脳卒中リハビリ

脳卒中の片麻痺がニューロリハビリの神経再生で治る可能性について!

 

 

現在の一般的な脳卒中リハビリでは神経再生が起こらない訳とは?

 

じつは現在のリハビリテーション病院(回復期リハビリテーション病棟)で行われている様な脳卒中リハビリでは、脳卒中の麻痺は回復しません。

それはどうしてなのかと言うと、現在のリハビリテーション病院で行われている脳卒中リハビリは、早期の退院を促すためのものだからです。

脳卒中の麻痺があっても自宅での日常生活動作が自立してできる様に短期間で集中的に練習するのが主な目的になっています。

日本の少子高齢化が進むにつれ、医療費の負担が国の財政を圧迫し始めてから、国は長期間のリハビリテーション入院を規制する様になりました。

その結果として、脳卒中が発症した場合には、およそ半年間のリハビリテーション入院が認められていますが、これは正味のリハビリ期間が半年なのではなく、脳卒中で倒れた日から数えて18週間なのです。

当然、脳卒中で倒れると、初めは集中治療室などで治療を受けますから、その期間を差し引いた、残りの期間が脳卒中リハビリに充てられます。

ですから一般的な脳卒中リハビリの期間は、せいぜいが3ヶ月程度なのです。

この様な短い期間では、脳卒中のリハビリと言っても、出来ることは限られています。

ですから短期間に効率よく退院を促すための、日常生活動作練習を主体とした、単なる自立訓練が行われているのです。

実際に脳卒中で失われた脳の神経細胞を再生するためには、集中的なリハビリテーションを行って、数年単位の期間が必要になります。

脳卒中のリハビリ入院は、1人頭で1ヶ月に90万円くらい掛かりますから、これをずっと入院で行うのは国の財政的に限界があります。

ですから現在のリハビリテーション病院(回復期リハビリテーション病棟)では、脳卒中リハビリといえば、短期間の生活自立訓練しか行われていないのです。

 

 

脳卒中の生活自立訓練は神経再生による麻痺の回復を妨げます

 

21世紀に入って脳科学が発展してきており、私たちの脳の様々な仕組みが明らかになってきています。

その中の一つに、左右の大脳半球がお互いに神経抑制していると言うものがあります。

私たちの脳は、脳の中央を前後に縦断する「中心溝」によって、右半球と左半球に分けられています。

あなたの脳の右半球は左側の手足を動かし、左半球は右の手足を動かしています。

そして脳の血管が詰まる(脳梗塞)か、破れる(脳内出血)かして、左右のいずれかの脳の神経細胞が損傷することで、損傷された脳と反対側の手足に麻痺が起きるのです。

本来の脳の麻痺を回復させるためのリハビリテーションを目的とするなら、麻痺側の手足の運動を積極的に行うべきなのですが、生活自立訓練では、そうはなりません。

短期間に効率よく生活自立訓練を進めるには、麻痺側ではなく、健側の手足を上手に使える様に練習しなければなりません。

ですから脳卒中リハビリと言っても、麻痺を治すのではなく、健側の手を上手に使って、片手片足での生活を自立させる練習になってしまっています。

ですから生活自立訓練型の脳卒中リハビリでは、運動を練習するのは麻痺側の手足ではなく、健側の手足が中心になります。

 

ここで問題になってくるのが、はじめにお話しした「左右の大脳半球が相互に神経活動を抑制している」と言う神経の仕組みになります。

これはあなたが右手で何かをしていると、左手は動かせなくなりますね。

反対に左手を動かすと、今度は右手が動かなくなります。

これはあなたが左手を動かしている時には、右の大脳半球の神経が活動しています。

このときに活発に活動している右の大脳半球の神経は、反対側の左の大脳半球の神経活動を抑制する働きがあるのです。

またあなたが右手を動かしているときには、活発に活動する左の大脳半球が、右の大脳半球の活動を抑制するのです。

左右の大脳半球の神経は、お互いに交互に抑制しあっているのです。

 

脳卒中で生活自立訓練ばかりしていると、自ずと健側の手足ばかりを使う様になります。

すると健側の大脳半球ばかりが常に活発に活動することになります。

常に活発に活動する健側の大脳半球は、常に麻痺側の大脳半球の神経に抑制をかけ続けることになります。

慢性的に抑制された麻痺側の大脳半球の神経は、常に抑制されることで、神経を再生させ、麻痺を回復させるチャンスを失ってしまうのです。

失われた脳の神経細胞を再生するためには、麻痺側の手足の運動を積極的に行わなければならないのです。

 

 

麻痺側の神経再生には運動学習が必須になります

 

ではただ単に麻痺側の手足の運動を一生懸命に行えば麻痺が回復するのかと言うと、それも違います。

脳卒中(脳梗塞・脳内出血)によって損傷された神経細胞を再生するためには、効果的な「運動学習」を行い、脳の神経シナプスに適切な刺激を与える必要があるのです。

では効果的な運動学習を進めるためには、どうすればいいのかと言うと、それは適切な運動制御を繰り返し練習すると言うことになります。

 

 

適切な運動制御とは?

 

私たちが思いのままに手足を動かすためには、私たちの脳がその手足の運動を適切に制御しなければなりません。

そのためには、脳の運動神経系と手足の筋肉との間で、相互に密接な運動データのやり取りが必要になります。

つまり脳の運動神経系からの運動指令に対して、手足の筋肉の感覚センサーから、運動指令に対して実際にはどんな運動が行われたかの感覚フィードバックが行われ、それを精査して運動を調整する必要があります。

この運動指令と感覚フィードバックを照合して、運動を精査し、運動を最適化する運動制御のやり方を「最適化フィードバック制御」と呼びます。

ある動作に対して、この最適化フィードバック制御を繰り返し練習することで、その動作を行うための運動指令をする神経細胞を予備の休眠細胞から作り出したり、新たな神経細胞を再生したりするのです。

しかし脳卒中の麻痺側の手足の筋肉には、この「最適化フィードバック制御」を行うためには、致命的な問題があります。

それは麻痺側の手足の筋肉が硬くこわばって浮腫んでおり、そのために筋肉の線維の中に含まれている「感覚センサー」が働かなくなっていると言うことです。

麻痺側の手足の筋肉の感覚センサーが働かないと言うことは、そこからの「感覚フィードバック」が行われないと言うことです。

感覚フィードバックがないと言うことは、運動制御がうまくいかずに、麻痺側の運動神経系に混乱が生じ、場合によってはさらに麻痺側の手足がシビレたりこわばったりすることになります。

 

 

効果的な運動制御には麻痺側の手足の筋肉のコンディショニングが不可欠なのです

 

脳卒中の特徴として「痙性麻痺」が言われています。

この「痙性麻痺」とは、麻痺側の手足の筋肉が硬くこわばって動かなくなることを表しています。

これまでは、この麻痺側の手足の筋肉のこわばりは、脳の神経の障害(中枢性神経障害)による症状であると考えられてきました。

しかし、最近の脳科学の研究から、この中枢神経系障害によると思われていた筋肉のこわばりは、筋肉からの感覚フィードバックがないことで、運動神経系の運動制御が混乱して起きていることが分かってきたのです。

そして一番最初の筋肉のこわばりは、その原因は脳卒中の急性期に、あなたが意識を失って寝込んでいる間に、自律神経系が混乱し、麻痺側の足しが継続的に緊張し、血流が阻害されて浮腫んだことが原因だったのです。

ですから、硬くこわばった麻痺側の手足の筋肉に対して、丁寧にマッサージを行うことで、この筋肉のこわばりは解消が可能なのです。

そしてこの筋肉のこわばりを解消しないと、運動制御の混乱も解決しないため、麻痺も治らないことになります。

 

 

商業科と効率化を加速する医療サービスの中で自己防衛が必要です

 

近年の我が国の少子高齢化は、産業構造や経済に大きな影響を与えています。

高騰する医療費を国が賄いきれなくなって、強引な医療サービスの効率化を図っていることも、これはこれで致し方のない事でしょう。

しかしそれによって、財政的に強く締め付けられている病院や医院は、自分たちの経営を守るために、より効率的な医療サービスを行うようになってきています。

そこで起きていることは、脳卒中リハビリを例にとると、麻痺側の手足の麻痺を治して欲しいと願う患者さんの希望を無視して、経済効率の良い集中治療室でのケアを効率的に行い、ベッドを回転させるために、短期の生活自立訓練を強行することなどが挙げられます。

また介護保険における地域のリハビリテーションも、効率的にサービスを行うために、ある程度機能の自立した患者さんだけを集めて、体力トレーニング的な廃用予防の運動だけを行う傾向になっています。

経済的な問題が、脳卒中リハビリにも影を落としてきているのです。

これまでのように、ただ待っているだけでは、適切なサービスを受けることはドンドン難しくなっていくでしょう。

自分の手足の麻痺を治すためには、脳卒中の患者さんにも、自己防衛のための勉強と努力が必要になってきているのです。

 

 

最後までお読みいただきありがとうございます。

 

 

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