脳卒中リハビリ

骨盤の周囲の筋肉のコンディションを整えて脳卒中の痛みをとるマッサージ


 

はじめに

今回は「肩甲骨の周囲の筋肉のコンディションを整えて痛みをとるマッサージ」「肩甲骨の周囲の筋肉のコンディションを整えて痛みをとる運動方法」に引き続き、骨盤周囲の筋群へのマッサージの方法について解説したいと思います。

 

痛みの悪循環スパイラルのリンクは骨盤と背骨と肩甲骨で起こります!

コアマッスル群 L

骨盤周囲の筋群の解説が完了すれば「痛みのリンクは骨盤と背骨と肩甲骨で起こります」でご紹介したように背骨の筋群「背骨を動かす脊柱起立筋群と痛みのケア」「背骨の周囲の筋肉のコンディションを整えて痛みをとるマッサージ」「背骨の周囲の筋肉のコンディションを整えて痛みをとる運動方法」のケアと肩甲骨周囲の筋群のケアと併せて、骨盤・背骨。肩甲骨の痛みのリンクのケアが完了します。

この骨盤・背骨。肩甲骨の痛みのリンクは、そのまま運動機能のリンクになり、座った姿勢や立位姿勢、歩行能力に直接的に影響しますので、しっかりとケアできるようにしていきましょう。

 

骨盤周囲筋の運動機能上の役割とは!

仙腸関節周囲筋 L1

骨盤はその中心には背骨(脊柱)が上から載っており、下からは大腿骨が股関節の関節窩にハマってきています。 つまりは、骨盤とその周囲の筋群は、上半身の重みと、足(下肢)からの床反力を上下から受け止めていることになります。

まさに扇の要のような働きを骨盤の筋群はしていることになります。 当然座っている時も、立っている時も、歩いている時も、かなりの負荷が骨盤周囲の筋群にかかっています。 ですからまた骨盤周囲の筋群がしっかりとしていなければ、座っていても、立っていても、歩いていても安定しないということになります。

これだけの負荷がかかりますから、当然のことに筋肉への負担も大きく、腰痛などが起きやすくなりますね。

 

今回はマッサージや運動を行うにあたり、骨盤周囲の筋群を以下の3つのグループに分けて考えていきたいと思います

 

  1. 背骨と骨盤を結ぶ筋群

  2. 骨盤と大腿骨を結ぶ股関節周囲(仙腸関節周囲)の筋群

  3. 背骨と肋骨を結ぶ筋群

それではそれぞれの筋群について、もう少し詳しく見ていきましょう。

 

背骨と骨盤を結ぶ筋群

背骨から骨盤にかけて接続する筋群で骨盤から背骨にかけての運動を制御しています。 また「背骨の周囲の筋肉のコンディションを整えて痛みをとるマッサージ」「背骨の周囲の筋肉のコンディションを整えて痛みをとる運動方法」でご紹介した、脊柱起立筋と連携して、骨盤と背骨を支える働きを持っています。

① 腰方形筋

腰方形筋 L1

骨盤の上側から背骨と下位の肋骨に接続している筋肉で、体を左右に捻る、体を後ろに反らす運動をするとともに、骨盤や背骨を支える働きを持っています。

② 外腹斜筋

外腹斜筋 L1

脇腹にある筋肉で、第5肋骨から第12肋骨の側面から斜め前下方に向かって骨盤に接続する筋肉で、胸郭を引き下げて背骨を曲げる、骨盤を引き上げる運動をするとともに、骨盤や背骨を支える働きを持っています。

③ 内腹斜筋

内腹斜筋 L1

外腹斜筋と同じく脇腹にある筋肉で、外腹斜筋の下にあります。 骨盤から斜め前上方に向かって、第10肋骨から第12肋骨や腹直筋などに接続し、外腹斜筋と同じく胸郭を引き下げて背骨を曲げる、骨盤を引き上げる運動をするとともに、骨盤や背骨を支える働きを持っています。

 

骨盤と大腿骨を結ぶ股関節周囲(仙腸関節周囲)の筋群

骨盤と大腿骨を接続する筋群で、股関節の運動を制御して、特に左右の下肢への体重移動や、片足立位などに働いて、立位や歩行の安定に深く関わっています。

① 中殿筋

中殿筋 L1

大殿筋の下にあり、股関節を外側に開き(外転)、大腿骨を内側に捻る(内旋)させます。 片足立位や左右の下肢への体重移動を安定させる働きをします。

② 梨状筋

梨状筋 L1

中殿筋のそばにあって、大腿骨を外側に捻る(外旋)させます。 一般的に坐骨神経痛と呼ばれる症状は、この梨状筋と上双子筋の間を坐骨神経が通過する部分で起こり、梨状筋の障害が原因で起こります。 この臀部の痛みは、梨状筋症候群などとも呼ばれています。

③ 上双子筋

上双子筋 L1

坐骨から大腿骨に接続する筋肉で、大腿骨を外側に捻る(外旋)させます。

④ 下双子筋

下双子筋 L1

上双子筋と同じく、坐骨から大腿骨に接続する筋肉で、大腿骨を外側に捻る(外旋)させます。

⑤ 外閉鎖筋

外閉鎖筋 L1

恥骨と坐骨から大腿骨に接続する筋肉で、大腿骨を外側に捻る(外旋)させます。

 

⑥ 内閉鎖筋

内閉鎖筋 L1

恥骨と坐骨から大腿骨に接続する筋肉で、大腿骨を外側に捻る(外旋)させます。

 

 

背骨と肋骨を結ぶ筋群

背骨(腰椎)と下位肋骨を繋ぐ筋群で、骨盤と腰椎の動きに連動して胸郭を動かす働きをすることで、腰椎を中心とした背骨の運動を助ける働きをしています。

① 下後鋸筋

下後鋸筋 L1

棘肋筋の仲間で、胸椎・腰椎と下位肋骨を繋ぐ筋肉です。 肋骨を内下方に引き下げる働きを持っています。

 

それでは実際のマッサージを行いましょう。 マッサージは市販されている小型のマッサージ用バイブレーターを使用して行います。

 

背骨と骨盤を結ぶ筋群へのマッサージ

 

リスク

特になし

必要な機材

市販のマッサージ用バイブレーター
IMG_3291
畳かベッドの上で横になれるスペース

運動時間

30分 ~ 40分

 

運動内容

※ 今回は右片麻痺の設定で解説を行っています

 

腰方形筋のマッサージ

腰方形筋 L1

① 畳かベッドの上で麻痺側を上にして横になります。 両膝を揃えて曲げるようにして、背骨が捻られないように気をつけます。

IMG_3433

(麻痺側上の横向き寝)

IMG_3427

② 胸郭と骨盤の間に背中側の側面からバイブレーターを当てて3分間バイブレーターを動かさないように腰方形筋へのマッサージを行います。

 

外腹斜筋のマッサージ

外腹斜筋 L1

① 畳かベッドの上で仰向けに横になります。 両膝を揃えて曲げ身体が左右に捻れていないように真っ直ぐにします。

IMG_3434

(仰向けに寝た時の外腹斜筋の位置)

IMG_3429

② 脇腹のやや前側で胸郭(肋骨)のすぐ下辺りにバイブレーターを当てて3分間バイブレーターを動かさないように外腹斜筋へのマッサージを行います

 

内腹斜筋のマッサージ

内腹斜筋 L1

① 畳かベッドの上で仰向けに横になります。 両膝を揃えて曲げ身体が左右に捻れていないように真っ直ぐにします。

IMG_3435

(仰向けに寝た時の内腹斜筋の位置)

IMG_3429

② 脇腹のやや前側で骨盤のすぐ上辺りにバイブレーターを当てて3分間バイブレーターを動かさないように内腹斜筋へのマッサージを行います

健側のマッサージ

※ 上記の3つの筋へのマッサージが完了したら、今度は健側を麻痺側と同様に、健側の腰方形筋、外腹斜筋、内腹斜筋へのマッサージを行ってください。

 

 

骨盤と大腿骨を結ぶ股関節周囲(仙腸関節周囲)の筋群へのマッサージ

 

リスク

特になし

必要な機材

市販のマッサージ用バイブレーター
IMG_3291
畳かベッドの上で横になれるスペース

運動時間

30分 ~ 40分

 

運動内容

中殿筋のマッサージ

中殿筋 L1

① 畳かベッドの上で麻痺側を上にして横になります。 両膝を揃えて曲げるようにして、背骨が捻られないように気をつけます。

IMG_3143

(麻痺側上の横向き寝での中殿筋の位置)

IMG_3154

② 骨盤の上半分のやや外側の辺りにバイブレーターを当てて3分間バイブレーターを動かさないように中殿筋へのマッサージを行います。

 

梨状筋のマッサージ

梨状筋 L1
① 畳かベッドの上で麻痺側を上にして横になります。 両膝を揃えて曲げるようにして、背骨が捻られないように気をつけます。

IMG_3144

(麻痺側上の横向き寝での梨状筋の位置)

IMG_3153

② 骨盤の中央部のやや外側の辺りにバイブレーターを当てて3分間バイブレーターを動かさないように梨状筋へのマッサージを行います。

 

上下双子筋のマッサージ

① 畳かベッドの上で麻痺側を上にして横になります。 両膝を揃えて曲げるようにして、背骨が捻られないように気をつけます。

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(麻痺側上の横向き寝での上・下双子筋の位置)

IMG_3561

② 骨盤の坐骨と尾椎の中間やや下の辺りにバイブレーターを当てて3分間バイブレーターを動かさないように上下双子筋へのマッサージを行います。

健側のマッサージ

※ 上記の3つの筋へのマッサージが完了したら、今度は健側を上にして横向きに寝て、麻痺側と同様に、健側の中殿筋、梨状筋、上下双子筋へのマッサージを行ってください。

 

背骨と肋骨を結ぶ筋群へのマッサージ

リスク

特になし

必要な機材

市販のマッサージ用バイブレーター
IMG_3291
畳かベッドの上で横になれるスペース

運動時間

30分 ~ 40分

 

運動内容

 

下後鋸筋のマッサージ

① 畳かベッドの上で麻痺側を上にして横になります。 両膝を揃えて曲げるようにして、背骨が捻られないように気をつけます。

IMG_3563

( 麻痺側上の横向き寝での下後鋸筋の位置)

IMG_3564

② 下位肋骨の中間やや下の辺りにバイブレーターを当てて3分間バイブレーターを動かさないように下後鋸筋へのマッサージを行います。

 

健側のマッサージ

※ 上記の3つの筋へのマッサージが完了したら、今度は健側を上にして横向きに寝て、麻痺側と同様に、健側の中殿筋、梨状筋、上下双子筋へのマッサージを行ってください。

 

骨盤周囲の筋群のコンディションを整えて痛みをとるマッサージは以上です。

 

 

次回は
「骨盤の周囲の筋肉のコンディションを整えて痛みをとる運動方法」
についてご説明します。

 

最後までお読みいただきありがとうございます

 

注意事項!

この運動は、あなたの身体状態を評価した上で処方されたものではありません。 ご自身の主治医あるいはリハビリ担当者にご相談の上自己責任にて行ってくださるようお願い申し上げます。

 

 

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