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病気やケガで身体機能に障害を受けると気力も低下しますよね
病気や怪我をして身体に障害を受けると、手足の運動機能が麻痺したりしますから、頑張ってリハビリテーションをしなければなりません。
もう一度、日常生活を自立させて、自力でトイレに行きたいですし、できればスーパーやショッピングモールにお買い物にも行ける様になりたいですよね。
そのためには自分で身体を動かせる様になるためのリハビリテーションが欠かせません。
今は確かにドン底にいる様な気分かもしれません。
でもこのまま終わるわけにはいきませんよね。
頑張ってもう一度楽しい日々を取り戻さなければなりません。
でもなんか気力が湧かないんですよね。
退院して、さあこれから頑張るぞと思っていたのに。
家に帰ると、何にも気力が湧かなくて、ダラダラしてしまっています。
歩行練習にも身が入りません。
こうなると、一般的な回答は「年のせい」か「病気の後遺症」になってしまいます。
でもね、実はこれにはハッキリとした原因があるのです。
これはあなたの心の持ち方、心の使い方に問題が起こっていて、あなたの心が疲弊して動かなくなっているのです。
この、あなたの心を疲弊させている現象を『反芻』と呼びます。
今回は病気の後で『反芻』によって心が疲れてしまい、頑張れなくなってしまう現象について、その原因と対策について解説していきます。
どうぞよろしくお願いします。
脊柱管狭窄症の手術後にシビレが気になって何も出来なくなったケース
この『反芻』と呼ばれる心の働きについて、分かりやすいように、脊柱管狭窄症という症例をあげて解説していきたいと思います。
脊柱管狭窄症とは、背骨の骨(脊柱)が老化などの原因で変形することで、背骨の中の脊柱管という管が狭くなり、その中を通っている脊髄が圧迫されて、足にシビレや筋力低下が起きる病気です。
脊柱管狭窄症が悪化すると、最終的には脊髄損傷となって、両足が麻痺してしまう場合もあります。
Aさん70代 脊柱管狭窄症の術後のケース
Aさんは70代の女性で、長年腰痛に悩まされてきましたが、とうとう大きな病院の整形外科で「脊柱管狭窄症」と診断され、手術を受けることになりました。
Aさんは、手術なんて怖くて嫌だと思いましたが、主治医の先生が強く勧めるたために、仕方なく手術に合意してしまいました。
手術自体は問題なく終わりましたが、しかし術後から両足に強いシビレが残ってしまいました。
手術を受ける前には、こんなにひどいシビレはなかったのに、Aさんはびっくりして「手術は失敗だったのでは」と考える様になります。
じつは脊柱管狭窄症の手術の大きな目的は、これ以上脊柱の変形が進むと、脊髄が圧迫されて麻痺が悪化してしまうので、それを予防するために行います。
ですから手術前にあった症状が軽くなることは保障されていないのです。
それどころかシビレなどの症状は手術前よりも悪くなることすらあるのです。
これも将来の脊髄の圧迫による麻痺を予防するためのコストなのです。
でもそんなことはAさんには納得できません。
本来は主治医の先生が、事前にキチンと説明して、Aさんに手術のリスクを理解してもらう必要があったのですが。
もしくは先生はキチンと説明したのに、手術前のAさんは、いろいろなプレッシャーで心がいっぱいで、先生の説明が認識できていなかったのかもしれません。
先生からの「ほとんどのケースはよくなります」の説明が、「絶対によくなります」に脳内変換されるケースはよくあるのです。
その結果、万が一に起こる良くないアクシデントについては、私にはあるハズがないと、すっかり忘れてしまったりするのです。
Aさんは「こんなになるなんて聞いてなかった」と執刀した先生を強く恨みますが、だからと言って手術をやり直すことはできません。
Aさんは泣き寝入りみたいな気分になりながら病院を退院して、お家に帰ることになります。
家に帰ったAさんに起こった問題とは?
Aさんは、やっと住み慣れた我が家に帰ってきて、いったんはホッとした気持ちになります。
これから頑張って、しっかり歩ける様に歩行練習も頑張ろうと思っていました。
しかし退院してからのAさんは、なかなか行動することができないまま、時間だけが過ぎていきます。
気持ちは頑張らなければと焦っているのですが、なかなかやる気が出ないのです。
そして毎日をダラダラとベッドの上で過ごしてしまいます。
定期的に来てくれている訪問看護師さんや訪問リハビリのセラピストさんにも、いろいろと励まされてはいるのですが、どうもダメなのです。
とにかく足のシビレが気になってしまい、とても歩ける気持ちになりません。
リハビリのセラピストさんには、「シビレがあっても足の麻痺はないので、練習すれば歩ける様になりますよ」と説明されていますが、その気になれないのです。
そして気がつけば「この足のシビレさえなければ私は歩いてどこにでも行けるのに」という弱音とも愚痴ともつかないセリフが、口癖の様になってしまっています。
Aさんは、彼女のサポートに訪ねてくる、ケアマネージャーさんや、看護師さんや、家族に対しても、ずっとこの「この足のシビレさえなければ私は歩いてどこにでも行けるのに」を訴え続けてしまいます。
それは退院してから1ヶ月がたっても、3ヶ月がたっても、半年が過ぎても、ずっと「この足のシビレさえなければ私は歩いてどこにでも行けるのに」というセリフが口をついて出てくるのです。
そしてAさんは、こう思っています。
「手術をして退院してから私は怠け者になった」と、いつまでたっても歩く練習をする気力が起きない自分を責める気持ちが日に日に強くなっていっています。
この時のAさんの心の中の問題は?
じつはこの時にAさんの心の中では、ある問題が起こっていたのです。
それが『反芻』という思考パターンの問題です。
脊柱管狭窄症の手術を受ける前のAさんは、手術を受けて元気になることを、とても希望していました。
確かに手術は怖いけれども、きっと上手くいって元気になれると信じていたのです。
しかし手術は失敗というほどではなくとも、少なくともAさんが期待していた様な結果にはなりませんでした。
両足が麻痺する心配は無くなったものの、強いシビレが両足に残ってしまったのです。
それは手術の結果に期待を寄せていたAさんにとって、とてもショックなことでした。
「もう一生このシビレは取れないでしょう」という主治医の先生の説明にも、到底納得がいきません。
「どうして私がこんな目に合わなければいけないのか?」
「手術を受けたことは良かったのか?」
さまざまな思いがAさんの心を駆け巡ります。
そしてその最初のショックが大きかったため、Aさんにはなかなかそれを気持ちの片隅に片付けることが出来なくなってしまったのです。
退院して家に帰ってからのAさんの日課は、朝起きた時に脊柱管狭窄症の手術のことを思い返し、「どうして手術をしたのか?」「他の病院ですればこんなことにはならなかったのか?」などさまざまに思い悩んでしまいます。
そして夜寝る時にも、全く同じ様に脊柱管狭窄症の手術のことを思い返し、「どうして手術をしたのか?」「他の病院ですればこんなことにはならなかったのか?」などまた悩んでしまうのです。
そんな生活を何ヶ月も続けるうちに、Aさんは心の中で、手術を受けた時のショックとストレス体験を、もう何百回も追体験してしまっているのです。
つまりAさんは、あの辛い手術の体験を、毎日毎晩、心の中で追体験をして、その度に強いストレスを感じ、そのストレスが蓄積して、心がボロボロに疲れ果ててしまっていたのです。
このストレスが溜まりに溜まった状態で、もう一度歩ける様になるためにリハビリを頑張る気力など出るはずもないのです。
嫌なストレスの反芻があなたの心を疲弊させ意欲を奪います!
嫌な体験、強いストレスによる衝撃は、あなたの心に深い傷を負わせます。
そして、その衝撃が強すぎるために、あなたはその出来事をなかなか忘れることが出来ません。
そのために、あなたはその体験を、無意識のうちに何度も何度も心の中で思い返してしまいます。
そこには強い後悔も含まれているために、どうしても思い返さずにはいられないのです。
そして辛い体験を思い返すたびに、あなたは初めの体験と同じストレスを追体験してしまいます。
そして気がつかないうちに、そのストレスが繰り返し積み重なって、あなたの心を蝕み、疲弊させてしまうのです。
しかし、このまま反芻の罠から抜け出せないでいると、大変なことになります。
うっかりすると最後は廃人の様になってしまう可能性もあるのです。
これが反芻という心理パターンの恐ろしさです。
ダメな反芻から抜け出して元気になる方法とは!(マインドフルネス瞑想のススメ)
私たちは嫌な思い出からなかなか抜け出すことが出来ません。
そしてその思い出を繰り返し思い返すことで、不必要なストレスを積み重ねてしまいます。
そして、それが心を疲弊させて、意欲を奪ってしまうのです。
本当ならば、手術が期待通りでなかったAさんのストレスは、その時にサッサと気持ちの生理がついていれば、その後にずっと引きずることはなかったのです。
いくら手術のことを思い返してみても、何も変わる訳ではありませんから、忘れてしまうのが一番なのです。
しかし、なかなか人の心は、そんな風に単純には出来ていません。
思考抑制の罠にもご用心!
もしあなたが嫌な思い出を、無理やりに忘れようとすると、どうなるでしょうか?
あなたがなるべく、その事を考えない様にすればするほど、その考えはあなたの頭から離れなくなります。
このなるべく嫌な事を考えない様にする事を「思考抑制」と呼びます。
そしてこの「思考抑制」によって、「その事」を考えない様にすればするほど、「その事」が頭から離れなくなる傾向が、私たちの脳には備わっています。
これを「アイロニック・エラー(皮肉な錯誤)」と呼びます。
禁煙のためにタバコを止めようとして、タバコのことを考えない様にすればするほど、タバコが気になってしまい、猛烈に吸いたくなってしまう、あの感じです。
もしくはダイエットのために、甘いお菓子を止めようとして、チョコパイのことを忘れようとすればするほど、夢にまでチョコパイが現れるくらいまで病んでしまう、その感じでもあります。
ですから嫌な事を無理やり考えない様にする事はよくないのです。
では嫌な事を反芻して考えてしまい、ストレスを溜めない様にするためには、どうしたらいいのでようか?
この場合には『マインドフルネス瞑想』がおすすめです。
マインドフルネス瞑想のススメ
マインドフルネス瞑想を語ると1冊の分厚い本になってしまいますので、今回は初級的な簡単な実践方法をご紹介しておきます。
マインドフルネス瞑想の実践方法
⑴ まず目を閉じます
⑵ 普通に呼吸をしながら、呼吸に意識を集めます
⑶ 何かの考えが浮かんできたら、目撃者のつもりでそれを見つめます
⑷ そしてその考えが去っていくのを静かに(穏やかに)待ちます
⑸ 頭に浮かんだ考え自体にも、それを思い浮かべた自分自身にも、決して判断は極力下さないでください
⑹ 注意を再び呼吸に戻し、息を吸って履いてという自然な感覚に意識を集中させていきます
⑺ 練習を重ねるうちに、さまざまな考えによってざわめいていた心は徐々に静まっていき、非常に集中した状態に入っていきます。
⑻ 心はスノードームのようなもので、通常はさまざまな雑念が雪の様に舞って、視界を曇られていますが、瞑想によってそれらを落ち着けて心を透き通らせていきます。
⑼ 決して思考を追いかけることだけに振り回されてはいけません。
このマインドフルネス瞑想を毎日30分継続する事で、やがて心のざわめきが落ち着いて、心の中が澄み渡っていきます。
そうして心が澄み渡ると、自然と心の疲労も回復し、再び意欲が沸き起こってくるのです。
あなたも是非試してみてください。
最後までお読みいただきありがとうございます。