はじめに
今回は脳卒中片麻痺のファシリテーション(神経促通)として、麻痺側手指の運動を促通するためのファシリテーションテックニックについてご紹介します。
麻痺側手指のファシリテーションを行うには下準備が必要です
指先の運動に関しては、脳卒中片麻痺では手指の関節の拘縮により関節運動自体が出来なくなっていることが多く、また指を動かす筋肉自体も一つ一つが小さくて緻密な運動をしているせいか、萎縮して動かなくなりやすいようです。
ですから手指のファシリテーション(神経促通)を行うにあたっては、リラックスした緻密な指先の運動を練習するために、それぞれの指の関節と筋肉のコンディションを出来るだけ整えておく必要が有ります。
麻痺側の指の関節と筋肉のコンディショニングは以下を参照して行ってください
参照:5. 麻痺側の手指の運動機能を高めるためのリハビリ方法
参照:6. 麻痺側の手指を握る筋肉が緊張して指を握ってしまっている場合のリハビリ
参照:7. 麻痺側の指を握る筋肉が緊張して指を握りこみ関節が固まっている場合のリハビリ
参照:8. 麻痺側の手の指が開いた状態で指の関節が固まっている場合のリハビリ
参照:9. 麻痺側の指が開いたまま関節が固まっているが、少しだけだが自力で指の屈伸が出来る場合
それでは手指を動かすためのファシリテーションを行います
リスク
特になし
必要機材
安定した肘掛のない椅子
テーブル
バスタオル
運動時間
15 ~ 20分
運動内容
※ 今回の運動は右片麻痺の設定で解説します!
麻痺側の手指の全体的な屈伸運動
① 安定した肘掛のない椅子にやや浅めに座ります(座面の2/3程度)。 そして骨盤を起こして背筋を伸ばし、両足は肩幅に広げて膝は90° くらいに曲げてしっかりと足の裏を床につくようにして身体を安定させます。
(椅子に座った開始姿勢)
② テーブルの上に畳んでひいたタオルの上に両側の肘をついて安定させます。
(テーブルのタオルの上に両側の肘をおいた状態)
③ 麻痺側の手の掌と健側の手の掌を合わせるようにします。
(両手の掌を合わせた状態)
④ 麻痺側の親指から小指までの指先とその第一関節の辺りに合わせて、健側のそれぞれの指先を添わせるようにして指先を合わせます。
(麻痺側の指先の第一関節のくぼみに健側のそれぞれの指先を沿わせた状態)※ 右手が麻痺側の設定になります。
⑤ 麻痺側の指が曲がっている状態から、健側の指で軽く押すようにして麻痺側の指の動きを解除しながら、麻痺側の指を全体的に伸ばしていきます。
(開始時の指が曲げられた状態)
(中間点まで指が伸ばされた状態)
(完全に指が伸ばされた状態)
⑥ 出来るだけ麻痺側の指を伸ばしたら、今度は再びゆっくりと指を曲げていきます。
(完全に指が伸ばされた状態)
(中間点まで麻痺側の指が曲げ戻された状態)
(開始時の状態まで麻痺側の指が曲げられた状態)
※ この麻痺側の指をまとめて屈伸する運動を、力まずにゆっくりと50回繰り返します。
※ この指の運動は、麻痺側の指を力まずに力を入れながら動かすのを、健側の指で介助しながら行うことに気をつけて、常に麻痺側の指が健康だった頃に自然に指を動かしていた時の運動をイメージしながら行ってください。
麻痺側の親指の屈伸運動
① 安定した肘掛のない椅子にやや浅めに座ります(座面の2/3程度)。 そして骨盤を起こして背筋を伸ばし、両足は肩幅に広げて膝は90° くらいに曲げてしっかりと足の裏を床につくようにして身体を安定させます。
( 椅子に座った開始姿勢)
② 麻痺側の肘をテーブルの上に畳んでひいたタオルの上に置きます。
( テーブルのタオルの上に麻痺側の肘をおいた状態)
③ 先ずは麻痺側の親指の指先を健側の親指と人差し指で挟むようにして持ちます。
(麻痺側の親指を健側の指で挟むように持つ)
④ 健側の指で介助しながら、麻痺側の親指を伸ばしていきます。
(麻痺側の親指を伸ばした状態)
⑤ 次いで麻痺側の親指を、その親指の付け根に向かって曲げていきます。
(麻痺側の親指をその付け根に向けて曲げる)
⑥ 再び麻痺側の親指を伸ばしていきます。
( 麻痺側の親指を伸ばした状態)
⑦ 今度は麻痺側の親指を、小指の付け根に向かって曲げていきます。
(麻痺側の親指を小指の付け根に向けて曲げる)
⑧ 再び麻痺側の親指を伸ばしていきます。
(麻痺側の親指を伸ばした状態)
※ この親指を付け根側と小指側に交互に屈伸する運動を、力まずにゆっくりと50回繰り返します。
※ この指の運動は、麻痺側の指を力まずに力を入れながら動かすのを、健側の指で介助しながら行うことに気をつけて、常に麻痺側の指が健康だった頃に自然に指を動かしていた時の運動をイメージしながら行ってください。
麻痺側の人差し指~小指の屈伸運動
① 先ずは麻痺側の人差し指の指先を健側の親指と人差し指で挟むようにして持ちます。
(麻痺側の人差し指を健側の指で挟むように持つ)
② 健側の指で介助しながら、麻痺側の人差し指を伸ばしていきます。
(麻痺側の人差し指を伸ばした状態)
③ 次いで麻痺側の人差し指を、その人差し指の付け根に向かって曲げていきます。
(麻痺側の人差し指をその付け根に向けて曲げる)
④ 再び麻痺側の人差し指を伸ばしていきます。
(麻痺側の人差し指を伸ばした状態)
⑤ 今度は麻痺側の人差し指を、出来るだけ手首近いところに向かって曲げていきます。
(麻痺側の人差し指を手首に向けて曲げる)
⑥ 再び麻痺側の人差し指を伸ばしていきます。
( 麻痺側の人差し指を伸ばした状態)
⑦ これらの指の運動を、さらに中指、薬指、小指についても同様に行います。
中指のファシリテーション
(麻痺側の中指の伸展運動)
(麻痺側の中指をその付け根に向けて曲げる)
(麻痺側の中指を手首に向けて曲げる)
薬指のファシリテーション
(麻痺側の薬指の伸展運動)
(麻痺側の薬指をその付け根に向けて曲げる)
(麻痺側の薬指を手首に向けて曲げる)
小指のファシリテーション
(麻痺側の小指の伸展運動)
(麻痺側の小指をその付け根に向けて曲げる)
(麻痺側の小指を親指側の手首に向けて曲げる)
※ この運動を、力まずにゆっくりと50回繰り返します。
※ この指の運動は、麻痺側の指を力まずに力を入れながら動かすのを、健側の指で介助しながら行うことに気をつけて、常に麻痺側の指が健康だった頃に自然に指を動かしていた時の運動をイメージしながら行ってください。
今回ご紹介する運動は以上です。 継続は力なりです。 繰り返し頑張ってみてください。
次回は
についてご説明します。
最新の脳科学に基づく脳卒中片麻痺の回復に関する記事はこちら
「脳卒中片麻痺を治す最新の脳科学に基づく脳卒中ニューロリハビリテーションの在宅での実施方法」
最後までお読みいただきありがとうございます
注意事項!
この運動は、あなたの身体状態を評価した上で処方されたものではありません。 ご自身の主治医あるいはリハビリ担当者にご相談の上自己責任にて行ってくださるようお願い申し上げます。
脳卒中片麻痺の自主トレテキストを作りました!
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あとは皆さんの継続力だけですね。
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