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腰痛は腰の筋肉が痛くなるわけではない!
腰痛には様々な原因があります。
腰椎の椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症などでは、足のシビレ感を伴う麻痺が出る場合もあります。
このシビレ感や麻痺の症状は、背骨の中を通っている脊髄が圧迫されることで起きていますね。
これらのシビレ感や麻痺がある場合には、キチンとした整形外科での手術を含む治療が必要になります。
ですから腰痛に対して、シビレ感や麻痺などの症状が同時に見られた場合には、自己判断をせずに、キチンと整形外科を受診してくださいね。
しかし腰痛のほとんどは、単に腰が痛く感じるといった症状になります。
この腰が痛くなる原因ですが、ほとんどの場合が筋肉の障害が原因となります。
ここで、これまでの常識であれば腰の筋肉のマッサージであるとか、腰の筋肉の運動を行うわけですが、実はこれは間違っています。
なぜならば腰の痛みは、腰の筋肉の障害が原因ではないからです。
整形外科やマッサージ店などで、マッサージを受けたり、電気治療や注射をしてもらっても、いっこうに腰痛が治らない(もしくは治ってもすぐに再発する)のは、間違った場所を治療しているからのです。
今回は一般的な「いわゆる腰痛症」と呼ばれる、脊髄などの神経の問題ではない、筋肉の障害による腰痛症の原因と、そのリハビリ方法について解説します。
どうぞよろしくお願いします。
筋肉の障害で痛みを感じる仕組みとは?
はじめに言ってしまいますが、筋肉がこわばって痛くなるのは「筋硬結」が原因です。
この「筋硬結」とは、筋肉を構成する筋線維が、骨のように硬いシコリになってしまっている状態をいいます。
あなたも肩が凝った時に、肩の筋肉を自分で揉もうとして、首筋と肩の境目あたりに硬い骨のようなこわばりを触ったことがあると思います。
これが「筋硬結」なのです。
じつはこの「筋硬結」は、身体中のあらゆる筋肉にできる可能性があります。
どうしてこんな風に筋肉が、骨のように硬いシコリになってしまうのでしょうか?
それには以下のような原因があります。
筋肉は「筋膜」と呼ばれる筒状の袋の中に、まるで素麺の束のように「筋線維」が並んで詰まっています。
筋肉は、本来は関節を動かすために、力を入れたり、力を抜いたりの収縮を繰り返しています。
この筋肉の収縮は、筋膜の袋の中で、筋線維が伸びたり縮んだりしているわけです。
力を入れて筋線維が縮む時には、筋線維は縮む代わりに、その直径が太くなります。
ですから筋肉に力を入れると、筋膜の袋の中で筋線維が太くなることで、筋膜の袋はパンパンに張り詰めます。
反対に筋肉から力を抜くと、筋繊維は細長く戻りますから、筋膜の袋の張りはなくなります。
普通に手足を動かしている時には、筋肉は収縮を繰り返していますから、特に問題はないのです。
しかし、ずっと同じ姿勢を続けたり、ストレスによる緊張状態が続くと、これが問題を引き起こすのです。
つまり同じ姿勢を続けたり、何らかの強い精神的なストレスによって、筋肉がずっと緊張し続けると、それは筋膜の袋がずっとパンパンに張った状態になることを意味します。
この筋膜の袋がずっとパンパンに張った状態が続くことが「筋硬結」を作り出す原因なのです。
じつは筋膜の袋の中に入っているのは筋線維だけではありません。
筋膜の袋の中には、血管と神経も入っているのです。
筋肉が伸びたり縮んだりの収縮を繰り返している時には、この血管も押し付けられたり拡がったりを繰り返していますから、まるで外からポンプのように押されて、静脈血などはより血流が良くなります。
しかしずっと同じ姿勢で緊張が続いていると、筋肉はずっと収縮した状態になりますから、筋膜の袋もパンパンに張った状態が続きます。
そうなると袋の中の血管や神経も、ずっと押し潰された状態になるわけで、筋膜の中の血管には血液が流れなくなってしまいます。
筋膜の中の血管は、同じように筋膜の中の筋線維に酸素や栄養を届けていますから、筋線維が収縮し続けていると、その筋線維には酸素や栄養が届かないことになります。
そうなると筋線維は正常な生理的活動を続けることができなくなり、硬くこわばっていくのです。
これが「筋硬結」になっていくのです。
つまり「筋硬結」とは、ずっと筋肉がストレス状態になることで、その筋線維に酸素や栄養が届かなくなって、筋線維が変性して硬くこわばることで作られていきます。
そして筋肉が慢性的に固まることで、そこにある神経が圧迫され、痛みを引き起こすのです。
これが肩コリや腰痛の原因となります。
腰痛を引き起こす筋肉は腰の筋肉ではありません
じつは腰痛の原因となっているのは腰の筋肉ではありません。
では何が腰の痛みの原因となる筋肉なのでしょうか?
ここでギックリ腰を例にとって、腰痛の筋肉を説明したいと思います。
ギックリ腰になる時には、その原因となる直前の動作があります。
それには大別して以下の3つのパターンがあるのです。
⑴ 腰をかがめて重いものを持ち上げた時にギックリする場合
⑵ 寝返りや振り返りなどで身体をひねった時にギックリする場合
⑶ 足を一歩踏み出した時にグラっときてギックリする場合
大体はこの3パターンに分けられると思います。
じつはこの3パターンのギックリ腰では、それぞれ痛める筋肉と、痛くなる場所が違います。
ではここで、これらの3パターンの筋肉の痛め方と痛みの出方について、少し解説していきたいと思います。
じつはこの3パターンのギックリ腰と腰痛の痛みには、深い関連性があるのです。
これについても後でご説明しますね。
⑴ 腰をかがめて重いものを持ち上げた時にギックリする場合
このパターンの場合に痛めやすいのが「下後鋸筋」です。
「下後鋸筋」は胸郭の下の部分で、脇腹の上の部分から背骨にかけて、広背筋の下で、斜め下に走っている幅の広い筋肉です。
この筋肉は胸郭を絞るように引き締めて、息を吐く動作を行いますが、あなたが何かを持ち上げる動作をする場合に、胸郭を絞って固めることで、動作を安定させる働きをしています。
ですから腰を屈めて物を持ち上げる場合に、呼吸が合わなかったりすると、ギックリときてしまうのです。
このパターンの痛みの特徴は、背中の真ん中よりの下側から腰全体に重い痛みを感じるという傾向があります。
⑵ 寝返りや振り返りなどで身体をひねった時にギックリする場合
この振り返りパータンの時に痛めやすいのが「腸肋筋」です。
「腸肋筋」は背骨の両脇を骨盤の外側から、肩甲骨の下をくぐって、頚椎の脇まで縦に長く伸びている細長い筋肉です。
「腸肋筋」は、脊柱起立筋のひとつで、脊柱を引き起こし姿勢を制御する働きをもっています。
この「腸肋筋」は、左右の腸肋筋が協調して左右の体幹の姿勢を制御しています。
この筋肉は常に姿勢制御に関与していますから、疲労が溜まりやすく、こわばりやすい筋肉なために、不意の姿勢変化などでギックリやりやすいのです。
このパターンの痛みの特徴は、腰椎の両脇のどちらか片方に強い痛みを感じます。
ポイントは、この「腸肋筋」は腰だけにある筋肉だけでなく、腰から首までの縦に長い範囲をカバーする筋肉であり、単に腰だけの筋肉ではないということです。
⑶ 足を一歩踏み出した時にグラっときてギックリする場合
この足を踏み出す時に、足元がグラっと来た瞬間に痛めやすいのが「中殿筋」と「梨状筋」です。
この「中殿筋」と「梨状筋」は、仙骨から大腿骨に向かって伸びる筋肉で、股関節を外転(外側に開く)筋肉となっています。
このパターンの痛みの出かたと特徴は、股関節の奥から股関節の前面にかけて痛みが出るのが特徴です。
この2つの筋肉を痛めてしまった場合、股関節を支える力が弱まりますから、足を踏み込んだ時の踏ん張りがきかなくなり、スタスタと歩けなくなっていきます。
このようにギックリ腰の原因となる筋群は、一概に腰の筋肉とは言えないのです。
今回、なぜギックリ腰を取り上げたかというと、いわゆる腰痛症と言われる筋肉の慢性的な痛みと、筋肉の障害の状態から、何かのキッカケで筋線維を痛めてしまうとギックリ腰になるからなのです。
つまり筋肉に慢性的なストレスや緊張が溜まった状態が「腰痛症」と言われる状態であり、それに瞬間的な強い負荷がかかることで炎症が起きると、ギックリ腰になるというわけなのです。
またギックリ腰になる前段階の「腰痛症」の原因となる、これらの「下後鋸筋」「腸肋筋」「中殿筋」「梨状筋」などは、姿勢を支えるために積極的に働く筋群です。
これらの筋群には、日常生活の姿勢の問題やストレスなどによって、慢性的な緊張状態になりやすく、これが腰痛の原因となっています。
ですから、これらの筋肉に対するケアを、日々キチンと行うことで、腰痛の予防と根本的なケアによる改善が可能になるのです。
姿勢を支える筋肉の重要性
姿勢を支えるための、これらの「下後鋸筋」「腸肋筋」「中殿筋」「梨状筋」などがキチンとバランス良く働くことが、腰痛の予防にとってはとても重要になります。
例えば、私たちの身体は骸骨の状態の骨の集まりを、関節でつないで、筋肉で支えることで、人としての形を維持しています。
筋肉の支えがなければ、私たちの骸骨は、人としての形を維持することができずに、地面にカラカラと崩れ落ちてしまいます。
その事実は、即ちこれらの姿勢を支える筋群のこわばりが、私たちの姿勢にまで影響を及ぼすということなのです。
ですから慢性的な腰痛や肩コリを訴えるヒトの中には、ギックリ腰などの急性の症状は認めないけれども、よく観察すると、左右の肩の高さが違っていたり、胸郭が歪んでいたり、首が傾いていたりする場合があります。
これらも「腰痛症」の症状の一部ということができるでしょう。
これらの症状は、良く注意しなけでば、自分で気付くことは、なかなか難しいものがあります。
しかし、なるべくならこの段階から予防的にアプローチを行うことで、ひどい腰痛に苦しむリスクを減らすことができるのです。
また腰痛が悪化してしまってからも、これらの筋肉に対する適切なアプローチが、とても大切になります。
姿勢を支える脊柱起立筋群への自宅でのマイオセラピー方法
慢性的な筋緊張による筋線維への血流障害で、筋硬結ができている場合には、その筋硬結に対して、バイブレータによる振動などを利用した、血流の改善アプローチを行います。
家庭で行う場合には、使用するのはハンディタイプのバイブレーターで十分に対応が可能です。
そしてバイブレーターを当てる場所については、単に痛い場所に当てるのではなく、問題となっている筋肉の部位に沿って、その筋肉全体をケアするようにバイブレーターを当てるようにしましょう。
自宅でのバイブレーターを利用したマイオセラピー例
⑴ 腸肋筋に対するバイブレーターマイオセラピー
腸肋筋は、重要な役割を持つ脊柱起立筋のひとつであり、そのために腰痛症の痛みの原因となる、もっともメジャーな筋肉のひとつです。
腰痛症として腸肋筋が痛くなる場合には、主に腰の高さで背骨の脇が痛くなるために、どうしてもそこだけをマッサージしてしまいがちです。
しかし実際には腸肋筋は骨盤のところの腸骨の峰のところから、肩甲骨の下を通り、頚椎の横にまで伸びる、縦に細長い筋肉です。
ですから腸肋筋に問題があって、腰に痛みが出ている場合には、腸肋筋の腰の部分のみをマッサージしても、腰痛は良くなりません。
この場合には、腸肋筋の全体を見通して、腸肋筋を全体的にケアする必要があります。
ですからマッサージバイブレーターを当てる場所も、腰だけでなく、以下のような広い範囲に当てて、腸肋筋を全体的にマッサージするようにしましょう。
腸肋筋マッサージのポイントとなる部位
⑴ 骨盤の腸骨稜のすぐ上の部分
⑵ 腰椎の脇の部分
⑶ 肩甲骨のすぐ下の部分
⑷ 首と肩の境目の頚椎の横
これらの部位に対して、バイブレータを当て、一ヶ所に対して、およそ5分から10分程度の間、マッサージを行います。
まとめ
今回は腰痛症のケアについて、一般的な腰へのマッサージだけでは腰痛の改善が難しいこと。
そして腰痛を引き起こす筋肉には、腰だけをカバーする、腰の筋肉は存在しないこと。
そのために腰痛症のケアを行うためのマッサージは、その筋肉が拡がる、広い範囲に対してマッサージを行い、筋肉全体をケアする必要があります。
最後までお読みいただきありがとうございます。