これまでの栄養学はおとぎ話
私が、一般的な栄養学のテキストを読んでいて、つくづく感じるのは、まるで「夢のようなおとぎ話」だと言うことです。
なぜならば、そこに書いてあるような食べ物は、現代の日本人には容易には手に入らない、昔のおとぎ話に出てくる、食べ物ばかりだからです。
今は、栄養学のテキストに書かれている様な、安全な食べ物を手に入れることは、そんなに簡単ではないのです。
現代の日本には、便利で美味しくて安いけれども、危険で悪質な食材が、溢れかえっています。
これらの危険な食べ物によって、私たちの健康が、常に脅かされているのです。
また、「腸内フローラ」の研究が進歩した現在、私たちの身体を健康に保つための栄養に関する考え方は、これまでとは大きく異なってきました。
私たちは、胃と小腸では、自力で食物を分解・吸収して、食べ物から栄養素を取り出すことができます。
しかし、私たちが、胃と小腸で、自力で消化吸収できる食材は、限られています。
そして、食物繊維などを中心とした、私たちが自力では消化吸収できない食材は、大腸に送られ、そこで「腸内細菌」のエサになります。
私たちの大腸に住む常在菌である「腸内細菌」には、様々な種類があり、それぞれにエサが違います。
たとえば、玉ねぎの食物繊維を食べる腸内細菌がいれば、人参の食物繊維を食べる腸内細菌もいます。
海苔の食物繊維を食べる腸内細菌は、日本人の大腸には住んでいますが、欧米人の大腸には住んでいません。
そして、それらの腸内細菌は、それぞれに、私たちの体にとって、とても貴重な栄養素を作り出してくれます。
たとえば、腸内細菌の一種である、クロストリジウム菌の仲間の細菌は、食物繊維を分解して、短鎖脂肪酸を作り出します。
この短鎖脂肪酸を利用して、私たちは、免疫細胞の一種であるレギュラーT細胞(Treg細胞)を増やし、活性化して、免疫機能を調節しています。
ですから、クロストリジウム菌が、私たちの大腸から居なくなってしまうと、私たちは免疫機能をコントロールできなくなり、アレルギー疾患が悪化したり、喘息や花粉症になったり、慢性関節リウマチなどの自己免疫疾患を患ったりするのです。
また、短鎖脂肪酸は、私たちの脳を動かすための「神経伝達物質」の材料にもなります。
ですから、腸内細菌が、私たちの大腸から居なくなってしまうと、私たちは、うつ病になったり、不眠症になったりするのです。
また最近は、「キレやすい子供」が話題になっています。
さらには、発達障害や、自閉症の子供も、増えてきている様ですが、これらの原因も、危険な食材と、腸内フローラ(腸内細菌)の問題で説明が可能です。
危険な食材が溢れ、食物繊維が不足する、現代の日本の食生活からサバイバルして、将来のガンや認知症、神経難病を、予防するためには、現代の日本人に合った、正しい栄養の知識が必要なのです。
今回は、人間100年時代を、健康で楽しく生きるための、現代日本人のための、食事の医学について、解説したいと思います。
どうぞよろしくお願いします。
危険な油について考える
現代の日本には、加工食品があふれています。
また唐揚げなどの、油を使って作るメニューも、とても多くなってきました。
しかし、この加工食品には、たくさんの化学物質が含まれています。
また、安くて美味しい揚げ物を作るために、かなり無理をした油の使い方がされており、巷には危険な油が溢れかえっています。
今回は、特に油に注目して、危険な油の解説をして行きます。
なぜならば、油から作られる「脂肪酸」は、私たちの脳の主成分であり、この「脂肪酸」の種類が、脳の性能を決めているからです。
脂肪酸は脳の主成分です
私たちの脳は、神経細胞の膜など、そのほとんどが「脂肪酸」でできています。
ですから、質の良い「脂肪酸」を食べることが、私たちの記憶力や、判断力や、性格に、大きく影響を与えます。
また、将来に認知症になるリスクも、毎日どんな油を食べているかで、決まります。
脂肪酸の種類を覚えておきましょう
脳の主成分である、脂肪酸は、大きく4種類に分けられます。
この4種類の、脂肪酸について、良く覚えておきましょう。
4種類の脂肪酸
⑴ 飽和脂肪酸(動物性脂肪)
⑵ ω3不飽和脂肪酸(α-リノレン酸)
⑶ ω6不飽和脂肪酸(リノール酸)
⑷ ω9不飽和脂肪酸(オレイン酸)
⑴ 飽和脂肪酸(動物性脂肪)
豚のラードなどの、動物の脂肪は、飽和脂肪酸と呼ばれ、コレステロールの元になります。
これまではコレステロールが動脈硬化の原因となると考えられてきました。
そのために、なるべく豚のラードなどは使わずに、揚げ物も植物性のサラダオイルなどを使うように推奨されてきたのです。
しかし、このコレステロールは、傷ついた血管を修復する材料として必須のものなのです。
じっさいに私たちの食事のコレステロールが増えてから、血管が丈夫になったため、脳内の血管が破れる「脳内出血」は減ってきています。
それに対して、脳の血管が詰まる「脳梗塞」や「心筋梗塞」は増えてきているのです。
これは動脈硬化が増えていることで、血管が詰まりやすくなっているのです。
そして、この血管の動脈硬化の原因は、コレステロールではなく、コレステロールが酸化されてしまうことが原因だったのです。
ではなぜコレステロールは酸化されやすくなったのでしょう?
それはサラダオイルなどの植物性の油に含まれるω6不飽和脂肪酸(リノール酸)が原因だったのです。
動物性脂肪のコレステロール自体は、いくら多くてもそれだけでは動脈硬化を起こすことはありません。
⑵ ω3不飽和脂肪酸(α-リノレン酸)
α-リノレン酸は主に魚介類の油に多く含まれています。
また植物性の油の場合には、「えごま油」「しそ油」「亜麻仁油」だけが、このα-リノレン酸を多く含みます。
α-リノレン酸は、体内でEPA(エイコサペンタエン酸)や、DHA(ドコサヘキサエン酸)に変わります。
⑶ ω6不飽和脂肪酸(リノール酸)
サラダオイルなどの、ほとんどすべての植物性の油は、この「リノール酸」が主成分です。
またサラダオイルだけでなく、ほとんどすべての食材には、この「リノール酸」が含まれています。
ですから普通に食事を摂っていれば、リノール酸が不足することはありません。
それどころか、リノール酸の過剰摂取は、とても体に良くないことが分かってきたのです。
リノール酸は、体内で「アラキドン酸」に変化します。
このアラキドン酸は、必須脂肪酸であり、私たちの体には欠かせないものですが、過剰摂取すると、体内でプロスタグランジンやトロンボプラスチンなどの炎症性物質をたくさん作ってしまいます。
この炎症性物質が体内で過剰になると、私たちはアレルギー疾患になりやすくなり、花粉症や喘息が悪化します。
さらには血液中のコレステロールを酸化させて、動脈硬化を進行させてしまいます。
これは私たちの免疫機能が、ストレスなどによって傷ついた血管を修復するときに、酸化したコレステロールを使うことで、血管の壁が硬く脆くなってしまうからです。
また発ガン性も高まって、ガンのリスクも高くなってしまうのです。
じつはサラダオイルを食べることは、体にとっては良くないことだったのです。
サラダオイルを食べるのは、今すぐにやめなければなりません。
⑷ ω9不飽和脂肪酸(オレイン酸)
オレイン酸は、主にオリーブオイルなどに含まれている、植物性の脂肪酸です。
オレイン酸は、体内でコレステロールに変化する、いわば動物性の飽和脂肪酸によく似た植物性の油脂です。
オリーブオイルは、最近では健康に良いと持て囃されていますが、じつはさほどではなく、健康に良くもないけれど悪くもない。
比較的に安全だけれども、食べすぎると太りやすい油であると言えます。
キレやすい子供が増えた訳
最近は、キレやすい子供がよく話題になりますね。
またキレやすい大人も増えてきているような気がします。
じつは、このキレやすい人が増えているのは、私たちの油の摂り方が原因だったようなのです。
サラダオイルを食べるとキレやすくなります!
サラダオイルは、先ほどご説明したように「リノール酸」が主成分です。
リノール酸は、ほとんどすべての食材に含まれていますから、わざわざサラダオイルなどで、積極的に食べてしまうと、体内で変化して「アラキドン酸」が過剰になってしまいます。
私たちの脳は、その約60%が脂肪酸でできていますから、どんな脂肪酸が脳を構成しているかで、脳の働きが違ってきます。
脳を構成する脂肪酸で「アラキドン酸」の比率が上がると、脳の反応は過敏になり、イライラしてキレやすくなります。
ですからなるべくリノール酸の摂取量は減らさなければなりません。
また体内の「アラキドン酸」が過剰になると、アレルギー疾患が悪化して、花粉症や喘息になりやすくなります。
血管の動脈硬化も進行します。
発ガン性も高まるため、ガンにもなりやすくなります。
これは「アラキドン酸」から作られる、炎症性物質が、細胞のガン化と増殖を早めてしまうからです。
ですからサラダドレッシングや揚げ物にサラダオイルを使ってはいけません。
揚げ物は、昔ながらの豚のラードを使いましょう。
またサラダドレッシングには、「えごま油」や「亜麻仁油」を使うようにすると良いでしょう。
α-リノレン酸からDHAが豊富な脳を作りましょう
私たちはずっと、サラダオイルなどの植物性の油はヘルシーだと信じてきました。
しかしサラダオイルの主成分である「リノール酸」は、食べ過ぎると動脈硬化が進行し、アレルギーが悪化し、ガンになりやすくなります。
これはすべて「アラキドン酸」から作られる、炎症性物質が原因です。
この過剰な炎症性物質の作用を中和してくれる油があります。
それが魚介類の油である、α-リノレン酸です。
α-リノレン酸は、体内でEPA(エイコサペンタエン酸)や、DHA(ドコサヘキサエン酸)に変わり、過剰なアラキドン酸の働きを中和してくれます。
またEPA(エイコサペンタエン酸)や、DHA(ドコサヘキサエン酸)が豊富な脳は、反応がおだやかになり、記憶力が高まります。
ですからなるべく魚の料理を食べるようにしましょう。
またサラダドレッシングは、α-リノレン酸を多く含む「えごま油」「しそ油」「亜麻仁油」を使うようにしましょう。
危険な油をなるべく食べないようにしましょう
トランス脂肪酸は危険な油です!
あなたは「トランス脂肪酸」という名前を聞いたことがありますか?
この「トランス脂肪酸」は、トランス型不飽和脂肪酸の略称で、植物性の油脂に水素を添加して固め、ショートニングなどを作るときに一緒に作られます。
トランス脂肪酸を大量に食べてしまうと、これまた脳のキレやすい状態になって、攻撃性が高まってしまいます。
また発ガン性なども高く、トランス脂肪酸は、いわばダイオキシンなどの環境ホルモンと同じ仲間と考えられています。
このトランス脂肪酸は、植物性の油脂に水素を添加して固め、ショートニングなどを作るときに作られますから、あらゆるショートニングを利用した食品に含まれています。
それは以下のようなものです
⑴ マーガリン
⑵ マヨネーズ
⑶ パン
⑷ ケーキ
⑸ ドーナツ
⑹ クッキー(ベーカリー)
⑺ スナック菓子
⑻ 生クリーム
⑼ チョコレート
最近では、カロリーハーフのマヨネーズやマーガリンが増えていて、ヘルシーなイメージで売られていますね。
でもマヨネーズやマーガリンは、トランス脂肪酸の塊で、それ自体がダイオキシンなどの環境ホルモンを食べているようなものですから、カロシーは関係ありません。
カロリーがハーフでも、80%カットでも、ゼロでも、マヨネーズやマーガリンを食べている段階で、あなたは負け犬なのです。
またお菓子や加工食品を買うときに、原材料名の欄に「植物油脂」と書かれていたら、それはトランス脂肪酸を含んだショートニングを使っています。
ですから「植物油脂」と書かれていたら、それは食べてはいけません。
キャノーラ油とパーム油は危険な環境ホルモンです!
あなたのお家でも、揚げ物にはキャノーラ油を使っているのではないでしょうか?
何と言っても値段が安いですからね。
でもキャノーラ油は、とても危険な油なのです。
キャノーラ油とは、菜種油の一種で、菜種油は江戸時代には、行灯の灯明の油に使われていました。
つまり食用ではなく、工業用の油だったのです。
なぜ菜種油が工業用の油だったのかは、食べると腎機能が障害されたり、心臓の調子が悪くなるからです。
キャノーラ油は、それらの問題点を解決したと言われていますが、動物実験ではさまざまな問題が見つかっています。
キャノーラ油を食べていると、オスのラットでは男性ホルモン(テストステロン)が減少して、精力が減退し、精子が少なくなります。
またキャノーラ油で育てられたメスのラットが産んだ子供は、すべて寿命が短く、異常行動が認められていました。
つまりキャノーラ油は、ダイオキシンなどと同じ、危険な環境ホルモンだったのです。
さらにスーパーやレストランの揚げ物は、パーム油と呼ばれる、ヤシの油で揚げられています。
このヤシ油は、もともとは石鹸の材料でしたね。
ですから最近の揚げ物は石鹸であげているのです。
残念ながら、これらも環境ホルモンです。
ケンタッキーフライドチキンも食べてはいけませんし、コンビニのフライドチキンや、フライドポテトも全滅ですね。
揚げ物は、豚のラードを使って揚げている、昔ながらの町のお肉屋さんで買いましょう。
確かに豚のラードで揚げていると、コレステロールが高いので太りやすいですが、環境ホルモンよりは大分マシですよね。
化学抽出の安物のサラダオイル・オリーブオイルはダイオキシンと同じ環境ホルモンです
さてスーパーに行くと、最近ではオリーブオイルも大分お値段が下がって、お求め安くなって来ていますね。
でもその油危険です!
なぜ高価だったオリーブオイルが安くなったのか?
それは油の抽出方法が変わったからです。
高級なオリーブオイルは、昔ながらの石臼挽きの機械絞りです。
この方法だと、風味も良く、安全な純度の高いオリーブオイルが絞れます。
でも手作業で手間もかかるし、効率も良くありません。
そこで最新の抽出方法は、オリーブの実に化学薬品を加えて、化学的に抽出する方法をとっています。
薬の作用で、オリーブの実からオイルを絞り出し、最後にオイルから化学薬品を取り除くために、熱を加えて薬品を飛ばします。
良くオリーブオイルの宣伝に、「低温加熱一番搾り」なんて書いてありますが、これが化学抽出であるという証拠です。
ここでは「低温」と「一番搾り」の文句で、なんとなく良いものだと錯覚させる、印象操作の手法が用いられていますね。
でも化学抽出では、熱処理したときにトランス脂肪酸が発生しますし、毒性の高い化学薬品自体も、完全には除去しきれずに残ります。
つまりこれは環境ホルモンですね。
オリーブオイルだけでなく、他のサラダオイルなどの植物性の油も、安物はこの化学抽出方法をとていますから、油の種類に関係なくトランス脂肪酸と化学薬品を含む環境ホルモン様の物質であると言えますね。
注意しなければいけないのは、α–リノレン酸を含む「えごま油」なども化学抽出されたものがあるということです。
韓国などでは「えごま油」が良く使われていますから、比較的に安い「えごま油」も売られています。
しかし、こういった製品は、多くが化学抽出方法によって作られた油です。
化学抽出の「えごま油」の特徴としては、加熱処理をした結果として、色が黄色っぽくなっており、風味も独特のクセがあります。
それに対して、純粋な「機械絞りのえごま油」の場合は、色がとても薄く、わずかに透明ではないと感じるくらいです。
また風味も、ほとんどクセがなく、無味無臭といった感じなのです。
最近は、かなり低価格のオリーブオイルなどが出回っています。
そして、これらの低価格の植物性の油は、ほとんどが化学抽出で作られています。
これら化学抽出の油は、トランス脂肪酸を含み、毒性が強い「環境ホルモン」と同じ性質を持っています。
唐揚げが毎日気楽に食べられるようになったのは、決して日本が豊かになったからではありません。
インチキな油を使って、インチキな食品を食べさせるようになったからなのです。
安全な揚げ物料理は、昔も今も高級品です。
安全な油料理の食べ方
安物の化学抽出の油や、インチキなキャノーラ油、パーム油で揚げた唐揚げを毎日食べていると、将来は認知症やガンのリスクがとてつもなく高まってしまいます。
また良質のサラダ油であっても、リノール酸の過剰摂取は、キレやすい脳を作り、アレルギーが悪化し、発ガン性のリスクを高めます。
本来、植物性の油は、そのほとんどが動物にとっては毒性が高いのです。
まあ安全な植物性の油は、機械絞りの「えごま油」「しそ油」「亜麻仁油」と「オリーブオイル」だけですね。
その中でも、α–リノレン酸を多く含む、「えごま油」「しそ油」「亜麻仁油」をお勧めします。
「オリーブオイル」はオレイン酸ですから、食べすぎるとコレステロールが増えて、太りますよ。
安全な揚げ物は、動物性の脂である、牛や豚のラードで揚げたものが安全ですが、コレステロールが高いので、毎日食べると太りますね。
ですからオススメは、揚げ物は月に数回のお楽しみ、軽い贅沢として楽しみましょう。
サラダドレッシングなどは、α–リノレン酸を含む「えごま油」を使いましょう。
もちろん「えごま油」は、機械絞りのものを探しましょうね。
そして動物性たんぱく質は魚を多く食べましょう。
やはり魚介類の油も、α–リノレン酸が多く含まれていますから、健康のためには魚が良いと思います。
食物繊維で腸内フローラを育てましょう
最近は「腸内フローラ」が話題になっていますね。
「腸内フローラ」とは、私たちの大腸に住んでいる腸内細菌のコロニーのことで、まるで大腸の表面に広がるお花畑の様に見えることから、この腸内細菌のコロニーを「腸内フローラ」と呼びます。
また専門家は、この腸内フローラのことを「マイクロバイオータ」と呼んだりしています。
この腸内細菌は、私たちの大腸内に常に住んでいる常在菌であり、私たちとは完全な共生関係にあります。
私たちが食べた食事の中で、肉や炭水化物や脂肪は、私たちが自力で消化吸収することができます。
それらは胃と小腸で分解吸収されます。
しかし私たちの食事の中に含まれている「食物繊維」などは、私たちは自力では消化吸収できません。
ですから、それら「食物繊維」などの栄養素は、消化されないままに大腸で待ち受けている「腸内フローラ」のもとに送られます。
腸内フローラの細菌は、これらの食物繊維を発酵分解して、自らのエネルギーを作り出すのです。
そして、この腸内細菌の発酵分解の過程で、副産物として、「短鎖脂肪酸」などの、さまざまな希少栄養素が作り出されます。
これらの希少栄養素は、私たちが生きるために決して欠かす事のできない、とても重要な働きをしています。
ですから私たちの食事から食物繊維が不足すると、大腸の腸内細菌が減ってしまい、私たちの健康に大きな影響が出てくるのです。
腸内フローラが飢えると肥満になります
現代は飽食の時代と呼ばれていますね。
私たちの体は、本来であれば必要なだけの栄養があれば、それ以上は食べる必要はないはずなのです。
でも現代日本人は、ブクブク太っていても、まだ足りずにむさぼり食らっています。
どうしてこんなことになるのかと言うと、それには腸内フローラが深く関わっています。
原始時代や未開な時代には、私たちのご先祖さまたちは、草の根をしゃぶり、木ノ実や果物をかじって食事をとっていました。
それらの食事はカロリーは低いけれども、食物繊維は豊富に含まれていましたから、未開の時代のご先祖様は、1日に100~150g くらいの食物繊維を摂取していたと考えられます。
それに対して、現代日本に住む私たちは、主に高カロリーの加工食品を食べていますから、これらの食品には、ほとんど食物繊維は含まれていません。
ですから現代日本人の食物繊維の摂取量は、1日におよそ10g 程度まで減ってきていると言われています。
ですから私たちの大腸に住む「腸内フローラ」の細菌は、常に飢えに苦しんでいるのです。
このような事態に陥ったのは、ここ数十年のことでしょう。
じつは現代先進国の食事事情は、人類始まって以来の危機を迎えているのです。
私たちの大腸に住む腸内細菌が死んでしまえば、私たちもまた生きて行くことはできないからです。
私たちの脳に食べることを命令する腸内フローラ
最近の研究では、脳が私たちの体に命令しているのではなく、体のさまざまな組織の細胞から、脳に「メッセージ物質」が届き、それによって行動や思考が左右されていることが分かってきています。
それと同じ様に、私たちの大腸に住む腸内細菌も、私たちの脳に対して「メッセージ物質」を送ることが出来るのです。
そして私たちの脳に「もっと、もっと食べて」と命令しています。
なぜならば食物繊維が不足しているために、腸内細菌は常に飢えているからです。
しかし、私たちが普段食べている食事には、食物繊維はほとんど含まれていません。
現代社会では、玄米を食べずに精製された白米を食べ、小麦粉も保存の効く真っ白に精製された粉になっています。
野菜を食べる機会は少なくなって、代わりに野菜ジュースを飲んでいますが、これにも食物繊維は含まれていません。
ですから、いくら食べても満足することができず、常に食べ続けることになるのです。
肥満の原因は「食物繊維の不足」これだけです。
試しにご飯を玄米に変えてみてください。
たちまちお腹が空きにくくなりますよ。
腸内フローラが弱ると様々な病気になります
腸内フローラの細菌は、私たちの食べる食材に含まれる食物繊維を発酵分解して、「短鎖脂肪酸」などの希少栄養素を作り出してくれます。
これらの希少栄養素を利用して、私たちはさまざまな生命活動を維持しています。
それには主に以下の様なものがあります。
⑴ 免疫機能の維持と調節の材料となる
⑵ 神経細胞の材料となる
⑶ 神経伝達物質の材料となる
⑷ 消化機能の調節
⑴ 免疫機能の調節
私たちの大腸に住む腸内細菌の中に「クロストリジウム属」の細菌が居ます。
このクロストリジウム属の細菌が作り出す「短鎖脂肪酸」によって、私たちの身体は、レギュラーT細胞と呼ばれる、免疫細胞を作りだし、それを活性化させます。
このレギュラーT細胞は、抑制性免疫細胞で、免疫機能の暴走を抑える働きを持っています。
腸内細菌が減って、このレギュラーT細胞が働かなくなると、免疫機能が暴走して、アレルギー疾患が悪化します。
その結果として、私たちは喘息になったり、花粉症が悪化したりします。
それだけでなく、慢性関節リウマチなどの自己免疫疾患にかかるリスクも高まるのです。
さらには免疫の暴走により、自分の脳の神経細胞を攻撃して、神経難病である「多発性硬化症」になるリスクも高まることが分かっています。
⑵ 神経細胞の材料になる
腸内フローラの細菌が作り出す希少栄養素は、私たちの脳の神経細胞を作る材料にもなります。
そのために食物繊維が不足して腸内細菌が減ると、脳の神経細胞を作る材料が不足する可能性が高いのです。
最近の子供に発達障害が多いのは、先ほどの油の問題と併せて、生まれてからの食物繊維の不足が原因ではないかと言われています。
また帝王切開での出産が増えたことで、生まれてくる時に、母親の膣で腸内細菌の受け渡しが行なわれないために、帝王切開で生まれた赤ちゃんは、腸内細菌の種類が少なく、腸内フローラが貧弱であると言われています。
また生後すぐに抗生剤を投与されることで、少ない腸内細菌がさらに死んでしまい、それが原因で、赤ちゃんの発達障害や自閉症が増えているという可能性があるのです。
⑶ 神経伝達物質の材料になる
腸内フローラの細菌が作り出す希少栄養素は、私たちの脳の神経を動かすための「神経伝達物質」の材料にもなります。
私たちの脳は、神経細胞同士がシナプスで繋がれています。
そしてシナプスを介して、神経細胞同士が信号をやりとりするのに、「神経伝達物質」と呼ばれる化学物質を使っています。
この「神経伝達物質」の中には、さまざまな種類があります。
例えば私たちを興奮させて活動的にする「アドレナリン」は有名ですね。
さらには、私たちが気持ちよく眠るための神経伝達物質として「セロトニン」が有名ですね。
この「セロトニン」は安眠のためにとても重要な働きをしています。
そしてこの「セロトニン」を作るための材料も、腸内細菌が作ってくれているのです。
ですから最近の私たちの不眠傾向は、食物繊維の不足も原因のひとつになっているのです。
⑷ 消化機能の調節
腸内フローラの細菌が作り出す希少栄養素は、彼らの住んでいる消化器官の環境を整える働きも持っています。
まあ腸内細菌たちの住む環境が悪ければ、自分たちも生きていけなくなるわけですから、当然と言えばその通りですよね。
私たちは、その先祖を辿っていけば、最後にはミミズのような「腔腸動物」に行きつきます。
つまり消化器官に筋肉と感覚器官がくっ付いた、とてもシンプルな生き物です。
そこから少しずつ進化して、手足が生え、目や耳ができ、脳が発達してきたのです。
ですから脳と腸を比較すると、腸の方が先輩で、ご主人様なのです。
ですから、じつは脳は腸から沢山の命令を受けて、その意向に従って行動を決定しています。
よくお腹が空くと、怒りぽくなる方がいますよね。
あれも腸から脳に強い命令がきているのです。
ですから腸の調子が悪くなると、脳の思考能力も低下します。
じつは下痢や便秘をしている時には、脳はバカになっているのです。
常に脳を良い状態にするためにも、食物繊維をしっかりと摂って、腸内環境を整えておきたいものですね。
腸内フローラは自分の分身の様な大切なペットです
私たちは現代社会の便利な生活を享受しています。
私たちが普段食べている食事にも、かなりの比率で加工食品が見受けられていますね。
例えばご飯などの主食も、昔は玄米食でしたが、いまはほとんど白米を食べています。
玄米には胚芽と糠があるために、食物繊維も豊富ですが、白米は栄養的には、角砂糖を舐めているのと変わりません。
また自宅で野菜などを調理する機会も減ってきており、それを補うために野菜ジュースなどを飲んだりしていますが、この野菜ジュースにも食物繊維は含まれていません。
加工食品が増えるにつれ、私たちの食事からは、ドンドン食物繊維が減ってきているのです。
そのために、私たちの大腸に住む腸内細菌は、常に飢えています。
本来であれば、私たちの健康を守るために、一番大切な仲間である腸内細菌を、現代社会の私たちは、蔑ろにするどころか、抗生物質や加工食品によって、攻撃し続けています。
そのしっぺ返しが、過度な肥満や健康障害として、私たちの身体に跳ね返ってきているのです。
腸内細菌と上手に共存していかないと、私たちは命をつなぐことが出来ません。
毎日の食事を、自分のためだけでなく、大腸に住む腸内細菌のことを思いやった食事を、摂る必要があるのです。
まとめ
今回は最近のトピックである、安全な油と危険な油についてと、腸内細菌に対する食物繊維のお話をさせていただきました。
日々、科学や医学は進歩しており、食事に対する常識も、その度に変わって行きます。
しかし、企業は加工食品を売ることで業績をあげており、健康のために正しい食品に対する知識が、コマーシャルの世界では抹殺される傾向にあります。
その良い例が、カロリーハーフのマヨネーズやマーガリンですね。
マヨネーズやマーガリンは、それ自体が危険なトランス脂肪酸の塊で、環境ホルモンとして、私たちの健康を脅かします。
それをカロリーが少ないことで、ヘルシーであると印象操作して、私たちに危険な食材を食べさせようとしているのです。
食べる人の健康よりも、企業の収益の方が大切であるという訳です。
またその情報を伝えるマスコミも、スポンサーはそれらの加工食品を扱う、食品メーカーですから、テレビなどで正しい食品に対する情報は伝えられることがありません。
何らかの情報操作や印象操作が加えられて、スポンサーの不利益にならないように配慮されています。
私たちは、きちんとした正しい情報を手に入れて、自分たちの健康を守っていかなければならないのです。
最後までお読みいただきありがとうございます。