脳卒中リハビリ

なぜ一般的な病院で受けるリハビリテーションでは脳卒中の麻痺が治らないのか?

 

はじめに

脳卒中で倒れたら、救急車に乗って病院に運ばれます。

そして集中治療室に運ばれて、治療を受けるのですが、ここで受ける治療は、あなたを死なせないために、命を助けるための治療です。

同時になるべく後遺症の麻痺を軽くするための治療でもあります。

集中治療室での治療が上手くいって、あなたの命が助かったら、次にあなたは「回復期リハビリテーション病院」に運ばれます。

そして3ヶ月から半年ぐらいの期間、リハビリテーションを受けるのですが、なんかスッキリしませんよね。

あなたは何がスッキリしていないのでしょうか?

そうですね、あなたは「もう少し脳卒中の麻痺を治すリハビリをやって欲しかった」と思っているのでしょう。

当たりましたか?

実は現在の回復期リハビリテーション病院で行なわれている、脳卒中のリハビリテーションは、ほとんどが麻痺を治すためのものではありません。

ですからあなたの麻痺は、そのままでは良くならないのです。

どうですか、ハッキリ言われてびっくりしましたか?

「麻痺を治すのがリハビリだろう、麻痺が治らないなんてそんなインチキがあるか」と叫びたい気持ちですか?

それとも「なんとなくそんな気はしてたんだ」と思っておられるでしょうか?

どうして回復期リハビリテーション病院では脳卒中の麻痺を治してくれないのでしょうか。

そしてもしそうなら、いったいぜんたい、どうやって脳卒中の麻痺を治せばいいのでしょうか。

今回は、脳卒中の麻痺を治すためにはどうすればいいのかについて解説してみたいと思います。

どうぞよろしくお願いします。

 

回復期リハビリテーション病院では日常生活動作の練習をしています

脳卒中のリハビリテーションを集中的に受ける事ができる場所は、現在の日本では、「回復期リハビリテーション病院」しかありません。

でも一般的な「回復期リハビリテーション病院」では、脳卒中の麻痺を治すリハビリテーションは行われていないのです。

うすうすなんとなく気づいていた方もおられるかとは思いますが、ハッキリ言われるとビックリしますね。

でもこれは事実です。

脳卒中患者さんの立場からすれば、「脳卒中の麻痺を治すのがリハビリテーションの役目だろう」と怒りたくなる事でしょう。

しかし現在の脳卒中リハビリテーション は、脳卒中の片麻痺を治すことを目的にはしていません。

 

どうしてこうなったのでしょう。

 

それには20世紀の初めまでさかのぼります。

当時の権威ある医学博士が、「いったん破壊された成体の神経細胞は決して再生しない」との学説を唱えてしまったからです。

つまり「脳卒中で麻痺になったら何をしても麻痺は治らないよ」と宣言してしまったのです。

なにせ世界で初めて「神経のシナプス」を発見した先生ですから、とにかく絶大な権威があります。

誰も異論を唱えることはできません。

ですからそれからほぼ1世紀の間、「脳卒中片麻痺は絶対に治らない」が医学界の通説となったのです。

なのでリハビリテーション 病院でも、麻痺を治すのではなく、「残された運動機能を活用して日常生活動作を自立させる」事が主な目的になっています。

「回復期リハビリテーション 病院」では、脳卒中の麻痺を治すのではなく、日常生活動作の練習をしているのです。

 

21世紀はニューロリハビリテーション の世紀になります

しかし20世紀の終わりに、スウェーデンの研究者グループが、脳の神経細胞が再生する機能があることを発見します。

そこから脳の神経細胞の再生が研究されるようになってきました。

また脳科学それ自体も、大きく進歩しており、脳の機能が少しづつ解明されてきています。

それに伴って、脳卒中リハビリテーション も、日常生活動作練習を主体とするものに対して、神経機能を再生するニューロリハビリテーション が行われるようになってきています。

しかしそれはまだほんの一握りにすぎません。

「回復期リハビリテーション 病院」のほとんどは、いまだに日常生活動作練習をおこなっているのです。

 

どうして回復期リハビリテーション 病院では日常生活動作練習を続けるのか?

どうして回復期リハビリテーション病院では、今だに脳卒中のリハビリに日常生活動作練習を続けているのでしょう?

それはね、それしかやりようがないからです。

「回復期リハビリテーション 病院」は、もともとが脳卒中の麻痺を治すために作られたものではありません。

「回復期リハビリテーション 病院」は、長期入院を是正するために作られたのです。

ご存知のように、現在の日本では働き手の世代が、ドンドン少なくなっています。

それに対してお年寄りがグングン増えて行っていますから、国もこれまで通りの医療サービスを続ける事ができなくなりました。

以前は、脳卒中で倒れたら、少なくとも1年ぐらいは入院してリハビリを受けていたものです。

ですが現在はおよそ3ヶ月で退院する流れになっています。

つまり3ヶ月で脳卒中リハビリを終わらせて、脳卒中患者さんを家に帰さなくてはならないのです。

たったの3ヶ月で脳神経細胞を再生することは不可能です。

そうなると出来ることは、日常生活動作練習しかないという事になりますね。

 

脳卒中の麻痺を治すためにはどうすればいいのか?

頼みの綱の回復期リハビリテーション病院が、脳卒中の麻痺を治さないとすれば、この手を動くようにするためには、一体どうすれば良いのでしょう。

退院後のリハビリテーションも、その回復期リハビリテーション病院の外来か、デイケアくらいしかありませんね。

しかし脳科学の進歩に伴い、適切なアプローチをすれば、重症度などにもよりますが、ある程度は手の機能がよみがえる可能性が出てきています。

それに対して、日常生活動作練習のみを続けていると、麻痺の回復が妨げられることも分かってきています。

私の考えでは、現状では、脳卒中患者さんも、自分で脳の働きや、麻痺の回復方法について勉強していく必要があると思います。

なぜならば、国は脳卒中の麻痺を治すためのサービス提供を、サラサラ考えでいないからです。

なので草の根から、自力でなんとかする必要が生まれています。

そして地域医療で出会った、ご自分の担当のセラピストと良く話し合ってください。

また自分でできるニューロリハビリテーション の自主トレをドンドン行なっていきましょう。

そうすることで、少しずつ世の中も変わりますし、あなたの脳神経細胞の働きも変わっていきます。

 

 

最後までお読みいただきありがとうございます。

 

 

注意事項!

このサイトでご紹介している運動は、あなたの身体状態を評価した上で処方されたものではありません。 ご自身の主治医あるいはリハビリ担当者にご相談の上、自己責任にて行ってくださるようお願い申し上げます。

 

 

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