小児リハビリ

小児リハビリで坐位が取れない子供の下肢の運動発達が遅れることについて!

小児リハビリで坐位が取れない子供の下肢の運動発達が遅れることについて!

 

はじめに

坐位がとれないで寝ていることが多いお子さんの中には、比較的に手の機能に比べて、足の動きが出ない子が多い様に感じます。

手はそれなりに動かせているのに、いつまでも足が動かせないので、「この子の足は麻痺していてもう動かないのでは」と考えてしまう場合があります。

しかし一旦は動かないかもしれないと諦めかけた足の運動も、根気よく丁寧にアプローチを続けることで、ある時から急に動き出す場合があります。

それはどんなケースにおいて、どんなアプローチを行なった場合に起きるのでしょうか?

今回は下肢の動きがなかなか出ないケースに対して行うべきアプローチについてご紹介したいと思います。

どうぞよろしくお願いいたします。

 

 

坐位がとれなくて寝ていると下肢の発達が起こりにくい理由

お子さんに人工呼吸器が付いていたりして、なかなか坐位を取ることが難しく、寝ていることが多い場合、足の運動発達が起こりにくい場合があります。

これはどう言う理由によるのでしょう。

この現象を解明するために、少し運動学習による動作の発達の仕組みについてご説明したいと思います。

 

運動学習を行うために必須の「身体図式」とは

運動学習が適切に行なわれるためには「身体図式」と呼ばれるものが生成されていなければなりません。

いきなり専門的な用語が出てきて恐縮ですが、まずはこの「身体図式」について少し勉強して行きましょう。

 

「身体図式」とは!

身体図式とは非常に主観的な概念で、一言で説明するのは難しいのですが、例えばあなたが柿の木の下に立っていて、頭の上の枝に柿の実が成っていたとします。

あなたは一目見ただけで、その実が手を伸ばすだけで取ることが出来るか、実を取るためには踏み台が必要になるかが分かります。

またあなたが歩いていて目の前に段差が現れた時はどうでしょう。

あなたは一目見ただけで、その段差を一歩で乗り越えられるかどうかが分かります。

これが「身体図式」と言うものになります。

つまり「身体図式」とは、あなた自身のあなたの身体に対する主観的な理解ということです。

自分の手足が大体どの程度の運動機能とリーチを持っているのかを主観的に知っていなければ、正しく運動をコントロールすることが出来ないのです。

 

「身体図式」の生成!

ではこの身体図式はどの様に作り出されているのでしょう?

脳内で正しく身体図式を作り出すためには、以下の3つの感覚が必要になります。

その3つの感覚とは ⑴ 身体の皮膚感覚 ⑵ 手足の筋肉の運動感覚 ⑶ 視覚 の3つが必要になります。

この3つの感覚が脳内の運動野と感覚野の連携によって合成されて「身体図式」が生成されます。

 

 

寝たきりの子供の「身体図式」はどうなっているか?

ではお子さんが寝たきりになっている場合、この身体図式はどうなっているのでしょうか?

先ほどご説明した様に、身体図式の生成には皮膚感覚と筋肉の運動感覚と視覚が必要になります。

しかしお子さんが寝ている状態では、まずお子さんの視界に自分の足が入ってきません。

お子さんの目は常に天井を見ています。

しかも胸やお腹が邪魔をして自分の足をゆっくりと見る機会は、お子さんが寝ている限りは、まずほとんどありません。

しかも元々が足が動かないのですから、筋肉の運動感覚や皮膚感覚もほとんど役に立ちません。

ですから生まれた時から寝たきりの状態が続いているお子さんの場合、ほとんどのケースで下肢の身体図式は作られていないのです。

つまり簡単な言葉で言い換えると、「お子さんは自分に足が生えていることを認識していない」ということになります。

この状態ではたとえ脳から足にかけての運動神経回路が残されていたとしても、自分から足を動かせる様になる可能性は大きく低下してしまいます。

実は脳から足にかけての運動神経回路がしっかりあるにもかかわらず、下肢の身体図式が作られないために、自分の足を脳で認識できずに、足が麻痺した様になっているお子さんは結構おられます。

ではこの様な場合にはどう対処したらいいのでしょうか?

 

 

動かせない足を動かさせるためのアプローチとは!

お子さんに自分の足をしっかりと認識してもらう!

まずお子さんに「自分には足が生えている」ことをしっかりと認識してもらう必要があります。

ではお子さんにご自分の足を認識して足の身体図式を生成するために、どうすれば良いのかと言えば、先ほど挙げられた身体図式を生成するための3つの感覚をフル活用してアプローチして行きます。

つまりは ⑴ 足の皮膚感覚 ⑵ 足の筋肉の運動感覚 ⑶ 足に対する視覚刺激 の3つを活用して行きます。

 

足を認識させて動かさせるためのアプローチ方法

では具体的にはどの様なアプローチ方法があるのでしょうか?

以下に簡単にご説明したいと思います。

 

 

⑴ 足の皮膚感覚を刺激する方法

まずはお子さんの足の皮膚感覚を刺激して行きます。

方法は簡単です。

とにかく暇さえあればひたすらお子さんの足を撫で回してください。

とにかくひたすら撫で回すのです。

そして撫でるときに、お子さんに声をかけて、今あなたの足を触っているということを必ず伝える様にするのを忘れないでください。

毎日暇があればお子さんの足を撫で回すのを習慣にしていきましょう。

 

⑵ 足の筋肉の運動感覚を刺激する方法

次に足の筋肉の運動感覚を刺激する方法ですが、これもとても簡単です。

単にお子さんの左右の足首を持って膝の曲げ伸ばしをしてやります。

両足同時が難しければ片足づつでも大丈夫です。

さらに小さなダンボール箱を足元に置いておいて、足を伸ばしたときに足の裏でダンボール箱を蹴らせる様にします。

するとポンという音とともに、お子さんの足の裏から足全体に振動が入ります。

これらの振動刺激なども有効な感覚刺激になります。

 

⑶ 視覚に対する刺激方法

これも簡単で、お子さんの足を持ち上げてお子さんの視界に入れる様にします。

このときにキチンと声がけをして、なるべくお子さんに自分の足を意識する様に促していきましょう。

 

 

どうですかどれも簡単なアプローチ方法でしょう。

これらの方法は絶対に毎日キチンと行わなければ効果がないということもありませんし、気が向いたときにお子さんとのスキンシップやコミュニケーションとして行なっていただければ十分です。

そして運が良ければこれらのアプローチを続けていくと、あるとき突然にお子さんの足が動き始める時がきます。

 

もしいつまでたっても動かない時はゴメンなさい。

 

 

まとめ

今回は寝たきり状態で手の機能に比べて足の運動が起こらないお子さんの足の動きを促す方法について解説をしました。

あまり難しく捉えずに、気楽にお子さんとのコミュニケーションの一環として試してみていただければと思います。

よろしくお願いいたします。

 

 

最後までお読みいただきありがとうございます。

 

 

注意事項!

このサイトでご紹介している運動は、あなたのお子さんの身体状態を評価した上で処方されたものではありません。 主治医あるいはリハビリ担当者にご相談の上自己責任にて行ってくださるようお願い申し上げます。

 

 

 

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