脳卒中リハビリ

脳卒中の痛みのリンクは骨盤と背骨と肩甲骨で起こります

 

はじめに

今回は前回の「脳卒中のリハビリで一番大切なのは痛みのケア」の続きで、前回ご紹介したAさんが陥った様な痛みの悪循環スパイラルは、実際はどの様な仕組みで起きてくるのか、それをどうしたら良いのかについて解説します。

Aさんて誰だっけという方は、もう一度前回の記事を読んでくださいね。

 

⒈ 脳卒中片麻痺の急性期に身体に起きていること

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以前にも何度かお話ししましたが、脳卒中片麻痺の急性期には自律神経機能が混乱して、手足の浮腫が強く出たり、全身の筋肉の緊張が高まることで、関節が拘縮して動かなくなったり、筋肉のコンディションが悪くなってこわばったりします。 集中治療室やハイケアユニットに入院している患者さんのほとんどは、背中の筋肉がカチカチに硬くなっています。

本来であれば、この身体状態をじっくり時間をかけて(1年間ぐらい)ケアしたいところですが、現在の医療保険制度では、3ヶ月からせいぜい半年ぐらいしか病院でリハビリが受けられません。

ですから病院でのリハビリテーションも日常生活動作の練習が中心となって「なるべく早く家に帰すためのリハビリ」に終始してしまい、じっくり身体の機能を整えている暇がありませんし、新人のセラピストの中には、その様なリハビリテーションの技術があることさえ知らない世代が生まれてきてしまっています。
そしてその様な不十分な身体のコンディションのまま、日常生活動作の練習(食事やトイレの練習やとにかく歩くこと)を受けて、慌てて退院していきます。

 

⒉ 自宅に帰って起こりうること

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写真提供: ペイレスイメージス

皆さんは急性期で起きた自律神経機能の混乱による手足の浮腫や、全身の筋肉のこわばりを残したまま、家に帰ってきます。

しかし真面目な皆さんは、なるべく良くなろうと病院で行っていた「とにかく歩く練習やとにかく手足を動かす練習」を一生懸命続けていきます。
でも実は急性期の数ヶ月の間に行う歩行練習や手足を動かす練習と、家に帰って数年かけて行う歩行練習や手足を動かす練習は根本的にやり方や目的が違います。

でも皆さんは病院で行っていた急性期用の歩行練習や手足を動かす練習を、そのままご自宅で真似して行ってしまいます。 他の方法を知らないのですから仕方がありません。
例えば急性期の病院での歩行練習は「とにかく足腰の筋肉の出力を引き出して、早目に自分で歩ける様にする」ための歩行練習ですが、その後のご自宅での歩行練習は「過剰な力みをコントロールしてスムースかつ安定した歩行を獲得するために、なるべく正しい歩き方で適正な時間の歩行練習を繰り返して、ゆっくり歩き方や身体の調整を行う」ものに変更しなければなりません。
ですから急性期のある意味乱暴な歩行練習をご自宅で見よう見まねで継続することで、まだまだ無理の利かない身体に負担をかけてしまい、肩や腰や膝が痛くなって、かえって動けなくなる現象が起きやすくなっているのです。

 

⒊ 実際の身体に起きていること

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急性期の身体に起きるダメージの中で、注目したいのは、背骨を支える筋肉と肩甲骨と骨盤にある筋肉へのダメージとそれらの連携が、その後の自宅での生活で作り出す、痛みの悪循環スパイラルの仕組みがどうして起こるのかです。

急性期に病院で長い間寝ていると、体調の悪さと身体を動かせないことで、特に背中の筋肉がガチガチにこわばります。

ですからその後に意識が回復してベッドから起きられるようになったときは、胴体が硬く一つの塊みたいになっていて、起こすのを介助しても、どっこいしょと力を入れて引き起こす感じになっています。

健康ならば、自分で身体をひねって寝返りしてスムースに起き上がるのですが、麻痺があるし、背骨も硬くなって、肩も上手く回らないために、寝返りが上手に出来なくなっています。

じつはこの寝返りという動作が大切で、起き上がることも、立ち上がることも、歩くことも、この寝返る動作(身体をねじる動作)が基本となっています。

しかし急性期の障害により、背骨の周囲の筋肉(脊柱起立筋群)は硬くこわばっていて、以前ほど柔らかく身体をねじったり、身体を傾けたりすることができなくなっています。

また麻痺もあるので肩甲骨の動きも上手くできなくなっています。 肩甲骨がスムースに動かないと、腕も上手く動かせないですし、立ったり歩いたりする時のバランスも上手にとれません。 それどころか坐っている時のバランスさえ危うくなっています。

加えて骨盤にある、股関節を支える筋肉にも問題が出ています。 股関節の奥にあるコアマッスルである中殿筋や梨状筋なども、こわばって力が出なくなっています。

これらの筋肉が正しく動いてくれないと、坐っている時や立っている時、歩いている時の骨盤を正しい位置に安定させることが出来なくなってしまいます。 そして骨盤が安定しないと、背骨が安定しなくなり、背骨が安定しないと、肩甲骨とその先の腕も安定しなくなります。

そして安定しない骨盤や背骨や肩甲骨の周囲の筋肉が反射的に緊張して、身体はますますこわばっていきます。

背骨や肩甲骨の動きの悪さや、骨盤の不安定さが、さらに相互に関連する筋肉の緊張を高めて身体をこわばらせてしまい、そのこわばりがさらに筋肉の緊張や動作のやりにくさを生み出してしまい、またこわばると言う悪循環が生み出されていきます。

筋肉のこわばりはコリによる痛みを伴います。 そしてこの痛みがさらなるこわばりを生み出していきます。

この痛みの悪循環スパイラルは多かれ少なかれ、退院後の皆さんの身体に起きているのです。

 

⒋ まずは痛みをとって身体をリラックスさせて悪循環スパイラルを断ち切ります

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この痛みの悪循環スパイラルを断ち切る方法としては、「痛みをとる」ことが一番です。 そして痛みをとるためには、背骨、肩甲骨、骨盤の周囲にある関連するコアマッスルの筋肉のコンディションを整えることが一番効果があります。

次回から① 背骨の痛みをとる方法 ② 肩甲帯の痛みをとる方法 ③ 股関節周囲の痛みをとる方法 について順番に解説していきます。
この痛みをとることに関しては、麻痺側に加えて、健側の筋肉に対してもアプローチを行い、左右でバランス良く治すようにしていきましょう。

実は痛みは、歩行や食事動作などのすべての動作に影響して、痛みにより間違った動作を生み出してしまい、新たな痛みを生み出すだけでなく、円背や反張膝などの問題を生み出す原因ともなります。 痛みがあれば、正しいファシリテーションで手足の動きを促通することも出来ません。

痛みのケアはすべてのリハビリテーションの土台となる大切なものなのです。 痛みはあなたの身体から、あなたに向けられた大切なメッセージです。 ご自分の身体の痛みを理解することは、身体からのメッセージを正しく理解して、リハビリを進める上でとても大切なことです。 ここはじっくり勉強して痛みの理解を深めておいてくださいね。 きっと後々役に立つと思いますよ。

 

次回は

「背骨を動かす脊柱起立筋群と痛みのケア」
についてご説明します。

 

最後までお読みいただきありがとうございます

 

注意事項!

この運動は、あなたの身体状態を評価した上で処方されたものではありません。 ご自身の主治医あるいはリハビリ担当者にご相談の上自己責任にて行ってくださるようお願い申し上げます。

 

 

脳卒中片麻痺の自主トレテキストを作りました!

まずは第一弾として皆様からご要望の多かった、麻痺側の手を動かせるようにしたいとの声にお応えするために、手のリハビリテキストを作りました。

手の機能を改善させるための、ご自宅の自主トレで世界の最先端リハビリ手法を、手軽に実践する方法を解説しています。

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現在の日本国内で、このレベルの在宅リハビリは他にはないと思います。

そしてこのプログラムは施設での実施にて、すでに結果が認められています。

あとは皆さんの継続力だけですね。

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コピーが容易な電子書籍の性格上、少し受注の管理やコピーガードなどが厳しくなっていますが、安全にご利用いただくためですの、ご容赦くださいね。

ぜひ一度お試しください。

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