家族が脳卒中で倒れたら

家族が脳卒中で倒れたら 急性期病院への入院中の注意点!

 

脳卒中で倒れ、救急車で運ばれる、最初の病院は「急性期病院」と呼ばれる、いわゆる総合病院などの一般的な病院です。

まずはここで急性期のケアを受けたあと、「リハビリテーション病院」に転院して、リハビリテーションを受ける流れになります。

ですからこの「急性期病院」への入院期間は2週間程度が一般的です。

ここでは、脳卒中によって命の危険にさらされている状態から、患者さんを救うための急性期治療が行われます。

そしてこの間には、あなたが今まで経験して来なかった、様々な問題に直面することになります。

たとえば、倒れたご家族の意識がずっと戻らなかったら。

たとえば、意識が戻った時に、うまく喋れなかったり。

たとえば、片側の手足が麻痺して、うまく動けなくなっていたりします。

そしてその身体で、トイレに行きたいから助けて欲しいと頼まれたら、あなたはどうしますか?

今回は、脳卒中で倒れた直後に、救急車で運ばれた「急性期病院」で起こる、さまざまな問題とその対処方法について解説して行きます。

どうぞよろしくお願いします。

 

脳卒中で倒れたご家族の意識がなかなか戻らない!

脳卒中で倒れた場合、初めから意識を失わない軽症な方と、搬送途中で意識を失ってしまう、重症な方がおられます。

また軽症な方も、救命センターなどに着くと、治療のために鎮静剤などを投与されて、眠ってしまうことがほとんどです。

そして軽症であれば、翌朝には目が覚めたりする場合もあります。

しかし倒れてから、何日も意識が回復しない場合もあるのです。

このような場合は、脳卒中の影響で、脳全体の血液の流れが弱くなってしまっていることで、脳の神経細胞が適切に働けなくなっているため、意識を失ってしまっています。

治療が進んでいって、脳の血液の流れが正常になって行けば、意識は戻ってきます。

ですからそれまでは焦らずに見守りましょう。

あまり心配しすぎることは、介護者の健康に良くありません。

 

意識が戻っても混乱して変なことを喋っている!

倒れたご家族の意識が戻った場合、すぐに普通の会話が出来る方もおられます。

しかしそれはごく一部の方であって、多くの場合は、意識が戻った直後には、意識が混乱して、訳の分からない事を話したりします。

それには以下のようなさまざまな原因が考えられます。

⑴ しゃべるための口の周りの筋肉が麻痺して、ロレツが回らなくなっている(構音障害)

⑵ 脳の言語中枢が障害され、言葉を組み立てられなくなっている(言語障害)

⑶ 脳の高次脳機能障害によって混乱している(失認・失行)

⑷ 脳の神経への血液の流れが十分に回復していないため、神経細胞の活動が弱い状態が続いている

⑸ それまで投与されていた鎮静剤の影響が残っている

⑹ 集中治療室などの特殊な環境のストレスで精神が混乱している

このようなさまざまな原因が考えられます。

いずれにせよ時間が経てば、少しづつ落ち着いてくる場合がほとんどです。

目が覚めた直後に、多少混乱して、訳の分からない事をしゃべっていても、あまりショックを受ける必要はありません。

あとになれば落ち着いてくると信じましょう。

 

水を飲みたいと頼まれたら!

意識が戻って、わりあい早い段階で、患者さんは水を飲みたがる場合があります。

この場合、ご家族としてはすぐに飲ませてあげたいところです。

しかし脳卒中の場合、飲み込みをするための筋肉や神経が麻痺していて、嚥下障害になっている可能性があります。

勝手に水を飲ませてしまうと、その後で誤嚥性肺炎になったりする場合があります。

ですから患者さんが水を飲みたいと言った場合、すぐに飲ませては行けません。

まずは担当の看護師さんに言って、主治医の先生の許可をもらうようにしましょう。

患者さんがたとえ水を飲みたがっていたとしても、それは単に喉の周囲が乾燥していて不快だからです。

水分は点滴によって、お医者さんがキチンと管理していますから、無理に口から補給する必要はありません。

口から水を飲ませなくても、血管から直接補っていますから、脱水症状にはなりません。

安心してください。

 

トイレに行きたいから連れて行ってと頼まれたら!

患者さんが意識が戻った時には、倒れてから長い時間が経過しています。

とうぜんトイレにも行きたくなるはずです。

しかしだからと言って、この場合も、勝手にご家族だけでトイレに連れて行ってはいけません。

患者さんは、まだ意識が回復したばかりで、体のバランスを取ることが出来ません。

このような状態で、車椅子に乗せたり、車椅子からトイレの便座に移動させることは、私たちベテランの専門家でも、けっこう気を使います。

ましてや素人のご家族が介助して、意識が戻ったばかりのフラフラの状態の患者さんを、トイレの便座に座らせることは、とても危険なことだと思ってください。

入院の初期に、ご家族が勝手にトイレに連れて行って、転倒して骨折するなどの事故は、良く起こることです。

確かにオムツで用を足したり、ベッドで排泄を行うことは、プライドを傷つけられる行為です。

でもそれでも主治医の先生の許可が出るまでは、トイレについては、その都度、ナースコールで看護師さんを呼ぶようにしてください。

くれぐれも勝手にトイレに連れていかないようにお願いします。

 

麻痺側の手が体の下敷きにならないように注意してあげてください!

脳卒中は片麻痺になります。

これは左右いずれかの、片側の手足が麻痺して動かせなくなる事をいいます。

一般的に脳卒中の片麻痺は、痙性麻痺と言って、麻痺側の手足がこわばります。

でも倒れたばかりの頃の手足の麻痺は、弛緩性麻痺と言って、ブラブラに力が抜けた状態になっています。

そして感覚障害もあるために、患者さんは、ご自分の麻痺側の手がどこにあるかも分からずに、手を意識しなくなっています。

この状態で、患者さんが寝返りをしようとすると、どうなるでしょう?

長いこと仰向けに寝ていると、背中や腰が痛くなるために、どうしても寝返りをしたくなります。

しかし患者さんは麻痺があるために、上手に寝返りをすることができません。

そこで麻痺していない健側の手で、ベッド柵に必死にしがみついて、なんとか横になろうと頑張ります。

しかしこの時に、麻痺側の手がブラブラで動かないことは、あまり意識していないのです。

そして中途半端に寝返ろうとして、上手くできなくて、諦めて仰向けに戻った時には、麻痺側の手が、体の下敷きになっています。

そうなっても、手が麻痺しているので、患者さんは気がつきません。

そのまま放っておくと、麻痺側の肩関節が無理なストレッチを受けて、痛めつけられてしまい、肩関節が半分抜けかけた『亜脱臼』の状態になります。

『亜脱臼の患者さんの肩関節』

麻痺側の肩関節が、この『亜脱臼』になると、元に戻すことは、本当に大変です。

肩に強い炎症や痛みが出る場合もあります。

また『亜脱臼』がある状態では、肩関節が安定しないため、肩を動かすことも難しくなり、その後の手の麻痺の回復にも、大きな影響を与えてしまいます。

患者さんの意識が戻って、モゾモゾしだしたら、三角巾などを使って、一時的に麻痺側の手を胸の前に固定するようにしましょう。

三角巾の固定は、ずっと続ける必要はありません。

手の麻痺のブラブラがなくなって、筋肉に緊張が出てくるまでで大丈夫です。

また常に三角巾をつけ続ける必要もありません。

夜寝る時や、昼間でもベッドで横になる時につければ十分です。

車椅子で座っている時などは、車椅子に移る時には、三角巾をつける方が良いですが、座ってしまえば、外してもかまいません。

この肩関節の『亜脱臼』の予防はとても大切ですので、よろしくお願いします。

 

意識が戻った時に性格が変わっていたら!

脳卒中になると、手足の麻痺だけでなく、性格が変わってしまう場合があります。

そもそも病気で入院していると、自由にならないことがとても多いため、イライラすることが多くなります。

将来の不安もあるでしょう。

これは患者さん本人だけでなく、介護しているご家族も同様だと思います。

しかしそう言った状況をふまえても、脳卒中の症状として、性格が変わってしまう場合があります。

これは脳の神経回路が、脳卒中によって変化してしまい、感情をコントロールする機能などが、障害されたためで、一般的には、ワガママになったり、怒りっぽくなったり、逆にウツっぽくなって落ち込んだりします。

この時に、介護されているご家族も、介護の疲れや、いろいろな手続きなどで、疲れているために、カッカしてしまいがちです。

しかしこの性格変化は、脳卒中という病気の症状で起きています。

風邪をひいてしまえば、熱が出ますけれど、自分の力で、熱を下げることはできませんよね。

キチンとした治療が必要です。

同じように、脳卒中の性格変化も、シッカリとした治療が必要なものなのです。

自分も介護で疲れているのに、本人がワガママだと、イライラしてしまいがちですが、これは病気のせいでそうなっている事を理解して、冷静に対処していただければと思います。

 

急性期病院の入院期間は平均で2週間程度です!

脳卒中で倒れて、最初に入院して急性期の治療を受ける、総合病院などの急性期病院の入院期間は、平均で2週間程度です。

家族の方からしたら、脳卒中で倒れて、まだ手足もよく動かせないのに、退院だなんて理不尽だと思われるかもしれません。

しかしその後のリハビリテーションを中心としたケアは、「リハビリテーション病院」に転院して受けることになります。

しかしリハビリテーション病院といっても、沢山ありますし、病院の空き状況によっては、希望する病院に入れない場合があります。

ですから脳卒中で倒れた場合には、できるだけ早く、次のリハビリテーション病院を探しておくことが、とても大切になります。

意識も戻っていないのに、リハビリテーション病院を探すのは、おかしいと思うでしょう。

でもね、どうせ結局はリハビリテーション病院に転院するのです。

だってまさか2週間後に、自宅に退院するわけではないですよね。

まれに軽症の方で、そういう方もおられますが。

ほとんどの方は、リハビリテーション病院へ転院することになります。

ですから早めに探しておくことに越したことはありません。

 

次回は、リハビリテーション病院について解説したいと思います。

あなたにはどんなリハビリテーション病院が合っているのでしょう?

そしてリハビリテーション病院でリハビリを受ける上での注意点には、どんなものがあるのでしょうか?

その辺りについて解説を行いますのでよろしくお願いします。

 

最後までお読みいただきありがとうございます

 

 

 

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