小児リハビリ

脳性麻痺のニューロリハビリ 姿勢のふらつきはエビカニクスで治しちゃおう!

 

はじめに

脳性麻痺のお子さんの中には、体を起こして座らせようとすると、首が座っていないだけでなく、グラグラと揺れてしまい、座る姿勢を保てない子がいます。

グラグラする感じとしては、アテトーぜ型の麻痺の子に近い感じの揺れ方をします。

この様に、体を起こすと、首が座らなくて、グラグラしていると、専用の椅子に座らせていても、なかなか物を持つ練習をしたり、テレビなどを見たりという動作が出来にくいですね。

なにかこの首のグラグラを治す、良いリハビリの方法はないものでしょうか?

実はあるのです。

それが「エビカニクス体操」です。

今回は、脳性麻痺のお子さんの姿勢のグラグラを治すための「エビカニクス体操」の解説をして見たいと思います。

どうぞよろしくお願いします。

 

 

私たちの姿勢を制御はどうやって行われているのか?

まず本題に入る前に、私たちの身体の姿勢制御の仕組みについて、少し勉強しておきましょう。

私たちが姿勢を保つためには、頭や体が前後左右に揺れるのを、きちんと戻しながら、まっすぐな状態を保つ必要がありますね。

この時に行われている運動は、背骨や肩や腰の周りの「交互運動」です。

つまり、上半身が右に傾けば、背骨の左側の筋肉が緊張して、身体を左側に引き戻します。

そして反対に身体が左に傾きすぎれば、右側の筋肉が緊張して、身体を右に引き戻します。

この様にして、背骨の前後左右の筋肉が、互いに引っ張りあい、目に見えない程度に細かく揺れる事で、私たちは姿勢をまっすぐに保っています。

同じ様に、座っていて、身体が右に傾いた時には、右のお尻と足の筋肉が緊張して、お尻を左に押し返します。

また反対に、身体が左に傾いた時には、左のお尻と足の筋肉が緊張して、お尻を右に押し返します。

これを細かく交互に繰り返す事で、倒れない様に座っているのです。

この身体を交互に動かす運動パターンは、大脳皮質の「補足運動野」で制御されています。

しかし実際には、私たちが座っていて、お尻や背骨の周りに、力を入れてバランスを取っている意識は、まったく感じられません。

これはどうしてかと言うと、私たちの身体には、特に意識しなくても、自動的に「補足運動野」に蓄えられている交互運動パターンを取り出して、無意識のうちに背骨や腰でバランスをとる仕組みがあるからです。

 

脳で姿勢を制御する仕組み

この仕組みは、「大脳皮質の補足運動野」と「大脳基底核」と「脳幹の網様体」の連携で行われます。

つまりこの仕組みとは、「大脳皮質の補足運動野」に蓄えられている、様々なパターンの交互運動の中から、「大脳基底核」が最適な運動パターンを選び出し、その運動パターンを「中脳の網様体」が適切なリズムで動かせる事で、上手にバランスをとっているのです。

 

分かり易く整理するとこんな感じです

⑴ 大脳皮質の補足運動野(高次運動野)に背骨やお尻の周りの筋肉の交互運動パターンが貯えられている。

⑵ その運動パターンの中から、現在の姿勢制御に最適な運動パターンを大脳基底核が選び出す。

⑶ 大脳基底核が選んだ運動パターンのリズムを、現在の姿勢制御に最適なリズムになる様に、中脳の網様体で調整する。

この様にして、私たちの身体は、ほとんどそれを意識する事なく、最適な姿勢制御ができ、バランスがとれる様になっているのです。

 

 

脳性麻痺のお子さんはどうして首が座らず姿勢制御ができないのか?

私たちの身体には、この様にキチンとした姿勢制御のためのメカニズムが備わっています。

ではなんで脳性麻痺のお子さんは、座ったり立ったりするときのバランスがうまく取れないのでしょう?

ここで少し確認させてください。

あなたのお子さんは、左右の肘を交互に曲げたり伸ばしたりできますか?

あるいは左右の足を、交互にバタバタ曲げ伸ばしすることができますか?

もしくは仰向けに寝たままで、身体を左右にクネクネ動かすことができますか?

もしこれらの動作ができていないのであれば、あなたのお子さんが姿勢制御が下手で、バランスがとれない理由は簡単です。

つまり一番はじめの、「大脳皮質の補足運動野」に、交互運動パターンのデータが収録されていないのです。

あなたのお子さんは、これまで一度も、左右の腕や足を、交互に動かした経験がありません。

ですから交互運動パターンを収録してあるはずの、補足運動野には、データが記録されておらず、空っぽなのです。

ですからいくら大脳基底核が、姿勢のバランスを取るために、運動パターンを選ぼうとしても、選べる運動パターンがないのです。

これでは姿勢制御によってバランスをとることはできませんね。

 

 

交互運動パターンの練習は「エビカニクス」で!

では補足運動野に交互運動パターンを、効果的に収録する良い方法はないのでしょうか?

実は簡単な方法があります。

それは親子で遊ぶ「エビカニクス体操」です。

エビカニクスは、最近のちびっ子の間で、爆発的に流行っている体操です。

YouTubeでチェックできますので、見てみてください。

 

この体操を親御さんが、お子さんの両手を持ちながら、最初はゆっくりと運動させてあげてください。

姿勢は仰向けに寝たままでかまいません。

お子さんの腕や身体が、運動に対して緊張してしまう場合は、あまり無理せずに、はじめは本当にゆっくりとやりましょう。

無理に音楽に合わせる必要はありません。

ただこの左右に身体を振りながら、交互に腕を突き上げる運動を、ユックリと繰り返せばいいのです。

簡単でしょう。

ご両親の手の空いた時で構いません、できれば毎日数分間で構いませんので、ぜひ続けてみてください。

 

運が良ければ、驚くほどの効果が出ますよ。

 

 

最後までお読みいただきありがとうございます。

 

注意事項!

このサイトでご紹介している運動は、あなたのお子さんの身体状態を評価した上で処方されたものではありません。 主治医あるいはリハビリ担当者にご相談の上自己責任にて行ってくださるようお願い申し上げます。

 

 

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