脳卒中リハビリ

脳卒中の麻痺を治すための脳の神経細胞に効く食事方法とは!

はじめに

脳卒中で倒れた後は、多くの方がある程度の期間を、ベッド上で寝て過ごすことになります。

この間は、内臓を含む、身体の様々な機能が衰えています。

それを立て直すために、お医者さんの治療を受け、看護師さんから看護を受けることになります。

はじめは点滴から始め、場合によっては胃に管を入れた状態で、栄養剤を胃に流し込んだりします。

それから少しずつ、おかゆになって、普通のご飯に戻って行くのです。

しかし私の観察では、多くの方が、脳卒中で倒れてからの、自宅に退院しての食生活が、大きく変わってしまっている様なのです。

つまり柔らかくて、軽くて、消化に良いものばかりを食べているイメージです。

しかし本当であれば、脳卒中の患者さんが、急性期から回復してからの食事は、脳の神経の回復に役立つものでなければなりません。

ですから、単に病み上がりだから、消化に良い食べやすいものを、食べていれば良いという訳ではありません。

それでは、脳の神経細胞を再生させるために必要な、希少な栄養素を摂り入れることが出来ません。

やはり運動によるリハビリテーションと同様に、食事の方法や、摂取する食材も、脳神経に良いものを食べれるように、鍛錬が必要になります。

今回は、脳神経細胞の再生を促す食事方法について、解説したいと思います。

どうぞよろしくお願いします。

 

腸内細菌が作り出す栄養素について!

あなたは腸内フローラという言葉を聞いたことがありますか?

私たちの大腸には、およそ100兆個~1000兆個の、腸内細菌が住んでいます。

これらの腸内細菌は、その種類ごとに群れを作って、腸内に分布していますから、それがまるで上空から眺めたお花畑のように見えることから、「腸内フローラ」と呼ばれています。

つまり「腸内フローラ」とは、大腸の腸内細菌の群れのことを言うのです。

実は最近では、この「腸内フローラ」(専門家はマイクロバイオータと呼びます)の研究が盛んに行われています。

そして「腸内フローラ」の驚くべき働きが、だんだんと明らかになってきたのです。

その働きを簡単に説明すると、私たちの大腸に住んでいる腸内細菌は、私たちが自力では消化できない、食物繊維(多糖類)を発酵・分解して、「短鎖脂肪酸」などの貴重な栄養素を作り出してくれているのです。

また、この腸内細菌たちは、私たちの脳に直接メッセージ物質を送って、私たちの脳神経に影響を与えることも分かってきています。

あなたの大腸に住んでいる腸内細菌は、完全な共生関係にある、いわば運命共同体なのです。

つまり、あなたの大腸に住む腸内細菌が死んでしまえば、あなたも生きて行くことが出来なくなると言うわけです。

そして脳卒中の片麻痺から回復しようとしている、あなたの脳神経細胞にも、これらの腸内細菌が作り出す、貴重な栄養素が欠かせないのです。

たとえば腸内細菌が作る栄養素が不足することで、あなたの体の免疫機能が正常に働かなくなり、喘息やアレルギーになり、さらには慢性関節リウマチなどの自己免疫疾患になる可能性があるのです。

または脳の神経伝達物質を作る材料が不足して、うつ病になったりします。

多発性硬化症などの、神経難病になるリスクも高まります。

実は脳卒中や心筋梗塞になるリスクも高まっているのです。

 

そう、もしかするとその脳卒中は食事で防げたのかも!

なので、あなたが脳卒中の麻痺から回復するためには、これまでの偏食や好き嫌いを改めて、キチンとした食事をとるように頑張らなければなりません。

ではいったいどう言う食事が良いのでしょう?

 

まずは腸内細菌の主食である食物繊維に注目

腸内細菌は、私たちが自力では消化吸収できない、食物繊維などを主食にしています。

私たちがご飯を食べると、白米などの炭水化物や、肉などの脂肪分やタンパク質は、胃と小腸で消化され、栄養素として吸収されます。

しかし野菜や玄米などに含まれる、食物繊維などは、私たちは自力では消化・吸収できません。

ですから食物繊維は、大腸で待っている腸内細菌の元に運ばれて行きます。

大腸の腸内細菌は、食物繊維などの栄養素を、発酵・分解して、自らのエネルギーを作り出すとともに、その代謝産物として、「短鎖脂肪酸」などの、貴重な栄養素を私たちに提供してくれるのです。

これらの貴重な栄養素は、私たちの免疫機能を整えたり、脳の神経伝達物質を作る材料になったりします。

ですから、腸内細菌が、これらの栄養素を作れなくなると、私たちは様々な健康上のトラブルに見舞われます。

たとえば免疫機能が混乱することで、喘息やアレルギーになり、慢性関節リウマチなどの自己免疫疾患にもなります。

脳の神経伝達物質が不足することで、うつ病や不眠になったりします。

子供の場合は、自閉症や発達障害になる可能性が高まります。

子供の脳を発達させるための、貴重な栄養素が不足してしまうからです。

そのほかにも、脳卒中や心筋梗塞になるリスクも高まるのです。

ですから私たちは、自分の体の栄養素だけでなく、大腸に住む腸内細菌のことも考えた上で、食事を摂らなければなりません。

 

つまり自分の大腸に住む、腸内細菌を大切に育てるために、キチンと餌を与えるのです。

あなたには庭で買っている犬の他に、もう一種類ペットが居たのです。

それが、あなたの大腸に住む腸内フローラなのです。

 

現代人の食事から食物繊維が減っています!

先ほど、腸内細菌の主食は、食物繊維であるとお話ししました。

しかし現代人の食事からは、ドンドンとこの食物繊維が減っています。

それは現代人の私たちが、加工食品を主に食べるようになったからです。

実は、調理が簡単で、食べやすい、加工食品が、私たちの健康を蝕んでいます。

たとえば野菜を自分で調理して食べるのは、けっこう面倒です。

ですから私たちは、野菜不足を補うために、野菜ジュースを飲んだりします。

しかしこの濃縮還元された野菜ジュースは、野菜風味ジュースであって、食物繊維を含みません。

ですから健康的には、普通のジュースを飲んでいるのと、あまり大差ないのです。

同じように、玄米は精製されて白米に、小麦粉も真っ白に精製されたもので、パンを焼いたり、うどんをこねたりしたものを食べています。

この精製された白米や、小麦粉などの炭水化物は、栄養学的には、砂糖を舐めているのと変わりないのです。

その結果、かつては1日の食物繊維の摂取量は100g~150gであったものが、現在では1日10g程度にまで減っています。

これでは腸内細菌が飢え死にしてしまいます。

 

本当は白米やうどんをやめて、玄米のご飯を食べなければならないのです。

どうして東南アジアの人はスタイルが良く日本人やアメリカ人はブクブクなのか?

最近は、日本もベトナムなどの東南アジアに、経済進出しています。

また人手不足を補うために、ベトナムの若者が、たくさん日本に働きにきていますね。

彼らはみんなすらっと痩せています。

それに比べて、最近の日本人は、ずいぶんと体格が良くなりました。

昔、私がアメリカの大学に留学していた時、アメリカ人はずいぶん太っているなと感じましたが、最近はあまり変わらなくなっているような気がします。

 

どうして東南アジアの人たちはスタイルが良く、日本やアメリカの人は太りやすいのでしょう?

それはね!

先進国の食事に、食物繊維が足りないからですよ!

先進国では、加工食品や精製された炭水化物ばかり食べて、食物繊維が足りないのです。

そうすると、大腸に住む腸内細菌が、エサがなくて飢えてしまいます。

そこで、あなたの大腸に住む腸内細菌は、あなたの脳にメッセージ物質を送ります。

内容は当然「もっとご飯を食べてください」ですね。

そこで、あなたがもしハンバーガーなんかを食べてしまうと、ハンバーガーには食物繊維が含まれていませんから、腸内細菌の飢えは収まりません。

そこでさらに腸内細菌から、あなたの脳に「もっとご飯を食べてください」とメッセージが届くというわけです。

これが、私たちが栄養が過剰でブクブクに太っているにも関わらず、ガツガツとむさぼり食らう原因なのです。

本当は、玄米ご飯と野菜の煮物でも食べていれば、そんなにお腹は空かないのですよ。

 

玄米の食べやすい炊き方

でも高齢者の皆さん、本当に玄米や雑穀がお嫌いですよね。

子供の頃の、戦後の苦労が思い出されるのでしょうか?

そこで玄米ご飯を、美味しく召し上がっていただく、スペシャルレシピのご紹介です。

これは今まで秘密にされていた、特別な方法ですので、一回しか書きませんから、慎重に呼んでくださいね www

⑴ 玄米は『ロウカット玄米』を使う

⑵ お好みで『もち麦』を加える

これだけです。

『ロウカット玄米』は、普通の玄米の表面のセルロースの膜である「ロウ層」を剥いたもので、胚芽と糠は残っていますから、栄養的には玄米と同じです。

表面のセルロースの膜が無いため、普通の炊飯器で、普通のお米として炊くことが出来ます。

若干のパサパサ感は残りますが、けっこう美味しく食べられます。

さらにもっともっちりしたご飯が食べたい場合は『もち麦』を加えましょう。

『もち麦』は、大麦の「うるち麦」に対する「もち麦」です。

いわば「うるち米」に対する「もち米」ですね。

『もち麦』には、玄米の3~5倍の食物繊維が含まれています。

そして食感はモチモチしていますから、『ロウカット玄米』に混ぜることで、栄養も食感もグッと向上します。

本当に美味しいですよ。

ぜひお試しくださいね。

 

脳の神経細胞に効く食事方法は地中海式です

脳卒中の脳神経細胞を回復させるために、効果的な食事は「地中海式」です。

とは言っても、別にタコのカルパッチョを食べまくりましょう、なんて話ではありません。

ようは地中海地方で、よく食べられている食材が、健康と脳神経の回復に良いという話です。

別に地中海式の調理方法の話ではありません。

地中海地方の食材を参考にしましょうと言う話です。

実はメタアナリシスという統計調査によって、世界中の健康と食事に関する医学文献を調べた結果があります。

このメタアナリシスによる統計によると、世界中の食材は、健康に良い食材と、どちらでもない食材と、健康に害があるために食べるべきでない食材に分けられます。

地中海式の食事方法は、この健康に良い食材を積極的に摂り、健康に悪い食材を食べないようにする食事方法なのです。

問題は食材選びであり、調理方法や味付けは問題ではありません。

まあ出来れば塩分控えめでお願いしますということでしょうか。

実は日本食も、健康な食事方法としては、けっこういい線いっているのですが、塩分が多いために、いまいち1番になれていません。

2番じゃダメなんですよ!

では健康に良い食材と、悪い食材とはどんな食材なのでしょう?

以下に見ていきましょう。

 

健康に良い積極的に食べるべき食材

⑴ 精製していない炭水化物(玄米、全粒粉など)

⑵ 野菜類と果物類

⑶ ナッツ類

⑷ オリーブオイル

⑸ 魚介類と鶏肉

 

健康を害するため食べないほうがいい食材

⑴ 精製された炭水化物(白米やうどん、パスタ、パンなど)

⑵ バターとマーガリン、マヨネーズ

⑶ 牛肉と豚肉

⑷ 加工された肉類(ハム、ソーセージ、サラミなど)

 

どうでしょうか?

白米が、食べてはいけない食材に入っているので、驚かれたのではないでしょうか?

でも本当なんですよ!

 

ちなみに、皆さんの健康のお供である牛乳はどうかと言うと、子供は飲んでも大丈夫ですが、大人が飲むと発癌性を高めることが分かっています。

研究者レベルでは、これらのことがよく分かっていますが、一般にはよく伝わっていません。

 

なぜならば、これらの食品を生産している企業が、政府にロビー活動をしたり、マスコミに圧力をかけたりして、情報を歪めているからです。

たとえば最近よく目にする「カロリーハーフ」食品ですが、多くはマヨネーズやマーガリンの様な、本来は食べてはいけない食材ですね。

つまり企業は、これらの体に悪い食材を、「カロリーハーフ」で体に良いように見せかけて、あなた方消費者を欺いているのです。

たとえカロリーがハーフだろうと、ゼロだろうと、白米のご飯に、マーガリンやマヨネーズを食べている段階で、あなたは負犬なのです www

 

健康な食事は、なるべくなら、上記に挙げた5種類の食材を使って、自分で調理して食事をされることをお勧めします。

私もロウカット玄米に、もち麦と雑穀を混ぜ、野菜と魚中心の食事にして、おやつはすべて果物とナッツにして見ました。

そうしたら1ヶ月くらいで、10kgくらい一気に体重が落ちてスリムになりましたよ。

全く食事制限をしておらず、お腹いっぱい食べていましたが、ドンドンやせています。

しかも健康的に!

そしてその間は、全く空腹を感じたことがありません。

おそらくは大腸の腸内細菌に、十分な食物繊維などのエサが届いているからなのでしょう。

本当にお勧めですよ。

あなたも是非試してみてくださいね。

 

最後までお読みいただきありがとうございます。

 

 

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