脳卒中リハビリ

脳卒中片麻痺における正しい立位姿勢の確立

脳卒中片麻痺における正しい立位姿勢の確立

 

はじめに

今回は脳卒中片麻痺における正しい立位姿勢の確立についてのご説明をいたします。 これを読まれている方の中には、「正しい姿勢といっても麻痺があれば正しい姿勢なんてとれないし、どうすれば良いかも分からない」と思っておられる方もたくさんおられると思います。

しかし人間の身体の構造は基本的には一緒ですし、脳卒中片麻痺にも基本的なパターンがありますので、それぞれの皆さんが抱えている問題のベースはほとんど一緒であると言えると思います。

ですからこのウェブサイトでは可能な限りみなさんの問題を解決できるようなアイデアを提供していきたいと考えています。

脳卒中片麻痺の歩行能力を高めていく上での基本となるのが「立位姿勢」です。

中には麻痺を無理やりねじ伏せるようにして強引に歩行しているケースも見受けられますが、なるべく理想的な立位姿勢を確立することで、その後の歩行パターンを効率的で安全なものにして、長く痛みなどがなく安全に歩行することが可能になります。

 

立位姿勢を正しくとれるようになることは、その後の歩行パターンや歩行能力の改善にとって重要です

 

正面から見た立位姿勢のチェックポイント

  1. 足のつく位置が肩幅以上に広く横に広がっていないか?

  2. 麻痺側の足に体重を乗せることを避けて休めの姿勢になっていないか?

  3. 麻痺側の肩が下がりすぎたり上がりすぎたりしていないか?

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上記の3つのポイントに注意して姿見でチェックするか、あるいは家族の方に見てもらってください。

 

⑴ 足のつく位置が横に広がりすぎている場合

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この場合は左右の下肢の筋力低下や麻痺により体重支持が難しくなってきていることを示しています。一般的には廃用症候群という運動不足による筋力低下が考えられます。 この場合、キチンと運動して筋力を取り戻すことが大切です。 主な運動としては手すりにつかまって片足立ち練習を行います。

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(手すりにつかまっての片足立ち練習 健側立ち)

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(手すりにつかまっての片足立ち練習 麻痺側立ち)

 

⑵ 麻痺側の足に体重を乗せる事を避けて休めの姿勢になっている場合

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この場合は麻痺側の足底の感覚低下や麻痺による支持力低下が示されています。この場合は立位において麻痺側の足に体重を乗せて、それを安定して行えるように練習することが必要となります。 主な運動としては手すりにつかまって麻痺側の足への体重移動の練習を行います。この練習は繰り返し気長に行い、安定して麻痺側の足に体重が乗せられるようになるまで練習を継続してください。

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(手すりにつかまっての開始姿勢 やや両足を拡げて立ちます)

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(手すりにつかまっての麻痺側への体重移動練習 腰から麻痺側に体重移動、この時頭は残す様にします)

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(手すりにつかまっての健側への体重移動練習 腰から健側に体重移動、この時頭は残す様にします)

※ この動作を繰り返し行って麻痺側への体重移動が上手にできる様になるまで練習します。

 

⑶ 麻痺側の肩が下がりすぎたり上がりすぎている場合

この場合はバランスをとるのに骨盤ではなく肩に力が入って肩でバランスを取ろうとしています。 この場合は立位において、骨盤を意識して立つように練習することで肩の力を抜くことができます。 主な練習方法としては手すりにつかまって、なるべく背骨を伸ばした状態でお尻の穴をすぼめるように力を入れてもらい、少し腰を前に突き出すようにします。 そしてやや爪先に体重をかけるように意識してもらいます。こうして腰に力を入れて爪先に体重を乗せる練習をすることで、自然と骨盤を意識して体重をコントロールするようになり、肩から力が抜けていきます。

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(開始姿勢は一般的に前屈みになり腰が後ろに引けています)

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( 手すりにつかまっての骨盤での爪先への体重移動 上半身をそらして骨盤で爪先に体重を移動します)

 

側面から見た立位姿勢のチェックポイント

  1. やや腰を引き気味に落として前屈み気味な立位になっていないか?

  2. 顎を前に突き出していないか?

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これらの2点のチェックポイントは、どちらも前後方向の重心線が後方に移動して踵体重になっていることを示しています。 踵体重での立位歩行が習慣化すると、立位歩行時に正しく筋肉が働かずに、ひざ関節痛や腰痛の原因となり、また下肢の筋力も低下していきます。

主な運動方法としては手すりにつかまって、なるべく背筋を伸ばすようにしながら、爪先立ちの練習を行います。

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(手すりにつかまっての両足揃えての爪先立ち練習 開始)

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(手すりにつかまっての両足揃えての爪先立ち練習 爪先立ち)

このとき足のつく位置は前後を揃えて肩幅に開いておきます。 やっているうちに麻痺側の足をつく位置がずれてしまわないように注意してください。

※ これらの運動に関しては、転倒に注意して安全に行ってください。

 

強い腰痛がある場合は無理をしないようにしてください。 この運動を行うに関しては、主治医や担当のリハビリ専門家に相談の上、自己責任で行っていただくようお願い申し上げます。

 

次回は

脳卒中片麻痺の歩行 ①麻痺側の腰を後ろに引く形で健側を前に出すように歩くパターン

についてご説明いたします。 よろしくお願い申し上げます。

 

最後までお読みいただきありがとうございます

 

注意事項

※ このウェブサイトでご紹介する運動内容などは、皆様を個別に評価して処方されたものではありません。 実際のリハビリの取り組みについては皆様の主治医や担当リハビリ専門職とご相談の上行っていただきますようお願い申し上げます。

 

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