老後資金に何千万必要とかの話には意味がありません
最近は「老後資金に○千万円が必要です」「あなたは老後に備えていますか?」なんて宣伝を多く見かけます。
本当にそんなに必要なのでしょうか?
老後の資金が必要だと宣伝している人たちは、いったい何がしたいのでしょう?
実はね、老後の資金のことを騒いでいる宣伝は、日本の高齢者が溜め込んでいる貯金を投資資金に回して欲しいのです。
日本の個人預金は1500兆円と言われており、その90%が高齢者が持っています。
こんな国は他にはありません。
つまり「老後の資金が足りないよ投資してもっと増やしましょう」と言っている人たちは、その高齢者の預金を狙っているのです。
何故って、お金が市場に出回らなければ、日本の経済が活性化しないからです。
企業はなんとかお年寄りの財布の紐を開かせようと、あの手この手で頑張っているのです。
では実際には本当にそんなに沢山の老後資金が必要なのでしょうか?
今回は老後資金と豊かな老後について考えてみたいと思います。
老後資金の必要額はあなたの状態によって変わります
もしあなたが老後ひとりで元気に生活していて、ある日コロッと亡くなってしまったなら、お金はほとんど要りませんね。
いわゆるみんながハッピーなピンコロと言うやつです。
それに対して、最も老後の資金に苦労するケースは、老老介護で夫婦二人暮らしをしていて、片方が元気なのに、もう片方が寝たきりになってしまった場合です。
もっと言うと、その元気な片方も体力が落ちてきていて、寝たきりの相方を自宅で介護することが難しい場合です。
そうなると寝たきりの方を特養などの施設に入居させる必要がありますね。
しかし、その特養などの施設に入居するには、それなりのランニングコストがかかります。
昔は病院などに長期入院が可能であったために、病気で寝たきりの場合にはなんとかなるはずと考える方が沢山おられます。
でも最近の日本では、寝たきりになったからと言って、そう簡単にはなんとかならないのです。
それなりのサービスを受けられる介護施設となると、やはり自己負担金がそれなりの金額になります。
そうなると入居した相方の入居費用と、元気な方の自宅での生活費と、二重に生活費が掛かることになります。
実はそれを年金などで賄うことが難しいのです。
ご夫婦それぞれが別々に稼いで、別々に年金を持っていれば何とかなるのでしょうが、多くのご家庭では、奥さんはご主人の扶養の範囲でパートをしてきていたりします。
そうなると年金額は夫婦での自宅での生活を賄うのにギリギリであったりしますね。
ですから相方が介護施設に入居なんてことになったりすると、途端に生活費が逼迫してしまったりするのです。
ここに大きな問題が起きています。
つまりあなたが元気であるか、寝たきりに近い状態になってしまうかで、必要な老後資金が大きく変わってくるのです。
老後資金を貯めるより健康を維持する努力をしましょう
多くの方は、ご自分の老後のイメージを、現在の健康な状態が最後まで続くことを前提にイメージされています。
しかしそれは間違っています。
高齢者は、若い方に比べると、圧倒的に大きな病気になるリスクが高まっているのです。
ですから病気にならないための努力がとても大切なのです。
毎日の食事や睡眠時間の管理、体力維持のための運動習慣、定期的な健康診断など、やらなければならないことは沢山あります。
そしてさらには人間100年時代を健康で活動的に生き残るための、スペシャルトレーニングやスペシャルケアが必要になりますね。
あなたの人生が昔のように50年程度であれば、自然に生きて、そのまま自然に死ぬでしょう。
でも100年生きるとなると、100年間元気に活動するための専門的なサポートが必要になります。
医学的な知見を生かした、筋肉や関節や、あるいは脳神経のケアが必要になります。
それを蔑ろにするから、70歳か80歳ぐらいで寝たきりになってしまうのです。
無理なトレーニングで腰痛や膝の痛みを悪化させる前に、キチンとしたケアを受けておく必要があります。
物より物語の時代の老後を考える
年をとってもハツラツと生きていくためには何が必要なのでしょうか?
私はこれを生きるための物語が必要なのだと考えています。
今の高齢者の方々は、高度経済成長の前か、あるいは真っ只中に生まれています。
この今の高齢者の幼少期から青春期は「物の時代」です。
パナソニックの創業者である松下幸之助さんがめざしたのは、まさに「水道の蛇口をひねると水が出てくるように世の中に便利な家電製品を送り出す」ことでした。
つまり物のない時代には、便利な物が増えることこそが、生活の質を高めることだったのです。
さらには現在の高齢者の方は、幼い頃に自分たちの両親が貧乏で苦労している姿を目の当たりにして育っています。
ですからお金がなくて貧乏することが、とても恐ろしいのです。
でも現代社会には物が溢れかえっていますね。
その結果ヒトは豊かになったのでしょうか?
世の中に便利なものが増えて、生活が楽になった結果、若い人たちは結婚する必要性も低下してしまい、かえって孤独になってしまっていますね。
物の溢れかえっている社会では、単に便利というだけなら、ひとりで生活していた方が、圧倒的に便利なのです。
若い人が、あえて不便な結婚生活を選択するためには、そこに何らかの心を満たしてくれる『物語』が必要なのです。
例えば昔の自動車のCMでは、新型セダン、DOHCツインターボ、直列6気筒なんてスペックを並べていました。
その自動車のエンジンスペックが消費者の購買意欲となっていたのです。
では現在の自動車CMはどうかと言うと、車のドアが開くと中から子供が飛び出してきて、そのまま海に飛び込みます。
そして「子どもと一緒に何しよう?」とキャッチコピーが流れますね。
つまりCMは、この車を買うと、毎週子どもと楽しい所に遊びに行って、奥さんと子供の笑顔を見られますよと言っているのです。
そこで売られているのは自動車ではなく、自動車がある生活という『物語』なのです。
物の豊かの時代には、ヒトの心を満たすのは物ではなく『物語』なのです。
ひるがえって高齢者の場合はどうでしょうか?
若い頃のように物を買うことで満足できているのでしょうか?
出来ていませんよね。
それはね、年をとることは人として成熟していくことです。
人として成熟してしまうと、物の豊かさでは心が満たされることはありません。
年をとると、大体の事は若い頃に経験してしまっています。
ですから在り来りのストーリーでは、映画やドラマを見ていても退屈ですよね。
ほとんどがかつて見た感じのドラマになっています。
ですから年をとった方こそが、より感動的な『物語』が必要になるのです。
つまり老後を豊かに感動して過ごすためには、若いときには経験できなかった冒険をする必要があるのです。
その冒険のためにこそ、健康と活動性を高めておく必要がありますね。
お金もそのためにこそ使いたいものです。
つまり消極的な防衛ではなく、攻撃的な冒険が必要なのです。
どうせ一度だけの人生です。
ため息をつきながら枯れていくぐらいなら、華々しくもう一度咲いて華麗に散りたいものですね。
そして、そう言ったアクティブな物語の中で生きていれば、精神も肉体もそれほど急激には衰えないものです。
これからは元気であれば老後資金はそれほどかからない説
確かに寝たきりになってしまえば、それなりの介護費用がかかります。
しかしある程度の健康を維持できていれば、生活にそれほど費用はかかりません。
さらには高齢者が苦手の技術革新を忘れてはいけません。
おそらくは2020年の東京オリンピック以降に、人工知能が急激に社会に浸透し始めると言われています。
ロボット技術も発達するでしょうし、そうなると高齢者の自宅での生活も、それらの助けを借りて、かなり楽になる事でしょう。
施設に入らなくても、自宅で自立して生活できる可能性も、より高まってくるでしょう。
日本経済を何とかするためには、この介護資金を少なくすることが必須ですから、これらの技術が発達してくる事は間違いないと思います。
そして人工知能とロボット技術が発達すればするほど、これらの技術は安くなっていきます。
高齢者のセーフティネットである介護の問題が、技術革新で安くなるならば、より老後のチャレンジに対する保険が強化されますね。
これからの高齢者は、若い頃の物の豊かさに縛られた思考回路を切り替えて、自分のための『物語』を生み出すためのチャレンジと、それを実現するための健康と体力維持に集中することが大切なのです。
これからの時代に、あなたの老後を豊かにしてくれるのは、物を買うためのお金ではありません。
あなたが老後を生きていくための『物語』と、その冒険を裏付ける健康と体力・気力が必要なのです。
最後までお読みいただきありがとうございます。