はじめに
最近の研究では、全身の内臓や、筋肉、骨、はては脂肪細胞までもが、メッセージ物質を作り出し、脳に重要なメッセージを送っていることが分かってきています。
そのために、筋肉や骨の状態が、私たちの記憶力や、健康に強く影響していることが分かっています。
骨に至っては、男性の「精力」にまで影響しています。
そこのバイなんとかって言う薬に頼っているあなた!
そうあなたですよ!
そんなことよりも筋肉を鍛えて、骨を強くしましょう!
とはいえある程度の年齢に達した方が、いきなりガンガン筋トレをぶちかますのは、あまりオススメできません。
臨床の現場でも、足腰や体力の衰えを感じて、慌ててスポーツジムに通って、マシーンでの筋トレを始めたなんて言う方の多くが、逆に腰や肩を痛めて、かえって動けなくなったりしています。
熟年の方は、ガンガン筋トレを始める前に、まずはこれまでの疲れを癒して、激しい運動に耐えられるように、身体のコンディショニングから始めなければ『絶対に』いけません。
今回は熟年の身体の問題点と、そのコンディショニング方法について解説します。
ちなみにこれは運動不足の若い方にも当てはまります。
ぜひご参考にして安全なトレーニングにつなげてくださいね。
どうぞよろしくお願いします。
どうして筋力トレーニングをすると痛みが酷くなるのか?
まず運動不足で長いことダラダラ生活している方、あるいは仕事でストレスを溜めている方などが、健康になろうと一念発起して、急激に筋トレなどを始めると、ほとんどの方が、肩や腰や膝を痛めて挫折します。
これはどうしてなのかと言うと、鍛える筋肉と、痛みの出る筋肉が違っているからです。
筋肉には、その働きに応じて、「アウターマッスル」と「コアマッスル」に分けられます。
そして痛みが出るのは、ほとんどが「コアマッスル」なのです。
ここで少し「アウターマッスル」と「コアマッスル」の違いについて、簡単にご説明しますね。
アウターマッスルとは?
アウターマッスルとは、実際に関節の運動を引き起こす、力のある大きな筋肉です。
たとえば「上腕二頭筋」とは、「大腿四頭筋」とかの、皆さんもある程度はご存知の、大きな筋肉を言います。
これらの筋肉は、実際に力を入れて、手足を動かすために、強い力で関節を動かす筋肉です。
強くて大きな筋肉ですから、比較的に疲労やストレスには強く、筋肉が凝って痛みが出ることは、まあ完全に無いわけではありませんが、少なめです。
コアマッスルとは?
コアマッスルとは、主には関節の根元周辺にある、関節の動きの微調節をしている、小さな筋肉です。
私たちの手足の関節は、家のドアの蝶番とは違って、とても複雑な動きをしています。
あなたの肩関節や、膝関節は、単に曲げ伸ばしの運動ではなく、関節を構成する骨同士が、互いに複雑に運動しているのです。
なので「コアマッスル」の調子が悪くなって、関節の複雑な運動が出来なくなると、その関節はまるで錆び付いたように、スムースに動かなくなります。
つまり「コアマッスル」とは、関節のコア(中心)にある、大切な筋肉ということなのです。
良い例が「五十肩」ですね
「五十肩」とは、肩甲骨のところにある、肩関節の「コアマッスル」である『回旋筋腱板』を構成する5つの筋肉(① 棘上筋 ② 棘下筋 ③ 大円筋 ④ 小円筋 ⑤ 肩甲下筋)がこわばってしまい、肩関節が動かなくなる病気です。
よく「五十肩」になると、頭の後ろに手が回らなくなって、頭が洗えないと、みなさん困っておられますね。
「五十肩」になると、肩が動かせないだけでなく、肩に激しい痛みが出るのも問題です。
これは「コアマッスル」が、感覚筋肉と呼ばれていることと、無縁ではありません。
「コアマッスル」は、筋肉の活動で、関節の運動を微調節しているだけでなく、関節の運動状態や、関節にかかるストレスを測っています。
そのために「コアマッスル」の筋肉の線維のなかには、とても沢山の感覚センサーがある事が分かっています。
つまりこれはどういうことかと言うと、「コアマッスル」が故障すると、ものすごく痛いよと言うことなのです。
つまり「ギックリ腰」の腰の痛みや、「五十肩」の肩の痛み、「むち打ち症」の首の痛みなど、すべては「コアマッスル」の痛みなのです。
適当に筋トレするとアウターマッスルとコアマッスルのバランスが崩れて痛くなります!
ではここでどうして急な筋トレで、肩や腰が痛くなるのか、考えてみましょう。
まずトレーニングを始める前の、あなたの身体の状態を、胸に手を当ててよーく考えてみましょう。
普段から運動不足が続いていましたね。
また若い頃から、仕事や生活に強いストレスがあったのではないですか?
そんな状態が長く何年も続いた、あなたの身体の関節にくっ付いている「コアマッスル」は、すっかり凝って硬くこわばってしまっています。
運動不足のために、適切に使っていなかったために、筋力自体も弱っているでしょう。
そこで運動不足を解消しようとして、スポーツジムに行って、筋トレマシーンでガシガシ筋トレを始めてしまいます。
しかしここで注意したいのは、筋トレマシーンで鍛えられる筋肉は、「アウターマッスル」だけである、と言うことです。
残念ながら、そこらへんのスポーツジムに普及している、簡単な筋トレマシーンで鍛えられるのは「アウターマッスル」のみです。
「コアマッスル」を鍛えるには、もっと専門的な知識とテクニックが必要なのです。
ですから素人のあなたが、ジムで筋トレマシーンをガシガシやっていると、あなたの身体の「アウターマッスル」と「コアマッスル」の筋力バランスが狂ってきます。
「アウターマッスル」は元々が大きくて強い筋肉で、ストレスで凝ることもあまりありませんから、簡単に鍛えられます。
しかし長年の運動不足やストレスで弱っている「コアマッスル」は、それについて行くことができず、すぐに故障してしまいます。
そうなると肩や腰に激しい痛みが出るようになります。
これがスポーツジムでガシガシトレーニングしていると、突然出現する、謎の痛みの正体なのです。
痛みが将来の寝たきりの原因と知るべし!
しかし首や肩や腰の痛みが、痛みとして認識できているうちは、まだマシなのです。
痛みが出ると、誰でもいったん運動をやめて安静にしますね。
休んでいると、やがて筋肉の激しい痛みは、静かにおさまってきます。
しかしいったん痛めつけられた「コアマッスル」のコンディションは悪くなったままなのです。
「コアマッスル」のコンディションが悪くなるとどうなるか?
コアマッスルのコンディションが悪くなると、筋肉の出力(筋力)が低下します。
また筋肉の持久力も低下して、長時間踏ん張ることが出来なくなっていきます。
よく「年をとると集中力がなくなって疲れやすくなる」と言いますが、この集中力が続かない原因が、「コアマッスル」のコンディションの低下なのです。
たとえば机に向かって、パソコンを操作して仕事をする場合、長時間同じ姿勢を強いられるために、首や腰には強いストレスがかかります。
首や腰を支えている「コアマッスル」のコンディションが悪くなっていると、この長時間のストレスに耐えられなくなり、「コアマッスル」から、脳に「もう無理だから休もう」とメッセージが送られてしまいます。
なので最近のあなたは、すぐに横になってゴロゴロする、ナマケモノになってしまっているのです。
それだけではなく、「コアマッスル」のコンディションの悪化を放置すると、この横になってゴロゴロする時間は、将来はもっと長くなって行きます。
若い頃は、1日仕事をした後にも、ガンガン遊びに行きました。
それが仕事の後に遊ぶ体力がなくなっていき。
3ヶ月に1度くらいは、腰痛で会社を休むようになってきたりします。
仕事をリタイアした後も、少し外出すると、疲れてゴロゴロするようになり。
しまいには朝からゴロゴロするようになり。
気がついたらベッドから起き上がれなくなっている。
これが「寝たきり老人」の出来上がりの物語です。
「寝たきり」は、決して回避不可能な老化現象ではなく、あなたの若い頃からのストレスや運動不足が、積み重なって起こります。
あなたの最近の集中力とやる気の低下も、将来の寝たきりへの不安も、原因は「コアマッスル」のコンディションの悪化にあるのです。
なので「コアマッスル」のコンディションを整えてやると、これらの老化によると思われていた、集中力の低下や、ヤル気の衰え、将来の「寝たきりの不安」なども解消されていきます。
では「コアマッスル」のコンディショニングは、いったいどうやれば良いのでしょう?
素人のあなたでも、できるのでしょうか?
大丈夫です!
「コアマッスル」と言っても、ヒトの身体は、みな同じですから、問題が起きる「コアマッスル」も、だいたい同じ場所なのです。
なのでいくつかポイントを押さえておけば、特殊なケースを覗いては、素人の方でも簡単に「コアマッスル」のコンディショニングをすることが出来ます。
次回から何回かに分けて、これらのコアマッスルのコンディショニングのポイントを解説していきますね。
どうぞよろしくお願いします。
次回記事はこちら
五十肩は怖くない! 肩のコアマッスルのコンディショニング方法!
最後までお読みいただきありがとうございます。