脳卒中リハビリ

脳卒中の痛みの原因である「筋硬結」を考える!

 

はじめに

脳卒中になると、麻痺側の肩や腰に痛みを訴える場合をけっこう見かけます。

そしてたいていの方は、この脳卒中にともなう、肩や腰の痛みを、脳卒中の神経症状だと思い込んで、治らないと諦めてしまっています。

しかし本当は、脳卒中による麻痺側の肩や腰、あるいは膝の痛みなどは、ほとんどが関節や筋肉の問題であり、治すことができるのです。

今回は、この脳卒中の痛みの原因とリハビリテーション方法について解説したみたいと思います。

どうぞよろしくお願いします。

 

脳卒中の痛みの原因は主に筋肉のコンディションの問題で起こります

脳卒中の旧世紀には、患者さんは意識を失って、ベッド上で寝たきりの状態になります。

これはどうしてかというと、脳卒中によって、自律神経系が混乱して、脳の血液の流れが悪くなり、脳が浮腫んでしまうからです。

そして脳が浮腫んでしまう様に、体の手足の筋肉に対する血液の流れも、悪くなって、手足の筋肉が浮腫みます。

手足の筋肉が浮腫んだまま、しばらく時間が経過すると、手足の筋肉がどうなるのかというと、筋肉の線維に酸素や栄養が行き渡らなくなり、筋肉の線維が硬くこわばる様になります。

こうして筋肉に十分な血液が行き渡らなくなることで、手足の筋肉が硬くこわばり、痛みを感じる様になるのです。

 

筋肉が硬くこわばるとさらに痛みが悪化します

まず脳卒中の初期には、手足の筋肉への血液の流れが悪くなり、それが原因で、筋肉に酸素と栄養が行き渡らなくなります。

それが原因で、筋肉が硬くこわばるのですが、筋肉が硬くこわばると、さらに問題が起こります。

筋肉の線維の中には、「筋紡錘」や「ゴルジ腱器官」と呼ばれる、感覚センサーがあります。

筋肉が硬くこわばると言うことは、筋繊維がパンパンに膨らんで、周りの血管や神経を圧迫していると言うことです。

そしてそれが長く続くと、筋肉の線維の中にある、「筋紡錘」や「ゴルジ腱器官」と呼ばれる、感覚センサーが正常に働かなくなります。

そうするとどうなるかと言うと、感覚センサーが働かないと、感覚フィードバックができなくなります。

 

感覚フィードバックとは?

この感覚フィードバックとはどんなことなのでしょう?

まず私たちが手足を動かす場合には、脳の運動神経が、手足の筋肉を動かす様に命令を下します。

手足の筋肉は、脳の運動神経の命令に従って、筋肉を収縮させて、手足を動かします。

そうすると「どのくらい手足が動いたか」の感覚情報が、脳に戻されていきます。

この脳に戻される「どのくらい手足が動いたか」の感覚情報が、「感覚フィードバック」と呼ばれるものなのです。

そして脳に感覚フィードバックが戻されると、脳の運動神経から出された「運動指令」と、実際にどのくらい手足が動いたかの「感覚フィードバック」が照合されます。

そして照合の結果、さらに運動を最適化する様に、運動指令が出し直されるのです。

これが「最適化フィードバック制御」と呼ばれる、私たちの手足の運動を制御する方法になります。

ですが、もし筋肉の感覚センサーが働かなくなっていたら、「感覚フィードバック」は起こりませんね。

すると「最適化フィードバック制御」もできない事になります。

そうなるとどうなるかと言うと、脳の運動神経が混乱して暴走を始めます。

その結果として、手足の筋肉がドンドンこわばってしまい、さらには異常な痛みなどの感覚も増えてくる事になります。

筋肉が硬くこわばっている事によって、二次的な神経機能の障害が起こり、さらに手足がこわばって、痛みが増す事になるのです。

これが脳卒中になると、後からドンドン手足や、肩や腰が痛くなる原因なのです。

 

この筋肉のこわばりからくる痛みをどう解消するか?

この筋肉のこわばりからくる痛みをどの様に治していけば良いのでしょうか?

実はとても簡単な方法があるのです。

それは!

硬くこわばっている筋肉を揉んでやればいいのです!

そんな適当なことを言うな、と思うでしょう。

でも本当なのです。

ただ皆さん、これが脳神経の障害による症状だから、治らないと、はじめから決めつけて諦めているだけなのです。

ためしに麻痺側の手足の筋肉を触ってみてください。

筋肉に硬くこわばった部分があるでしょう。

これを反対側の手でも良いですし、マッサージ用のバイブレーターを使っても良いですから、じっくりと揉みほぐしてみて下さい。

たしかにそんなに簡単にはほぐれないとは思います。

しかし毎日根気よく続けていくと、あら不思議、ほぐれてきてしまいます。

本当ですよ、ぜひ試してみて下さいね。

 

とにかくあなたの生活習慣に、「麻痺側の手足の筋肉をもみほぐす」と言う習慣を取り入れてみて下さい。

きっと面白い結果が得られると思います。

どうぞよろしくお願いします。

 

 

最後までお読みいただきありがとうございます。

 

 

注意事項!

このサイトでご紹介している運動は、あなたの身体状態を評価した上で処方されたものではありません。 ご自身の主治医あるいはリハビリ担当者にご相談の上、自己責任にて行ってくださるようお願い申し上げます。

 

 

 

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