はじめに
皆さんは病院で受けたリハビリ内容に満足しておられますか?
入院中のリハビリで「もっと手を動かせる様にしてほしい」「もっとキレイに歩けるようにしてほしい」「手足の緊張をほぐしてほしい」「肩や膝の痛みをなんとかしてほしい」と思っていたら、主治医の先生から「もうこれ以上の麻痺の回復の見込みはありませんから退院してください」と言われてガッッカリしていませんか?
病院での急性期リハビリは早期退院のための準備運動でしかありません!
回復期リハビリテーション病院における脳卒中の急性期リハビリテーションは、期間が医療保険制度により3~6ヶ月程度と短く設定されていることで、その内容が着替えや食事動作や歩行練習などの日常生活動作訓練が中心となっています。
集中治療室などでの脳外科や脳神経内科の急性期の治療が終わった段階で、回復期リハビリテーション病棟に移ったら、退院に向けたリハビリテーションが大忙しで始まるのです。
つまり病院の回復期リハビリテーション病棟では「なんとか国の定めた入院期間の期限内で最低限に自宅での生活が自立できるようにして皆さんに退院してもらうため」のお帰り準備リハビリが行われているのです。
そしてそのリハビリ内容のほとんどは、日常生活動作訓練です。
身体機能を改善させるためのケアはほとんど行われていません。
皆さんが一生懸命やっている歩行練習も、じつは単なる歩行の練習であって、歩行の機能を改善してより良い歩行パターンを獲得するケアとはなっていないのです。
現状の日常生活訓練を3ヶ月行うだけの病院リハビリでは改善は不可能です!
私は臨床経験25年を超える理学療法士ですが、今から15年前までは脳卒中のリハビリ入院は1年から2年が相場でした。
私も結構なベテランですが、そのベテランの技と知識をもってしても、3ヶ月で脳卒中リハビリテーションを全うして、皆さんの身体機能を納得いくレベルまで改善させることは不可能だと思います。
しかし現在の超高齢化社会ではこれ以上の医療保険によるリハビリテーションの充実は国の経済的には不可能です。
かと言って介護保険サービスの中で満足のいくリハビリテーションを受けるのも、医療保険より圧倒的に費用の少ない介護保険では限界があります。
世界のリハビリの潮流は身体機能の改善を重視したリハビリです!
現在の世界の潮流の中では、より効果的な身体機能を改善する脳卒中リハビリテーションが少しずつ開発され進歩してきています。
それらのリハビリテーションの中には積極的に電気刺激を取り入れたEMS療法やFES療法があります。
また超音波治療器や電磁波を利用したリハビリテーション方法もあります。
さらに最近ではブレインマシンインターフェイスを利用した、高度なリハビリテーション訓練機器や日常生活をサポートする機器も研究されていて、近い将来に実用化されることになるでしょう。
でも現在の日本の医療保険サービスではそれらのサービスを十分に受けることができません。
私も米国に留学して、あちらの医療サービスを実際に経験してきましたが、我が国と米国の医療技術レベルには差がないのですが、医療サービスレベルには大きな開きがありました。
米国の医療サービスは、日本のサービスをはるかに超えて効率的かつ効果的な体制が整っています。
しかしこれには米国の保険制度にも実は色々問題があり、日本の保険制度にも非常に優れた部分があるのですが。
つまり米国の医療保険制度はお金持ちは好きなだけサービスを受けられて、貧乏人は全くほったらかしなので、いい面だけみれば素晴らしく理想的な医療サービスです。
それに対して日本では、お金持ちもそうでない方も等しく同じ医療を受けられますが、その平均的なサービス内容は米国のサービスに比べると劣って見えることは否めません。
これから身体機能を改善していくためにはどうすればいいのか?
では皆さんが日本でより良い身体機能を改善するための脳卒中リハビリテーションを受けるためにはどうしたらいいのでしょうか?
私から一つの提案があります。 私は考えた末に、今までほとんど顧みられてこなかったご自宅での自主トレを大きく進歩させることをご提案します。
今までの単なる自宅での体力維持や運動不足解消を目的にした、なおざりな自主トレではなく、最新のリハビリ技術に基づいた、様々な脳卒中の問題点を一つ一つ解決していくような自主トレを皆さんがご自宅で継続することが可能であれば。
きっとご自分で納得いくまで身体機能を改善するためのリハビリテーションを行うことが可能になるでしょう。
今までのような適当な在宅自主トレではなく、システマチックに学んで実践する本格的な自主トレリハビリテーションとは!
そのためには皆さんご自身が脳卒中のことをもう少し勉強して、なぜこのリハビリメニューを行うのかをご理解いただかなくてはなりません。
そしてご自分にあった自主トレメニューを選んで行えるようにならなければなりません。
このウェブサイトでは、皆さんが最新の身体機能を改善するための脳卒中リハビリテーションの理論を、理解するための解説を、できるだけ分かりやすくご説明したいと思います。
また様々な身体の問題点を解決して運動機能を高め、なるべく手足の麻痺を改善し、歩行パターンを良くして歩行能力を高めるように多様な自主トレメニューをご紹介していきたいと思います。
皆さんはご自分の身体の問題点を理解した上で、ご自分に必要な自主トレメニューを適切に選んで実行していけるようにならなければなりません。
医療経済が逼迫して、必要最低限のリハビリテーションしか国が補償してくれなくなっている現状では、相手任せで待っているだけのリハビリではご自分の未来を切り開くことはできません。
ご自分で努力して前に進むことが求められているのです。
今、あなたは回復期リハビリテーション病棟を退院するときに「これ以上の麻痺の回復は困難です」と言われて落胆しているのかもしれません。
しかしまだまだあなたには良くなる可能性がたくさん残されています
このウェブサイトでご紹介することが、少しでも皆さんの助けになるように私も精進して参ります。
実は私にとっても、最新のリハビリテーション技術を効果的な自主トレで提供できるようにするというのはチャレンジなのです。
わたしも精一杯頑張りたいと思っています。 いや頑張ります。
ですからあなたも脳卒中片麻痺という病気と、現在の日本の医療経済の行き詰まりに負けないで、希望を持って在宅での脳卒中リハビリテーションを継続してください。
お互いに頑張りましょう。
平成27年8月18日 未明
在宅リハビリテーション方法の詳解
管理者 松澤 達也(理学療法士、臨床工学技士、介護支援専門員 米国呼吸療法士)
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