脳卒中の麻痺手指を超音波療法とEMSでケアする方法!
はじめに
脳卒中片麻痺の筋肉のコンディショニングが難しいのはなぜか?
脳卒中の手指の麻痺を改善するためには、神経促通運動を行う必要があります。
しかしその神経促通運動を正しく効果的に行うためには、手指や手首を動かす筋肉とそれぞれの関節のコンディションが整っており、運動神経からの指示にキチンと反応できるようになっている必要があります。
しかし手指の筋肉のコンディションを整えて、関節がスムースに動くようにすることは並大抵のことではありません。
なぜならば、脳卒中片麻痺による筋肉のこわばりの原因となっているのは、単なる筋肉のコリではなく、筋硬結と呼ばれる、骨のように硬くこわばった筋線維の塊が沢山できている特殊なこわばりだからです。
この筋硬結をほぐすには、ごく普通の一般的なマッサージや電気治療では上手くいかないのです。
筋硬結には鍼治療や痛み止めなどの薬剤も効きません。
今までは筋硬結をほぐすためには、マイオセラピーという特殊なマッサージを受ける必要があったのですが、このマイオセラピーをできるセラピストは非常に少ないため、皆さんが身近で見つけることは、ほぼ不可能です。
実はマイオセラピー以外に、筋硬結をほぐして、脳卒中片麻痺の麻痺筋の緊張を落とせる方法があるのです。
それが今回ご紹介する超音波療法とEMS療法です。
超音波療法とは!
超音波療法は、超音波治療器を利用して行う深部筋(コアマッスル)へのマッサージです。
筋肉をほぐして血流を改善するためには、ストレッチかマッサージが一般的なのですが、実は振動が筋肉をほぐして血流を改善するためには最適なのです。
そしてこのマッサージには一切の痛みがありません。
実はマイオセラピーによる筋肉のコンディショニングはとても痛みを伴うので、評判が悪いのですが、超音波療法には、そんな問題はありません。
唯一の問題点は、その治療器の値段が今までは非常に高額であったということです。
しかし最近の米国は超音波治療器による筋肉のコンディショニングが大変な勢いで拡がっており、スポーツトレーナーなどが選手のケアにも盛んに用いるようになり、一般的に普及が始まって、値段が急激に下がってきました。
以前は数十万円していたものが、現在はアマゾンで2万3000円で購入が可能になっています。
実は最近見つけたのですが、米国の医療機器メーカーがメディカルスポーツトレーナー用に超音波治療器を量産し始めており、そのために数十万円していた超音波治療器が、同じ性能で、2万3000円で手に入るようになったのです。
つまりそれだけ米国のスポーツなどの現場で、超音波治療器の効果が認められ普及が始まったということです。
まあ2万3000円の初期投資は少し痛いですが、この超音波治療器は腰痛や膝痛や脳卒中に多い肩関節障害のケアにも使えますし、ご家族みなさんで肩こりの治療にも使えますから、買って損はない商品です。
私は超音波治療器の販売業者の回し者ではありませんよ。
以前から超音波治療器を現場で使いたいと思っていても、値段が高くて手が出せなかったものが、安い機械ができたので、喜んで自分の臨床でも使ってみて、効果が確認できたからお薦めしているのです。
まあどこに行っても良くならない、その指が少しでも動かせる可能性にかけるのなら、試してみる価値は大いにありますよ。
そして超音波療法を行った後の決め手となるもう一つの筋コンディショニング方法がEMS療法になります。
これがその超音波治療器です
超音波治療器
製品名: ポータブル US PRO 2000 超音波治療器 並行輸入品 日本語説明書付
製造元: Roscoe Medical 社(米国)
輸入元: ホーム&キッチン
価格: 23,250円(関東への送料無料)
こちらから購入できます!
US PRO 2000 2nd edition 超音波器 日本語説明書 保証付 健康/美容器 [米国 ROSCOE MEDICAL社: 超音波治療器メーカー製造] 新品価格 |
※ ご購入とご使用に関しては自己判断と自己責任のうえ行ってください。
私も実際に臨床で試してみて効果は確かであると確認しています。
ちなみに私は超音波治療器のメーカーの回し者ではありませんよ!
以前から在宅の臨床で使いたかったのですが、以前は高くて手が出せなかったのです。
EMS療法とは!
EMS療法とは電気刺激を利用して、筋肉の収縮活動を行わせる治療方法です。
ある程度の長期間、指を動かさないでいると、指の筋肉を収縮させるためのミオシンモーターの活動が低下してしまい、筋肉を動かすことが出来なくなってしまいます。
この問題を解決するために、市販のEMS治療器を利用して、手指を動かすための、いくつかの筋肉に電気刺激を与えることで、指を動かす筋肉の活動を促して、脳からの運動神経の信号が来た時に、すぐに筋肉が反応できるように土台を作っておきます。
中〜高周波治療器でのEMS療法
EMS療法に使われる電気刺激は 1000Hzから20000Hzの中〜高周波の電気刺激を利用しています。
この000Hzから20000Hzの中〜高周波の電気刺激により痛みを起こさずに、比較的深部の筋まで強い刺激を与えて、効果的な筋収縮を起こすことで、動かない手指の筋肉を強制的に動かしてしまいます。
高周波治療器は 1000Hzから20000Hzの高周波の電気刺激を狙った筋肉に当てることで、より刺激による痛みなどがなく、強い筋収縮を引き起こすことが可能になります。
高周波治療器のスイッチを入れた途端に、それまで全く動かなかった指が、勝手に動き出す光景は、笑ってしまうくらい感動的です。
高周波EMS治療器
製品名: シェイプビート コア 5000
製造元: 伊藤超短波株式会社
販売元: ディノス
価格: 88,560円(税込)
今までは上のシェイプビート コア 5000を推薦していましたが、残念ながら生産中止となってしまいました。
しかし最近さらに価格が安くなって性能が向上した機器が販売されていますので、そちらをご紹介しておきます。
お薦めのEMS治療器
シェイプビートCore5000 が 9万円くらいしていたことを考えると、今回ご紹介する EMS治療器は半額以下くらいになっていて、その割に機能が向上しているので、技術の進歩は素晴らしいなと思います。
スマート EMS 5000
何と言っても今回の一押しです。
値段が安い! 14,000円を切りました!
シンプルな構造で電極は 1ch分しかありませんが、100Hzの低周波と5000Hzの中周波の複合波形を出せるので、十分な効果が期待できます。
一回に1箇所の筋肉しか刺激できませんが、シンプルな分、操作も簡単で使いやすくなっています。
9段階のパワーレベルと3種類のトレーニングモードは簡単で使い易いと思います。
後でご紹介する他の機器は 20,000Hzくらいの高周波まで出せますが、私の経験では 5000Hz出れば問題ありません。
価格:13,900円 |
シェイプメイト
今回ご紹介する中では一番高価格帯の泣く子も黙る 49,800円です。
低周波と中周波と高周波をランダムに出力(ランダム複合高周波EMS)して筋の慣れを予防して効果的なトレーニングができるタイプです。
電極が 4枚の 2ch タイプで一度に2箇所の筋肉に刺激を入れられるタイプです。
出力できる周波数は 20Hz 〜 20,000Hz
値段が高いだけあって高機能ですね。
価格:49,800円 |
マクロス EMS ボディフィットネス
最後はご愛嬌のご紹介 お値段 1,980円の器械です。
周波数はよくわかりませんが、おそらく20Hz前後と思われます。
完全な低周波治療器ですが、EMSと謳っていますので、少しは使えると思います。
生意気にも電極が 4枚の 2ch タイプで一度に2箇所の筋肉に刺激を入れられます。
最初に EMSのファシリテーションをお試しでやってみるにはいいかもしれませんね。
マクロス EMSボディフィットネス ホワイト MCE-3651WH 新品価格 |
超音波治療器による麻痺手指の筋群に対するマッサージ方法
前腕の屈筋群への超音波マッサージ
肘掛けのない安定した椅子に深めに腰掛けて背筋を伸ばしながらも肩から力を抜くようにして座ります。
目の前のテーブルにクッションを置き、麻痺側の肘をクッションの上に置きます。
手の平をなるべく上に向けておきます。
超音波治療器のプローブに専用のジェルを十分につけてから、治療器のスイッチをいれます。
治療の強さはH(High: 強)に設定します。
治療時間は10分に設定します。
そして麻痺側の前腕の内側の肘の近くの筋肉が一番盛り上がった辺りにプローブを当てます。 そのままそこで500円硬貨くらいの輪を描くようにプローブを動かします。 10秒くらいそこで円を描きます。
そこから500円硬貨くらいの円を描きながら、徐々にプローブを内側の筋肉の盛り上りに沿って、上下左右にマッサージを続けていきます。
ゆっくり500円硬貨くらいの円を描きながら行ったり来たりします。 超音波によるマッサージを5分間続けます。
超音波マッサージが終わったら皮膚についたジェルを拭き取ります。
バイブレーターでのマッサージ
ついでマッサージ用バイブレーターに持ち替えて、麻痺側の前腕の内側の肘の近くの筋肉が一番盛り上がった辺りにマッサージ用バイブレーターを当てて強めの振動でマッサージを行います。
マッサージしながらバイブレーターの位置を調節して、前腕内側の筋肉の強張って痛みを感じる場所を探します。 場所が決まったらそこからバイブレーターを動かさずに3分間マッサージを行います。
EMS治療器による麻痺手指の筋群に対する筋活動促通方法
麻痺側の指を伸ばす運動
安定した椅子に座ってテーブルの上に置いたクッションに麻痺側の肘を置きます。
手のひらを下に向けた状態にしておきます。
前腕部の親指側の肘関節近くのやや内側よりに1チャンネル目の電極を2つ並べて貼ります。
ついで1チャンネル目の電極のすぐ外側に2チャンネル目の電極を2つ並べて貼ります。
EMS治療器を起動させて、刺激の強さを「痛みが少なく、かつ筋肉の動きが認められる」レベルに調節します。
モード設定で うで を選択します。
強さのレベルを痛みを感じずに筋肉が動くレベルに調整します。
※ 自分で動かさなくても自然に指が開いています!
EMSの刺激に合わせて麻痺側の指を伸ばします。
この運動を10分間続けます。
どうですか?
以外と簡単でしょう!
本当に効果的で驚きますよ!
ぜひ一度お試しください!
次回は
について解説を行います。
最後までお読みいただきありがとうございます。
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「脳卒中片麻痺を治す最新の脳科学に基づく脳卒中ニューロリハビリテーションの在宅での実施方法」
注意事項!
この運動は、あなたの身体状態を評価した上で処方されたものではありません。 ご自身の主治医あるいはリハビリ担当者にご相談の上自己責任にて行ってくださるようお願い申し上げます。
こちらもお読みください!
脳卒中片麻痺の自主トレテキストを作りました!
まずは第一弾として皆様からご要望の多かった、麻痺側の手を動かせるようにしたいとの声にお応えするために、手のリハビリテキストを作りました。
手の機能を改善させるための、ご自宅の自主トレで世界の最先端リハビリ手法を、手軽に実践する方法を解説しています。
超音波療法や振動セラピー、EMS療法による神経促通など、一般病院ではまず受けられないような、最新のリハビリアプローチが自宅で実行できます。
現在の日本国内で、このレベルの在宅リハビリは他にはないと思います。
そしてこのプログラムは施設での実施にて、すでに結果が認められています。
あとは皆さんの継続力だけですね。
テキストは電子書籍になっており、インフォトップと言う電子書籍の販売ASPからのダウンロードになります。
全180ページに数百点の写真と3D画像などで分かりやすく解説しています。
コピーが容易な電子書籍の性格上、少し受注の管理やコピーガードなどが厳しくなっていますが、安全にご利用いただくためですの、ご容赦くださいね。
ぜひ一度お試しください。
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