脳卒中片麻痺を改善するための神経促通を行う前に整えるべき身体条件とは?
はじめに
皆さんが最終的に望まれているのは「この片麻痺を完全に治したい」と言うことであることは、皆さんのケアに携わる医療従事者はみな良く分かっています。 近い将来、新たな治療方法が開発される可能性はドンドン高まっているとは思いますが、現在の医療レベルでは、麻痺を完全に治すことは不可能です。
しかし私の臨床経験から、ある程度の長期間(3年程度です)に計画的にアプローチを行った場合、一番改善したケースでは「動かせなかった利き手が動かせるようになり、最終的にはお箸で食事が出来るようになった」という方がおられましたし、「完全には動かせないが、文庫本ぐらいなら持てるようになった」というようなケースも結構ありました。
ですが残念ながら、多くのケースでは「なんとか腕を持ち上げて指の屈伸が出来るようになったが実用性がまだまだ無い」ということも事実ではあります。
しかし可能性が皆無ではないのです。
動かせなかった手足が動かせるようになる理由は、実は純粋な運動神経の麻痺の改善によるものだけではありません。
例えば麻痺で動かせないと思っていたが、実は急性期の浮腫と安静により関節が拘縮して固まって動かせなくなっていた例もたくさん見ました。
とくに肩関節などは、構造が複雑で、関節周囲のコアマッスルの障害(異常な筋肉のコリ)により五十肩によく似た痛みと運動障害を起こしてしまい、それを麻痺のせいだと勘違いしているケースは頻繁にあります。
または痙性麻痺による筋肉のこわばりだと思っていたら、やはりこれも急性期の手足の浮腫や安静による、筋肉自体のコンディションがおかしくなっているためのこわばりであり、実際の痙性麻痺自体は軽度で筋肉のマッサージやマイオセラピーを行うことで麻痺していたと思っていた手足が動いてしまった場合もあります。
そしてこれらの事も踏まえた上で様々な方向から脳卒中片麻痺の改善や運動機能の改善を実現するためのアプローチをおこないます。
脳卒中片麻痺を改善するための神経促通を行う前に整えるべき身体条件とは?
脳卒中片麻痺に対する神経促通による麻痺の改善アプローチを行うまえに、整えておくべき身体の機能がいくつかあります。 それを以下にご紹介いたします。
手足や背骨の関節拘縮をできるだけ改善しておくこと!
先にもご説明しましたが、手足や背骨の関節が拘縮して固まってしまっていては、いくら大脳の運動神経が指示をだしても手足を動かすことはできませんし、その固まった関節を無理矢理に動かそうと力んでしまっては、かえって痙性麻痺を悪化させて痛みや運動障害を引き出してしまいます。
この運動障害が麻痺なのか関節の拘縮なのかは、一般の方には一目で見破ることは困難だと思います。
解決策は、関節の動きが良くなるまで丁寧に関節の動きをほぐすアプローチを続けていくと言うことです。途中で諦めずに根気良く行うことが大切になります。
手足や背骨の周りの筋肉のコリをできるだけ改善しておくこと!
これも先にご説明しましたね。 脳卒中片麻痺は痙性麻痺といって、筋肉がこわばって動かせなくなる麻痺が特徴ですが、脳卒中の発症時からの急性期に体調が悪くなって、手足が浮腫んだりすることがあります。
それが原因となって筋肉自体のコンディションが悪くなって、こわばっている場合が結構あります。
ほとんどのケースで丁寧に筋肉のマッサージを行うことでこわばりを軽減することが可能です。
この場合はアウターマッスルではなくコアマッスルを中心にマッサージやマイオセラピーを時間をかけて丁寧に行っていきます。
自律神経機能を整えておくこと!
脳卒中片麻痺は後遺障害であり、現状から良くも悪くもならないと言うのが定説です。
しかし「今日はいつもより手足がこわばって動きにくい」とか「今日はいつもより指が強く握ってしまっている」などの感想を持つことは多いのではないでしょうか?
なぜ手足の緊張が緩んだりこわばったりするのでしょう?
それは自律神経機能が原因と思われます。
つまり急性期に全身状態が悪くなることで自律神経機能も不安定になっており、その影響で筋緊張が高まったり収まったりしているのだと考えます。
急性期には全身状態の悪化と長期間の安静により背骨や手足の関節のコアマッスルが硬くこわばります。
そして背骨のコアマッスルの脇にある交感神経菅にその緊張が伝わるようになり、急性期の治療が終わった後にもコアマッスルのこわばりと自律神経の緊張は続いてしまうのです。
自律神経機能を整えることは、全身のコアマッスルのコンディショニングを丁寧に行うことである程度の改善が可能となります。
普段から力まずにリラックスして歩いたり手足を動かすイメージトレーニングをすること!
「全身を力ませてドッコイショドッコイショと歩いています」よね、それに比べて健康な方はどうでしょうか?
なんとなく行きたい方向に視線を向けると、自然とそちらに重心が傾いて、あとは足が片方ずつ振り子のように交互に振り出されて前に進んでいきます。
健康な方は「歩行動作自体を強く意識することはありません」
脳卒中では「とにかくこわばって身体を突っ張らせて立ったり歩いたりする」ということが大脳の反応の特徴となります。
このどんな動作も力んでしまう運動イメージがどの様につくられるのかの説明はここではしませんが、自然な手足の動きを実現して、麻痺を少しでも改善するためには、この力んだ運動イメージを一旦リセットする必要があります。
そしてリラックスした運動イメージを作り直して運動パターンの再学習をしなければなりません。
これらの準備がキチンと整ってから運動神経麻痺を治すための神経促通アプローチをおこないます
脳卒中片麻痺を改善するための神経促通を行う前に整えるべき身体条件まとめ
① 手足や背骨の関節拘縮をできるだけ改善しておくこと!
② 手足や背骨の周りの筋肉のコリをできるだけ改善しておくこと!
③ 自律神経機能を整えておくこと!
④ 普段から力まずにリラックスして歩き手足を動かすイメージトレーニングをすること!
次回から上記の項目について順番に解説していきますのでよろしくお願いします。
次回は
について解説いたします。
最後までお読みいただきありがとうございます
注意事項!
この運動は、あなたの身体状態を評価した上で処方されたものではありません。 ご自身の主治医あるいはリハビリ担当者にご相談の上自責任にて行ってくださるようお願い申し上げます。
脳卒中片麻痺の自主トレテキストを作りました!
まずは第一弾として皆様からご要望の多かった、麻痺側の手を動かせるようにしたいとの声にお応えするために、手のリハビリテキストを作りました。
手の機能を改善させるための、ご自宅の自主トレで世界の最先端リハビリ手法を、手軽に実践する方法を解説しています。
超音波療法や振動セラピー、EMS療法による神経促通など、一般病院ではまず受けられないような、最新のリハビリアプローチが自宅で実行できます。
現在の日本国内で、このレベルの在宅リハビリは他にはないと思います。
そしてこのプログラムは施設での実施にて、すでに結果が認められています。
あとは皆さんの継続力だけですね。
テキストは電子書籍になっており、インフォトップと言う電子書籍の販売ASPからのダウンロードになります。
全180ページに数百点の写真と3D画像などで分かりやすく解説しています。
コピーが容易な電子書籍の性格上、少し受注の管理やコピーガードなどが厳しくなっていますが、安全にご利用いただくためですの、ご容赦くださいね。
ぜひ一度お試しください。