神経回路の理解 脳幹歩行中枢と網様体脊髄路+脊髄 CPG回路
はじめに
歩行運動は全身の広範囲にわたる協調運動であり、四肢体幹の屈伸運動や左右の上下肢の交互運動などが協調して行われて達成されます。
歩行の制御は基本的には自動性が高く、普段は歩行運動自体を強く意識されることなく、他の行動に随伴して、定型的な歩行運動パターンを周期的に繰り返すリズム運動をしています。
つまりスマホを操作しながら歩くことができます!
しかし歩行には随意制御も行われており、「歩行の開始」「歩行停止」「方向転換」「障害物回避」などの局面では、大脳皮質からの制御を受けて、随意的な運動を行います。
ですからスマホの操作に大脳皮質の機能を使っていると、危険が回避できません!
さらに「追跡行動」や「逃避行動」などにおける歩行制御には、感情の中枢である扁桃体などの大脳辺縁系からの情動系制御も受けています。
つまり歩行運動の成立には大脳皮質から脊髄までの中枢神経系全般が関与して行われているのです。
今回は歩行運動の自動性に関与する「脳幹歩行中枢」とその神経伝導路である「網様体脊髄路」、およびそれらの支配を受けて自動的な歩行パターンを生成する脊髄のCPG回路の解説を行います。
自動的な歩行運動パターンについて
歩行制御は「歩行の開始」「歩行の停止」「方向転換」「障害物の回避」などを行う、大脳皮質が強く関与して制御される『随意的な歩行制御』と、考え事をしながら歩く時などに見られる、主に脳幹部以下の脊髄までの中枢神経系で制御される『無意識的で自動的な歩行制御』に分けられます。
歩行制御
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大脳皮質による『随意的な歩行制御』
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脳幹部から脊髄での『自動的な歩行制御』
この中で『無意識的で自動的な歩行制御』は脳幹部にあるいくつかの歩行中枢とその支配を受けながら、自動的な歩行パターンを生成する脊髄の各節に分布する神経回路であるCPG回路(Centoral pattern generator for locomotion)が行っています。
そしてその神経伝導路として「網様体脊髄路」と「赤核脊髄路」が挙げられます。
脳幹歩行中枢とは!
歩行中枢は大脳皮質を含む上位脳を除いた除脳ネコによる実験で、電気刺激により歩行運動が誘発できる部位を探すことで同定され、間脳~脳幹~小脳に分布して見つかっています。
歩行中枢の組織学的構成
⑴ ニューロンが集合した神経核
⑵ ニューロンを含まない通過線維束
現在見つかっている歩行中枢には以下のものがあります。
歩行中枢
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中脳歩行誘発野(MLR: mesencephalic locomotor region)
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視床下部歩行誘発野(SLR: subthalamic locomotor region)
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小脳歩行誘発野(CLR: cerebellar locomotor region)
中脳歩行誘発野(MLR)
除脳ネコでの研究では中脳歩行誘発野(MLR)は下丘直下の中脳楔状核に見つかっています。
ヒトの脳においては磁気共鳴機能画像法により歩行の心的イメージ課題の最中に、両側中脳被蓋に BOLD信号の増強が確認され、これがヒトのMLRではないかと言われています。
中脳歩行誘発野の歩行制御の特徴
除脳ネコでの実験において
MLRに刺入された電極への電気刺激強度を徐々に高めるにつれ、歩行周期が徐々に高まり、歩容が大きく変化して、最後は走行になる。
中枢無傷ネコでの実験において
MLRへの電気刺激によって、勢いよく走り出して目の前の障害物を飛び越える。
視床下部歩行誘発野(SLR)
除脳ネコでは外側視床下部に視床下部歩行誘発野(SLR)が見つかっています。
視床下部歩行誘発野の歩行制御の特徴
中枢無傷ネコでの実験において
SLRへの電気刺激によって、頭部を前方に突き出して周囲を警戒しながら、ゆっくり歩きだす。
小脳歩行誘発野(CLR)
除脳ネコでは小脳室頂核(内側核)の交叉性出力線維束であるラッセル鈎束の小脳正中交叉部に見つかっています。
ヒトの脳においては磁気共鳴機能画像法により歩行の心的イメージ課題の最中に、左右室頂核を含む小脳中央部のBOLD信号の増強が確認され、これがヒトのCLRではないかと言われています。
歩行中枢の特性
MLR・SLR・CLRそれぞれの歩行中枢において、それぞれ発現する歩行パターンと行動様式が異なっていることから、これらの歩行中枢は単に歩行運動の誘発に働くだけでなく、様々な様式の行動の発現に関与する中枢領域なのではないかと言われています。
脊髄内に存在する「中枢歩行パターン生成機構(CPG)」
脊髄内にも脳幹部の歩行中枢からの支配を受けながら、歩行運動パターンを生成する神経中枢が存在します。
それが『中枢歩行パターン生成機構(CPG: centoral pattern generator for locomotion)』と呼ばれるものです。
『中枢歩行パターン生成機構(CPG)』の特徴
CPGは四肢・体幹の各部位や各関節に対応して脊髄長軸に沿って複数配置されている。
主たる構成要素は
⑴ 脊髄前角内側部から中間部に分布する介在ニューロン
⑵ Ⅷ~Ⅶ層に分布する交連ニューロン
交連ニューロンとは!
交連ニューロンには以下の様な特徴があります
⑴ 左右の脊髄を交互に連絡して、左右交代性歩行パターンの生成に関与する
⑵ 交連ニューロンの分布するⅧ~Ⅶ層は、網様体脊髄路の主な投射領域と完全に重なる
⑶ 中には網様体脊髄路から単シナプス性興奮性入力を受けるものも多い
⑷ MLR刺激による歩行リズム周期に一致したリズム性発射を示す
これらのことから『中枢歩行パターン生成機構(CPG)』は、MLRなどの歩行中枢からの神経支配を受けながら、自動的な歩行パターンを生成しており、その脳幹部の歩行中枢からCPGへの神経伝導の下行路は「網様体脊髄路」であると言われています。
脊髄内神経回路網による歩行制御
歩行運動の特徴
歩行運動は片側の脚にフォーカスして考えると、足を持ち上げて前に振り出す「遊脚相」と足を地面に着いて体重を支える「立脚相」の2相に分けられます。
「遊脚相」は主に下肢の屈筋群が活動して、足部が後方から前に振り出されていきます。
「立脚相」は主に下肢の伸筋群が活動して、片脚立位での体平衡の維持と推進力の生成が行われます。
歩行運動は、この2つの相の周期的な繰り返しが、左右下肢に交叉性に生じることで成立します。
そしてその歩行運動に寄与する多数の骨格筋の活動パターンやタイミングは無意識かつ自動的に調節されています。
これは脊髄・脳幹に歩行の基本的なリズムを生成して、歩行運動を形成する神経回路が備わっているためです。
これにより大脳皮質運動野では、詳細な下行性伝達を脊髄ニューロンに逐一指示する必要がなく、歩行運動時に大脳皮質への負荷が減少します。
ですから私達はスマホを操作しながら歩くなどのことが可能になるのです。
脊髄CPGの構成
脊髄にある神経回路網が歩行運動の生成に関わっており、それを中枢歩行パターン発生器:CPG(centoral pattern generator for locomotion)と呼びます。
このCPGは「下肢の屈筋群の活動を引き起こす興奮性介在ニューロン」と「下肢の伸筋群の活動を引き起こす興奮性介在ニューロン」及び「その興奮性介在ニューロン間を相互に抑制する抑制性介在ニューロン」で構成されています。
この「屈筋群興奮性介在ニューロン」と「伸筋群興奮性介在ニューロン」と「相互抑制性介在ニューロン」のセットを『ハーフセンター』と呼びます。
この左右のハーフセンターが互いに抑制性の結合を行い、一対の運動回路を形成しており、それが上肢や下肢を連携してコントロールするために、脊髄の各節に分布しています。
脊髄CPGの特徴
脊髄CPGは単に歩行リズムを生成するだけでなく、坂道の登りや下りなどに対応して、下肢の踏ん張りを調整する必要があるため、「歩行リズム」と「歩行パターン」を別々にコントロールする2層性の制御を行っている『2階層CPGモデル』可能性が考えられています。
『2階層CPGモデル』
2階層CPGモデルは以下の2つの回路から成ると考えられています。
⑴ リズム生成回路
タイムキーパーの役割を担い、歩行リズムと「パターン形成回路」の活動を調節します。
⑵ パターン生成回路
運動神経群の活動を支配して、下肢の筋群の協調運動のパターンを制御します。
この2つの回路が2層性に歩行を制御することにより、歩行リズムだけでなく、歩行周期のタイミングや運動神経の活動を精緻に制御することが可能になります。
脊髄CPGへの入力
脊髄CPGへは脳幹の歩行中枢などからの上位神経からの入力と下位の体性感覚などからの入力が認められています。
体性感覚入力
感覚神経の経路である脊髄後根を介した体性感覚入力が、CPGを駆動して歩行活動を開始させることが分かっています。
これは以下のような刺激を下肢に加えたときの反応により証明されています。
⑴ 両側のつま先を他動的に曲げ伸ばしする
つま先の他動的な曲げ伸ばしに連動して、体幹および両側下肢に律動的な周期的筋活動が発生します。
⑵ 下肢全体を受動的に動かして歩行中に生じる体性感覚を再現する
その受動的な歩行周期に同調した歩行様の筋活動が下肢の筋群に再現されます。
⑶ 経皮的に腰椎上に磁気刺激を施す
最近の臨床では、脊髄損傷患者さんに対して、腰椎のCPGに経皮的に磁気刺激を与えることで、歩行運動を誘発して、トレッドミル上での歩行練習を行っています。
脳幹を経由する歩行運動の自動化の経路
脳幹には様々な神経の部位からの入力を受けています。
また反対に大脳皮質に対して上行する入力を行う伝導路も持っています。
脳幹から脊髄へ下行する伝導路
脳幹から脊髄への下行路は以下のように複数存在します。
腹内側下行路
⑴ 網様体脊髄路
⑵ 間質核脊髄路
⑶ 視蓋脊髄路
⑷ 内側・外側前庭脊髄路
背外側下行路
⑴ 赤核脊髄路
※ 赤核脊髄路と皮質脊髄路は同様の下行路を示しています。
腹内側下行路の特徴
腹内側下行路の軸索群の経路
腹内側下行路は脊髄の長軸に沿って長い距離を下行していき、途中で複数の軸索側枝を広範囲にわたり、高頻度に分枝します。
腹内側下行路の軸索側枝は、脊髄灰白質に入り、以下の部位に投射します。
⑴ 脊髄前角内側部の介在ニューロン層(Ⅷ~Ⅶ層)
⑵ 体幹筋運動ニューロン層(内側Ⅸ層)
腹内側下行路の運動機能
腹内側下行路系は、体幹や四肢の多関節に発現する強調運動の形成に関与します。
それは具体的には以下のような運動のコントロールとなります。
⑴ 頭部・体幹の舵取り運動
⑵ 四肢・体幹の協調運動
⑶ 単一肢における運動シナジーのコントロール
網様体脊髄路
腹内側下行路の中でも特に注目される「網様体脊髄路」についてその特徴を解説します。
脳幹網様体とは!
まずは網様体脊髄路が始まる脳幹網様体について解説します。
脳幹網様体は脳幹被蓋の中で、「明瞭な神経核」と「明瞭な線維束」を除いて残る『神経線維と神経細胞が混在する領域』となります。
脳幹網様体は構造的に以下の4つの部位に分けられます。
橋網様体
⑴ 吻側橋網様核(NRPo)
⑵ 尾側橋網様核(NRPc)
延髄網様体
⑶ 巨大細胞性網様核(NRGc)
⑷ 大細胞性網様核(NRMc)
脳幹網様体には他の中枢領域から様々な神経入力を受けています。
⑴ 脳幹内の入力
脳幹内の諸々の神経核から脳幹網様体への入力があります。
⑵ 上位中枢からの入力
大脳皮質からは一時運動野や運動前野から皮質網様体線維を介して脳幹網様体に神経投射があります。
一次運動野と連携して半自動的な運動調節回路を視床と形成している「大脳基底核」からも脳幹網様体に神経投射が認められています。
その他に脳幹網様体には「間脳」や「小脳」からも神経投射が存在します。
⑶ 下位中枢からの上行性入力
脳幹網様体には脊髄からの上行性神経入力が存在します。
⑷ 歩行中枢からの入力
中脳歩行中枢(MLR)と視床下部歩行中枢(SLR)から脳幹網様体に直接の投射があります。
また小脳歩行中枢(CLR)も小脳室頂核から脳幹網様体に向けて豊富な神経投射が存在しています。
網様体脊髄路による脊髄支配の特徴
網様体脊髄路は起始核の違いによって、それぞれ特徴的な脊髄への投射パターンを示します。
吻側橋網様核(NRPo)と尾側橋網様核(NRPc)由来の網様体脊髄路
神経の軸索群が同側の脊髄前索を下行し、主に ⑴ 前角内側の介在ニューロン層(Ⅷ~Ⅶ層)と ⑵ 体幹運動ニューロン層(内側Ⅸ層)に投射します。
また一部の軸索では、その軸索側枝が脊髄の正中線を超えて反対側の主に ⑴ 前角内側の介在ニューロン層(Ⅷ~Ⅶ層)と ⑵ 体幹運動ニューロン層(内側Ⅸ層)に投射します。
延髄背側の巨大細胞性網様核(NRGc)由来の網様体脊髄路
この経路は両側性の神経投射を示していて、⑴ 同側前索を下行する軸索群と ⑵ 延髄レベルで正中線を超えて交叉して、反対側の前索を下行する軸索群が存在します。
これらの軸索群の主な神経投射領域は、主に ⑴ 前角内側の介在ニューロン層(Ⅷ~Ⅶ層)と ⑵ 体幹運動ニューロン層(内側Ⅸ層)に投射します。
延髄腹側の大細胞性網様核(NRMc)由来の網様体脊髄路
この経路も両側性の神経投射を示していて、その軸索群は前索から背側索に広く分布しています。
またこれらのこれらの軸索群の主な神経投射領域は、主に ⑴ 前角内側の介在ニューロン層(Ⅷ~Ⅶ層)と ⑵ 体幹運動ニューロン層(内側Ⅸ層)に加えて、⑶ 前角外側の四肢筋運動ニューロン層(外側Ⅸ層)と ⑷ 中間層(Ⅴ~Ⅶ層)にも投射します。
網様体脊髄路の軸索側枝の分枝パターン
網様体脊髄路は脊髄全長を下行しながら、その途中で多くの軸索側枝を分枝しています。
その軸索側枝の分枝パターンは、四肢の運動制御に関わる「頸膨大部」と「腰膨大部」には平均 5 mm 間隔で分枝していますが、下部胸髄での分枝間隔は平均 10 mm 程度になっています。
これは四肢運動に関わる脊髄の部位への高い密度の支配があることを示していて、網様体脊髄路が歩行運動に関して、四肢に強い制御をかけるために適した構造となっていると考えられています。
網様体脊髄路と歩行機能の関連
先にご説明したように、脊髄には体幹の各部位や各関節に対応して「中枢歩行パターン生成器(CPG)」が、その長軸に沿って複数配置されています。
CPGを構成する「脊髄前角内側部から中間層に分布する介在ニューロン」と「Ⅷ~Ⅶ層に分布する交連ニューロン」は網様体脊髄路からの神経支配を受けています。
また網様体脊髄路ニューロンは歩行運動中に様々な発射パターンを示していて、⑴ リズム性発射 ⑵ 持続性発射 ⑶ 不規則性発射 ⑷ 無発射などのパターンを示しています。
これにより網様体脊髄路は全身性・多関節性に発現する様々な協調運動の形成に関わる、多様な機能を持つ下行性伝導路で、⑴ 歩行運動制御 ⑵ 姿勢制御 ⑶ 四肢・体幹の協調運動 ⑷ 単一肢の運動シナジーのコントロール などに関わります。
網様体脊髄路ニューロンの約60%が、歩行周期や単一肢・複数肢の筋活動に対してリズム性発射を示しているため、網様体脊髄路が歩行機能と深く関わっていることが示されています。
また網様体脊髄路は斜面歩行などの際に、状況に応じた四肢の筋活動などを柔軟に調節する機能があります。
赤核脊髄路
脳幹部からの背外側下行路として「赤核脊髄路」があります。
赤核とは!
赤核脊髄路が始まる「赤核」は脳幹にある中脳被蓋に存在し、⑴ 吻側の小細胞部と ⑵ 尾側の大細胞部に分けられています。
一次運動野や補足運動野などから皮質赤核投射を介して豊富な神経入力があります。
また小脳中位核と歯状核(外側核)からも豊富な入力を受けています。
赤核脊髄路の特徴
赤核脊髄路は主に尾側の大細胞部から始まり、赤核を出てすぐに腹側被蓋で反対側に交叉し、脊髄の背側索を下行し、⑴ 脊髄灰白質Ⅴ~Ⅶ層の外側部から中間部 ⑵ 外側Ⅸ層の運動ニューロンの背側部 に投射します。
赤核脊髄路は複数の軸索側枝を分枝する「多髄節支配」の特性を持っています。
また随意性運動機能に関わる下行性伝導路として「皮質脊髄路」と類似した脊髄投射の特徴を持っています。
また赤核脊髄路の下行性軸索の分布には体部位局在が存在し、⑴ 頸髄レベルで終止して上肢の運動を制御する部位 ⑵ 胸髄レベルで終止して体幹の運動に関わる部位 ⑶ 腰仙髄レベルで終止して下肢の運動に関わる部位に分けられます。
サルやヒトなどの霊長類では皮質脊髄路が著しく発達しており、それに伴い赤核の大細胞部が推定しているため、ヒトの赤核脊髄路には大した機能が無いのではないかとの見方も存在します。
赤核脊髄路と歩行機能の関係!
赤核脊髄路は脊髄の「歩行パターン発生器(CPG)」の活動には直接影響を与えないことが分かっています。
赤核脊髄路は皮質脊髄路と類似した機能があり、皮質脊髄路と赤核脊髄路は、歩行運動中の障害物回避などで上肢を随意的に動かすなどの、歩行運動中の随意制御の局面に関わると考えられています。
まとめ
歩行運動は四肢・体幹が高度に制御された協調運動として行われています。
その運動制御は主に大脳皮質による随意的な歩行運動制御(歩行開始、停止、方向転換、障害物回避など)と自動的に無意識的に行われる脳幹部の歩行中枢や脊髄の中枢歩行パターン発生器などの連携による歩行制御の2層性に行われています。
今回は自動的に歩行を制御する脳幹部以下の歩行中枢の機能について解説しました。
脳幹にある歩行中枢には ⑴ 中脳歩行誘発野(MLR: mesencephalic locomotor region)⑵ 視床下部歩行誘発野(SLR: subthalamic locomotor region)⑶ 小脳歩行誘発野(CLR: cerebellar locomotor region)などがあり、歩行パターンの発現だけでなく、様々な行動様式の発現に関与している可能性が示唆されています。
また脊髄にある中枢歩行パターン発生器(CPG)は、脳幹歩行中枢の制御を受けながら、歩行リズムと歩行パターンの発生に関与し、自動的な歩行運動の制御に貢献していることが分かっています。
さらに脳幹網様体から始まる網様体脊髄路系がこの歩行制御に深く関与して、脳幹の歩行誘発野とCPGの運動制御による、歩行運動や姿勢制御に関わっています。
脳卒中リハビリテーションを含め、歩行制御に関する神経回路の機構を理解することはリハビリテーションの歩行アプローチの基礎となる部分であり、この機構の深い理解が求められる部分であると思われます。
最後までお読みいただきありがとうございます!