家族が脳卒中で倒れたら

家族が脳卒中で倒れたら! リハビリテーション病院の上手な選び方!

 

急性期病院での初期の治療が終わったら、次は回復期リハビリテーション病院に転院して、専門的なリハビリを受けることになります。

地域の基幹病院などの大手の病院では、このリハビリテーション病院を併設していたり、病院内に「回復期リハビリテーション病棟」があったりします。

そういう病院ですと、そのまま自動的に病棟を移動するだけで、リハビリテーション病院への転院が完了します。

しかし一般的な急性期病院に入院していた場合、次に転院するリハビリテーション病院を自分で探さなければなりません。

急性期病院での入院期間は、平均2週間程度と短いので、急いで次のリハビリ病院を探さなければなりません。

しかしその後の体の機能の回復を左右する、リハビリテーション病院選びは、とても大切です。

できるだけ自分たちの希望にあった病院を選びたいですね。

今回は、リハビリテーション病院の探し方と選び方について解説していきます。

どうぞよろしくお願いします。

 

リハビリテーション病院探しは出来るだけ早く始めましょう!

急性期病院に入院したばかりのころは、脳卒中で倒れたご家族は、おそらくは生きるか死ぬかの治療を受けていることと思います。

もしかしたら今、あなたは倒れたご家族が、緊急で手術を受けている、手術室の前の椅子に座っているのかもしれません。

本来ならば、手術の成功を一身に祈っていなければならないところですね。

しかしあえて言わせていただきます。

すぐにリハビリテーション病院探しをはじめましょう!

確かに倒れたばかりの時には、心配ばかりしてしまいます。

しかし脳卒中の治療はドンドン進歩していて、生存率はとても高くなっているのです。

ですから今は大変な状態である、あなたのご家族も、いずれは助かってリハビリを受ける必要が出てくるのです。

そしてリハビリテーション病院には、いくつかの種類や特色があり、また入院期間もしっかり管理されているため、早めに予約しておかないと、「希望する病院に空きがない」なんてことになります。

なるべく早めに次のリハビリテーション病院探しを始めましょう。

急性期病院での治療中に、あなたが大切なご家族にしてあげられる事は、それほど多くありません。

ですからただ心配するだけになりがちです。

そうすると余計なことばかり考えて、さらに不安になってしまいますね。

それよりも事務的な作業をドンドン進めて行ったほうが、良い気分転換にもなりますよ。

さあ前を向いて、大切なあなたの家族の復活を助けてくれる、リハビリテーション病院を探しにいきましょう。

 

まずは病院の相談室で情報を収集しましょう!

まずは近隣にどんなリハビリテーション病院があるのか知るために、今入院している病院の相談室に行ってみましょう。

相談室あるいは医療連携室などが、一般の急性期病院にはあります。

そこには近隣のさまざまな病院の情報が集まってきています。

そこで事情を説明して、近隣のリハビリテーション病院を教えてもらうといいでしょう。

 

また今入院している病棟は、脳神経外科などの、脳卒中に関連する病棟だと思います。

ですからその病棟の婦長さんや、ベテランの看護師さんに、相談室で教えてもらったリハビリテーション病院の評判などを聴くのも良いと思います。

現場の生の情報は、貴重な価値があります。

 

その他に、インターネットにも情報がありますので、併せて調べてみると良いと思います。

 

 

自分にあったリハビリテーション病院を選びましょう!

さてそれでは沢山あるリハビリテーション病院の中で、どれを選べば良いのでしょうか?

 

病院の場所で選ぶ

一番重要なポイントは、そのリハビリテーション病院がどこにあるかということです。

リハビリテーション病院への入院期間は、3ヶ月から5ヶ月程度になりますから、その間は毎日のようにお見舞いに行って、あれこれ世話を焼かなくてはなりません。

ですから、いくら評判がいい病院だからと、自宅や生活圏から遠い病院を選んでしまっては、後々大変な思いをすることになります。

もし入院されているご家族が、一家の大黒柱であった場合、もしかすると収入が減ってしまっているかもしれません。

介護する方が、パートで働いていた場合、パート収入はぐっと減ってしまいます。

そんな時に、入院費用の他に、病院に通うための高額な交通費は、なるべく避けたいものです。

病院はなるべく自宅に近いのが理想です。

またあなたが仕事帰りに、お見舞いに行く場合、職場の近くの病院を選ぶという選択肢もありますよ。

ご自分たちの生活スタイルをよく考えた上で、今後の生活も考慮しながら、病院は慎重に選んでくださいね。

 

リハビリテーションの内容で選ぶ

実はリハビリテーション病院にも、その病院によって、得意な分野が別れています。

表向きはどんな疾患の患者さんでも受け入れる様になっていますが、それぞれに得意分野があるのです。

例えば脳卒中のリハビリを得意とする病院があれば、脊髄損傷や骨折などの整形外科疾患を得意とする病院もあります。

またパーキンソン病や脊髄小脳変性症などの、神経難病を多く扱う病院もあります。

あなたのご家族は、脳卒中で倒れたのですから、やはり脳卒中を得意とする病院を選びたいですね。

脳卒中を得意とする病院であれば、入院患者さんも、その多くは脳卒中患者さんです。

自分と同じ様な病気の方が多ければ、お互いに励ましあったり、経験を話し合ったりすることで、支え合うことができます。

また患者さん本人だけでなく、家族の交流も可能ですね。

でも脳卒中を得意とするリハビリテーション病院の中にも、さらに細かく違いがあるのです。

 

日常生活動作訓練型とニューロリハビリテーション型の違い

まず脳卒中のリハビリで大きな違いがあるのは、「日常生活動作訓練型」と「ニューロリハビリテーション型」の違いでしょう。

この2つの違いについて、少し解説していきますね。

 

日常生活動作訓練型リハビリテーション病院

実は脳卒中リハビリを行う、リハビリテーション病院のほとんどは、この日常生活動作訓練型になります。

この日常生活動作訓練型の特徴は、トイレ動作や、着替え動作や、食事動作など、日常生活で普通に行うさまざまな動作を練習することで、運動機能を回復させようとするリハビリ方法と言うことです。

練習するのは、ごく普通の日常で行う生活動作です。

しかし脳卒中患者さんは、左右どちらかの手足が麻痺(片麻痺)してしまっていますから、この普通の動作をすることが難しいのです。

ですから日常生活動作訓練型のリハビリ病院では、この麻痺がある状態で、残された身体機能を上手に使って、確実かつ安全に日常生活を送れる様に練習していきます。

とにかく一番肝心なことは、3ヶ月くらいの短期間で、キッチリ自宅で生活できる様になることですから、日常生活動作訓練をしっかり行うことが、とても重要になります。

しかしガチガチに、日常生活動作訓練型にハマってしまう事も、問題があるのです。

実は、最新の脳科学では、脳卒中で麻痺した側の手を使わないままに放置すると、そこに痛みや筋肉のこわばり、異常なシビレなどの問題が起こる事が分かってきています。

リハビリテーション病院で、順調にリハビリを受けていて、退院間際になって、麻痺側の腕が痺れだしたり、歩行練習の時に、麻痺側の膝や腰の痛みが強くなって、歩きにくくなったりするケースがあります。

日常生活動作訓練を重視する場合、麻痺側の手の機能などは、実用性がある回復が見込めない場合、早めに諦めて健側の練習にフォーカスする傾向があります。

難しい麻痺側の回復を諦めて、健側の機能を上達させて、確実に自宅での生活を、健側重視で自立させると言う戦略ですね。

このために麻痺側の手を使わずに、健側の手ばかり強化することになり、脳内の左右の大脳半球の神経活動にアンバランスが生じて、後々問題が起こることになります。

ですから日常生活動作訓練は重要なのですが、脳の神経機能の特性にも注意してリハビリを受ける必要があるのです。

それがニューロリハビリテーションです。

 

ニューロリハビリテーション型

正直に申し上げると、ニューロリハビリテーションを中心に脳卒中リハビリをやっている病院は、ほとんどありません。

本当にいきなりぶっちゃけてごめんなさい。

これにはしっかりとした理由があって、ニューロリハビリテーションが病院で普及しない原因は、リハビリテーション病院の入院期間の短さにあります。

脳卒中でのリハビリテーション病院への入院期間は、脳卒中で倒れてから(発症から)150日以内と決められているのです。

ですから、急性期病院から、脳卒中患者さんが転院してくると、リハビリテーション病院では、大急ぎで家に帰って生活できる様に、日常生活動作訓練を始めるのです。

そんな状況では、なかなかゆっくりと脳の神経機能を治している暇はありませんね。

かと言って、リハビリテーション病院では、日常生活動作訓練だけやっていれば良いかというと、そうもいかないのです。

なぜならば、日常生活動作訓練は主に健側の手足を使って練習するので、麻痺側のケアがおろそかになりがちです。

健側ばかりを毎日使っていると、左右の大脳半球の神経の活動バランスが狂ってしまいます。

それが原因となって、麻痺側の手や足に、シビレが強くなってきたり、痛みが出たり、筋肉の強張りが強くなったりします。

そのために、それまでは順調にリハビリを続けていたにも関わらず、退院間際になって、急に手のシビレが強くなったり、膝や腰の痛みが強くなって、歩きにくくなったりする事があります。

ですから、ある程度は神経学的なアプローチを併用してくれる病院を、選べると良いですね。

入院を決める前に、できればその病院のリハビリスタッフに話を聞けると良いでしょう。

目当ての病院のリハビリテーションセンターを、一目見て、少しそこのスタッフと話すだけでも、けっこう感覚をつかめると思います。

 

認知症と高次脳機能へのリハビリテーション

リハビリテーション病院の中には、運動機能のリハビリを重視して、認知症の患者さんを受け入れないところもあります。

そういった病院では、キチンとした運動機能のリハビリテーションが受けられることになります。

しかし、もしあなたのご家族が、高次脳機能障害(失行・失認など)があった場合、逆に認知症や高次脳機能へのアプローチが上手な病院を選ぶという選択肢もあります。

アルツハイマー型認知症などの、進行性の認知症と違って、脳卒中による「脳血管性認知症」や高次脳機能障害は、キチンとケアすれば、時間はかかりますが良くなっていきます。

もしあなたのご家族に、脳卒中に伴う認知症や高次脳機能障害があった場合、そのケアを得意とする病院かどうかを調べておくことも、大切なことです。

 

費用で選ぶ

一口にリハビリテーション病院と言っても、かかる費用にも、けっこう違いがあります。

一般的な入院費用は同じですが、個室料金や、介護費用などで、大きな違いがある場合があります。

入院期間は3ヶ月程度から5ヶ月近くになる場合もあり、毎月の費用の差は、あとで大きな違いになります。

事前にしっかりと調べた上で、なぜその料金になっているのか、その費用は自分にとって必要なサービスによるものなのか、冷静に判断してから、入院を決めてくださいね。

よろしくお願いします。

 

まとめ

今回はリハビリテーション病院への転院について、注意する点を解説させていただきました。

どうしても急性期病院から、慌ただしく転院するため、十分なリハビリテーションに対する知識が無いまま、なんとなくで転院するケースが多くあります。

リハビリテーション病院に転院する前に、しっかりと事前調査をされてから、病院を選ばれることをお勧めします。

リハビリテーション病院探しのポイント!
⑴ リハビリテーション病院探しはできるだけ早く始めましょう。
⑵ いま入院している病院の相談室や医療連携室にたずねてみましょう。
⑶ リハビリテーション病院選びは以下のポイントに注意
① 日常生活動作訓練だけでなく神経リハビリもやってもらえるか?
② 認知症や高次脳機能障害への対応はできるか?
③ 費用は適切か?

 

最後までお読みいただきありがとうございます。

 

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