リハビリを途中で投げ出してしまう方がいることについて!
地域医療の中でリハビリテーションサービスを行っていて時々体験することに、リハビリテーションを行うご利用者さん(患者さん)の良くなろうとする意欲が中々高まってこないで、結局は諦めてしまうということがあります。
リハビリテーションの専門家の目から見たら、結構リハビリの効果も認められているし、ここでもう一踏ん張りすれば結構いい感じに良くなるはずなのにと思っていても、途中で諦めてしまう方がおられます。
これはどうしてなのでしょうか?
私もリハビリテーションサービスを提供しながら、どうして途中で投げ出してしまう方がおられるのか、色々と考えてみました。 そしてあることを思い出したのです。
皆さんは「夜と霧」をご存知ですか?
皆さんはヴィクトール・E・フランクルという方が書いた「夜と霧」という本をご存知でしょうか?
ヴィクトール・E・フランクルさんは第二次大戦中のドイツにいたユダヤ人の精神科医でした。
彼はユダヤ人として大戦時にはアウシュビッツに収容されていたのですが、その時に収容所に一緒に収容されていた人々の行動を観察して、その記録として「夜と霧」を書いたのです。
しかし今回は私がお話ししたいのはヴィクトール・E・フランクルさんのことではありません。
実は私にこのヴィクトール・E・フランクルさんのことを教えてくれた方のことをお話ししたいと思います。
この方は某医学部の助教授の先生でした。
先生はある時に、神経系の病気になって治療を受けることになりました。
神経の炎症を抑えるためにステロイド剤という非常に強力ですが副作用の強い薬を投与されることになったのです。
しかし先生の神経麻痺は治ることがなく、どんどん進行して結局は歩くことも出来なくなってしまったのだそうです。
これは後でわかったことですが、神経炎症を抑えるためのステロイド剤の副作用によるニューロパチーが起きて麻痺がさらに悪くなってしまったという皮肉なことが起きていたそうなのです。
しかし当初はそんなことは判らずに、どうして治療を受けても良くならないのかという不安の中でリハビリテーションを受けることになったのです。
ですがその担当したセラピストが最低で、どうせリハビリをしても良くならないと最初から諦めているのが先生にも伝わってくるくらいに、最初から諦めてやる気がなかったそうなのです。
先生はそれが非常に辛かったと言っていました。
そりゃそうですよね! 自分が一番頼りにしているセラピストに自分が一番苦しい時に見捨てられたら絶望的な気分になりますよね。
私もそれはひどい話だと思いました。
決して諦めないこと!
その話を聞いてから、私は自分の患者さんの事を決して諦めないようにしようと誓ったのです。
相手がどんなに厳しい状態であっても、自分にできることは何がしかあるはずだと考えて、完全な改善や合格点のケアでなくとも、全力でできる事を探してアプローチしようと考えています。
たとえ患者さん本人が諦めても「私はあなたを諦めません」がモットーです。
しかし私がいくら諦めなくても、本人が諦めてしまえば、やはりそれはそれでもうどうしようもないのも現実で、本人が諦めてしまえば、私がどんなにカッコつけて諦めないと突っ張ってみても、手も足も出ないのが介護保険制度の弊害ですね。
押し売りはできません。
では皆さんに諦めずに頑張ってもらうのにはどうしたら良いのでしょうか?
ここで先ほどの先生の話に戻りましょう。
神経麻痺で動けなくなった先生は、ここで生前のヴィクトール・E・フランクルと出会います。
そして彼と交流するうちに、ヴィクトール・E・フランクルから様々なことを学びます。
ヴィクトール・E・フランクルさんがアウシュビッツで収容者を観察していて、収容者には2通りのタイプがいたそうです。
一つ目のタイプは力尽きて倒れた仲間の食べ物や毛布を奪って自分が生き残ろうとする獣のような弱い人間、そして二つ目のタイプは同じように力尽きて倒れた仲間に自分の食べ物や毛布を与えて助けようとする強くて優しい人間的な人間です。
どうしてこんなに違いが出るのでしょうか?
ヴィクトール・E・フランクルさんによれば、その違いは、その人間が収容所という人生最低の絶望的な状態にあった時に、そこから先の人生に希望や夢を持てているかどうかで、その違いが出るのだそうです。
つまり未来に希望や夢を持てない人間は弱い獣のようになってしまい、未来に希望や夢を持てている人間は、強く優しい人間的な行動ができるのだそうです。
リハビリテーションを頑張るためにも夢や希望が必要なのです!
この話を伺った時に、私はリハビリテーションにも同じことが言えるなと感じました。
今からの未来の自分に夢や希望がないと、辛いリハビリテーションを頑張りきれずに心が折れてしまいますが、未来に夢や希望があればリハビリテーションを頑張って未来に希望を繋ぐことが出来るのです。
確かにある程度の高齢になって、障害を持った身に夢や希望を持つことはかなりの贅沢なことなのは分かります。(自分も夢を持ちにくい高齢者なので良くわかります)
しかしだからこそやはり皆さんには未来に夢と希望を持ってリハビリテーションに取り組んでいただきたいと思います。
どうでしょう貴方に夢はありますか?
最後までお読みいただきありがとうごうざいました。
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まずは第一弾として皆様からご要望の多かった、麻痺側の手を動かせるようにしたいとの声にお応えするために、手のリハビリテキストを作りました。
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現在の日本国内で、このレベルの在宅リハビリは他にはないと思います。
そしてこのプログラムは施設での実施にて、すでに結果が認められています。
あとは皆さんの継続力だけですね。
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次回は