脳卒中リハビリ

脳卒中ニューロリハビリ簡単解 ⑶ 運動神経機能の混乱

 

前回記事

脳卒中ニューロリハビリ簡単解説 ⑵ 脳卒中片麻痺の運動学習!

 

はじめに

脳卒中のニューロリハビリテーションによる、麻痺の回復は、運動神経に対して、麻痺した手足への運動指令を繰り返し出させる(運動制御)ことで、『運動学習』を進めていきます。

それによって脳卒中によって死んでしまった運動神経細胞の代わりになる、新しい運動神経細胞が生まれると共に、それらの神経細胞をつなぐシナプスが強化されます。

つまりニューロリハビリによって「運動制御」を繰り返すことで、新しい運動神経細胞が生まれると共に、それらの神経細胞をつなぐシナプスが強化されて麻痺が回復していくのです。

しかし脳卒中片麻痺では、ある問題があって、運動神経を再生させるための『運動学習』が起こりにくくなっていると、前回の記事でご説明しましたね。

今回はその、脳卒中片麻痺では『運動学習』が起こりにくくなっている原因と、その対処方法について解説していきます。

どうぞよろしくお願いします。

 

麻痺側の手足の筋肉が硬くこわばる現象について!

脳卒中で倒れると、その急性期には、麻痺側の手足がひどく浮腫みます。

また生きるか死ぬかの状態に陥りますから、身体中がこわばって緊張した状態になりますね。

その状態が長く続くことで、麻痺側の手足の筋肉が、硬くこわばってしまいます。

ここで多くの方が(セラピストをふくめて)誤解されているのですが、この麻痺側の手足の筋肉のこわばりが、脳卒中の麻痺によるものだと思い込んでいることです。

確かにある一部の緊張は、脳卒中の麻痺によるところもあります。

しかし筋肉の強張りのほとんどは、脳卒中で倒れたときの、初期の手足のむくみと、こわばりからくる、筋肉のコンディションの不調が原因で起こっています。

しかしそれは単に、脳卒中で倒れたときに、手足がむくんでいたための後遺症というわけではありません。

脳卒中の初期に、麻痺側の筋肉の不調によって、脳の運動神経系に混乱が起こってしまい、その結果として手足の筋肉が異常にこわばっているのです。

そしてその運動神経系の混乱によって、『運動学習』による麻痺の回復が邪魔されているのです。

 

麻痺側の筋肉の強張りによる運動神経の混乱について

脳卒中で倒れると、その急性期には麻痺側の手足が極端にむくんでしまいます。

また生きるか死ぬかの状態で、全身の筋肉がこわばり続けてしまいます。

その結果として、麻痺側の手足の筋肉が、慢性的に硬くこわばった状態になってしまいます。

しかしこの慢性的な筋肉のこわばりは、時間がたつと、軽くなるどころか、ドンドン硬くなっていきます。

これはどうしてでしょう?

実はこの脳卒中の麻痺側の筋肉のこわばりが、時間がたつにつれてドンドン硬くなることこそが、問題であり、その原因は運動神経の混乱です。

どうしてこんなことになるのかと言うと、それは手足の筋肉がこわばることで、私たちの脳と身体が持っている、「運動制御」の仕組みが上手く働かなくなるからです。

 

脳卒中の片麻痺にともなって「運動制御」が働かなくなること!

ここで「運動制御」の仕組みについて、少しおさらいしておきましょう。

私たちの手足を脳の運動神経が命令して動かす仕組みを「運動制御」と呼びます。

そして「運動制御」は次のような手順で行われます。

 

⑴ 脳の運動神経から手足の筋肉に「運動指令」を出します

⑵ 脳からの命令に従って手足の筋肉が運動します

⑶ 実際にどんな運動が起きたかの感覚情報が「感覚フィードバック」として脳に戻されます

⑷ 脳で「運動指令」と「感覚フィードバック」を照合してより正確な運動司令を出しなおします

 

このように⑴~⑷の手順を繰り返して「運動制御」を行います。

 

しかしここで思い出して欲しいのは、脳卒中では「麻痺側の手足の筋肉が硬くこわばってしまっている」と言うことです。

麻痺側の筋肉がこわばっていると、その筋肉の線維の中にある「感覚センサー」が上手く働きません。

ですから脳卒中の麻痺側の手足では「感覚フィードバック」が起こらなくなっています。

 

「感覚フィードバック」が起こらないとどうなるか?

では「運動制御」の過程で、感覚フィードバックが起こらないと、どうなるでしょうか?

⑴ ~ ⑷ の手順のうち、⑶ の「感覚フィードバック」が起こらないと、脳では「運動司令」と「感覚フィードバック」の照合ができなくなります。

この脳で「運動司令」と「感覚フィードバック」が照合できないことで、脳の運動神経と感覚神経が混乱してしまいます。

つまり脳は、いくら「運動司令」を出しても、手足からの返事がないために、どうして良いか分からなくなってしまいます。

その結果として、運動神経は、ドンドンと過剰な命令を出すようになり、麻痺側の手足はその後もこわばりを強めていくことになります。

そして「感覚フィードバック」がさらに起こらなくなることで、「運動制御」がさらに難しくなり、その結果として『運動学習』ができずに、麻痺の回復も起こらないことになります。

 

ですからここで一番重要なニューロリハビリのポイントとしては、麻痺側の手足の筋肉のこわばりを落として、筋肉のコンディションを整えることになります。

 

なので次回は「麻痺側の手足の筋肉のコンディショニング」の解説を行います。

 

次回記事

脳卒中ニューロリハビリ簡単解 ⑷ 筋肉のコンディショニング

 

 

最後までお読みいただきありがとうございます。

 

 

注意事項!

このサイトでご紹介している運動は、あなたの身体状態を評価した上で処方されたものではありません。 ご自身の主治医あるいはリハビリ担当者にご相談の上、自己責任にて行ってくださるようお願い申し上げます。

 

 

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