最新の脳卒中片麻痺に対する振動セラピーで驚くほど痙性が軽くなる
皆さんは振動セラピーをご存知ですか?
皆さんは振動セラピーをご存知でしょうか。 私も念のためにネットで検索してみましたが、ほとんど情報がない様子で、何か得体の知れないマルチまがいのセミナー辺りが検索に引っかかる始末でした。 なぜ始めにこんなことを申し上げるかというと、この振動セラピーは脳卒中片麻痺に関してはまだほとんど活用されておらず、その効果についても確立された見解があるわけではありません。
しかし10年以上も前から、振動をリハビリテーションに利用することは検討されていて、昭和大学理学療法学科の宮川教授が1993年頃にAARC(米国呼吸療法学会)で発表された、前胸部への振動刺激による慢性呼吸不全の呼吸困難感の軽減効果や帝京平成大学の辻教授のマイオバイブによる筋硬結に対するマイオセラピーも振動による筋に対する緊張抑制効果を利用したものです。
またヨーロッパでも北欧のレッドコードによるスリングセラピーに振動療法を加えることで、筋緊張を容易にコントロールできることが分かってきています。
私も数年前から振動セラピーを脳卒中片麻痺のリハビリテーションに取り入れて試験的に行っており、今回は私が実際の臨床で試してみて効果が感じられた方法に関してご紹介していきたいと思います。
振動セラピーの効果について!
では実際の脳卒中片麻痺に対する振動セラピーの効果にはどの様なものが期待できるのでしょうか。
これからご説明したいと思います。
脳卒中片麻痺に対する振動セラピーの効果については以下の2点です!
-
物理的に筋線維に対して刺激が加えられることによる効果
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筋紡錘やゴルジ腱器官などに対する刺激により体性感覚が刺激されて起きる効果
の2点に分けられると考えています。
物理的な筋線維への効果について
まずは物理的に筋線維に対して加えられる刺激による効果ですが、これは筋線維と筋肉の構造について考えれば理解が容易になると思います。
身体の運動に関する骨格筋は横紋筋と呼ばれ、筋原繊維という収縮をするための細い繊維がいくつも集まって筋線維を形成しており、それが筋膜に包まれています。
ですから簡単に筋肉の構造を説明すると、細い素麺のような繊維が袋に詰められた状態になっています。 そしてその筋線維が収縮することで関節を動かすのですが、筋線維が収縮することで全体的に線維が太くなります。
そして筋膜の袋の中でお互いに圧迫し合います。 この圧によって筋肉内の静脈血やリンパ液が流れていくのです。
しかしこの筋収縮が健全に行われているうちは大丈夫なのですが、筋肉や脳卒中による痙性麻痺などにより持続的に緊張するようになると、常に筋膜の中で筋線維に対する圧迫が起きて、筋肉への血液の流れが滞ってしまい、筋肉に十分な酸素や栄養がいかなくなってしまいます。
この結果、筋線維内に筋硬結という小豆粒ぐらいの固い強張りができて、筋緊張を高め、筋肉の運動を阻害したり、痛みの原因になったりします。
振動刺激を筋肉に加えることで、この筋肉の血液やリンパ液の流れを改善して、筋肉の緊張を和らげることが可能になります。
今までの臨床経験から、脳卒中片麻痺の麻痺している手足の筋肉のこわばりは、痙性麻痺による緊張だけでなく、そのほとんどは筋肉への血流障害などによる筋のコンディション障害であることが分かってきています。
振動セラピーによって麻痺側の手足の筋肉の余計な緊張を取り除くことで、効果的な神経促通運動などが可能になります。 私も自分で試してみましたが、振動セラピーによる10分程度の運動で驚くほど肩こりや首筋の痛みが良くなって驚いた経験があります。
体性感覚に対する効果と神経促通運動について
また最近の研究で、筋肉の感覚センサーである筋紡錘やゴルジ腱器官などに振動刺激を加えながら運動することで、体性感覚を刺激して、より手足の運動信号が大脳に伝わりやすくなることが示唆されています。
ですから振動セラピーは、脳卒中片麻痺の筋肉の痙性を和らげるだけでなく、実際の脳卒中片麻痺に対する神経促通運動を行う場合にも、振動を加えることで、運動の促通効果が高められることが期待されています。
つまり麻痺している手足を動かせるようになるために、大脳の運動野に、麻痺側の手足の運動方法をもう一度覚えさせるための繰り返し運動療法に振動セラピーを組み合わせることで、大脳の運動野により効果的に刺激を伝えることができるため、神経促通運動の効果が高められることが期待できるのです。
脳卒中片麻痺への振動セラピーの効果のまとめ!
- 麻痺側の手足への筋コンディショニングに振動セラピーを併用することで。
- 筋肉への血流改善とリンパ液の還流を高める効果が期待できる。
- 筋肉の緊張を和らげる効果が期待できる。
- 筋肉の痛みを軽くする効果が期待できる。
- 片麻痺に対する神経促通運動に振動セラピーを併用することで。
- 麻痺側の筋肉の運動の状態をより効果的に脳に伝えることが期待できる。
- 麻痺側の関節の運動の状態をより効果的に脳に伝えることが期待できる。
- 神経促通運動の効果をより高めることが期待できる。
自宅での振動セラピーの自主トレには特別な機材が必要なの?
病院のリハビリセンターで振動セラピーを行うためには、大変高価な専門機材が必要になります。 ですが今回は私が必死に知恵を絞って考えた結果、皆さんが自宅での自主トレとして振動セラピーを行うのに、以下に挙げるような簡単な機材のみで振動セラピーが可能になりました。 ご自宅での振動セラピーを行うために必要な機材は以下のようなものです。
振動セラピーに必要な機材
- 中型犬のお散歩用のリード(2本)
- 犬の赤ちゃん用首輪(2個)
- 小型のマッサージ用バイブレーター(2本)
- L字金具(2個)
- 小型のカラビナ(2個)
- タコ足配線用の電源タップ(1個)
必要な機材は以上です。 さああなたも今すぐ家電量販店とホームセンターにゴー!
ご自宅での設置方法は以下を参考にしてください。
スリングの設置と設定
① 部屋の鴨居などに L字型のフックを 90 cm 間隔で2個並べてつけてください。 そこから中型~大型犬用のお散歩用リードを垂らして、持ち手側の輪を下になるようにします。
(L字型フックを設置します)
(フックにリードの金具を引っ掛けます)
(リードの長さを調整する方法)
(犬用のお散歩用リードを垂らします)
(赤ちゃん子犬用の首輪を用意します)※ 首輪周り10〜15 cm用
(首輪を台紙から外して付属の鈴を取ります)
(首輪のサイズを一番小さくなるように調節します)
(小さめのカラビナを用意します)
(カラビナと犬の首輪を繋げます)
(小型のバイブレーターを用意します)※ バイブレーターはもっともオーソドックスな小型の物をご用意ください!
(バイブレーターの首の部分に犬の首輪を巻きつけます)
(同じものを2本ご用意ください)
(カラビナを利用してスリングにバイブレーターをぶら下げます)
(二つ並べてぶら下げます)
※ 初期設定は以上です!
このような簡単な設定で振動セラピーが可能です。 そしてその効果は想像以上だと申し上げておきます。 次回から実際の脳卒中片麻痺に対する振動セラピーを併用した神経促通運動のやり方を解説していきますので宜しくお願い致します。
次回は
「脳卒中片麻痺への振動セラピーを併用した上肢機能の神経促通運動」
についてご説明します。
最新の脳科学に基づく脳卒中片麻痺の回復に関する記事はこちら
「脳卒中片麻痺を治す最新の脳科学に基づく脳卒中ニューロリハビリテーションの在宅での実施方法」
最後までお読みいただきありがとうございます
注意事項!
この運動は、あなたの身体状態を評価した上で処方されたものではありません。 ご自身の主治医あるいはリハビリ担当者にご相談の上自己責任にて行ってくださるようお願い申し上げます。
脳卒中片麻痺の自主トレテキストを作りました!
まずは第一弾として皆様からご要望の多かった、麻痺側の手を動かせるようにしたいとの声にお応えするために、手のリハビリテキストを作りました。
手の機能を改善させるための、ご自宅の自主トレで世界の最先端リハビリ手法を、手軽に実践する方法を解説しています。
超音波療法や振動セラピー、EMS療法による神経促通など、一般病院ではまず受けられないような、最新のリハビリアプローチが自宅で実行できます。
現在の日本国内で、このレベルの在宅リハビリは他にはないと思います。
そしてこのプログラムは施設での実施にて、すでに結果が認められています。
あとは皆さんの継続力だけですね。
テキストは電子書籍になっており、インフォトップと言う電子書籍の販売ASPからのダウンロードになります。
全180ページに数百点の写真と3D画像などで分かりやすく解説しています。
コピーが容易な電子書籍の性格上、少し受注の管理やコピーガードなどが厳しくなっていますが、安全にご利用いただくためですの、ご容赦くださいね。
ぜひ一度お試しください。