脳卒中片麻痺の上肢と手指の動作のリズム感覚を取り戻す方法!
はじめに
麻痺側の手を上手に動かせるようになるためにはリズム感覚が必要です!
実は手を上手に動かすためにはリズム感覚が必要不可欠なのです。
これはどういうことかというと、別に音楽を聴いて踊りながら運動するというような話ではありません。
例えば歩いている時に、何かの拍子に歩行のリズムが崩れるとつまづいてしまいますし、料理をしていて、腕を動かすリズムが狂うと包丁で手を切ってしまいます。
つまりは私たちが歩いたり手を動かしたりといった、動作を行う時には、必ずまっすぐに立っている状態から、左右の足に体重を移したり、手を重心から遠くに伸ばすことで、バランスが崩れます。
ですからそのバランスを上手く保って運動を続けるために、手を動かす場合には、手の動きと肩や腰や足の動きを、調子を合わせて行わないと、バランスが崩れて、力んだり、ギクシャクしたりしてしまいます。
大脳基底核ー視床の運動コントロール回路
このリズム感を調節して、バランスを整えて、力まないスムースな運動を行うための、重要な神経回路が、大脳基底核ー視床の運動コントロール回路になります。
しかし脳卒中の多くの場合は、この大脳基底核ー視床の運動コントロール回路がいくらかは障害されていることが、ほとんどです。
ですから皆さんの動作には何がしかのリズムの障害があり、動作の力みやぎこちなさが認められているのです。
リズム感を取り戻す運動は他にも効果が期待できます!
大脳基底核ー視床の運動コントロール回路にはリズムの調整の他に、熟練した動作のコントロールや、素早い状況判断から動作の切り替えを行うなどの機能があります。
ですから、じっくりと腰を据えてリズム感を取り戻すための運動練習を行うことで、大脳基底核ー視床の運動コントロール回路の機能が高められていくことで、他の重要な動作の獲得や熟練がやりやすくなり、よりスムースで力まない運動が行えるようになります。
例えば、歩いていて、椅子に座ろうとした途端に、椅子の数歩手前で、腰をかがめて歩けなくなってしまう方がおられます。
これは決してバランスが悪いからでも、早く座りたいからでもありません。
これは大脳基底核ー視床による、視覚などの感覚情報と運動の統合と調整の機能が低下しているために起こっている現象です。
視覚の情報で、椅子を見た途端に、きちんと座る動作を調整できずに、いきなり腰をかがめてしまい、そのままグダグダになってしまうのです。
脳卒中片麻痺の運動障害には、多かれ少なかれ、このような運動コントロールの障害が潜んでいるものです。
脳卒中片麻痺の上肢のリズム感覚を取り戻す運動方法
(※ 今回は右片麻痺の設定で解説します!)
スリングの設置
2本のリードを90cm間隔でぶら下げます。
垂らした2本のリードの真ん中で 30cm後ろに椅子を置きます。
椅子の座面の 2/3 辺りにやや浅めに腰掛け骨盤を真っ直ぐに起こすようにして背筋を伸ばして座ります
まずは麻痺側の手をリードに通し
リードを手のひら側に回したら麻痺側の手の中にリードを入れて握るようにします。
ついで健側の手をリードに通し
リードを手のひら側に回したら健側の手の中にリードを入れて握るようにします。
リードを持った時の手の高さは軽く肘を曲げて持った時に、だいたい肩の高さくらいになるように調節します。
両手を体の両脇に自然に垂らしておきます。
両肘を下に向けて降ろしておき、出来るだけ両腕から力を抜いておきます。
リードを持った時の手の高さは軽く肘を曲げて持った時に、だいたい肩の高さくらいになるように調節します。
まずは麻痺側の肩を前に突き出しながら健側の肩を後ろに引く運動をします
腕にはあまり力を入れないように気をつけながら、麻痺側の肩を前に突き出していきます。
同時に健側の肩を後ろに引いていきます。
運動のポイント
この時に顔を動かさないように気をつけてください。
この運動中に顔は常に正面を向けておきます。
ついで健側の肩を前に突き出しながら麻痺側の肩を後ろに引く運動をします
腕にはあまり力を入れないように気をつけながら、健側の肩を前に突き出していきます
同時に麻痺側の肩を後ろに引いていきます。
運動のポイント
この時に顔を動かさないように気をつけてください。
この運動中に顔は常に正面を向けておきます。
この運動をスリングの振り子のリズムを利用しながら力まずにリズミカルに30回繰り返します。
※ これらの運動を行う上で常にリードの弛みができないように注意してください
※ あくまでも運動はリードの揺れに合わせる形で、なるべくリラックスしながら行います
※ 運動自体は決して力まずに左右の運動をスリングの揺れに合わせて、同じリズムと力加減で行うようにします
最後までお読みいただきありがとうございます。
注意事項!
この運動は、あなたの身体状態を評価した上で処方されたものではありません。 ご自身の主治医あるいはリハビリ担当者にご相談の上自己責任にて行ってくださるようお願い申し上げます。
こちらもお読みください!
脳卒中片麻痺の自主トレテキストを作りました!
まずは第一弾として皆様からご要望の多かった、麻痺側の手を動かせるようにしたいとの声にお応えするために、手のリハビリテキストを作りました。
手の機能を改善させるための、ご自宅の自主トレで世界の最先端リハビリ手法を、手軽に実践する方法を解説しています。
超音波療法や振動セラピー、EMS療法による神経促通など、一般病院ではまず受けられないような、最新のリハビリアプローチが自宅で実行できます。
現在の日本国内で、このレベルの在宅リハビリは他にはないと思います。
そしてこのプログラムは施設での実施にて、すでに結果が認められています。
あとは皆さんの継続力だけですね。
テキストは電子書籍になっており、インフォトップと言う電子書籍の販売ASPからのダウンロードになります。
全180ページに数百点の写真と3D画像などで分かりやすく解説しています。
コピーが容易な電子書籍の性格上、少し受注の管理やコピーガードなどが厳しくなっていますが、安全にご利用いただくためですの、ご容赦くださいね。
ぜひ一度お試しください。
関連ページ
1. 脳卒中麻痺側の肩関節コアマッスルのリハビリ方法
2. 脳卒中麻痺側の肩関節の安定性と運動機能を高めるリハビリ
3. 麻痺側の肘の運動機能を高めるリハビリ
4. 麻痺側の手首の運動機能を高めるリハビリ
5. 麻痺側の手指の運動機能を高めるためのリハビリ方法
上肢ファシリテーション
1. 脳卒中片麻痺を改善するファシリテーションテクニックについて
2. 脳卒中片麻痺の上肢の全体的な運動ファシリテーション1
3. 脳卒中片麻痺の上肢の全体的な運動ファシリテーション2
4. 脳卒中片麻痺の上肢の全体的な運動ファシリテーション3
5. 脳卒中片麻痺の麻痺側肩の運動を安定させるファシリテーション
6. 脳卒中片麻痺の肘と手首の運動ファシリテーション
7. 脳卒中片麻痺の手指の運動ファシリテーション