はじめに
健康で長生きしたいなら、マックを毎日、たくさん食べましょう!
なんて言ったらどう思いますか?
「マックってなんやねん、マクドやんなあ」
「マックでお茶でもしゅるう~♫って、気色悪いわ」
「マクドで茶あでもしばけへんって言わんかい」
と関西弁の兄ちゃんにどつかれそうですね。
でも今回のマックは、そのマクドナルドのマックではありません。
今回の健康長寿のためのマックとは、「マイクロバイオータが食べる炭水化物」という意味です。
MAC = Microbiota accessible carbohydrats
この「マイクロバイオータ」とは何かというと、腸内細菌の集団である「腸内フローラ」を、専門的に言い直しただけですね。
私たちの大腸には、約100兆個から1000兆個と言われている、腸内細菌の集団が住みついています。
これを「腸内フローラ」あるいは「マイクロバイオータ」と呼びます。
そしてこの「マイクロバイオータ」の集団は、私たちヒトと共生関係にあります。
「マイクロバイオータ」は私たちの毎日食べている食事をエサに繁殖しています。
しかし「マイクロバイオータ」が、そのエサ(MAC)を発酵・分解して自らのエネルギーを作り出す時に、私たちの身体にとって必要不可欠な栄養素をたくさん作り出してくれるのです。
これらの「マイクロバイオータ」が作り出す栄養素がないと、私たちは健康を維持することが出来ません。
それどころか私たちの大腸内にいる「マイクロバイオータ」には、個人的な特徴があって、みな少しづつ違っていますが、これが私たちの性格や行動に影響を与えています。
例えば勇敢なヒトの大腸に、臆病者の「マイクロバイオータ」を移植すると、臆病者になる可能性が分かってきています。
まあこれはまだネズミでの実験段階ですけどね。
また「マイクロバイオータ」が乱れると、つまり種類が変わったり、数が減ったり、菌の比率が変わったりすると、様々な病気になりやすいこともわかってきました。
たとえば「炎症性大腸炎」は当たり前としても、「肥満」や「うつ病」など身体と心の両方に影響しています。
また「脳卒中」や「心臓病」のリスクも高まりますし、「癌」にもなりやすくなります。
「慢性関節リウマチ」などの自己免疫疾患になるリスクも高まりますし、「多発性硬化症」などの神経難病になるのも、「マイクロバイオータ」の乱れが原因らしいのです。
らしいというのは現在、世界中の研究者が、研究している途中で、完全な結果が出るには、まだ10年以上かかるからです。
たとえば「自閉症スペクトラム」のお子さんの大腸に、適切な「マイクロバイオータ」を植え付けると、「自閉症スペクトラム」が治る可能性が分かってきています。
しかしまだネズミでの実験段階であり、ヒトにとっては、どの細菌を移植すれば安全で効果的なのかが、まだ分かっていないのです。
近年の日本や欧米先進国では、喘息や花粉症などのアレルギー疾患、自閉症や発達障害などの脳の発達の問題が増えてきています。
なぜならば先進国に生活する、私たちの大腸に住む「マイクロバイオータ」は、私たちの食事の変化によって、絶滅の危機に瀕しているからです。
これまでの人類の歴史の中で、ここ数十年の食事の変化は著しく、私たちの「マイクロバイオータ」に大きく影響しているのです。
私たち先進国のヒトの大腸に住む「マイクロバイオータ」は、アフリカやパプア・ニューギニアなどで原始的な生活をしている人々に比べると、その数も種類も減ってきています。
そして私たちの大腸に住む「マイクロバイオータ」が、豊かであれば元気で健康になりやすく、貧しければ病気になりやすく落ち込みやすくなるという事がわかっています。
「マイクロバイオータ」を豊かにするためには、「マイクロバイオータ」が好む食事を摂らなければなりません。
それがMACであるという訳です。
今回は私たちの大腸内に住む「マイクロバイオータ」の働きと、それを増やすための「MAC」について解説します。
どうぞよろしくお願いします。
マイクロバイオータの働きとは?
私たちの身体のいたるところには、細菌が住み着いています。
そしてこれらの細菌(常在菌)と私たちは、完全な共生関係にあります。
これまで人類は、病原菌のことばかり考えて、私たちの生活の中にある細菌を排除しようと、必死に戦ってきました。
しかしそのために人体に有用な細菌までも攻撃して、減らしてきてしまっていたのです。
たとえば『ヘリコバクター・ピロリ』という、私たちの胃に住んでいる細菌をご存知でしょうか?
この『ヘリコバクター・ピロリ』は、私たちの晩年に、胃潰瘍や胃ガンの原因となる事が知られているため、これまでは積極的に抗生物質で殺してきました。
しかしこの『ヘリコバクター・ピロリ』を胃から除いてしまうと、子供は喘息などのアレルギーになりやすい事が分かってきたのです。
つまり赤ちゃんの持つ『ヘリコバクター・ピロリ』を、生後すぐに殺してしまうと、年を取ってから胃潰瘍にはなりにくくなりますが、若いうちから死ぬまで喘息に苦しむリスクが高まるという訳です。
おそらく将来的には、医者は生まれたばかりの赤ちゃんの胃に、『ヘリコバクター・ピロリ』を植え付けて、その赤ちゃんが中年以降になったら取り除くようになる可能性が高いようです。
子供が生まれるときに、親が『ヘリコバクター・ピロリ』を持っていれば、その『ヘリコバクター・ピロリ』は自動的に子供に受け継がれるからです。
このように私たちの身体に住む細菌と、私たちはお互いに協力して生き延びています。
私たちの身体のいたるところに細菌は住んでいますが、特に多く住んでいるのが「大腸」です。
ここには約100兆個から1000兆個の細菌の集団が住み着いています。
これを『腸内フローラ』あるいは『マイクロバイオータ』と呼びます。
この「マイクロバイオータ」の働きですが、私たちの毎日の食事からエサをもらって繁殖しています。
そしてそのエサを発酵・分解してエネルギーを得ているのですが、このときに「短鎖脂肪酸」などの、私たちが自分では作り出せない貴重な栄養素を作り出してくれるのです。
これらの「マイクロバイオータ」の作り出す代謝産物には、もちろん不必要な物質も多く含まれます。
これらの不要な廃棄物は、肝臓で分解され、腎臓から尿として排出されます。
しかし残りの貴重な栄養素は、私たちの身体の免疫機能を調節したり、脳の神経を動かすための「神経伝達物質」の材料になったり、それ自体がメッセージ物質として、脳の活動に影響を与えたりします。
なので「マイクロバイオータ」に異常が起こると、私たちは様々な病気や神経の発達障害になるリスクにさらされるのです。
この「マイクロバイオータ」を良い状態に保つためには、「マイクロバイオータ」のエサであるMACをたくさん食べる必要があります。
ではこのMACとはどんな食べ物なのでしょう?
マイクロバイオータの食事であるMACとは?
MACとは「マイクロバイオータが食べる炭水化物」という意味です。
つまり「マイクロバイオータ」は炭水化物をエサにしています。
ならばご飯(白米)を食べれば良いのかというと、そうではありません。
白米はグルコースが主成分です。
このグルコースは「単糖類」といって、構造が単純なために、私たちの小腸で分解吸収して、簡単にエネルギーに変える事ができます。
つまりグルコースは、私たちが、私たちの小腸で、自力で消化して栄養にできてしまうために、「マイクロバイオータ」の住む大腸まで届かないのです。
「マイクロバイオータ」が餌にしているのは、私たちが自力で消化できない「多糖類」と呼ばれる炭水化物です。
これはいわゆる「難消化性デキストリン」と呼ばれる、食物繊維のことです。
食物繊維というと、「セルロース」を思い浮かべる方も多いと思いますが、このセルロースは私たちの「マイクロバイオータ」にも分解できません。
ですから「マイクロバイオータ」が消化するのは、もうちょっと手前の食物繊維ということになります。
玄米を例にとって分かり易くご説明しましょう
玄米の一番表面にあるのは「ロウ層」と呼ばれるセルロースの膜です。
この「ロウ層」の防水膜があるために、玄米は炊いてもふっくらしないし、よく噛まないと消化出来ないのです。
そして「ロウ層」の下には、「糠(ブラン)」と「胚芽」があります。
この「糠(ブラン)」と「胚芽」には、たくさんのビタミン類とMAC(食物繊維)が含まれているのです。
そして最後の白米の部分である「胚乳」には、グルコースが含まれています。
つまり私たちが白米を食べていると、グルコースは小腸で消化吸収されてしまいますから、「大腸」に住む「マイクロバイオータ」までは届かないことになります。
ですから本来であれば、私たちは昔のように玄米を食べるべきなのです。
絶滅の危機にある日本人のマイクロバイオータ
現代の先進国の食生活は、産業革命とともに、急激に変化してきました。
玄米は精製され白米になり、小麦粉も精製された白く細かい粉になりました。
食物繊維を含む、緑黄色野菜の摂取量はドンドン少なくなっており、それを補うために、私たちはパックに入った野菜ジュースを飲んでいます。
しかしこの工場で加工されたパック入りの野菜ジュースには、ほとんど食物繊維は含まれていません。
濃縮還元された、これらの加工製品は、野菜風味ジュースであって、普通のコーラなんかと大差ないのです。
でも飲料メーカーは私たちが健康志向になって、体に悪そうな飲み物を、あまり飲まなくなってきたので、体に悪い飲み物のパッケージを良さそうなものに替えて、私たちをだまくらかしているのです。
メタアナリシスによる統計データでも、野菜ジュースを飲めば飲むほど病気になる事が証明されていますね。
本当に体に良い野菜ジュースは、私たちが自分で生の野菜や果物を使って、スムージーを作らなければ、手に入りません。
このように日本を含む先進国の食生活からは、食物繊維がドンドン減っています。
日本人が1日に摂取する食物繊維は、およそ10g程度にまで減っていると言われています。
しかしアフリカなどで原始的な生活をしている人々は、1日におよそ100~150gの食物繊維を食べています。
彼らには精製した、美味しくて食べやすい食品が手に入らないからです。
でもそのおかげで彼らの「マイクロバイオータ」は、先進国の私たちの「マイクロバイオータ」より種類が豊富で、数も多いのです。
なので喘息などのアレルギー疾患は少ないですし、発達障害やうつ病にもなりにくいのです。
慢性関節リウマチも少なそうな気がしますね www
カロリーハーフは嘘っぱちです!
最近は良くカロリーハーフの食品を目にします。
カップヌードルのカロリーハーフや、キューピーマヨネーズのカロリーハーフなんかがありますね。
しかしカップヌードルは精製された小麦粉で作った麺を使っていますし、マヨネーズの主成分は飽和脂肪酸で、これも本来は私たちが食べてはいけない毒なのです。
つまりカロリーハーフであっても、初めから食べるものが間違っているのです。
大切なのはカロリーではありません。
大切なのは『何を食べるか』なのです。
同じカロリーでも、玄米を食べれば、大腸に食物繊維が届いて、「マイクロバイオータ」が豊かに増え、健康になりますし、肥満も防いでくれます。
同じカロリーでも、白米を食べれば、主成分のグルコースは小腸ですべて吸収され、大腸に届きませんから、「マイクロバイオータ」は飢えてしまいます。
吸収されたグルコースは肥満やメタボの原因になります。
同じカロリーでも牛や豚の肉を食べれば、大腸のマイクロバイオータが肉の成分を分解して、トリメチルアミン–N-オキシド(TMAO)と呼ばれる、心臓病のリスクを高める物質を作り出します。
タマオは食べたらあきまへんで~♫
つまりカロリーが問題なのではなく、「マイクロバイオータ」に正しいエサを与えるような食事が重要なのです。
「マイクロバイオータ」は私たちと共生関係にあります
「マイクロバイオータ」は、例えばセロトニンなどの、神経伝達物質の材料も、私たちに提供してくれています。
このセロトニンは、私たちの気分をコントロールしており、不足するとうつ病や不眠になります。
「マイクロバイオータ」が作り出す、「短鎖脂肪酸」は、Tレグと呼ばれる抑制性免疫細胞を増やして、活性化させます。
このTレグが不足すると、免疫が暴走して、慢性関節リウマチや多発性硬化症になります。
赤ちゃんが生まれてくるときに、自然分娩であれば、母親の産道を通るときに、膣内の「マイクロバイオータ」を受け継いて生まれてきます。
ですが帝王切開で生まれてくる場合は、この膣からの「マイクロバイオータ」の受け継ぎができません。
また生後すぐに、抗生物質を投与された赤ちゃんは、大腸のマイクロバイオータが十分に育たないため、これが「自閉症スペクトラム」や「発達障害」の原因になるのではと考えられています。
欧米の「マイクロバイオータ」の研究をしている医師のご夫婦が、ご自分たちの赤ちゃんを帝王切開で出産したとき、奥さんの膣内の分泌物を、生まれたての赤ちゃんの体のあちこちに塗りつけたという話があります。
実話です!
そして私たちの「マイクロバイオータ」は、毎日の食事で、常に変化し続けています。
私たちの食事は、自分たちの体への栄養だけでなく、「マイクロバイオータ」を育てるための食事を心がける必要があるのです。
確かに「マイクロバイオータ」(腸内フローラ)の研究は、ここ10年ぐらいで始まったばかりです。
まだまだ分からない事がたくさんあります。
しかし今回ご紹介したように、分かってきていることもたくさんあるのです。
そしてそれは全て衝撃的な驚愕すべき内容になっています。
おそらく「マイクロバイオータ」の研究が進むと、医学的な常識がひっくり返るような事態になるでしょう。
しかし今現在、自信を持って言えることはただひとつです。
『食物繊維をたくさん食べましょう』ということだけですね www
ここで復習です!
MAC=食物繊維を中心としたマイクロバイオータのための食事
マック=マクド=死にたい奴だけ食ったらええやん www
いったい何を食べれば良いんだと思われた方はこちらの記事を参考にしてください!
次回記事はこちら
最後までお読みいただきありがとうございます。