脳卒中リハビリ

脳卒中の自律神経機能を整えるためのコアマッスルのリハビリ方法

 

はじめに

今回は前回の続きとして、自律神経機能を整えるためのコアマッスルのケアについてご説明いたします。

前回、脳卒中の急性期には自律神経やコアマッスルが大きく影響を受けてしまい、その調整システムや感覚センサーの狂いが、全身の筋肉の緊張を高め続ける悪循環のスパイラルを生み出してしまうお話をさせていただきました。

今回はその悪循環のスパイラルを解消して、全身の筋肉の緊張を和らげて、動きやすい身体を取り戻すためのコアマッスルのリハビリテーション方法を覚えていただきます。

 

キネティックリンクとコアマッスル同士の連携について!

全身コア L

ヒトの身体は骨盤(腰の骨)と背骨を軸にして、その上に胸郭(肋骨に囲まれた部分)があり、胸郭と骨盤からそれぞれ手(上肢)と足(下肢)が伸びています。

そしてそれぞれの身体のパーツはお互いに支え合い、また影響を与えあいながら動いています。

ですから例えば右の膝の関節を痛めて、それを庇いながら歩いていると、やがて右の腰が痛くなり、反対側の左の膝が痛くなり、しまいには肩が凝って頭痛が起こったりします。

このようにヒトの身体はお互いに深く関連して動いています。

これをキネティックリンクと呼びます

同じように、背骨の周囲のコアマッスルと各々の関節周囲のコアマッスルにも連携があります。

そしてその連携は自律神経のターミナルの一つである交感神経幹とも連携があるようなのです。

 

脳卒中で陥る自律神経とコアマッスルの悪循環のスパイラル!

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脳卒中の急性期には、多かれ少なかれ脳浮腫が発生したり、脳内の血圧が上がりすぎたり下がりすぎたりして、その影響で自律神経の働きも混乱します。

そして手足が浮腫んだり、全身の筋肉がこわばったりします。

さらに長期間の安静による影響で筋肉のコンディションが悪くなります。

集中治療室やハイケアユニットの病室で寝たきりになっている患者さんのほとんどは背中の筋肉がガチガチにこわばっています。

そしてこのコアマッスルのこわばりは、急性期の治療が終わって自宅に退院してからも残ってしまっている方がほとんどなのです。

このコアマッスルがこわばっている状態で無理な運動をしてしまうと、腰や肩や膝に痛みが出ますし、筋力を強くする効果もあまり得られないのです。

退院後の在宅でのリハビリテーションがあまり効果が見られないことが多いのは、このコアマッスルと自律神経の悪循環スパイラルを放置したまま、頑張って歩行練習をしたり日常の家事などを無理してしまうからなのです。

 

悪循環のスパイラルを断ち切るためのコアマッスルのケア!

自律神経機能を整えて、手足の筋肉の緊張を落ち着かせるためには、以下に挙げるコアマッスルのマッサージを行うことで、コアマッスルの連携からくる自律神経の興奮を抑えるアプローチが効果的です。

 

背骨の周囲のコアマッスルのマッサージ

脊柱起立筋群 L2
BodyParts3D © ライフサイエンス統合データベースセンター licensed under CC表示 継承2.1 日本

 

棘筋:

棘筋 L

最長筋:

最長筋 L2

腸肋筋:

腸肋筋 L2

上記の3つの脊柱起立筋群がアプローチするべき主な筋肉となります。 こ

れらの筋肉のコンディションの悪化や緊張が、交感神経などを興奮させて、周囲のアウターマッスルの緊張や痛み、便秘などの内臓機能の抑制を引き起こします。

 

実際の背骨の周囲のコアマッスルに対するマッサージ方法は以下を参照してください!

「背骨の周囲の筋肉のコンディションを整えて痛みをとるマッサージ」

 

 

肩甲帯のコアマッスルのマッサージ

肩甲帯筋群 L2
BodyParts3D © ライフサイエンス統合データベースセンター licensed under CC表示 継承2.1 日本

上記の図で

 

棘上筋:

棘下筋 L2

棘下筋:

棘下筋 L1

大円筋:

大円筋 L1

小円筋:

小円筋 L1

肩甲挙筋:

肩甲挙筋 L1

 

実際の肩甲骨と肩関節周囲のコアマッスルのマッサージ方法は以下を参照してください!

「肩甲骨の周囲の筋肉のコンディションを整えて痛みをとるマッサージ」

 

 

骨盤・仙腸関節のコアマッスルのマッサージ

骨盤周囲筋群 L1
BodyParts3D © ライフサイエンス統合データベースセンター licensed under CC表示 継承2.1 日本

上の図の

 

中殿筋:

中殿筋 L1

梨状筋:

梨状筋 L1
※ 中殿筋と梨状筋は大きくて力の強い大殿筋の下にある小さな筋肉です。 中殿筋と梨状筋のマッサージを行う場合は、お尻や足に力を入れないようにリラックスした状態で行ってください。

 

大腿筋膜張筋: 赤色で表示された部分が大腿筋膜張筋です

大腿筋膜張筋 L1

 

実際の骨盤と仙腸関節周囲のコアマッスルのマッサージ方法は以下を参照してください!

「骨盤の周囲の筋肉のコンディションを整えて痛みをとるマッサージ」

 

これらのコアマッスルを丁寧にマッサージしていくことで、腰痛や肩痛を軽減して、筋緊張を整え運動負荷に耐えられる元気な身体を作っていきます。

マッサージはマッサージバイブレーターを一点に固定して動かさずに、同じ場所を3分間マッサージし続けてください。

このコアマッスルのマッサージは出来るだけ毎日キチンと行うようにしてください。 よろしくお願いします。

 

次回は

「大脳の命令に逆らってリラックスした運動をする」

ガチガチに緊張した努力性の歩行や運動パターンから卒業するための方法について解説します。

 

 

最後までお読みいただきありがとうございます

 

 

注意事項!

この運動は、あなたの身体状態を評価した上で処方されたものではありません。 ご自身の主治医あるいはリハビリ担当者にご相談の上自責任にて行ってくださるようお願い申し上げます。

 

 

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