予想以上に太っていた現代アメリカ人
約20年前に、私が米国に留学した時、あちらのアメリカンな方々が、あまりにお太りあそばしているのを見て、本当にびっくりしました。
20代になったばかりの女子大生が、まるっきりの中年太りになっていて、クラスメイトの女の子たちを、私はずっとおばさんだと思い込んでいました。
しかし入学から1年以上経って、彼女たちが、みんな21歳くらいと聞いた時には、本当に腰が抜けるほど驚きました。
あちらでは女性に年齢を聞くことは、マナー違反なので、ずっと聞きそびれていたのですね。
大学の寮に、ひとり車椅子に乗った学生がいて、僕は彼が何かの神経学的な病気かと思い、密かに同情していたのですが、ある日トイレで歩いている彼を見たのです。
いつもは車椅子に座っていたので、気がつかなかったのですが、とにかく太っていて、下半身にダブダブの肉が垂れ下がっていました。
彼は重そうにしながら、ヨタヨタ歩いていましたが、歩き方のどこにも神経症状らしきものは、見当たりませんでした。
彼は、太りすぎで、歩くと膝関節が壊れてしまうために、車椅子を使っていたのです。
本当にアメリカ人の太りっぷりには、驚かされます。
あちらのアクション映画には、スタイルの良い、小ざっぱりした男女が、キラキラと走り回っているので、アメリカはそういう国だと思い込みがちです。
でも実際に行ってみると、あれはファンタジーなのだと、映画とは夢の世界を描いているのだと、良く理解できます。
アレはアメリカ人の理想の姿であって、現実の姿ではないのです。
まあそうは言っても、最近の日本人も、なかなか立派になってきています。
なぜ現代の先進国の人間は、必要のない栄養、過剰なカロリーまで、ガツガツ貪るように食べてしまうのでしょう?
本来であれば、不必要な栄養は、私たちの身体が求めないため、過剰な食事を摂る必要がないはずなのです。
でも現実問題として、私たち先進国の人間は、ガツガツ貪って、ブクブク太っています。
テレビで、アフリカのマサイ族の、すらっとしたスタイルの良い姿を見て、ため息をついているのは、私だけではないはずです。
でもマサイ族とは、遺伝子が違うから仕方がない。
そう思いますよね。
確かに体型なんかは、そう言った傾向があるかもしれません。
しかし、最近の研究で、私たちがブクブク太るまで貪り食う原因が分かってきたのです。
それは私たち先進国のライフスタイルが原因だったのです。
もっと言えば、食事と睡眠です。
腸内フローラ(マイクロバイオータ )の乱れが肥満や万病の原因です!
私たちの大腸には約100兆個~1000兆個の腸内細菌(常在菌)が住んでいます。
私たちはこの腸内細菌たちと共生関係にあります。
つまり腸内細菌は、私たちの食べた食事から栄養を取り、それを発酵分解することで、私たちが自分では作れない、貴重な栄養素を作ってくれているのです。
私たちが食べた食事は、胃と小腸で、そのほとんどが消化吸収されます。
しかし食物繊維(多糖類・難消化性デキストリン)などは、私たちは、自力では消化吸収できません。
私たちの食べた、食事に含まれる食物繊維は、胃や小腸では消化吸収できずに、大腸に送られていきます。
そこで大腸で待ち受けていた、腸内細菌が、この食物繊維を発酵・分解して、自分たちのエネルギーに変えます。
この発酵・分解の結果、生み出される様々な代謝産物(例えば短鎖脂肪酸など)が、私たちの生命維持に欠かせない、貴重な栄養素になるのです。
ですから腸内細菌の作り出す、様々な栄養素が不足すると、私たちは様々な病気になります。
自閉症やアレルギーが増えたのも食事の変化による腸内フローラの乱れです!
例えば、赤ちゃんの腸内細菌が、うまく働かないと「自閉症」や「発達障害」になる可能性があります。
最近は、帝王切開で生まれ、生まれてすぐに抗生剤を投与され、母乳なしで育つ赤ちゃんが多いため、赤ちゃんの腸内細菌が十分に育たないため、赤ちゃんの脳神経が十分に発達しないのです。
じつは腸内細菌の作る栄養素は、私たちの脳の神経細胞の発達も促しています。
また腸内細菌が作る栄養素が不足すると、私たちの免疫が暴走して、「慢性関節リウマチ」などの自己免疫疾患になったり、「多発性硬化症」などの神経難病になる可能性があります。
腸内細菌が作り出す、短鎖脂肪酸が、Treg細胞などの、免疫機能を調節する細胞を増やして、活性化しますから、短鎖脂肪酸が不足すると免疫が暴走してしまいます。
免疫細胞が暴走すると、免疫細胞は、自分の関節の組織や、脳神経細胞を攻撃し始めてしまうのです。
アレルギーも悪化します。
また腸内細菌が作る栄養素が不足すると、セロトニンやメラトニンなどの、神経伝達物質を作るための材料も不足しますから、「うつ病」や「睡眠障害」になります。
またTMAOなどの、体に害を及ぼす物質が増えますから、「脳卒中」や「心筋梗塞」のリスクも高まります。
そしてあなたはいつまでも食べることが止められなくなり、メタボ体型になるのです。
腸内フローラ(マイクロバイオータ )が乱れると食べるのをやめられない!
ちょっとアフリカの原住民の食事を想像してみてください。
彼らは農耕をしませんから、木の実などを採取して食べています。
また植物の茎や、根などを掘ったりして食べています。
これらの彼らの主食には、大量の食物繊維が含まれています。
彼らの1日の食物繊維の摂取量は、およそ100g~150gと言われれています。
それに対して、先進国の世界経済第3位の日本に住む、私たちの食生活はどうでしょう?
例えば、昔は玄米を食べていましたが、いまはほとんどが白米です。
玄米には食物繊維が含まれていますが、白米にはゼロです。
うどんも食物繊維はゼロです。
蕎麦も10割蕎麦や二八蕎麦なら、食物繊維はありますが、最近は偽物も多く出回っていますね。
野菜の摂取量は、ドンドン減っており、代わりに野菜ジュースを飲んでいます。
この工場で濃縮還元加工された野菜ジュースは、野菜風味ジュースであり、食物繊維はまったく含まれていません。
ですから私たち先進国の食事には、食物繊維はほとんど含まれていないのです。
先進国の人々の食物繊維の摂取量は、およそ1日10gまで減ってきています。
ですからあなたの大腸に住んでいる、大切な腸内細菌たちは、常に飢えに苦しんでいるのです。
そして腸内細菌には、もうひとつ特技があります。
腸内フローラの出すメッセージ物質があなたを暴食に走らせます!
それは腸内細菌が、メッセージ物質を出して、脳に直接命令を出せるということです。
つまりあなたの身体からは、「もう栄養が十分です」と連絡がきていても、あなたの腸内細菌からは「もっと食べないと死んじゃうよ」と連絡がバンバン来ているのです。
そうするとあなたの脳は、腸内細菌が死んでしまうと、自分も危ないことを知っていますから(たとえあなたが知らなくても)、一生懸命に食べ続けることになります。
しかしその時に、あなたが食べている食事には、食物繊維は含まれていませんけどね www
食事の内容を見直さない限り、あなたは永遠にむさぼり食らう運命なのです。
睡眠不足が肥満を生みます!
もうひとつついでに睡眠のこともお話ししておきます。
私たち日本人の平均睡眠時間は、およそ6時間30分です。
これは北欧などの人達に比べて、約1時間少なくなっています。
またストレスなどにより、私たちの睡眠の質も低下しています。
じつは睡眠不足になると、脳に送られる栄養素である、グルコース(糖分)が少なくなることが分かっています。
そうなると脳はエネルギーが不足して、ボーっとしてしまい、判断力が低下します。
そこで脳は、手っ取り早く甘いものを食べて、血液中の血糖値を上げようとします。
血液中の血糖値が、急激に上昇すれば、それだけ脳に届くグルコース(糖分)も増えるという計算です。
あなたが睡眠不足で疲れを感じている時、ついつい甘いケーキや、お菓子をバクバク食べて、あとで後悔するのは、こういう仕組みによるのです。
あとで気がつくのは、その時にようやく脳がエネルギーを十分にえて、正常に判断力が戻ったからですね。
睡眠不足になると、判断力が低下しますから、要注意です。
もしこんな生活が毎日続いてしまっていたら、あなたは糖尿病になってしまいますし、肥満にもなりますね。
まあロクなことにはなりません。
そろそろ食生活と睡眠を、キチンと見直してみませんか?
最後までお読みいただきありがとうございます。