんのループがあります。

その中に、前頭前野と大脳基底核のループがあります。

そして、この前頭前野と大脳基底核のループが、うまく働かなくなることで、認知機能の障害が起こります。

症状は脱抑制などの、怒りっぽくなる場合が、多いのですが、時には妄想幻覚などを見る場合もあります。

 

⑶ パーキンソン病の治療薬の副作用

パーキンソン病は、その治療として、脳にドーパミンを補充してやります。

つまりは飲み薬として、L – ドーパ を投与します。

このドーパミンは、抑制性の神経伝達物質です。

そしてこのドーパミンが、脳内で不足すると、運動神経の過剰な活動が、抑制できなくなり、パーキンソン症状が起こります。

それでは、もし脳内のドーパミンが過剰になったら、どうなるのでしょうか?

実は脳内のドーパミンが過剰になった場合、「統合失調症」の症状が起きると言われています。

そうです「統合失調症」は、まさに妄想幻覚が症状として出現しますね。

ですからパーキンソン病の治療薬が、過剰に投与された場合には、副作用として、時に「妄想幻覚」を見る場合があるのです。

 

 

パーキンソン病で妄想幻覚が起きたらどうすればいい?

では実際にパーキンソン病で、妄想幻覚が起きた場合は、どうすればいいのでしょうか。

先にご説明しました様に、パーキンソン病で、妄想幻覚が起きるには、いくつかの原因があります。

それぞれの原因について、対処方法が違いますので、注意しながら、以下の手順で対応を考えていただくのが、良いと思います。

 

⑴ 先ずはとにかく主治医の先生に相談する

当たり前のことですが、これがとにかく基本になりますね。

先ずは薬の副作用である場合が考えられますので、主治医の先生に相談して、パーキンソン病治療薬の調節を行ってもらうことが、大切です。

先ずは主治医の先生に報告して、薬の調整を含む、指示を仰ぎましょう。

 

⑵ 周りの家族が慌てて悲観的にならない

妄想幻覚を見るということは、周囲から見て、ありえないことを口走って、騒ぐということです。

それまで一緒に生活してきた家族は、いわば運命共同体ですから、その家族が「一見まともでない状態」になって、騒いでいるのは、周りの家族にとっては、とてもショックなことです。

ですから家族の方が、本人に対して、やめさせようとして、強い口調で怒ったりしてしまう場合もあるかもしれませんね。

でも本人が見ている妄想幻覚は、大脳皮質の機能の乱れによる、いわば一時的な幻影です。

ですからしばらくすれば落ち着く場合も多いのです。

ですから周りの人は、慌てずに、まずは本人の安全を確保することを、第一に考えてあげてください。

その上で、本人が落ち着いて生活できる様な、環境を整えていただければと思います。

例えば、視覚的に壁の模様が少ないとか、家具の量を少なくするとか。

目に入る情報を減らして、状態を観察するのも良いかと思います。

 

⑶ 転倒のリスクを考えておきましょう

パーキンソン病の場合は、一般的にはあまり転倒することは、少ないと思われます。

しかしパーキンソン病に、レビー小体型認知症が合併した場合、転倒を頻繁に繰り返す様になる場合が、多くあります。

ですから普段からの、転倒に対する予防が必要になります。

例えば、要所要所に手すりをつけることが、必要になるかもしれません。

また、転倒しても骨折しない様に、ヘッドギアや股関節のパッド、あるいは背骨をガードするパッドなどを、普段から装着する様にしても、効果的です。

転倒は、まっすぐ歩いている時より、振り返ったり、曲がったりする時に、転倒する場合が多いので、コーナーごとに手すりをつけておくと、効果的です。

 

 

まとめ

今回はパーキンソン病に合併する「妄想幻覚」について、簡単に解説を行いました。

パーキンソン病の何割かは、妄想幻覚を訴える場合があります。

大切な家族が、妄想幻覚に取り憑かれることは、とてもショックなことですが、原因は分かっていますので、落ち着いて対処することが大切です。

先ずは主治医の先生と相談しながら、落ち着いて対応する様に心がけてくださいね。

どうぞよろしくお願いいたします。

 

 

最後までお読みいただきありがとうございます。

 

 

注意事項!

このサイトでご紹介している運動は、あなたの身体状態を評価した上で処方されたものではありません。 ご自身の主治医あるいはリハビリ担当者にご相談の上自己責任にて行ってくださるようお願い申し上げます。

 

 

 

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