脳卒中リハビリ

脳卒中片麻痺の脳幹部と脊髄レベルでの自動歩行機能を復活させる!

脳卒中片麻痺の脳幹部と脊髄レベルでの自動歩行機能を復活させる!

 

はじめに

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私たちが歩いている時におおもとで歩行のための指示を出しているのは大脳皮質の運動野です。

大脳皮質運動野の制御により、私たちは歩き出したり、歩く方法を決めたり、障害物を避けたりして目的地に向かって歩いていきます。

しかし歩いている時に、常に大脳皮質が細かく歩行を制御していたら、大脳皮質は歩くだけで手一杯になってしまいます。

でも私たちは歩きながらスマホを操作したり、友人と世間話をしながら目当てのレストランを探して歩くなんて複雑なことを歩きながら同時に行うことが出来ます。

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これは私たちの脳が歩行制御をするのに、大脳皮質の運動野に過度に依存しないで済むような歩行制御ができるからなのです。

この大脳皮質の下の中脳(脳幹部)から脊髄にかけて自動運転的な歩行制御システムがあるからなのです。

この中脳以下の自動運転的な歩行制御システムがあるおかげで、ただ真っ直ぐ歩くなどの歩行は、面倒臭いことを大脳皮質で考えなくても、ぼんやり歩き続けることが出来るのです。

( 障害物を避けたり、方向転換をするなどの場合は大脳皮質が働きます )

しかし脳卒中片麻痺になると、この自動運転的な歩行制御システムが働かなくなってしまいます。

ですから脳卒中になってからは、あなたは常に歩く時には歩き方を強く意識して、大脳皮質をフル稼働させて歩行制御を行わなければならないのです。

でもそれはとても大変なことで、歩くだけで疲れてしまいますよね。

また歩きながら考え事をしたり、隣の人と歩くのもシンドイです。

なんとかならないものでしょうか?

今回は脳卒中片麻痺になると何故この脳幹部から下の自動運転的な歩行制御ができなくなるのか?

またどうしたら脳卒中片麻痺でもこの楽チンな自動運転的な歩行が出来る様になるのか?

これらの2点について解説したいと思います。

 

脳幹部から下にある自動歩行制御システムについて

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脳幹部から下にある、ただ歩き続ける時などに自動運転的に歩行を制御するシステムは以下の2つの組み合わせによって構成されています。

⑴ 中脳歩行誘発中枢

⑵ 脊髄中枢歩行パターン発生器( CPG )

 

⑴ 中脳歩行誘発中枢

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「中脳歩行誘発中枢」はその部位を電気的に刺激するとユックリと歩き出し、電気刺激が強くなるに従って、徐々に歩くスピードが早くなり、最後には走り出します。

また脳幹部周囲のいくつかの部分に分散して見つかっており、それぞれに刺激を加えた時に、違ったパターンの歩き方をすることが分かっています。

ですから大脳皮質から「歩き続ける」指示が脳幹部の歩行誘発中枢になされると、そこから自動的に歩き出すように歩行制御が行われます。

 

⑵ 脊髄中枢歩行パターン発生器( CPG )

 

また具体的な歩行パターンを生み出す機関として、脊髄の各節にある「中枢歩行パターン発生器( CPG )」があります。

歩行誘発中枢から信号が「中枢歩行パターン発生器( CPG )」に送られると、ここで左右の下肢の屈曲と進展を交互に行う振り子運動が開始されます。

つまり「中枢歩行パターン発生器( CPG )」では、左右の下肢を相互に抑制するコントロールを行うことで、左右の下肢を交互に振り子のように振出して歩く動作を行わせる働きがあります。

そしてその歩行のパターンやスピードは「中脳歩行誘発中枢」によってコントロールされています。

 

この2つの自動的な歩行運動を発生するシステムによって、自動運転的な歩行制御が行われています。

このシステムがあることで、私たちは普段の歩行を、なるべく大脳皮質の負担を減らしながら行うことができます。

そしてそのことで歩きながら考え事をしたり、会話をしたりといった「ながら歩行」が可能になるのです。

 

どうして脳卒中になると自動歩行制御ができなくなるのか?

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そんな便利な歩行制御がどうして脳卒中になると使えなくなってしまうのでしょう?

確かに脳卒中になると、「ドッコイショ、ドッコイショ」と真剣に歩かなければ、なかなか上手には歩けませんよね。

つまり脳卒中になると、脳幹部以下での自動運転的な歩行制御ができなくなっていて、常に大脳皮質をフル回転させながら、「あの辺に足をついて、シッカリ踏ん張ったら体重をユックリ移動するぞ」なんて考えながら歩いています。

なぜ脳卒中になるとそんな風になってしまうのでしょうか?

 

健康な場合は?

ではここで脳卒中になる前の歩き方を思い出して見ましょう!

元気な時には「あそこに歩いて行こう」と考えて、そちらに視線を向けたら、自然と体重がその方向に移動して、あとは左右の足をスルスルと振子の様に振り出して歩いていましたね。

このスルスルと振子の様に足を振出すのがポイントです!

つまりここでの正常な自動歩行は、左右の下肢を交互に振子の様に振出すことで、歩いているのです。

この時に大切なのは、左右の下肢の「重さ」「長さ」「硬さ」などがほぼ同じに揃っていていることです。

つまりは左右の下肢が、ほぼ同じリズムで振り子として揺れる様に調節されている必要があります。

健康な状態であれば、左右の足の重さや長さはほぼ同じでしょうから、あとは「硬さ」になります。

つまりは筋緊張を調節して、左右の足の股関節や膝関節の硬さと動きやすさを揃えてやれば、ほぼ同じリズムで左右の足が触れる様になります。

 

脳卒中の場合は?

しかし脳卒中になると、麻痺側の筋肉が強張って股関節や膝関節が硬くなってしまいます。

これでは左右の下肢を同じリズムで自然に振出すことはできませんね。

まるで片足(健側)にスニーカーを履いて、反対に(麻痺側)に膝まである厚手の皮ブーツを履いている様な感じになってしまいます。

この状態では左右の足の振り子のリズムを揃えることはできませんね。

ではどうすれば良いのでしょうか?

 

 

脳卒中片麻痺の脳幹部から下の自動歩行制御システムの改善方法!

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ここで問題点を整理して見ましょう!

つまりは左右の下肢が同じリズムで振り出せれば良いのですよね!

つまりは麻痺側の足は膝や股関節が強張っているために「ユックリ」と振出します。

そして健側の足はスムースに動かせるので「素早く」振出します。

これではリズムが揃いませんね。

 

ではどうしましょうか?

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とても麻痺側の足を健側と同じリズムで振出すのは簡単には出来そうもありません。

でも方法は一つだけ残されていますね。

そうです「健側の足のリズムを麻痺側の足のリズムに合わせてユックリ振出す」様にすれば良いのです。

麻痺側の足をユックリ振出した後に、健側の足を同じリズムでユックリと振出す様に練習すれば、左右の下肢の振出しは揃えることが出来ますね。

これを繰り返し練習して、無意識のうちにリズムが揃うくらいになれば目標達成です。

でもこの時に注意しなくてはならない事が1つだけあります。

それは健側の足をユックリ振出すためには、麻痺側の足に長いこと体重をかけておかなくてはならないという事です。

ですからこの歩行練習は、麻痺側の下肢への重心移動と体重負荷がある程度安定して行える事が必須条件となります。

ですからこの歩行方法の練習を始める前には、キチンと麻痺側の下肢への体重移動ができる様になるまで、姿勢制御の練習を行っておく必要がありますので、注意してくださいね。

よろしくお願いいたします。

 

左右の下肢を同じリズムで振出す練習

⑴ 手すりにつかまってまっすぐに立ちます。

⑵ まずは麻痺側の足をなるべく力まずに自然な感じで前に振出します。

⑶ この時のリズムと同じタイミングで健側の足を前に振出します。

⑷ 麻痺側と健側の足の振出しを一歩ずつ行ったら、元の場所に戻ります。

⑸ ⑵からの動作を繰り返し行います。

⑹ なるべく自然な感じで麻痺側の足を力まずにリズムを揃える様に気をつけて練習を継続してください。

⑺ ほとんど無意識に近い状態で、左右の足の振出しリズムが揃う様になったら練習は完了です。

 

 

まとめ

脳幹部以下の歩行中枢での自然な振り子運動による自動歩行制御によって、歩行時の大脳皮質への負担が軽減され「ながら歩行」が可能になります。

しかし脳卒中になると、痙性麻痺によって麻痺側の下肢が強張るため、左右の下肢の振出しリズムが揃わなくなり、振り子運動が出来なくなります。

そのため脳幹部以下での自動歩行制御ができなくなり、脳卒中片麻痺では常に大脳皮質に依存した非常に意識的な歩行になってしまいます。

脳卒中片麻痺での自動歩行制御を可能にするための方法として、歩行リズムを麻痺側の下肢に揃えて健側の下肢を振出す練習を行います。

この時に麻痺側の下肢への体重移動が容易にできる様に姿勢制御機能を改善しておく必要があります。

 

 

最後までお読み頂きありがとうございます!

 

 

注意事項!

このサイトでご紹介している運動は、あなたの身体状態を評価した上で処方されたものではありません。 ご自身の主治医あるいはリハビリ担当者にご相談の上自己責任にて行ってくださるようお願い申し上げます。

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