リハビリ裏話

老老介護について思うこと

 

最近は、訪問リハビリをしていて、老老介護の家庭にお邪魔する事が、とても増えています。

やはり最近は核家族化が進んで、お子さんの家族と同居するお年寄りは、極端に減ってきていますね。

介護保険が始まったばかりの、2000年頃には、仕事で離れて生活している、子供の家庭と同居するために、故郷の自宅をたたんで引っ越してくる高齢者の方も多かったのです。

しかし慣れない土地に、それまでの隣近所付き合いから切り離されて、一人で暮らすのは、お年寄りにとって、それほどいい環境ではありません。

ですから最近では、できるだけ長く住み慣れた環境で、頑張るお年寄りが増えてきています。

現在も、ご夫婦のどちらかが亡くなって、一人になった場合には、子供との同居になるケースはありますが、ご夫婦の二人ともがいきておられる場合には、ご夫婦だけで生活されているケースがほとんどですね。

そこでご夫婦の片割れが病気で倒れると、必然的に老老介護になってしまいます。

老老介護は、これからもドンドン増え続けていくのだろうと言うのが、現場で見ている私の印象です。

さて老老介護の問題点については、巷間さまざまな事が言われています。

今回は、私が現場で見ていて特に感じている、老老介護の問題点について、いくつかあげて見たいと思います。

どうぞよろしくお願いします。

 

⑴ 介護者の孤独

老老介護になる家庭は、もともとがご夫婦二人だけで生活していた家庭です。

ご夫婦お二人共が健康であった場合、お互いが日々の話し相手であり、相談相手になります。

まあ高齢者のご夫婦は、それまでのさまざまな問題を乗り越えて、離婚せずにここまで来られた方々ですから、基本的に夫婦仲は良い方が多いです。

しかし脳卒中などの脳の神経の病気では、患者さんが性格変化などが起きる場合もありますし、病気によって甘えや衝動的な怒りを持つ場合もあります。

そしてご夫婦の片割れが病気になり、介護が必要になる様な状況は、介護者にとっても、とてもストレスがかかり、心配事も多い緊急事態です。

本当であれば、そんな時に一番頼りたい、相談に乗って欲しい連れ合いが、子供の様にワガママになっていて、その人を介護しなければならない、と言うのはとても大変な状況です。

大切な伴侶は、人が変わった様になっていて、いろいろな心配事を、気軽に誰にも相談できない状況と言うのは、けっこう辛い物です。

老老介護の介護者が、潜在的な心の孤独を抱えているのは、とても良く経験する事です。

 

⑵ 介護者の耐久性

ご夫婦というものは、大体が持ちつ持たれつで、共存関係にあるのですが、それでもどちらかが主で、どちらかが従の関係があります。

つまりご夫婦が家庭をやりくりする上で、主に意志を決定して、責任を持って物事を進めている方と、それに従って、それをお手伝いする方に分かれています。

簡単にいうと、ほとんどのご夫婦は、しっかりしている方と、それに頼って甘えている方の組み合わせで成り立っています。

両方共がしっかりして、自立しているケースは、皆無ではありませんが、ほとんど見かけません。

おそらくはそういったご夫婦は、老老介護になる前に、お互いが自立して離婚してしまうのかもしれませんね。

そしてご夫婦が老老介護になった場合、倒れたのがどちらなのかが、とても重要なポイントになります。

甘えていた方が倒れた場合は、あまり問題はないのですが、しっかりしている方が倒れた場合は、いろいろ問題が出てきます。

人にはそれぞれ能力の限界というものがありますね。

それがとても高い方と、比較的に低い方がいるのは、これは仕方のない事です。

ですから普段から相手に甘えて、頼っている方が、その相手を介護するのは、とても大変なことになります。

それまでは、相手に頼って、自分のことまで相手にやってもらっていたのが、相手が助けてくれなくなったばかりでなく、相手のことも助けなければならなくなるのです。

自分の自立も進めつつ、相手の介護も行うのは、とても大変なストレスがかかります。

ですから、こういったケースでは良く家庭内暴力になる事があります。

 

⑶ 介護者の健康状態

脳卒中や神経難病のニューロリハビリでは、運動学習の感覚フィードバックを改善するために、まずは重要な筋肉のコンディショニングを行います。

つまり腰痛や、クビや肩の痛みを治します。

それを見ていて、老老介護のほとんどの介護者の方が、「私もやってもらえないかな」と相談してきます。

ほとんどの方は、介護保険の認定が取れないため、ご希望に添う事ができないのですが、中には介護者の方も要支援認定ぐらいは、楽勝で取れてしまう場合があります。

この様に、老老介護の場合は、介護を受ける方だけでなく、介護する側も大きな健康上の問題を抱えている場合が、少なくありません。

さらにはお互いが健康な時には、なんとか持ちこたえていたものが、相手の介護をする様になった負担で、身体状態が悪化するケースが、とてもたくさんあります。

老老介護の場合、介護を受ける側だけでなく、介護する側へのサポートもとても大切になります。

それどころか、介護する側へのサポートの方が重要であると、感じる場合が少なくありません。

 

⑷ 倒れた家族の持っていた情報にアクセスできない

最後に、主に家庭の切り盛りを行っていた、しっかり者が倒れた時の、大きな問題のひとつに、

その人が管理していた、さまざまな情報にアクセスできなくなるという問題があります。

たとえば、銀行の預金通帳には、どれとどれがあって、暗証番号とか、引き落としの内容とかが、本人しか分かっていない場合があります。

年金証書や年金手帳も大切ですね。

生命保険の内容も大切になります。

その他、所有している株式や、貯蓄型の投資信託、ニーサなんかもあるかもしれません。(あったら良いね)

こういった情報が、それを知っている本人が倒れてしまい、相手がまったく知らなかったとしたら、どうなるでしょう?

よく病院では、意識の朦朧とした患者さんの枕元で、「お母さーん、通帳はどこにあるのー!」と大声で叫んでいる娘さんを見かけます。

さらにこれからは、仮想通貨(ビットコインみたいなやつ)や、オンライン上で決済して、通帳のない銀行口座なんかも増えてきますね。

最近では、暗証番号などを忘れてしまい、取り出せなくなった仮想通貨を、探して掘り出してくれる、ITの専門家も出てきているそうです。

それらの専門家をお願いするには、当然高目の手数料を取られますね。

これらの情報を、どう管理するかが、これからはとても大切なのだと思います。

 

まとめ

これから時代が変わって、家族のあり方もドンドン変わって行きます。

そんな中で、家族を維持する事が目的ではなく、幸せでいるために家族が必要という、そんな感覚が大切になってくるのではないでしょうか?

老老介護も、家族だからやるのが当然ではなく、決して無理をせず、それぞれに合ったやり方で、場合によっては、逃げることも考えながら、かしこく行ってもらいたいと考えています。

この道はいずれ私たちも行く道です。

なるべく今の内から、歩きやすい道にしておきたいですね。

その時になって慌てないためにも。

 

最後までお読みいただきありがとうございます。

 

 

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