パーキンソン病リハビリ

その運動機能の低下は本当にパーキンソン病の進行ですか?

 

はじめに

パーキンソン病は慢性的に進行する神経難病の一つです。

パーキンソン病の症状は大脳基底核の黒質で産生されるドーパミンが減少することでアセチルコリンが相対的に過剰となり手足の筋肉が強直して動けなくなる病気と言われてきましたが、最近の研究では脳内でのレビー小体の蓄積が原因であることがわかってきました。

それに加えパーキンソン病の症状である、筋の強直やスクミ足、リズム障害などは、黒質だけでなく大脳基底核の他の神経ターミナルである、視床や視床下核、淡蒼球なども関連していることがわかってきました。

 

パーキンソン病のリハビリテーションの新たな試みとは!

パーキンソン病のリハビリに関しても、本来は緩やかに進行する慢性的な神経難病であるはずのパーキンソン病の運動機能が、ある時を境に急激に低下する現象が何故なのかがわかってきており、正しいリハビリテーションを行うことで、より長くより良い身体機能を維持することが可能になってきました。

簡単に説明してしまうと、パーキンソン病による運動障害が急激に進行してくる原因としては、ドーパミン減少により相対的にアセチルコリンが優位になることで、手足の筋肉が慢性的に緊張して、コアマッスルなどに障害を起こし、パーキンソン病とは本来関係のない、自律神経経由の慢性的な筋緊張の亢進を引き起こしたり、首や肩や腰の痛みから、運動を回避することで起こる廃用症候群、あるいはパーキンソン病薬のオンオフ現象(ウェアリングオフ現象)により動けない時間が増えることでの体力低下などが原因であることが分かってきています。

それに対するリハビリテーション方法も開発されていますが、慢性疾患であることで病院のリハビリセンターで十分なケアを受けにくい状況となっています。

 

慢性疾患であるパーキンソン病のリハビリを在宅自主トレで十分に行う方法!

これらの問題を解決するために、最新のパーキンソン病リハビリ技術に基づいて行う、ご自宅での自主トレをご提案します。

自主トレと言っても今までのようなおざなりなものではなく、キチンと結果が出せる効果的な方法をご提案していきたいと思っています。 パーキンソン病の神経症状の進行であれば、薬を調整して対応するしかないのですが、パーキンソン病の病態が原因となる、廃用症候群の進行や、手足の筋肉のコンディションの障害であれば簡単なリハビリを行うだけで見違えるほど改善することが可能なのです。

また自主トレに合わせて、生活習慣のコントロール方法もご提案したいと思っています。 実はパーキンソン病による運動障害が、ある時期を境に急激に進行する方の生活習慣として典型的なものの一つに、「昼食後にマッサージチェアなどに乗って1時間程度休憩する」というものがあります。

オンオフ現象のある方にとって、パーキンソン病の薬が1番効いて楽になる昼食後の時間帯にマッサージチェアで休憩することは、唯一の癒しだと思うのですが、その習慣が、1番体を動かせる時間帯に休んでしまい、体力低下の原因を作ってしまっているのです。

パーキンソン病と上手に付き合い、なるべく最新のiPS細胞などによる治療方法が確立するまで、現状の身体機能を維持するためにも、パーキンソン病のリハビリテーション方法をよく理解して、ご自宅でキチンと継続することが大切なことだと考えます。

 

今後、このコーナーではパーキンソン病に対する解説とご自宅でのパーキンソン病自主トレ方法の解説を行っていきます。

ぜひご一読頂き日常でのリハビリに取り入れていただきますようお願い申しあげます。

 

このウェブサイトがパーキンソン病と戦う皆様の一助となりますように、私も精一杯精進してまいります。

よろしくお願いいたします。

 

平成27年8月24日(月曜日)朝

在宅リハビリテーション方法の詳解
管理者: 松澤 達也 (理学療法士、臨床工学技士、介護支援専門員、米国呼吸療法士)

 

 

関連ページ
序章: その運動機能の低下は本当にパーキンソン病の進行ですか?
1. パーキンソン病のリハビリテーション はじめに
2. パーキンソン病とはどんな病気かのおさらい
3. 大脳基底核と視床のはなし
4. パーキンソン病による悪循環スパイラルとそれを改善するリハビリテーション
5. パーキンソン病の大脳基底核と視床のコントロールを良くするための運動方法の考え方

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