前回の上級編で練習したことは!
前回の最新の脳卒中片麻痺に対する歩行リハビリの実技(上級編)では実際の歩行パターンをリラックスした状態で行いながら、音や光の変化によって歩行パターンを切り替える練習を行い、大脳皮質と視床と大脳基底核の運動コントロールの閉鎖回路の機能を高めることで、スムースな歩行運動を獲得するための練習を行いました。
今回は応用編を練習します!
皆さんは実際に屋外などを歩くときにはどうしますか? 一般的にはT字杖をつく場合が多いのではないでしょうか。 そこで今回は応用編として、実際にT字杖をついて歩く場合のリラックスしてリズミカルな歩行パターンの練習を行いたいと思います。 T字杖をついた歩行と聞いて、「T字杖をついた歩行ならいつもやってるよ」と思われる方もおられると思います。 しかし実際に杖をついて歩くと、普通に二本足で歩くのとは異なり、杖がある分、リズムが取りづらく、自然でリラックスした歩行パターンを行うのは至難の技なのです。 今回は単にT字杖をついて歩くということではなく、T字杖をついた状態でもリラックスして自然なリズムに乗って歩くことができるようになるための練習を行います。
最新の歩行リハビリの実技: 応用編
実際にT字杖を持った状態でスリングを使ってスムースな杖の振り出しを練習します。 杖の振り出しにスリングを併用する理由は、スリングを使うことで、振り子の原理により、一定の振り出しスピードと振り出し幅が保たれた状態で、リズミカルな杖の振り出しと歩行が可能になるためです。
1. スリング(犬のお散歩用リード)を活用したT字杖をついたリズミカルな歩行練習 ①
リスク
小脳性運動失調のある方はこの運動はできません!
必要な機材
中型~大型犬用のお散歩用リード(2本)
運動時間
10分 ~ 15分
スリングの設置と設定
① 部屋の鴨居などに L字型のフックを 60 cm 間隔で2個並べてつけてください。 そこから中型~大型犬用のお散歩用リードを垂らして、持ち手側の輪を下になるようにします。
(L字型フックを設置します)
(フックにリードの金具を引っ掛けます)
(リードの長さを調整する方法)
(犬用のお散歩用リードを垂らします)
②
② 垂らしたリードの少し後ろに杖を持つ健側の手がリードの腕輪にかかるように立ち、背筋をキチンと伸ばします。 そして先ず健側の手首をリードの腕輪に通してリードの紐をつかみます。 さらにその手でT字杖を持ちます。
(健側の手首をリードに通し)
(健側の手でリードをつかみます)
(さらに健側の手でT字杖を持ちます)
(左右の足を肩幅に開いて立ちます)
※ 今回は右片麻痺の設定です!
1. スリング(犬のお散歩用リード)を活用したT字杖をついたリズミカルな歩行練習 ①
リスク
小脳性運動失調のある方はこの運動はできません!
必要な機材
中型~大型犬用のお散歩用リード(1本)
L字型のフック(1個)
T字杖(いつもお使いのもの)
運動時間
10分 ~ 15分
① まずはT字杖を持った健側の手と麻痺側の足を同時に前に振り出します。 そして杖をつく位置と麻痺側の足をつく位置は、横の線上に並ぶようにつくことを意識して気をつけて行ってください。
(開始姿勢)
(T字杖を持った健側の手と麻痺側の足を揃えて前に振り出します)
(T字杖をつく位置と麻痺側の足をつく位置は揃えるようにします)
② そして麻痺側の足に腰から体重を掛けていきます。 この時上半身は左右の肩の位置を揃えて、背筋を伸ばすように気をつけて下さい。
(麻痺側の腰から麻痺側の足に体重をかけるように踏み込んでいきます)
③ 健側の足を麻痺側の足と揃えるように前に振り出します。
(健側の足を麻痺側の足と揃えるように振り出します)
④ 健側の足に腰から体重を移動します。
(健側の足に体重を移動します)
⑤ 麻痺側の足に体重を戻します。
⑥ 健側の足を一歩後ろに引きます。
(健側の足を一歩後ろに引きます)
⑦ 健側の足に体重を移動します。
(健側の足に体重を移動します)
⑧ 健側の手に持ったT字杖と麻痺側の足を揃って後ろに一歩振り出します。
( 健側の手に持ったT字杖と麻痺側の足を後ろに振り出します)
⑨ 再度T字杖を持った健側の手と麻痺側の足を同時に前に振り出します。
(再度T字杖を持った健側の手と麻痺側の足を同時に前に振り出します)
⑩ この一連の動作を繰り返し10分~15分程度行います。 動作はなるべくリズミカルに連続的に行うように注意してください。
2. スリング(犬のお散歩用リード)を活用したT字杖をついたリズミカルな歩行練習 ②
リスク
小脳性運動失調のある方はこの運動はできません!
必要な機材
中型~大型犬用のお散歩用リード(1本)
L字型のフック(1個)
T字杖(いつもお使いのもの)
運動時間
10分 ~ 15分
① まずはT字杖を持った健側の手と麻痺側の足を同時に前に振り出します。 そして杖をつく位置と麻痺側の足をつく位置は、横の線上に並ぶようにつくことを意識して気をつけて行ってください。
(開始姿勢)
(T字杖を持った健側の手と麻痺側の足を揃えて前に振り出します)
(T字杖をつく位置と麻痺側の足をつく位置は揃えるようにします)
② そして麻痺側の足に腰から体重を掛けていきます。 この時上半身は左右の肩の位置を揃えて、背筋を伸ばすように気をつけて下さい。
(麻痺側の腰から麻痺側の足に体重をかけるように踏み込んでいきます)
③ 健側の足を麻痺側の足より一歩前に振り出します。
(健側の足を麻痺側の足より一歩前に振り出します)
(健側の足の振り出し位置)
④ 健側の足に腰から体重を移動します。
(健側の足に体重を移動します)
⑤ 麻痺側の足に体重を戻します。
⑥ 健側の足を一歩後ろに引きます。
(健側の足を一歩後ろに引きます)
⑦ 健側の足に体重を移動します。
(健側の足に体重を移動します)
⑧ 健側の手に持ったT字杖と麻痺側の足を揃って後ろに一歩振り出します。
( 健側の手に持ったT字杖と麻痺側の足を後ろに振り出します)
⑨ 再度T字杖を持った健側の手と麻痺側の足を同時に前に振り出します。
(再度T字杖を持った健側の手と麻痺側の足を同時に前に振り出します)
⑩ この一連の動作を繰り返し10分~15分程度行います。動作はなるべくリズミカルに連続的に行うように注意してください。
※ 今回の運動の目的は、杖の振り出しや足の振り出しを一定の幅とリズムに統一して行い、安定した歩行パターンを獲得することにあります!
3. 実際の屋外でのT字杖歩行練習
リスク
小脳性運動失調のある方はこの運動はできません!
実際のT字杖歩行が自立している必要があります!
必要な機材
T字杖(いつもお使いのもの)
運動時間
10分 ~ 15分
① スリングで練習した時のイメージを思い浮かべながら、健側に持ったT字杖を麻痺側の足と同時に前に振り出します。 この時、杖をつく位置と麻痺側の足をつく位置が横線上で揃っていることと、常に同じ振り出し幅でT字杖と麻痺側の足を振り出せるように意識してください。
(開始姿勢)
(T字杖と麻痺側の足を振り出します)
② ついで麻痺側の足に腰から体重を移動します。
(麻痺側の足に腰から体重移動します)
③ さらに健側の足を前に振り出します。 この時T字杖と麻痺側の足をついた位置より、横線上で健側の足が前に来るように気をつけて下さい。 そして健側の足の振り出し幅は常に一定になるように気をつけて行ってください。
(健側の足を前に振り出します)
(健側の足の振り出し位置)
④ ついで健側の足に腰から体重を移動します。
(健側の足に体重移動します)
⑤ さらに健側の手に持ったT字杖と麻痺側の足を一歩振り出します。 この時、杖をつく位置と麻痺側の足をつく位置が横線上で揃っていることと、常に同じ振り出し幅でT字杖と麻痺側の足を振り出せるように意識してください。
(T字杖と麻痺側の足を振り出します)
⑥ この動作を繰り返して歩行を行います。 なるべく歩行はリラックスして力まないように気をつけて行ってください。
※ これらの歩行練習を繰り返し行って、身体に運動パターンを染み込ませて、常に足元を見て力まなくても、リラックスして歩けるように練習を繰り返してください。
最新の歩行リハビリの実技: 応用編は以上です。
次回からは
「最新の脳卒中片麻痺に対する振動セラピーで驚くほど痙性が軽くなる」
についてご説明します。
最新の脳科学に基づく脳卒中片麻痺の回復に関する記事はこちら
「脳卒中片麻痺を治す最新の脳科学に基づく脳卒中ニューロリハビリテーションの在宅での実施方法」
最後までお読みいただきありがとうございます
注意事項!
この運動は、あなたの身体状態を評価した上で処方されたものではありません。 ご自身の主治医あるいはリハビリ担当者にご相談の上自己責任にて行ってくださるようお願い申し上げます。
脳卒中片麻痺の自主トレテキストを作りました!
まずは第一弾として皆様からご要望の多かった、麻痺側の手を動かせるようにしたいとの声にお応えするために、手のリハビリテキストを作りました。
手の機能を改善させるための、ご自宅の自主トレで世界の最先端リハビリ手法を、手軽に実践する方法を解説しています。
超音波療法や振動セラピー、EMS療法による神経促通など、一般病院ではまず受けられないような、最新のリハビリアプローチが自宅で実行できます。
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